「知らないわよ! そもそも、アタシたちがバラバラになったのが良くなかったのよ。きっと離れちゃいけないんだわ。一か所に集まってれば何が起ころうとそこだけで済んだのに、バラバラになっちゃったから、不幸だって散らばっちゃったのよ!」

「でも、わたくしたちは無事でこうして生きてるわ。天地様と砂沙美は……」

 美星と清音は抱き合って泣きだし、それに阿重霞が加わった。

 青蘭は無視されたまま、ぼうぜんと泣きじゃくっている三人の女を見つめていた。

 何なんだ、こいつらは!?

 魎皇鬼のブリッジにいた時とはまるで別人だ。

 何とかずらかる手を考えないと、この先ずーっとこいつらのめんどうを見るはめになるんじゃないだろうか!?

 青蘭は最後に見た花嫁姿の魎呼を思い浮かべた。

 途端に、足元がくずれ落ちそうな虚無感がもどってきた。

 魎呼! 魎呼!

 お前は今どこにいるんだ!?

 この手に戻ってさえくれればすべてを許そうと思っていたのに。

 お前を宇宙一幸せな女にしてやったのに。

 俺はそこまでお前を追いめてしまったのか。

 青蘭はヤケになって髪をき上げようとし、阿重霞から引ったくった写真を持ったままなのに気づいた。

「やかましい!! 泣いてるヒマがあったら、この手錠をなんとかしろ!」

 青蘭の声はかんぺきに無視された。

 ちくしよう……!!

 腹が立って、三人の女ごと船をぶちこわしたい気分だった。

 こいつらに付き合ってるヒマはない。

 魎呼をさがすのだ。

 何年かかろうと、魎呼を捜し出さなくては。

 青蘭は合成写真を捨てようとし、ふと女の顔に目をめた。

 こいつは何年か前に会った顔だ。

 どこかのバーで。

 そう……ラメドだ。

 海賊なんかじゃなかった。

 少なくともあの時までは。

 青蘭は阿重霞の鼻先に合成写真をき付けた。

「こいつの話を聞きたくないか?」

 三人の泣き声がぴたりと止まった。

「知ってるの!?

 青蘭はさっと写真を引っ込めた。

「こいつを外してくれたらな」


 その頃、魎皇鬼はむなしく宇宙空間を一人さまよっていた。

 一瞬、たんしたアストラル・リンクが切れてしまったのだ。

「みゃあああああん……」

 初めて一緒に宇宙を飛んだ時からつながっているアストラル・リンクはいつも、ちょうどひたいの宝玉のあたりがぽっと暖かくなるような感じでともっているのだった。

 魎皇鬼は伝えたかった。

 青蘭もいない、阿重霞もいない。

 今はだれも乗ってない。魎皇鬼はここだよ。