Part 01: 雪泉: はぁ……この前は驚きました。まさか、皆さんがあんなに戦えるなんて。 斑鳩: 本当ですね。とても素人の方々とは思えませんでしたよ。 飛鳥: うんうん! みんなすっごい動きだったよ! 雪泉: それに、奇妙な技も使ってましたね。あれはいったい……? 一穂(私服): あ、あははは……。ちょっと、色々ありまして……。 美雪(私服): でも、本物の忍者の人たちに褒めてもらえると嬉しいね。 飛鳥: もしかしてみんな、普段から修行をしてるの? 一穂(私服): 修行、ですか……? 斑鳩: 飛鳥さん、忍でもない皆さんが修行なんてしてるはずがないでしょう。 飛鳥: あ、あはは、そうですよね~。 魅音(私服): そうですね。私たちがしているのは、部活くらいだよね~。 雪泉: 部活……?それは、クラブ活動のことですか? 飛鳥: みんなは何部なの? 沙都子(私服): いえ、そういう部活ではないんですのよ。 斑鳩: そういう部活ではない……?では、どういうものなんでしょうか? 梨花(私服): みー、どう説明すればいいのでしょうか……。 レナ(私服): 説明が難しいよね。じゃあ、試しに皆さんも参加してみます? 飛鳥: え、いいの? うん、やりたいやりたい! 雪泉: でも、部外者の私たちが参加してしまってもいいのでしょうか。学校の活動なんですよね? 魅音(私服): いえ、学校の活動ってわけじゃないんですよ。ただ私たちが遊びでやっているようなもので。 斑鳩: そうなんですか?では、わたくしたちが参加しても問題なさそうですね。 詩音(私服): はい、大丈夫ですよ。確かに#p雛見沢#sひなみざわ#rは、部外者に厳しいところもあったりしますが……。 詩音(私服): お姉たちのお客さんだってことなら、みんな大歓迎ですよ。 魅音(私服): そうそう。それにこれからは、もううるさいことを言う時代じゃないですしね。 梨花(私服): みんなでやったほうが楽しいのですよ、にぱー。 斑鳩: そういうことでしたら、せっかくなのでちょっとだけお邪魔させてもらいましょう。 飛鳥: うん!みんなとも、もっと仲良くなりたいしね! 雪泉: ええ、楽しみですね。 沙都子(私服): をーっほっほっほ!本当に楽しみですわ♪ レナ(私服): うん、楽しみだね~。ふふふふふふ。 一穂(私服): なんか、みんなの笑顔が怖い……。 菜央(私服): ……もうレナちゃんたちの術中にはまってるってことよ。 美雪(私服): 勝負はもう始まってるんだね。雛見沢、本当に恐ろしいところだよ。 斑鳩: あの、どうかしました……? 一穂(私服): い、いえ! なんでもないです! 羽入(私服): あぅあぅ……斑鳩たち、頑張るのですよー。 雪泉: ここがみなさんの学校ですか。 魅音(私服): ボロくて驚いたでしょ? 飛鳥: そんなことないよ~。私たちが普段修行しているところも木造の建物だしね。 レナ(私服): そうなんですか?さすが忍者さんの学校って感じですね~。 斑鳩: ええ、ですからこういうところは落ち着きます。 飛鳥: で、部活っていうのはここでやるの? 沙都子(私服): ここでやったり、校庭に出たりと色々ですわ。 圭一(私服): いやー、忍者の皆さんと部活できるなんて光栄だな~。 梨花(私服): はい、楽しくなりそうなのです。にぱー☆ レナ(私服): うんうん、楽しもうね~。あははは……。 飛鳥: あ、あれ?みんな、なんだか雰囲気が急に……? 雪泉: ええ、これはただならぬ妖気……油断できる相手ではなさそうですね。 梨花(私服): みー、もう気づかれてしまったのですよ。さすがなのです。 美雪(私服): これじゃ油断させて、だまし討ちってわけにはいかなそうだねー。 斑鳩: だ、だまし討ち……? 飛鳥: そういうのもあるんだ……? 斑鳩: 気をつけましょう飛鳥さん、雪泉さん。あの旅館のトラップの時のように、なめてかかると痛い目を見そうです。 雪泉: ……はい。そのようですね。 魅音(私服): まぁ、やり方は色々あるから……まずは部活の種目を決めようか。 圭一(私服): 飛鳥さんたちに選んでもらったらいいんじゃないか?そのくらいのハンデはあげないとさ。 斑鳩: あら、ずいぶんな自信ですね。わたくしたちの得意なことで勝負してくれるというんですか? 沙都子(私服): ええ、それでよろしいですわ。室内でのゲームでも、外で身体を使って行う競技でも、なんでもいいですわよ。 飛鳥: す、すごい自信……! 