第六章 リングを
「リングを
「お
「
阿重霞は
「やることが汚いじゃないの!
「ちょっとちょっと、阿重霞」
魎呼が
「あたしが何とかするから
「何とかするって何よ!?
「えーっ、ほんとに結婚しちゃうんですかぁ?」
「うっさいな。どうして急にそういう話になるんだよ!?」
「だって魎呼さん、自分で言ったんじゃないですか。ネプチューンの涙を取って来たら結婚するって……」
「違うんだってば!」
何を余計な、という顔で美星を
「あたしが結婚?
すっと青蘭の顔色が変わった。
こめかみの
「魎呼てめえ……」
押し殺したような声だった。
「それがお前の本音か? そんな女とも知らずにネプチューンの涙を取りに行った
「やだなー、そんなマジになっちゃって」
青蘭の引きつった顔を見るや魎呼は
「あたしだって色々事情があってさ、ほこらに封じられちゃったりして動きが取れなかったのさ。ほんっとに悪いと思ってたんだ。別に騙すつもりじゃ……」
「愛していたんだ!」
青蘭は全然聞いていなかった。
「俺の気持ちが分かるか? 七百年間信じてきたたったひとつのものが
「
魎呼は思わず叫んでからはっと気づいた。
ダメだ、何を言っても噓になっちまう。
あたしだってお前を嫌いなわけじゃなかったのに、結婚なんて持ち出すからこんなやっかいなことになっちゃったんじゃないか。
こいつは昔っから、人の話を聞かない奴だったっけ、と思いながらも魎呼は何とか事態を
「青蘭、あたしが悪かったよ。だけど……」
「問答無用!」
冷たい返事が返ってきた。
魎呼はかっと
むらむらと腹が立ってくるのを
「青蘭、こっちの話も聞けよな!」
「今更何を聞くっていうんだ!?」
青蘭はライト・ソードを抜き放った。
アイス・ブルーの
「この剣を覚えているな、魎呼? こいつは何百人と生き血を
「待て、青蘭!」
魎呼は
「待てだと? これ以上俺を待たせようっていうのか?」
ライト・ソードが走り、魎呼の服を切り
「きゃああああっ 魎呼さん!」
美星が
「ちょっと、何すんのよ!?」
「阿重霞様っ、危のうございまするっ」
「青蘭! 剣を引きなさい。
「うるさいっ。俺の
「清音、危ないっ」
「きゃッ」
プラスターが真っ二つになって
辛うじて身を
「青蘭、
天地はリングのことなど忘れて飛び出した。
「
阿重霞の
「魎呼っ。待て!!」
ライト・ソードがクリスタルを切り払い、魎呼が飛びのいた。
「やだねっ。だからおめーはやなんだよ。宇宙には山ほど女がいるじゃんか。どうしてあたしにこだわるんだよ!?」
「お前に
「てめーはヤクザか!?」
魎呼の姿が一瞬消えた、と思うと、次の瞬間にはバトル・スーツ姿に変わる。
魎呼はオーラ・ブレードを
その
「無茶苦茶言うなよなっ。海賊は止めたって言っただろうが? せっかくフツーの女の子に戻って
金色の
「宝石みたいな小さな青い
その場にいた全員がこけ、ブリッジに立っているのは目を
「あのなあ……何だよ、貧しいって」
天地が
「誰が慎ましいですって!?」
ブリッジの
「魎呼さんてばぁ……」
「帰ろうか、美星」
清音と美星が顔を見合わせ、
「魎呼……俺をコケにして
青蘭が
怒りのあまり、ライト・ソードを持つ手が震えている。
「もう許さない。死んでもらうっ」
青い光条が魎呼を
「青蘭、止めろってば!」
「うるさいうるさいうるさいっ。ここまで女にコケにされて黙ってられるか! お前を殺して俺も死ぬんだっ。
「あたしに勝てると思ってんのか? ケガしないうちに剣を引きな」
天地は
ライト・ソードが光の
一体、俺は何なんだ? という思いが心をよぎる。
結局、このリングは何だったんだ?
青蘭がブチ切れてしまったお
俺しかいない。
この二人を止められるのは俺なんだ。
だが俺が止めに入れば、青蘭はリングのことを思い出すに決まっている。
それでも、このままどっちかが死んだり、
天地! 逃げるんじゃない!
心の奥で声がした。
これは修行の旅じゃ。今逃げたらお前は一生そうやって逃げ続けることになるのじゃぞ。それでもいいのか!?
じっちゃん……!
天地は思わずぎゅっと目をつぶり、
だって、できないよ、
俺に死ねって言うのか?
と、その時、はっきりと苦痛の叫びが上がった。
魎呼!?
天地は
魎呼はがっくりと
こめかみを押さえた手は血に染まり、オーラ・ブレードは消えていた。
まさか……。
胸の奥に信じられない
死なないでくれ!
だが、青蘭の方が早かった。
「魎呼!?」
ライト・ソードがブリッジの床に落ち、光が消えた。
「魎呼……大丈夫か?」
「う……」
青蘭は
こめかみから
「魎呼……!」
青蘭は思わず溢れる血を
「俺が悪かった。ついカッとなってしまったんだ。魎皇鬼! 魎呼を助けてくれ!」
青蘭は
「愛しているんだ。一日だって忘れたことはなかった。七百年も人のこと待たせといて、やっと
青蘭は動転のあまり死ぬかもしれない
「青蘭!?」
「魎呼! 魎呼っ」
何も耳に入ってないことは明らかだった。
「お前が死んだら俺も死んでやるからな! 化けて出てやる。いや、みんな道連れにしてやる。魎皇鬼も何とか姫も皇子もみんなだ。俺は本気だぜ。そうなってもいいんだな?」
「こいつってば……」
ブリッジの
「……落差の激しい奴だったのね」
「……そのようでござるな」
首が振れるものなら振っていただろう声で阿座化が同意した。
「誰かさんにそっくりでござる」
だが、その
次の瞬間、魎呼がこう
「うるせえなっ。そんなに
「り……魎呼!?」
「……おー、
魎呼はこめかみを押さえながら立ち上がり、呆然と自分を見上げている青蘭に気づくと、腹立たしげに怒鳴りつけた。
「何ごちゃごちゃ言ってんだよ! あたしの顔に傷つけやがったな! チクショウ、倍にして返してやる!」
魎呼は
「魎呼!?」
跳ね起きた青蘭はようやく天地の存在に気づき、足を止めた。
ライト・ソードを拾い上げ、
「あのー……」
「何だよ!?」
さすがにバツが悪いのかぶっきらぼうに言い返され、天地は言葉に詰まってしまった。
良かった。
もっとひどいことになっても不思議じゃなかったんだ。
胸の中に