砂沙美がけ寄った時には、コクピットから四人の姿が消えていた。

「お姉さまぁぁぁぁ……

 振り向いた砂沙美のひとみにじわっと涙がにじんだ。

「……行っちゃった」

 鷲羽はこのさわぎの間、ドアに寄りかかったままかんぺきぼうかんしやとなっていたが、涙ぐんだ砂沙美を見てその小さな肩を抱きしめた。

「あーあ、悪いお姉ちゃんたちね。船も何もほったらかしにしてさ」

「あたしも魎ちゃんに会いたかったのに」

 砂沙美はすすり上げ、なみだとハナをそでいつしよいた。

「バカバカ、魎呼お姉ちゃんのバカッ。阿重霞お姉さまのバカぁー」

 砂沙美は怒りのぶつけどころがないので、鷲羽の胸にしがみついて泣き出した。

「まったくでござる!!

 背後から声がした。

せつしやは一体、どうすればいいのでござる!? 主人に置き去りにされたなどと報告すれば、スクラップにされるでござる!」

「同感だわ」

 鷲羽は砂沙美の頭をでながらつぶやいた。

「しょうがないから、この鷲羽ちゃんをキャプテンとしとくのね。さつそくだけど、状況報告して」

「ラジャーでござる」

 ゆきじようは気を取り直したようにディスプレイをてんめつさせた。

「正体不明の巨大かんよりアダムスキー型円盤が射出されたでござる。魎皇鬼を追っているでござる」

「魎ちゃん!!

 砂沙美がびっくりして顔を上げた。

 スクリーンに雪之丞が報告したとおりの状況がちくいち映し出されている。

「ねえねえ、魎ちゃんが行っちゃうよ!」

「ひとまず追うでござる」

 雪之丞は誰も指令してくれるクルーがいないので、ヤケを起こしたようなフル・スピードで魎皇鬼と円盤の後を追い出した。

「悪いけど、これじゃ私の最高けつさくには追いつけないわよ。だからフレキシブル・システムを導入しなさいって言ったのに」

「今言われても困るでござる」

「あ、魎ちゃんが……消える!」

 スクリーンの中央で、卵ほどの大きさに映し出された魎皇鬼がまたたいた。

「雪之丞、しっかりモニターして!」

 鷲羽の言葉が終わるか終わらぬうちに、魎皇鬼の姿がふっと消えた。

「……またスクランブル・ワープされちゃったわ」

 鷲羽は、標的を見失ってブーメランのようにもどって行く円盤を見ながら肩をすくめた。

「だけど、あんたの主人は通信用ブレスレットを持ってたわよね」

「ミホキヨのブレスレットでござるか? 残念ながらそんなに出力は高くないでござる」

「何、それ!?

 鷲羽のほおがおかしそうにゆるんだ。

「美星殿と清音殿のことでござる」

 雪之丞は声を落とした。

ないしよでござる」

「やだぁ」

 砂沙美が吹き出した。

「そうそう、そっちの顔の方がずっといいわよ」

 鷲羽も笑いながら砂沙美の肩を抱いてコクピットの後部座席に座らせ、自分は雪之丞の前に座った。

「さてと。ここにいると面倒なことになりそうだから、取りえずショート・ドライブしてちょうだい。それとも、あの正体不明艦をさぐりに行く?」

「未成年者を危険な目にわせるわけにはいかないでござる。そのうちどうせアンシブル通信が入るでござる」

「そうだった、魎皇鬼につけたの忘れてたわ」

 鷲羽は砂沙美に大丈夫、というように片目をつぶると、きりりと向き直って指示を出した。

「雪之丞、ショート・ドライブ、スタンバイ。目標、最短距離のコンビニ・ステーション!」

「ラジャーでござる!」

 スクリーンが3Dディスプレイに切り替わり、コンビニ・ステーションを表すニコニコ・マークが現れた。