Part 01: 玄関にやってきたあたしはいつもの靴を履き、立ち上がってトントンとつま先で地面を叩く。 小脇に抱えた鞄の中身は、一応「問題」なしだ。さっき大人しくしておくように、と言い含めたのがちゃんと伝わったのかどうかは怪しいところだけど……。 菜央(私服): (……今のうちね。一穂たちが家事に気を取られてる間に、さっさと出かけましょう) そう内心で呟きながら、あたしは足音を忍ばせて玄関の扉に手をかける。……と、 千雨: どこかに出かけるのか、菜央? 菜央(私服): ……っ……! 不意にかけられた背後からの声にはっ、と慌てて振り返る。……いつの間に現れたのか、千雨の姿がそこにあった。 菜央(私服): レナちゃ……礼奈ちゃんのところよ。一緒に遊ぼうって、約束してたから。 千雨: そうなのか? だったら、朝食の時にでも言ってくれればよかったのに。黙っていなくなったら、心配するじゃないか。 菜央(私服): ……ごめんなさい。昨夜話したつもりになって、うっかり言いそびれちゃってたのかも……かも。 胸の内で激しく高鳴る動悸を必死にこらえながら、あたしは事前に用意していた言い訳を並べ立てる。 するとそこへ、実にタイミング悪く洗濯かごを抱えた一穂と美雪が、廊下の奥からこちらへと向かってくるのが見えた。 一穂(私服): あれ……菜央ちゃん、千雨ちゃん? 美雪(私服): どうしたのさ、菜央。……って、その荷物は? 目ざとくあたしの抱える鞄に気づいた美雪は、中身が何かを尋ねてくる。 ……おそらく、特に意識してのことではなく軽い感じで聞いてきただけだろう。だからこちらも、無難な答えを返していった。 菜央(私服): この前礼奈ちゃんに借りてた、料理道具よ。いつ返してもいいって言ってくれてたけど、いつまでも借りっぱなしじゃ申し訳ないしね。 美雪(私服): あははは、確かに。んじゃ、レナによろしくー! 一穂(私服): ……美雪ちゃん。ここだとレナさんじゃなくて「礼奈」さんだよ。 美雪(私服): おぅ、そうだった……。いやー、わかってはいるつもりなんだけど時々忘れちゃうんだよね~。 一穂(私服): それと、菜央ちゃん。絢花さんの帰りは、5時くらいって言ってたよ。 一穂(私服): 夕食の準備もあるし、それまでに戻ってくるか……もし遅くなりそうだったら、早めに電話してきてね。 菜央(私服): わかったわ。日が暮れる前には帰るつもりだから、安心して。 千雨: 心配はしてないが、一応気をつけてな。村の地理関係はようやく頭に叩き込んだし、迎えが必要だったら遠慮なく言ってくれ。 菜央(私服): えぇ……ありがとう。それじゃ、行ってくるわね。 笑顔で3人に手を振って、外へと出る。 ……こんなことだったら普段通り、彼女たちにちゃんと告げて出かけたほうがよっぽど気楽だったかもしれない。 菜央(私服): 身構え過ぎだったのかもね……でも……。 安堵と後ろめたさに大きくため息をついてからあたしは、手にした鞄を持ち直して……。 誰にも見つからない場所を求め、青空のもとで自転車を走らせた。 …………。 礼奈ちゃんの家に向かう道を大きくそれて、あたしは村外れにあるダムの工事現場へと入っていく。 以前、「レナ」ちゃんが宝の山と呼んでいたほどの規模ではないものの……現場から奥に進んだ場所には、投棄された粗大ゴミが斜面に積み上がっていた。 菜央(私服): あの「世界」だとゴミ山は、ダム建設を妨害するため村人たちがつくり上げた場所だって言ってたけど……やっぱりここは、違うのかしらね。 おそらく、近隣の産廃業者が夜中に訪れては、こっそりと不法にゴミを投棄していくのだろう。……美雪が聞いたら、激怒しそうな話だ。 ただ、それだけに人の気配もないのはあたしにとって好都合。ひとまず自転車を手前で停め、ゴミが山積する斜面へと足を踏み入れる。 そして、少し奥まった場所に廃車を見つけると車内に入って後部座席に腰を落ち着けてから……持ってきた鞄の口を開いた。 菜央(私服): …………。 身じろぎもせず、中で丸まっているのはバスケットボールよりも少し小さい……なんだろう、なんと表現すべきかわからない。 