竜胆葵 剣道少女の艶イキ姿

 

 

 

 竜胆葵は十五歳。学園の一年生だ。しかし傍からはとても下級生には見えない。

 

 百七十はあろうかという立っ端。濃い眉に切れ長の明眸、真一文字に閉じられた口元。落ち着いた雰囲気や大人びた顔立ちともあいまって下手な上級生よりもずっと風格を備えている。

 

 その姿はたとえたくさんの学生の中にあっても見出すことができる。

 

 身長だけではない。常に白い道着と紺色袴に身を包み、竹刀袋を担いでいるのだ。

 

 威風堂々とした雰囲気ともあいまってまるで古武士だ。

 

 葵は幼い頃から警察で剣道を教えている親から薫陶を受け、常勝無敗の言葉が大げさでないだけの実績を積み上げている。

 

 鳴り物入りで剣道部に入部しただけのことはある。

 

 そして陽一のモデル要請を無碍に断ったばかりか、生徒会に通報した元凶でもある。

 

 昼休み。葵は強い日差しの降り注ぐ中庭のベンチで弁当を広げている。

 

 数少ない木陰で涼を得てはいるが、吹きつける風さえ鬱陶しい今の時期、決して心地よい場所ではない。とはいえ快適な環境を求めるあまり生徒でごった返し、かえってむさ苦しい食堂よりは開放感があってマシだろう。

 

(ま、こっちのほうが監視はしやすいから助かるけどな)

 

 陽一は葵を目の前に見る形でベンチに腰かけ、コッペパンをかじり、牛乳を啜る。

 

「なあ、これってストーカーっていうんじゃねえか」

 

 言葉に甘えて監視のためのカモフラージュの相棒役を頼んだ千尋がぼやく。

 

 もちろん、こうしてターゲットを監視している理由が脅しネタを見つけるためというのは内緒だ。あくまでいい写真を撮るために被写体の行動観察は必須なのだと力説した。対象物をとことん鑑賞し、いくつものデッサンをあげることではじめて大きなキャンバスに絵として焼きつけられる絵画の世界に通じるのだ、と。

 

「もし困ったらとは言ったけど、その次の日にいきなり頼まれるとは予想外だったな」

 

「悪かったよ」

 

「……つーか、またパンかよ。そんなんばっかだな」

 

「こっちのほうが手軽でいいんだ。そっちこそ毎日弁当ばっかじゃないか。よく面倒じゃないな」

 

「オヤジの分の弁当をつくるついでなんだよ。少なくとも売店のパンよりコスパはいいんだよ。晩飯の残りを片付けるのにもちょうどいいし」

 

「所帯じみてんな」

 

「ほっとけ」

 

 千尋は弁当をかきこむ。

 

(にしても暑いな)

 

 こちらも木陰にいるとはいえ野外の暑さは避けがたい。全身の毛穴からジワッと汗が噴き出す。

 

 葵は箸を黙々と動かしている。彼女は普段から一人でいることが多い。凜としすぎるのも考えものだ。と、そこへ。

 

「ヤッホオオオォォォォォォォォォォォォォ! アッッッッッオイイイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!」

 

 絶叫が昼食の静寂を破る。

 

 葵は馴れた様子で顔を上げる。

 

 伸びやかな手をぶんぶんと大きく振って、目の覚めるようなブロンドのストレートヘアに青い目の少女が突撃してくる。

 

 葵は冷静に弁当を脇に置くと立ち上がった。

 

「アッッッッッオイイイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィッ!」

 

 右足で踏みきったかと思えば、金髪碧眼の少女、エミーリエ・ホッヘンハイムが、葵の胸めがけて飛びこんだ。

 

 美肌に関心のある日本人がいくら手を伸ばしても届かないほど肌は透き通る白さで、吹き出物の類いは一切なく、マイセンの磁器のようにすべやか。

 

 ドイツからの留学生だ。日本の漫画を通して日本語を学習したらしく、日常会話は自然にできているらしい。

 

 まるで猫(見た目こそ血統書付きの猫だが、その行動を見るかぎり、たくましい野良猫のほうが相応しい)のようにくりくりとした眼の愛嬌のある顔をしている。そしてそんな彼女はやたらと葵に懐いていた(年下に懐くというのも変な表現ではあるが)。

 

 ちなみに彼女は第二のターゲットでもある。

 

「アオイ、またベンジョーメシ? 誘ってっておっしゃりましたのに!」

 

「エミー先輩。何度も言いますが、一人で食事をすることはなんでも便所飯じゃありませんから」

 

 葵は律儀に訂正する。

 

「大丈夫、わかってますよ。ワタシも一緒に食べますからベンジョーメシじゃありませんネ」

 

 エミーリエは隣に腰かけると、唐草模様のランチョンマットに弁当箱をのせる。開くと、日の丸弁当。

 

 エミーリエは嬉々として食べ、ほっぺが落ちんばかりに「んー、白飯バンザイですね!」とほくほく顔。

 

「先輩どうぞ」

 

 葵は卵焼きを差し出す。

 

「ダーンケ! 武士は食わねど高楊枝! やっぱりアオイは立派な大和撫子でござるね!」

 

「いえ、私はそのようなものでは」

 

「大丈夫! キモノも着てますしネ!」

 

「何度も言うようですが、これは道着というもので」

 

「キモノとは違うんですか」

 

「違います」

 

「どこが違うのです?」

 

「どこがというと……えっと、着物というものはそもそも……えっと、……あれ? でも道着は広くくくると和装と言えなくも。甚平とか浴衣とかも……着物とは違うはず……」

 

