むかえに行くから、魎皇鬼を呼んでよ。

 宝玉はたんはんを広げたために活発に働いていたが、その中心は冷たいままだった。

 魎呼は魎皇鬼に見つけられたくないんだ。

 魎皇鬼は思った。

 だから、アストラル・リンクを切って、宝玉の活動をおさえている。

 それでも魎皇鬼は人間のようにあきらめたりはしなかった。

 必ず見つかると信じて、暗黒の海の中にただよっていた。

 まっすぐ魎呼のことを思っていた。

 魎呼と一緒にいる天地のことも思った。

 魎皇鬼は呼び続け、その思いは全てを見、全てを聞いている者の耳にも届いた。

 小さな泡が暗い大海の中のき通ったミジンコのように漂っている。

 中には一人の少年が眠っていた。

 魎呼の姿はどこにもなかった。

 半とうめいの泡は頼りなく、今にもはじけて消えてしまいそうに見える。

 少年の命の火は明るく、しっかりと灯っていたが、その意識は白いやみに閉ざされていた。


 夜の女王、いなつくよみと呼ばれる最古のせいれいの一人は[全てを見守る者]の目を通してそれを見た。

「アイン」

 月読のつややかな声がその名を呼んだ。

「わらわのもとに幼いおうが帰って来た」

「はい、月読様」

 巨大なの花びらがめくれ上がり、ゆっくりと泡を吸い込んで閉じた。


『天地無用 魎皇鬼』天地様、ご乱心!?(上)〔了〕