一言でいえば、得体の知れない「怪物」……ただ、なぜか危険な気配などは感じられず、むしろ奇妙な愛嬌に似たものがあった。 菜央(私服): あんたって……いったい、なんなの?最初は『ツクヤミ』に似てるって思ったけど……それともちょっと違うみたいよね。 そう言ってあたしは、『ツクヤミ』に似た小さな何かに語りかける。 ツクヤミ?: …………。 菜央(私服): 声、出ないの? 鳴いたりとか、できない? ツクヤミ?: …………。 あたしは、中から「それ」を取り出す。両手に収まるほどの黒い物体は、今朝になって突然あたしの枕元に現れたものだった。 菜央(私服): (……1人部屋をもらってなかったら、大変なことになってたわね) もちろん、起きた時は驚いたものの……敵意や悪意らしきものが何も感じられず、つい「隠して」しまったのだ。 ……おかしな行動に出たものだ、という自覚はある。なぜ一穂たちに、いの一番に伝えなかったのかと。 特に、美雪や千雨であればおそらく……いや確実に、異形の敵として攻撃を繰り出していたに違いない。 それなのにあたしは、攻撃よりまず「この子」を「守る」ことを選んでいた。その思考と判断に、何よりあたし自身が困惑して……。 一度じっくり観察した上で自分の感情と今後の対策をまとめるべく、「この子」を外に連れ出したのだ。 菜央(私服): ……朝ご飯のリンゴ、持って来たの。食べる? そう言ってあたしは、鞄の底からラップに包んだ一切れのリンゴを取り出す。 そして、口がどこかわからないので適当な場所にそれを近づけてみたけれど……。 ツクヤミ?: 『…………』 わざわざラップを剥いて差し出したのに、「この子」は食べようとすらしない。 菜央(私服): 食べないの? ちょっと変色してるけど、味はそこまで落ちたりしてないはずよ。 ツクヤミ?: 『…………』 ……やはり、食べない。そもそもこの身体(?)に口があるのかさえ不明なので、「食べる」行為が可能なのかも怪しいところだが。 菜央(私服): 本当にいらないのね……水は? 鞄の中から、インスタントコーヒーの空きビンに水を入れたものを取り出す。そして、フタをコップ代わりにして水を注いでみせる……けど……。 菜央(私服): ……水も飲まないんだ。それとも、こんなやり方だと飲みたくないの? ツクヤミ?: 『…………』 菜央(私服): とりあえず……あんたが生物なのか、怪物なのかはともかくとして……いずれにしてもあの家には置いておけない。 菜央(私服): 美雪たちに見つかったら、説明が面倒だしね。……あたしの言ってる意味、わかる? ツクヤミ?: 『…………?』 すると、その言葉に反応したのか『ツクヤミ』に似た「この子」がはじめて身じろぎを見せてくる。 もしかして、話が理解できるのだろうか……?そう考えたあたしは、さらに言葉を繋いでいった。 菜央(私服): あたしたちが住んでる家は、古手家……古手絢花さんの家なの。だから彼女に、迷惑をかけるわけにはいかない。 菜央(私服): あと、千雨たちに見つかったら何をされるかわからないわ。あんたってぱっと見、『ツクヤミ』っぽいもの。 ツクヤミ?: 『…………』 菜央(私服): 別に、あたしたちを殺そうとか……そんなつもりはないのかもしれない。 菜央(私服): でも、それはきっと伝わらない……あの家に、あんたの居場所はないの。……だから、ここにいてちょうだい。 菜央(私服): ……ごめんなさい。ちゃんと、毎日様子を見に来るから。 ツクヤミ?: 『…………』 あたしが手を差し出すと、小さな足を動かして「この子」が近づいてくる。 手のひらに頭のような部分を押しつけるその姿は、小さな子どもみたいで……。 いつの頃だったか……「行ってきます」と家を出るお母さんに、頭を撫でてもらった自分の姿が重なって見えた。 Part 02: 次の日の夕方。 ゴミ山を訪れて、そこに野ざらしになった「隠れ家」……廃車の中を覗き込むと、「例の子」は逃げることなくちょこんと座っていた。 