雪泉: ですが、身体を使う競技なら私たちが負けるはずもありません。 飛鳥: そうだよね! だって、私たちは忍だもん! 魅音(私服): じゃあ、外でバトルロワイヤルでもします? 斑鳩: バトルロワイヤル……生き残りゲームですか? レナ(私服): もちろんただのゲームですから、水鉄砲とかを使って撃たれたら負けってやつです。 梨花(私服): そうなのです。平和な楽しいゲームなのですよ。 雪泉: それなら、私たちも手加減しなくて大丈夫そうですね。 飛鳥: でも……すぐ勝負ついちゃうかもよ? 菜央(私服): ふふ……それはどうかしら? 美雪(私服): 部活となると、色々駆け引きがありますからねー。しかもここは雛見沢分校、私たちのフィールドだし。 沙都子(私服): 一筋縄ではいきませんわよ。 斑鳩: ふふ、自信があるようですね。少しは楽しめそうじゃありませんか。 一穂(私服): あ、あの、お手柔らかにお願いしますね? 斑鳩: ええ、こちらこそお手柔らかにお願いします。 魅音(私服): じゃあ、外に出て勝負だ! Part 02: 圭一(私服): じゃあ、始めますよー。 斑鳩: ええ、準備はできてます。 飛鳥: いつでもいいよー! 魅音(私服): では……スタート!! 斑鳩: ふふ……水鉄砲とはいえ、この手の戦闘行為でしたらわたくしたち忍が絶対的に有利……! 斑鳩: ……え……? 沙都子(私服): 早速かかりましたわ~! レナ(私服): いただきーー!! 斑鳩: えええぇぇぇぇえええぇぇぇぇぇぇ……ッ!? 斑鳩: まさか、わたくしたちがこんなにあっさり負けるなんて……! 雪泉: グラウンドの至るところに罠があるなんて、全然気づきませんでした……いつの間に……? 沙都子(私服): こんなこともあろうかと、いつでも発動できるように仕掛けは作ってあったのですわ~♪ 圭一(私服): いや……今日は味方だったからいいけど、マジで沙都子は敵に回したくないヤツだよな。 飛鳥: トラップだけじゃなくて、チームワークもすごかったよ! 飛鳥: ひとりを狙おうとしても、すぐに複数の誰かがフォローしてきて……なかなかスキが見つからなかったもん。 魅音(私服): さすがに1対1じゃ敵わないけど、チームワークならいい勝負だったでしょう? 雪泉: 本当にすごかったです。感服しました。 美雪(私服): こっちが有利に進めるためには数の差を利用するしかないからね。 羽入(私服): 沙都子の奇襲で、最初にひとり減らせたのは大きかったのですよ。 斑鳩: わたくし、ですね……いきなり罠に足を取られて冷静さを失ってしまいました。不覚です……。 飛鳥: あんな罠がいきなり出てきたら、誰だって慌てちゃいますよ。 雪泉: そうですね、これがゲームでよかったです。……実戦だったらと思うとゾッとします。 魅音(私服): あはは、ゲームだからこっちのペースで進められたんですよ。実戦だったらとてもとても。 圭一(私服): そうだよな! でも、この場所での部活は俺たちのフィールドだからさ。 梨花(私服): 経験の差ってやつなのですよ。 沙都子(私服): そうですわね。私たちは毎日のようにやっているんですから強くて当然ですわ。 圭一(私服): そうそう、俺たちもダテに場数を踏んでないですしね! 梨花(私服): みー。圭一もヒドイ目にあい続けてきた甲斐があったのですよ。 レナ(私服): あははは、そうだね!圭一くんもそれでずいぶん成長したよね~。 圭一(私服): 部活の罰ゲームはマジで過酷だからな!そうそうツライ思いばっかしてられないぜ! 斑鳩: ば、罰ゲームですか? 雪泉: そんなにつらい罰ゲームが……? 斑鳩: あの、罰ゲームというのは誰が……。 レナ(私服): この場合は、一番最初に脱落した人ですよ~。 斑鳩: や、やっぱりわたくし、ですか……。 飛鳥: い、斑鳩さん、頑張ってください~。 斑鳩: うぅ……そ、それで、罰ゲームというのはいったい何を……? 一穂(私服): あのぉ、罰ゲームはなしでいいんじゃない?お客さんなんだし、ちょっと可哀想……。 圭一(私服): 一穂ちゃん、それはダメだぜ~。お客さんだからって、部活に参加する以上特別扱いはなしだからな。 沙都子(私服): そうですわ。仲間だと思うからこそ、情け容赦は無用……いえ、無粋というものですわ。 一穂(私服): う……ご、ごめんなさい……。 斑鳩: 一穂さん、わたくしは大丈夫です。ルールなのですから、どんな罰ゲームであろうと甘んじて受け入れます。 