「ハイ」

 

「えっと、ですね」

 

「ハイ」

 

 着物という定義をろくに知らないまま口火を切ったのがありありとわかるような間を置き、「……これも、着物、と言えなくもないかもしれません……」とぽつりと言う。その顔はなぜか悔しげ。

 

「もう、アオイ。もったいぶるなんて水くさーい!」

 

 なにがおかしいのか、いきなりテンションを上げたエミーリエは葵に抱きつき、きゃっきゃっとじゃれあう。葵は「せ、先輩!」と赤面する。

 

「んー。アオイの胸は大きいネ。バレーボールくらいですかな? カルトッフェルブライ(ドイツの芋料理)みたいにふわふわしてるう」

 

「やめてください。先輩、ひ、人がいますっ──ひっ!」

 

 道着ごしの胸をわしづかみ、持ち上げ、寄せたりする。

 

 人目を憚らない過激なスキンシップに、思わず生唾を飲みこんでしまう。

 

 こっそり見なければいけないのが苦痛すぎるシーンだ。

 

 千尋はつまらなさそうに大口を開けて欠伸をしている。

 

(こいつ、ホント男かよ)

 

 葵はなんとかかんとかエミーリエを引きはがす。

 

「ところで先輩。寝癖がついてますよ」乱れた襟元をかき合わせ葵が言った。

 

「違うよ! アホ毛ですよ!」

 

「は?」

 

「アホ毛!」

 

「あほ……? 先輩、すみません。私は流行に疎いものでして」

 

「アオイ、これ! これ!」

 

 エミーリエが取り出したのはマンガ。表紙にキャラクターが描かれている。

 

「先輩、ここは学校ですからそういうものを持ってきてはいけませんよ」

 

「……アオイにとーっても見せようと思ったのですが、申し訳ありません……ドゲザもセップクもいたします!」

 

「い、いえ。次から気をつければいいかと。それで、それがどうかしたんですか」

 

 彼女が指さしたのはそのキャラの髪。たしかに、まるで虫の触角かチョウチンアンコウの疑似餌のようにぴょんと髪がはねている。

 

 エミーリエはあらためて、どこからどう見てもただの寝癖っぽい自称アホ毛(顔立ちが整っていると寝癖すら新しいヘアスタイルに見えてしまうから不思議だ)を指さし、「どう?」と目を輝かせる。

 

 真面目な葵は散々悩んだ挙げ句、

 

「い、いいと思います」

 

「ヤァッ!」

 

 さすがは外国人。大きくガッツポーズ。

 

「アホな会話してんな、あいつら」

 

 千尋が言った。同感。

 

「ところで先輩のもとに写真部が来たと耳に挟んだんですが」

 

「大丈夫。アオイが教えてくれたブドウが効きましたからねっ!」

 

 エミーリエは嬉々としてその場でなかなかのキレがある拳を突き出した。

 

(あれ、あいつが教えたのか!)

 

「生徒会には報告しましたが、あの男は学園を辱める盗撮魔ですから十二分に気をつけてください」

 

「大丈夫ですよ。リオなら間違いないね。……けど、あの人は悪人には見えないけど、人はミカケ……ミカゲ……?」

 

「見かけにはよらない、ですか。まあ、いかにも犯罪者という人間のほうが珍しいですから」

 

 と、陽一は視線を感じた。

 

「なんだよ。言いたいことがあれば言えよ」

 

「陽一、確認のためなんだけど、あいつらが言ってるのは」

 

「……ああそうだよ。俺だよ。エミーリエをモデルにしようと思ったら、いきなり鳩尾めがけて正拳突きくらって、しばらく呼吸ができなくなって悶絶したのは俺のことだよ!」

 

 ポンポンと無言で肩を叩かれる。

 

 

 放課後。道場から出ていく剣道部の集団を見ながら、陽一は小首をかしげる。

 

 その中に葵の姿がなかったのだ。道場からは明かりが漏れていた。

 

(居残り練習でもしてんのか)

 

 素質がある上に練習熱心。一つしか違わない相手の勤労ぶりに舌を巻く。

 

 一方で一人居残ってくれるのは都合がよい。

 

 日が暮れ、蒸し暑さを増した空気の中を泳ぐように道場の裏手に回り、窓からこっそりと室内を覗くと──。

 

 

 竜胆葵は部活終了後の熱気のこもった道場に一人でいる。

 

 正座の格好で目を閉じ、精神統一をしている。しかし荒れた心が収まることはない。

 

 そのせいで部活の間中、集中できなかった。

 

 目を開けると『インターハイ優勝!』の垂れ幕に、こめかみがひくと震える。

 

 一年生にしてインターハイの団体戦に選出されたことで周りからの期待は否応なく高まり、先輩の中にはすでに団体も個人もうちがもらったと吹聴する者までいる。

 

 期待や声援は嬉しいが、それが葵の心を圧迫する。もっと頑張れ、もっと練習に励めと無言のプレッシャーをかけられているようで。

 

 たしかに才能やセンスはあるのだと思う。

 

 しかし葵は機械ではない。

 

 手順を踏んで命令をくだせば能力を発揮できるわけではない。

 

 その日のコンディションや気分によっては周囲にはわからないほど些細な形であったとしても、本人にしてみれば明らかな不調として出かねないのだが、周りにはわからない。ある人は葵の態度を余裕と捉え、ある人は怠慢と取り、不用意な注意や的外れのアドバイスをする。それが葵を苛立たせる。しかし最年少である以上、それを露骨に出すわけにはいかない。

