StoryⅣ


 ──────ぎり

 何か用ですか、まゆさん?



 そうボクがぶと、彼はこたえる。



 ────────繭さん

 何か用かい、小田桐君?



 そう彼が呼ぶと、ボクは応える。



 アンタは本当に人でなしだ。

 そう彼はボクに吐き捨てる。



 君は本当に鹿だね。

 そうボクは彼に言う。



「小田桐君」とボクは彼を呼ぶ。

「繭さん」と、彼はボクを呼ぶ。



 そう言えば、ボクのことを繭さんと。

 呼ぶのは、世界で彼一人だけだった。





 それが、一体どうしたのかって?

 そうだね、どうでもいいことさ。



 本当に、これはどうでもいい話だよ。



 だが、そうだね。そんな、どうでもいい日々の積み重ねを。

 人は時に人生と、さも重要であるかのように呼ぶんだろう。



 ボクらしくない言葉だと笑うかい? だがね。



 まゆずみあざかの日々は、小田桐つとむと共にあった。

 それは、決して変わらないるぎなき事実さ。



 ざんにんなことこそ、ボクは愛した。

 ざんこくなことこそ、ボクは笑った。



 だが、ボクは、その日々を一人で過ごそうとはしなかった。

 それは、全く、本当に、心の底からくだらない毎日だったが。



 ───────────いい、人生だった。

 そうだね。いまさら小田桐勤について語るなら。