雪泉: 斑鳩さん……。 美雪(私服): そんなに深刻にならなくても大丈夫ですよ~。たかがゲームの罰ゲームですからね。 レナ(私服): そうそう、命まで取ったりはしませんから。 一穂(私服): い、命って……。 菜央(私服): 死ぬよりつらいことも世の中にはあるけどね。 斑鳩: そ、それは確かに……。 一穂(私服): 菜央ちゃん、そんな脅かさなくても~。 一穂(私服): 大丈夫ですよ、ちょっとその……恥ずかしいくらいなので。 斑鳩: 恥ずかしい? まさか、何かの辱めを……! 魅音(私服): そうだね。そのくらいで許してあげるとしよう。 魅音(私服): じゃあ、斑鳩さんには、エンジェルモートで1日給仕をしてもらうよ~! 斑鳩: え……えんじぇるもーと……? 斑鳩: ここが、エンジェルモート……。 雪泉: まあ、とってもかわいいお店ですね!それにあの制服……正義です! 飛鳥: 斑鳩さんも、あれを着て働くってこと? 詩音(エンジェルモート): はい、これを着て働いてもらいます。 斑鳩: わたくしが、この制服を……。 詩音(エンジェルモート): じゃあ、着替えはこっちでお願いしますね。 飛鳥: 斑鳩さん、頑張ってくださーい。 斑鳩: い、行ってきます……。 美雪(私服): なぜかドナドナが聞こえてくるねぇ~。 一穂(私服): そ、それはさすがに……! 斑鳩(エンジェルモート): うぅ……これが、罰ゲーム……? レナ(私服): わあ、すっごい似合っていますよ~。 沙都子(私服): 本当ですわね。これじゃ罰ゲームになりませんわ。 斑鳩(エンジェルモート): いえ、十分恥ずかしいんですが……。 梨花(私服): みー。本当だったら、スク水に猫耳と尻尾をつけてにゃーにゃー語しか喋っちゃいけない罰ゲームなのですよ。 斑鳩(エンジェルモート): にゃ、にゃーにゃー語とはなんですか?しかもスク水に猫耳って……。 飛鳥: うわぁ……想像しただけで、顔から火が出そうだよ~。 雪泉: あの……皆さんはいつも、こんな罰ゲームをやっておられるんですか? レナ(私服): 圭一くんだってやったもんね~。 飛鳥: えええっ!? 男の子なのに女の子のスクール水着を着て? 圭一(私服): や、やめろ! 思い出させるな!ていうか、末代までの恥だからお客さんにバラすな~~! 沙都子(私服): 同じ部活をした仲間、もうお客さんじゃありませんわ。をーっほっほっほ! 圭一(私服): くぅ……! 雪泉: ああ、舌を噛んじゃダメですよ?強く生きて下さいっ! 圭一(私服): いや、さすがにそこまでじゃありませんが……。 斑鳩(エンジェルモート): そ、そんな仕打ちに比べたら……これくらい、大したことではありませんね。 詩音(エンジェルモート): そういうことです。私たちの普段の仕事着ですから。 斑鳩(エンジェルモート): で、ですね。神聖な仕事着を着させてもらって恥ずかしいなど失礼千万……ここは歯を食いしばって耐えなければ。 一穂(私服): 歯を食いしばるほどは、恥ずかしいんですね……。 斑鳩(エンジェルモート): で、この装束で給仕をすればよろしいのですか? 詩音(エンジェルモート): はい、よろしくです。難しいことは特にないので、お客さんから注文を取って、できたものを運ぶだけです。 斑鳩(エンジェルモート): それでしたら、わたくしでもなんとか。 詩音(エンジェルモート): あと、今日ちょっと人手が足りなくて、調理場にも入ってもらうことになるかもなんですが…… 斑鳩(エンジェルモート): ええ、問題ありません。料理には心得がありますから。 詩音(エンジェルモート): それは頼もしいです。じゃあ、今日はよろしくお願いします。 斑鳩(エンジェルモート): 精一杯務めさせていただきます。 飛鳥: 斑鳩さんなら大丈夫ですよー! 一穂(私服): が、頑張ってください~。 Part 03: 斑鳩(エンジェルモート): い、いらっしゃいませ……。 詩音(エンジェルモート): 斑鳩さん、声が小さいですよ~。 斑鳩(エンジェルモート): いらっしゃいませー! 一穂(私服): あぁ……自棄になってる……。 美雪(私服): あはははー、面白いね~。 斑鳩(エンジェルモート): それにしても、まさかこんなことになるとは……。 詩音(エンジェルモート): 斑鳩さんたちは、部活に誘われた時点でもうお姉たちの術中にはまっていたんですよ。 飛鳥: え、そうなの? 沙都子(私服): その通りですわ!