 

 二時間ほどの練習時間で頭がおかしくなりそうなくらい鬱憤が溜まる。

 

「フゥー……」

 

 息を吐き出す。あたりを見回す。道場に残っているのは葵だけ。

 

 神聖な道場の真ん中で、袴の紐をそっと弛める。まだ部活動の余熱が残る室内。

 

 袴一枚脱いだだけでだいぶ涼しい。

 

 もどかしく白衣の裾をめくり上げる。肌にぴっちりと吸いついた下着は汗を吸って湿っている。

 

 葵がはじめて自分を慰めたのは小学校高学年のあたりだ。

 

 警察官の父親は剣道の稽古をつける時には鬼のように厳しかった。そんな父が、試合に勝つと顔をほころばせた。

 

 決して日々の鍛錬を忘れるなと戒めることも忘れなかったが、機嫌がよくなった。

 

 勝つことは気分がよいこともあって稽古に励んだ。

 

 そうするうちにいつしか勝つのが当たり前になって父が最初ほど褒めてくれなくなり、喜んでくれなくなった。それどころか重箱の隅をつつくように試合内容の問題点を指摘するようになった。格下の相手に時間がかかりすぎる、何度も踏みこむポイントはあったのにどういうことだ、相手を舐めてかかっているんじゃないか──等。

 

 成果を上げてもさらに上を目指せとただただ急かされ、なにもわからない子どもだった葵はとにかく父親に言われるがまま励むばかりだった。

 

 ある日、道場内で上級生の女子たちがこそこそと話しているのを偶然、耳にした。

 

 エッチな方面にやたらと詳しい子がいて、オナニーというものがあってそれをするとすごく気持ちいいのだと語っていた。

 

 それも生理前の悶々とした時にすると、それが晴れるのだという。

 

 悶々という気持ちには心当たりがあった。

 

 生理の前後に寝つけない日がある。学校と剣道の二足の草鞋でどれほど身体がへとへとでも妙に火照る時が月に何度か必ずある。

 

 あそこを机の角にこすりつけたりした。最初は何も感じなかった。

 

 こんなことをして何が気持ちいいんだと思ったが、何度かやっているうちにヒリッと痺れるのを感じた。

 

 続けていくと、腰が止められなくなり、前後の振り幅も大きくなっていった。

 

 最初のうちこそ、これからどうなってしまうのかと思うと怖くなってやめたが、道場で厳しい指導を受けるたび、心に渦巻く理不尽さへの怒りや鬱憤を晴らすように未成熟な秘部を擦りつけることに熱中した。

 

 そしてあるとき絶頂を知った。

 

 目の前が赤く染まり、身体が震えた。気づくと、下着がお漏らしをしたみたいにビショビショになっていた。人生初の高揚感で潮を噴いてしまったのだ。

 

 図書室で『女の子の身体』という本をこっそりと読み、クリトリスという場所を知った。身体がバラバラになってお漏らししてしまったかのような衝撃をもう一度体験したくて、直接、いじった。

 

 力加減を間違えると刺激が大きすぎて痛みや苦しさしかなかった。

 

 こんなところを弄ってもなにも気持ちよくないと思いながらも、角オナニーの例もあり、少しずつその刺激に慣れていった。

 

 加減ができるようになれば角オナニー以上の甘美を覚えた。

 

 まるでおしっこが出そうな時のような切迫さだった。

 

 それからは毎日、オナニーに励んだ。それはリセットだ。気分を一新し、周りからの雑音を一切排除するスイッチ。

 

 

 すでに秘処は軽く湿り、気の早い肉真珠はぷっくりと膨れている。これまで雌蕊を責めることで快楽を貪り続けたせいか肥大している。

 

 弄ってもいないのに充血した肉芽は包皮から顔を出す。

 

(私のここ、どんどんいやらしくなってるっ)

 

 誰にも見せられない姿。見せてはいけない行為。

 

 なのに、いや、だからこそ軽く摘むだけで、

 

「んぅッ!」

 

 全身を大きくしならせ悶絶する。神経の集積した性感帯から四肢へ走った電流に頭の中が明滅する。

 

(やっぱりここ凄いッ!)

 

 高く結い上げた髪をほつれさせ、稽古の時に流したのとは違う、ねっとりとした汗が背筋を流れていく。

 

 摘んだまま軽くひねる。

 

「うあうぅ!」

 

 バチンッと頭の奥で火花が飛び散る。

 

 放り出した足を折り曲げる。

 

 クリトリスの卑猥さと比べると信じられないほど楚々と口を閉じた肉貝から染み出した牝蜜が早くも床に染みを刻んでいた。

 

 神聖な道場。部員たちが切磋琢磨する健全な場で犯す背徳行為が、指の動きをより大胆に変える。

 

 二本の指で摘んだ女亀頭を軽く扱き立てれば、

 

「くふうううぅぅぅぅ!」

 

 通電されたように仰け反る。歯を剥き出しにして湿った吐息を漏らし、普段眉を整えている同級生たちを尻目に、太く、キリッとしたままの柳眉を悩ましくたわめ、目元を妖しく輝かせる。道着が汗みずくの肢体に吸いつく気持ち悪ささえ気にならないくらい愉悦に溺れる。

 

 足の裏で強く床を叩く。バンッ、と道場内に鋭い足音が劈く。

 

「わ、私は、一人でお豆を弄るくらいエッチなんだァッ……」

 