ツクヤミ?: 『…………』 ぴょこぴょこと短い足を動かして……元気かはともかく、少なくとも生きているのはわかる。 でも、残していったリンゴは干からびて放置され……水も砂埃が浮かぶばかりで手をつけた様子がなかった。 菜央(私服): ……本当に、飲まず食わずで大丈夫みたいなのね。 ツクヤミ?: 『…………』 菜央(私服): それにしても……あんたって、本当に何なの?生物のように見えるけど、やっぱり違う……。 菜央(私服): あの『ツクヤミ』も生物なのかしら。何かを食べたり飲んだりしてるところって、見たことがないし……。 ツクヤミ?: 『…………』 菜央(私服): まぁ、あんたが食べない飲まない鳴かないから、助かってる部分はあるんだけど。 菜央(私服): 静かでいてくれるおかげで、ここにずっと匿っていられるんだものね。 ツクヤミ?: 『…………』 菜央(私服): でも……あんた、って呼び続けるのも不便だわ。名前でもつけようかしら。 手のひらにのせ、目の高さまで持ちあげる。冷たいようで温かいようで、固いようで柔らかいようで……よくわからない。 でも、ちょっと可愛いかも……かも。 菜央(私服): そうだ、「てまり」なんてどう?あんた、手鞠みたいに丸っこいもの。 てまり: 『…………』 ぴょん、と「てまり」が前足? を揺らす。あたしの勝手な思い込みかもしれないけど、なんだかその仕草が嬉しそうにも見えた。 菜央(私服): 気に入った……? ならよかった。じゃああんたは、今日から「てまり」よ。 そう呼んでから、「てまり」を膝の上に下ろす。猫よりちょっと小さいけど、子猫と比べると大きい。 菜央(私服): ねぇ、てまり。あたしが来るまで、ずっとこの隠れ家にいたの? てまり: 『…………』 菜央(私服): そう、じゃあここは安全なのね。 菜央(私服): ……けど、こんなゴミ山の一角におあえつらえ向きの廃車があるなんてね。車内は最初から、きれいな感じだったし。 菜央(私服): あたしみたいに、何かを匿ってた人とか帰りたくない人とかがいたのかも……かも。 てまり: 『…………』 あたしの独り言に反応して、てまりがぴょこぴょこと短い足を動かす。……何を訴えているかは、不思議とわかった。 菜央(私服): えっ……なに?帰らなくてもいいのか、心配してるの? 菜央(私服): ……そうね。そろそろ帰らないと、心配させちゃうわね。 菜央(私服): けど……あまり、帰りたくないのよ。あの家に。 『――どうして?』 声も聞こえないのに、そう尋ねられた気がして……聞かれたからには、答えるべきだとあたしは思った。 菜央(私服): ……千雨と美雪は、必死に平成に戻るための方法を探してる。 菜央(私服): 一穂は自分が帰るよりも、村で孤立してる絢花さんのことが心配みたい……。 菜央(私服): あたしだけなのよ、違うのは。本当にやりたいことがわかんなくなって、何もできなくなってる……。 てまり: 『…………』 菜央(私服): えぇ……わかってるわ。みんな、間違ってない。ちゃんと正しいことをやろうとしてるって。 菜央(私服): あたしたちは、このまま昭和にいられない。どうやってでも、平成に戻らないといけない。 菜央(私服): それに、絢花さんのことも心配よ。ずっとお世話になってるし、村での扱いをなんとかできないかって思うことはあるわ。 菜央(私服): ……でも、あたしは3人ほど一生懸命になれない。 菜央(私服): 千雨や美雪ほど、平成に戻りたいと思わない。一穂ほど、絢花さんのことをどうにかしたいと思えない。 菜央(私服): じゃあ何がしたいのか、と聞かれるとわからない、としか言えない……。 てまり: 『…………』 膝に乗せたてまりは、ただ黙ってあたしを見返している。 その無垢な仕草……そして無為な様子に、あたしはふっ、と苦笑を覚えてため息をついた。 菜央(私服): そうね……何も言えないてまりに、こんなことを言ったところで仕方がないわよね。 菜央(私服): でも……あんただけよ。こんなことを言えるのは……。 菜央(私服): こんなことを聞かれたら、あたし……あの家に居られなくなっちゃうもの。 