負ける勝負はしないのが勝負に勝つための鉄則。 梨花(私服): ボクたちのフィールドに引き込んだ時点で、こっちの勝ちは決まったも同然だったのですよ。 雪泉: 防御より攻める方が難しいとは言いますが……まさにそういう構図へと誘導されて、私たちは戦わされていたんですね。 飛鳥: そこに気づかなかった時点でもう負けてたんだね!すごいみんな、私たちも勉強になったよ! 雪泉: ええ、とってもいい勉強をさせてもらいました。……代償は大きかったですが。 菜央(私服): 斑鳩さんは、これからもっと大きな勉強をすることになるかもしれませんね……。 斑鳩(エンジェルモート): う……しょ、精進させていただきます……。 詩音(エンジェルモート): あ、またお客さんですよ。斑鳩さん、お願いします。 斑鳩(エンジェルモート): い、いらっしゃいませー。お、お一人様ですか? 男性客: うおおっ!? し、新人さん? 斑鳩(エンジェルモート): い、いかにもです。臨時雇われの斑鳩と申します。今日限定のアルバイトですが、よろしくお願いします。 男性客: 今日だけなの?それじゃ今日来てマジラッキーじゃん!よろしく! 斑鳩(エンジェルモート): では、お席にご案内します。こちらへ、どうぞ。 男性客: おおおお……。 美雪(私服): あのお客、鼻の穴を大きくしてついていってるね。 菜央(私服): すっごいいやらしい目で見られてるけど。 一穂(私服): でもあの格好じゃ、見ちゃうのも無理ないよ。斑鳩さん、すっごくスタイルいいし……。 レナ(私服): ねー、レナもつい見とれちゃうよ~。 魅音(私服): 私たち女子からだときれいで見とれちゃう感じだけど、男子たちからしたらたまらないだろうねー。 一穂(私服): たまらないって……? 沙都子(私服): こんなふうになってしまうんですわ。 圭一(私服): う、うぅ……ぶぱーーッ!!は、鼻血がぁぁぁぁ……。 一穂(私服): ひゃっ!? す、すごい血が……だ、大丈夫……? 圭一(私服): し、死ぬ……。 菜央(私服): 放っておきなさい、一穂。触ると汚い血で汚れるわよ。 一穂(私服): き、汚い血って……菜央ちゃん……。 男性客: ず、ずびばぜーーん……ティッシュを……! 羽入(私服): あぅあぅ……あちこちで流血大惨事なのです……! 詩音(エンジェルモート): ちょ、ちょ~~っと刺激が強すぎたようですね。これはさすがに営業に支障が……。 詩音(エンジェルモート): 仕方ありません……斑鳩さーーん、キッチンの方お願いします! 斑鳩(エンジェルモート): 厨房ですか、懐石料理なら得意です。 詩音(エンジェルモート): いえ、うちは懐石料理はメニューにないんですが……。 斑鳩(エンジェルモート): 何でもおまかせください。斑鳩、厨房で舞い忍んでみせましょう。 詩音(エンジェルモート): 斑鳩さん、パンケーキはできてます? 斑鳩(エンジェルモート): はい、その後ろに。 詩音(エンジェルモート): ……え?この、出来損ないの怪物の顔みたいな模様をした「コレ」……ですか? 斑鳩(エンジェルモート): 見た目は多少違うかもしれませんが、味は確かなのでご安心ください。 詩音(エンジェルモート): いえ、これをお客さんに出すのはちょっと……。 斑鳩(エンジェルモート): 今、次のメソポタミアハンバーグを作っていますので。まずは付け合わせのニンジンを……。 斑鳩(エンジェルモート): はぁぁぁぁぁぁぁぁ……ッ!! 一穂(私服): す、すごい……ニンジンが一瞬にして輪切りに……! 美雪(私服): すごいけど、斑鳩さんが引っ込んじゃってお客さんたちはお通夜状態だよ。 菜央(私服): あれ、客席の方でやったら盛り上がるんじゃない? レナ(私服): それってマグロの解体ショーみたいなの? 梨花(私服): それは絶対盛り上がるのですよ。 沙都子(私服): どうせなら、お客の額にお米粒で半紙を貼って、それを見事真っ二つにするというのはどうですの? 魅音(私服): うーん、面白いかもしれないけど趣旨が変わっちゃっているような……。 詩音(エンジェルモート): とか言っている間に、団体さんが!めちゃくちゃ忙しくなりそうですが、大丈夫ですか斑鳩さん? 斑鳩(エンジェルモート): ええ、問題ありません。斬って斬って斬りまくります! 一穂(私服): 切るが斬るになっちゃってるけど……。 斑鳩(エンジェルモート): 罰ゲーム、見事にやり遂げてみせます!はぁぁぁぁぁぁぁ……!!