 か細い呻きを上げる。

 

 それは悲鳴のように痛々しくも、糸引くように甘い響きをたたえている。

 

「剣道が、少し強いからって、それがどうしたんだ! 私だって、もっともっと……うぅぅンッ……他にやりたいことがあるんだ! 友だちと遊びたいし、テレビだって見たい、一日中、ご、ごろごろしたいぃぃぃっ!」

 

 バカみたいに生真面目で、不満を持ちながら人一倍空気を読んでしまい、いやと言う度胸もない。

 

 自分が剣道をやめたら周りから人がいなくなってしまうと恐れる。

 

 そんな自分の臆病さに苛立ち、その口惜しさを性感帯への酷使に反映させた。

 

「ひいッ! ヒァッ! ヒッグゥッ!」

 

 全身の震えが大きくなる。

 

 虐めすぎたせいか、心なし青紫色がかる陰核をちぎれんばかりに引っ張れば、剣道少女は怒濤のごとく押し寄せる絶頂感にたちまち流される。

 

(イクイク……イっくうぅぅぅぅ! 道場で、クリトリスいじりながらイっちゃうううううぅぅぅぅぅぅぅ!!

 

「わ、わらひに、そんなに期待するなあああぁぁぁぁぁ……、そんなに声をかけたきゃ、他のやつにしろおおおぉぉぉぉぉぉ……オオッ……ホオオウウッ!」

 

 絶頂と共に、腹の中にわだかまっていた言葉を口にする。

 

 紫電に貫かれた肉体をぴーんと引き攣らせ、戦慄く尿道口からはたっぷりの恥潮を噴き上げてしまう。葵はあられもない半裸のままオルガスムスの頂点を極めた。

 

「ひぁ……あひっ……うひ……ひぐ……ぁあ……」

 

 葵は尻餅をついたまま息を喘がせる。

 

「剣道部の期待の新人。……その正体はとんだオナニー娘だったんだな」

 

 茹だってしまった脳味噌に言葉が届く。

 

 葵は気怠げに振り返り、はじめて自分以外の人間がいることに気づいた。

 

「お前……しゃ、写真部の!」

 

 インターハイ出場が決定して、周囲からのプレッシャーがより大きくなった時にモデルになるよう持ちかけられた。

 

 相手がすぐに生徒会長を相手に盗撮騒動をやらかした二年生であると気づき、断った。それでも食い下がってきたから竹刀でカメラをはたき落とした上で生徒会に通報したのだ。

 

「な、なんでここに……っ」

 

「モデルになってもらおうと思って」

 

 そうして一眼レフのシャッターを無遠慮に切った。

 

 葵は自分のあられもない姿を思い出す。

 

「や、やめ……ろぉっ!」

 

 カメラに手をのばしかけるが足腰が立たず、さらに中途半端に足にからみついた袴のせいで無様に俯せになってしまう。

 

「葵、ただでモデルをしろとは言わないよ。……ずいぶんと溜まってるようだから色々面倒なことから解放できるよう協力してやるよ」

 

「気安く呼び捨てにするな、盗撮魔の変態め!」

 

「神聖な道場でオナニーに励む子には言われたくないな」

 

「う、うぅぅ!」

 

 葵は耳まで真っ赤にしながら唇をきつく噛んだ。

 

 間抜けな姿を黙々と撮影されてしまう。

 

「や、やめ……と、とるな……ううぅう、こ、こんなことしてただで済むと思うなよ。せ、生徒会に突き出すだけじゃすまないからなァッ」

 

「さすがは剣道少女。気が強いな。でもどこまでそれがつづくかな」

 

 男はにやりと笑った。

 

 

 

 

 

 陽一は汗を浮かべ、なまめかしい光沢を帯びた葵の肢体を前に生唾を飲んだ。

 

 年下とは思えぬ色気だ。

 

 純粋にモデルとして撮影したい衝動を覚えたが、それを抑える。

 

 最高の一枚を撮るために進まなければいけない。そしてそれは自慰で得られる程度の法悦では足りない。ゆで卵のようにつるりとしたヒップを強かに叩く。

 

「ひ!」

 

 ほどよい張りと、瑞々しいばかりの吸いつきのよさが手の平に広がった。

 

「ん! や、やめろぉっ……ハァウッ!」

 

 もう一度見舞う。肉厚な尻タブを叩くたび、白い肌がほんのりと赤らむ。

 

 弾くように叩けば、プルッ、プルッと豊かに波打った。

 

「へ、変態……ンンッ、叩くなぁっ!」

 

「いい声で啼いといてよく言うぜっ」

 

「そ、そんなことないぃ!」

 

 叩きながらシャッターを切る。うまく撮れているかは関係ない。これは演出。気持ちを盛り上げるためだ。

 

「やめェッ……と、撮るなよっ!」

 

 手から逃れるように下半身を逃がそうとしているのだろうが、陽一から見れば身悶えているようにしか見えない。

 

 陽一は体重をあまりのせすぎないよう気をつけ、葵のお尻に腰かけた。

 

 激しい悶えのために乱れた道着の襟を乱暴にくつろげれば、ぷるるんと勢いよく双つの豊かな実りがこぼれでた。

 

 湿り気を含んだ甘酸っぱい汗臭が弾ける。

 

「撮り甲斐のある大きさだな」

 

 手ではとうてい覆いきれそうにない量感と、お椀を伏せたような綺麗な形で形成された垂涎のバスト。それらが額を突き合わせて生まれた谷間は深く、玉の汗がまるで吸いこまれるようにそこへ流れ落ちていく様に見入ってしまう。

 

「ひぁ、ば、バカぁっ!」

 

 葵は侍の髷のように高く結い上げた髪を揺すり、声を荒げる。

 

 道着にくびられてる蜜乳がたゆんたゆんと表情豊かにたわんだ。

 

「相当、オナニーが気持ちよかったんだな。乳首、コリコリだ」

 

「う、ううう、そんなことないぃ!」

 

 葵は隠そうと腕を交差させるが、それによって手ブラを無意識のうちにすることになる。

 

(筋肉も目立たない程度についているからいい感じに締まってるな。陰影のコントラストを強く出して撮ればキレイに撮れるな)

 

 やっぱり自分の目に狂いはなかったと確信した。

 

 乳塊がたわみ、腕からこぼれんばかりに盛り上がり、かえって蠱惑さを増していることにまったく気づいていない。

 

「恥ずかしがることないさ。すっごく立派なおっぱいだぜ」

 

「そんなことお前に言われて嬉しいわけない」

 

「なんだよ、言われたい相手でもいるのか」

 

「うるさい……ああん!」

 

 首筋をそっと舐めると、力が抜けたのか、ただでさえ汗みどろの美巨乳が腕の中よりこぼれてしまう。

 

 目を皿のようにしていた陽一は頂きで咲きほころんでいる乳頭を見た。

 

 鮮やかな色彩の乳首はもちろん乳輪も小さめ。男顔負けの胆力で数々の大会でその名を挙げた女剣客とは思えないバージンピンク。

 

「綺麗な色してるんだな。こっちはいじらないのか」

 

 ぷっくりと膨らんだ乳尖を爪弾くと、葵は「ヒッ!」と声を上げ、白い喉を曝す。

 

 そのまま陽一は乳頭を摘み、ぐりぐりと引っ張った。

 

「はああぁっ……ああん、やめェッ……やめろってぇぇっ!」

 

 さっきのオナニーをしながらこぼした声が甦る。

 

 葵はなんだかんだ抵抗しながら早くも肉悦の階段を一歩ずつ上っていきつつあった。きっとオナニーによって快楽への最短ルートが開拓されているのだろう。

 

(よし、これなら、ちょっと過激なことをしてもいいかもな)

 

 クリップを取り出し、コロンとした乳頭を挟んだ。

 

「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!」

 

 糸引く悶声が道場を劈いた。

 

「ラメッ……ひいッ……ら、めェッ……痛い!」

 

「そんなこと言って葵の声は蕩けちゃってるぞ」

 

 揶揄するように言い、葵の身体を仰向けに転がす。クリップに挟まれた勃起乳首は赤味を増している。

 

 横になっても乳丘は崩れず、輪郭線をくっきりと浮かび上がらせ、甘やかに角をたてていた。

 

「こんなことぉっ……うッ、うッ……」

 

 葵はクリップをはずそうとする。そうはさせじと黒い陰りに埋もれる莢豆を弾いた。

 

「んうぅぅ~~~~~~~~~~っ!」

 

 葵はゆるくブリッジをして慄然とする。

 

 目の端に涙を浮かべながら、キリッとした美貌をくしゃくしゃに歪めた。

 

「葵、もしかしてイった?」

 

「い、いっれなんかなぃ! 馬鹿なこと、い、言うなァッ……」

 

 明らかに呂律が回っていないが、そんな強気な態度、不撓不屈の精神は微笑ましい。

 

「そうか?」

 

 陽一は穴が開くほど割れ目を見つめる。水飴を塗りたくったようにそこはヌラつき、アコヤ貝のようにピッチリと口を閉じている割れ目はひく、ひくと、小刻みに震えている。

 

「あ、ああっ、あああああ……見るな変態! 変態盗撮魔ァッ!」

 

 次から次へと充血した粘膜から石清水のごとく愛蜜が染み出してとまらない。

 

「部活のあとだってのに、こんなにおつゆをだらだら漏らしてたらダメだろ。脱水症状になっちゃうぜ」

 

 陽一はこぼれるラブジュースを掬い、さっきの爪弾きの衝撃の余韻でまだふるふると震えている陰核に塗りつけた。

 

「あああっ! バカァッ! やめえ、触るな! わ、私の身体に、触るな!」

 

 足をじたばたさせながらの抵抗をものともせず、すべやかな太股に手をあてる。

 

 股の間に顔を埋め、目と鼻の先に艶光る淫珠を凝視する。

 

 鼻息が当たるたび、「んッ……あッ……あッ……」と葵は身を捩った。

 

 小鼻を膨らまし、立ち上る官能の臭気を吸いこむ。

 

 甘酸っぱさの中にツンと鼻をつく汗のにおい。

 

「んー。すっげえいやらしいにおい……稽古が終わったんだからさ、ちゃんとシャワーを浴びないと。女の子だろ」

 

「バカ! 死ね! お前、あとで、覚えてろ! 絶対、生徒会に通告して、退学にしてやるからなァッ!」

 

「先輩に対して口の利き方がなってないな」

 

「な、なにが先輩だ! 変態が先輩だなんて反吐が出るだけだ!」

 

 葵は怒りと恥ずかしさのせいで顔を真っ赤にし、目をつり上げ声を荒げた。

 

「写真で脅そうと考えたって無駄だからな。変態の脅迫になんか絶対に屈しない!」

 

「まさか。これはただのウォーミングアップ」

 

 陽一はかすかに腰を動かす。スラックスのジッパーが今にもはじけ飛びそうなくらい股間が昂ぶっていた。

 

 陽一は傍らに転がっている竹刀を取る。

 

「竹刀で女になるか、それとも俺のち×ぽで女にしてもらいたいか。選ばせてやる」

 

「お、女……?」

 

「エッチして、子どもを卒業ってことだよ」

 

「そんな馬鹿なこと選べるわけが──ひッ」

 

 陽一が竹刀の先端部で、ひくつく花弁をつつくと葵の相はたちまち引き攣った。

 

「エッチを知ったほうが、オナニーなんかよりずっとすごい刺激がえられるはずだし、ストレス発散にもなるぞ」

 

 竹刀を割れ目に沿わせたまま軽く上下に揺らめかせつつ、「どうする?」と繊細な花びらを竹刀で弄びつつ回答を促す。

 

「……お、お前の」

 

「聞こえないなぁ」

 

 わざとらしく言うと葵の目が怒りに滾る。

 

「俺のち×ぽで女になりたいってことでいいか」

 

「……あ、ああ! そうだ! その代わり、今日のことは、誰にも……言うなよ! 写真も全部、消せよ!」葵は開き直ったように言った。

 

(なんだかんだ言って、やっぱり撮られたことは気にしてたんだな)

 

「大丈夫。俺だってはじめてだからさ!」

 

「はあっ!?

 

 ベルトを外し、ずっと押しこめてきたきかん棒を解放する。

 

 ブンッとしなりながら怒張が飛び出せば、葵は目を瞠った。

 

「葵のオナニーを見ててこんだけ膨らんだんだ。自信もっていいからな」

 

「なんの自信だよ!」

 

「もちろん、牝犬としてに決まってるだろ」

 

 手順はAVでバッチリ学習済み。

 

 陰茎の根元を握り、切っ先を調整して泥濘と化した秘裂に押し当てた。

 

「んゥ!」

 

 熱感が海綿体に伝われば陰嚢がチリチリと疼く。

 

 葵は眉間に皺を刻み、小鼻を広げる。小刻みな震えが柔乳への甘やかな揺動として反映される。

 

「いくぞ」

 

 いざ、挿入しようとすれば泡立つほどこぼれるラブジュースですべってしまう。何度やっても、膣前庭を摩擦するだけでうまくいかない。

 

「うっ! へ、変態、はじめてのくせして焦らすなっ!」

 

「そんなに急がなくたって大丈夫だよ。そんなに早くして欲しいのか、ホント好きもんだなっ」

 

「やるならさっさとやれっていうんだよっ!」

 

 何度か同じことをやっていくと、笠に引っかかりを覚える。

 

 陽一はそこに切っ先を引っかけるようにして腰を進めると、これまでとは明らかに違う手応えがあった。

 

「あうう!」

 

 それが気のせいでないのは葵の顔色の変化と海綿体にしゃぶりつく胎内の温もり、食いちぎられんばかりの鋭い圧迫感から明らかだ。

 

「うぅぅンッ!」

 

 葵は唇を噛みしめかぶりを振る。

 

 ひどく狭隘な粘膜の帯で飾られた産道を突き進む。

 

 産道は牝果汁で浸潤しているにもかかわらず、かなり抵抗を見せ、異物を阻む。

 

 一センチ進むだけで運動不足の身体がキリキリと引き攣った。

 

「んぐ……むうっ……ん……んううっ……!」

 

「葵、どうだ。つらくないか」

 

「う、うるさい、さっさと最後までやれェッ」

 

 言葉とは裏腹に葵の手がジャケットの裾に伸び、力いっぱい握りしめられる。

 

「うううう!」

 

 亀頭冠がある箇所に達すると、葵の声にはこれまでとは違った切実さが溢れ、たちまち手が汗ばんだ。

 

(処女膜か)

 

 人生で一度だけの破瓜の瞬間。剣道少女の表情に浮かぶ怯えの色を、陽一は自分の心に深く刻む。体重を乗せた瞬間、ズンッと男根が一段深く沈み、

 

「~~~~~~~~~~~っ!!

 

 葵の手が真っ白になった。

 

 

「これで葵も一人前の女だな。俺の童貞を奪った世界で唯一の女。存分に誇っていいぞ」

 

「う、うれしくない!」

 

「うれしくなくても、……ほら」

 

 ペニスを抜けば、その表面には愛液で薄められた破瓜血がこびりついている。

 

(私の、はじめてがこんなド変態の盗撮野郎に奪われた……っ!)

 

 まるで腹の奥深くで火を焚かれているような熱源に慄然としてしまう。

 

 さらにクリトリスが自己主張するようにジンジンと痺れ出す。

 

(熱い……私のお豆、熱くなっちゃってるッ……)

 

 再び、自慰の欲望がこみ上げる。

 

 陽一の制服の裾をつかんでいなければ、弄りたい衝動に負けてしまいそうだった。

 

 陽一が雄渾を沈めれば肉真珠が陰毛にさらされ、小さな火花が爆ぜた。

 

「んう!」

 

「やっぱりオナニーマニアの葵としては、ここを刺激されるのがお気に入りみたいなんだな」

 

「そんなこと……ンッ……ない……っ!」

 

 陽一も決して余裕綽々という風ではないが、責め側としての心理的な優位のせいか、葵ほど切羽詰まっては見えない。

 

 彼は根元までペニスを埋没させた状態でゆっくりと腰を動かし、秘蕾を圧迫する。

 

「ああああああんっ!」

 

(ど、どうしたんだ。私の身体……今、感じたの……)

 

 知りたくない。

 

 あまりにも馴染みすぎた性感だったから。

 

「やっぱり葵の身体はエロいな。もう感じはじめてるんだ」

 

「そんなわけない! わ、私は初めてなんだぞっ」

 

 しかし耳朶を打つ水音が、葵の言葉を裏切る。

 

「どれだけ周りから期待されて、ストイックを演じていたって一皮剥けば、葵……お前はただの牝だっ!」

 

 頬がむずがゆいほど火照る。息があがる。

 

「ち、ちがう……ちがううぅっ……私は牝なんかじゃないぃっ!」

 

「こんなに、クリトリスを腫らしといて今さらなにを気取る必要があるんだよ」

 

「っっっっっっっっっひ!」

 

 クリトリスをもがれんばかりにねじられれば、紫電に貫かれてしまう。

 

 クリップがまるでピラニアのように乳頭に齧りついている蜜乳を激しく揺さぶる。

 

「周りがどう見てるか知らないけど葵はただの牝なんだよ。俺にはわかる。それが、ちょっと剣道がうまいからって周りからのプレッシャーに潰されそうになるのはバカげてるんだよっ!」

 

「ふぁっ、ぁああああん!」

 

「お前はエロい牝なんだ。それを自覚しろ!」

 

 陽一が腰を引いた。痛々しいほど拡張された膣口から破瓜血の混じった牝汁がかき出される。ぶ厚く充血した柔花弁が雁肉で削がれ、ぎりぎり抜けるか抜けないかのところで再び陥入させられてしまう。下腹をズシンと鋭く突かれれば、息がこぼれた。

 

「ちがう。エロくなんかない! 乱暴にされて喜ぶなんてことないぃぃぃ!」

 

「そう言って道場でオナニーするはしたないやつだろ。オナニーのしすぎて、クリトリスがち×ぽ並みにでかくなってるくせに!」

 

「ち、ちが……ああああ、これは、あ、あああっ……違うぅ」

 

 陰核を圧迫され、太箸で最深部を打擲される。

 

 脳天まで劈くような悦美がうなった。

 

「へぁっ、あひぃっ、ふぁっ……ひぃぃん、ひぁっ、ぁああひいんっ!」

 

 息もつかせぬ荒々しい抽送運動に、頭の中まで一緒に攪拌されるかのように思考が形をなす前に壊される。

 

 掻き乱されることで放屁じみた下品な音が盛大に上がってしまう。

 

(やめろ。これ以上、私をバカにするな!)

 

 凌辱魔への激しい怒りの一方で、下腹を叩かれると熱い痺れが膨らんでいく。

 

 強烈な挿入を見舞われれば甘く囀ってしまう。

 

(やめろやめろぉっ! これ以上、おかしくするなっ! こんな、はじめてなのに……もうぐちゃぐちゃになって恥ずかしいのに……バカになっちゃうのに、ひいいん、た、たまらない……!)

 

 蕩けるのを拒絶できない。

 

 強姦であるにもかかわらず最奥めがけて押し寄せる肉塊を咥えこみ、放さないと自己主張甚だしい花肉が嬉々として収斂してしまう。

 

(私、レイプで感じるド変態だ! 道場で女にされて、アンアン啼くド変態だあぁ!)

 

「あ、葵っ」

 

「んぅ!」

 

 唇を奪われる。熱く湿った吐息と共に、乱暴に唇を割ってねじこまれる舌鋒の侵入に、首筋がビリビリと震えた。

 

「ほうら、もっと吸え」

 

「ふわ、ぁあん……うぅぅん……むううぅうぅん……っ」

 

 葵は自分の五感が曖昧に、頭がぼんやりしていくのを感じる。

 

 舌に触れるにゅるんとしたぶ厚い粘膜の触感に、引き寄せられるように舌を絡めてしまう。

 

 ヌチャ、ヌチャと互いの唾液が混ざり、まるで炭酸の泡のようにバチバチと弾ける。

 

 なにもかもどうでもよくなってしまう。

 

 目の前がぼやけ、涙がとめどもなかった。

 

 陽一はクリップごしに乳首をつかんだ。豊かな実りが歓喜するように波打った。

 

「ひいぐううぅぅう!」

 

 呻きさえ啜られ、唾液が口角からあふれる。

 

(おかしくなる、わ、わらひ、変になるう!)

 

 さっきまで男を知らなかった身体は娼婦のように甘悦に震え、粘膜は激しい蠕動を紡ぎ、ドロドロとお漏らしした。

 

「ほら、おっぱいも、クリトリスもどっちもいじめてやる。お前は牝だ、牝だ!」

 

 乱暴な言葉遣い、責め手に鼓動が高鳴り、子宮がキュンッと疼いた。

 

「ふぇぁあ……ふぁあああっ……ぁああああっ!」

 

 乳首と陰核。悦楽の源泉を責められ、一度嵌まったら抜け出せぬ愉絶の泥沼にずぶずぶと沈む。

 

 口づけをふりほどいた葵の口を衝いて出たのは歓喜の哭声。

 

「ダメ、ほ、ほんとうに、これ以上、されたらおかしくなるッ……頭、爆発して、どうしようもなくなっちゃうぅ!」

 

 悩乱する葵は気づけば、陽一の背中と腰に手足を絡めていた。隙間がなくなるほど互いの艶身を密着させる。

 

「そんなに俺が欲しけりゃくれてやるっ! 立派な牝にしてやるっ!」

 

「牝、いやあ、牝いやあだあああぁぁぁ!」

 

 言葉とは裏腹に、牝洞はそれを望むように伸縮をくりかえす。

 

 無数の柔襞が陰茎を絡め取った。

 

 ジュブ、ジュブブッ、ズブブ、グッジュッ!

 

「お、おおおっ……おおおおぉぉぉぉっ……!」

 

 蜜路を拡張する太ましい男根が激しく最深部を抉る。

 

 突き通らんばかりのスリコギに涙ぐんだ葵はさらにきつくきつく陽一をかき抱いた。

 

 陽一が震えると共に、全長を絡め取られている逸物が一回りも膨張する。まるで海底に歯を立てる錨のように肉茸が無数のヒダを巻きこみ、存在感を増す。

 

「葵、喜べ! 俺の精液をたっぷりと注ぎこんでやるからなっ!」

 

「せ、精液、やめろぉっ……ああ、妊娠、いやああっ……」

 

「そう言いつつ、ガチガチに食いついて離れない……さすがは牝だな!」

 

「いやなのに、いやなのにぃぃ、私のあそこぉ、ど、どうなってるんだよぉぉぉぉ」

 

「求めてるんだよ、変態ま×こは俺のち×ぽ汁で妊娠したいって思ってるんだ!」

 

 早口でまくし立てながら腰をねじ回す。

 

 打ちつける玉袋がぐぐっと蠢いた次の瞬間。

 

 おびただしい量の白濁汁の洪水が子宮口めがけて迸った。

 

 白波が岩に当たって砕けるような衝撃が花園で爆ぜる。

 

「へあぁ、あ、あああっ……熱い……あ、あつっ、あっっつうううぅぅぅ……!」

 

 葵はかぶりを激しく振った。

 

(これ、すごい! オナニーよりすごい! くるっ……お、オナニーより、すごいのが爆発しちゃう! 変態盗撮魔に牝扱いされたまま狂っちゃう! 狂う、狂う、狂っちゃうぅぅぅぅぅぅ!)

 

 剣道少女は一度の自慰で体験するオルガスムスを何倍も濃縮した性感の炸裂に、

 

「イクッ、いくう……ひい、ひいいいいいいいい……イっグうううううぅぅぅぅぅうううぅぅぅ……熱いのごくごくしながらイッッグウウウゥゥゥゥゥゥ!」

 

 理性の堰は呆気なく決壊し、白目を剥きながら達した。

 

 プシャアアアアアアッ! 盛大に潮をしぶかせた。

 

(ああ、こんなのはじめて。恥ずかしくて、し、死にたいくらいなのに幸せぇっ……オナニーの何倍も何十倍も気持ちよすぎるうぅぅ……)

 

 暴れすぎたせいか髪紐が切れ、道場の床に烏の濡れ羽色の黒髪が散らばった。汗に濡れた輪郭をなぞり、見るものをゾクゾクさせる凄艶ぶりを演出するのに一役買った。

 

 高速連写の音が耳朶を聾する。

 

(撮られてる……撮られてる……変態にレイプされたまま恥ずかしくイった貎を撮られてるう……っ)

 

 膣口を満たすだけに飽き足らず、表面張力をやすやすと打ち破ったドロドロの樹液がゴポポッと音をたてながら淫唇から溢れた。

 

「あっ、ああっ……へああぁぁあぁぁぁぁ~~~~~っ」

 

 陶酔の縦糸と甘美の横糸によって張り巡らされた蜘蛛の糸に絡め取られた葵は魂を高々と飛翔させたまま、しばらく戻ってこられなかった。

 

 

 気絶した葵からクリップを取ってやり、あらためて汗でぐしゃぐしゃになった肢体を見下ろす。長い間、挟まれた乳首はもとより爪弾いてやった陰核は痛々しいほどに真っ赤に腫れていた。

 

 ざんばら髪のように髪を散らした様に凜乎とした剣道少女の面影はない。

 

「……サンキュ、葵。最高の絵が撮れた」

 

 半裸では可哀想だと羽織っていたジャケットをかけてやる。

 

 どれくらいで目を覚ますだろうか。一時間くらいで目覚めてくれるといいのだが──そんなことを思いつつ、寝顔をパシャリ。

 

 

 

 

 

 あれから数日──。

 

 自分の処女というものを代償にして得た(無理矢理与えられた?)ものは、しかし、葵の心を雁字搦めにしていたものを断ち切った。

 

 といって、いきなり周りに反抗的になったりしたわけではない。

 

 周りからの期待やプレッシャーを受け流せる余裕ができたというべきか。

 

 頑なな心がほぐれたといった感じだ。

 

 自分以外はなんてことはない外野と思えるようになったのだ。

 

 それだけで肩の荷が下り稽古にも集中できるようになった。

 

 結局のところ無意識のうちに葵は驕っていたのかもしれない。

 

 だからこそ評判を気にした。

 

 自分の過去の記録を顧み、自分はこれだけのことをやりおおせてきたのだから、今後もずっと、いや、これまで以上の足並みで進まなければいけない──と。

 

(きっかけをくれたのが、あの変態盗撮魔ってことは腹が立つけど)

 

 自分の立ち位置が微妙に変わったせいか、稽古のあとにほぼ毎日していた自慰の回数こそ少なくなったが、する時には必ずと言っていいほど、道場で破瓜を散らした男の顔がちらつくようになってしまった。

 

 それだけでなく、後日、手渡された自分の画像データを見ながら、手淫に耽ってしまうのだった。