てまり: 『…………』 菜央(私服): もちろん、みんなは優しいからきっと追い出したりなんてしないわ……ただあたしが、嫌なだけ。 菜央(私服): 自分たちは一生懸命頑張っているのに、何もしないヤツにそうなれない、なんて言われたらあの子たちだって困る……あたしなら、絶対嫌だわ。 菜央(私服): わかってる……わかってるのよ。けど……どうしようもない……。 菜央(私服): ……あたし、なんのためにここにいるのかしら。 母と言い争いになって、家を飛び出して……流れるような形で、昭和58年に来てしまった。 ……状況にただ、流されているだけだ。このままじゃダメだとわかっている。 けど……だけど、あたしは……。 てまり: 『…………』 手のひらをてまりの小さな足で叩かれて、はっとあたしは我に返る。 ……いけない、ぼんやりしすぎた。そろそろ戻らないと、本気で心配される。 菜央(私服): 帰るわ。……また、来るから。 あたしはてまりの頭を撫で、立ち上がる。 ただ、なんとなくまっすぐ家に帰りたくなくて……来た道とは違う道で帰ることにした。 …………。 でも……もしかしたら、あたしはその時点で呼ばれたのかもしれない。 てまりのところで長居しすぎたのも、来た道とは違う道で帰ろうとしたことも。 だって、山から下りたあたしが見つけたのは……。 菜央(私服): ……礼奈ちゃん? #p竜宮礼奈#sりゅうぐうれいな#r: っ……菜央、ちゃん……? ――右頬を赤く腫らし、目元を濡らした礼奈ちゃんだった。 Part 03: 菜央: ……よいしょ、っと。 あたしはゴミ山の上にのぼり、袋の中に収めたてまりの身体を持ち上げた。 ここから見えるのは、ただのゴミ山だ。……あたしの目には、そう映っている。 菜央: てまり。あんたにはこれがどう見える? てまり: 『…………』 てまりはされるがまま、あたしの肩の上にその身体を落ち着けて……きょろきょろと周囲を見渡している。 菜央: ただのゴミ山に見える?えぇ、あたしもそう見える……ただのゴミ山だって。 菜央: でも「レナ」ちゃんは、ゴミ山のことを宝の山って言ってた……見方や考え方次第で、色々と変わるものなのね。 てまり: 『…………?』 菜央: てまり……あたし、やっとわかったわ。どうしてあたしが、昭和58年にやってきたのか。 菜央: 礼奈ちゃん、困ってるんだって。お父さんが間宮リナって女に騙されてて……。 菜央: お金をたくさん取られたのに……礼奈ちゃんが説得しても、聞く耳持ってくれないって。 あの後……礼奈ちゃんは、ぽつりぽつりと話をしてくれた。 彼女も、誰かに話を聞いてほしかったのかもしれない。あたしが、てまりに一方的に語りかけたように。 真っ赤に腫れた頬は、デートに出かけようとしたお父さんを止めようとしてもみ合いになり……偶然だと、礼奈ちゃんはそう言っていた。 菜央: 礼奈ちゃんのお父さん……お母さんとは結局、うまくいかなかったみたい。 菜央: この「世界」なら、障害もトラブルもなくみんな幸せになれるはずだったのにね……。 菜央: …………。 菜央: でもあたし、礼奈ちゃんには幸せになってもらいたい。どんな手段を使っても……だから……。 菜央: あたしが間宮リナと、その背後にいるっていう北条鉄平を……殺す。 てまり: 『…………』 菜央: そうしないと、仮に『#p雛見沢#sひなみざわ#r大災害』の惨劇を乗り越えても……礼奈ちゃんは幸せになれない。 菜央: ……やっとわかったの。あたしは礼奈ちゃんを幸せにするためにここに来たんだって。 菜央: その幸せに邪魔なものを、消さなくちゃダメなのよ。 菜央: でも、礼奈ちゃんにそんな決断をさせたら、あのきれいな手が汚れるから……。 菜央: あたしが代わりに汚して……それでやっと、あたしの罪は、許される。 菜央: 一穂のことはちょっと心配だけど、千雨と美雪がいればあの子も平成に戻れるわ。 菜央: でも……心残りは、あんただけよ。てまり。 菜央: あんたが何者か、とうとうわからなかったわね。 菜央: ……今まで話を聞いてくれて、ありがとう。 菜央: 礼奈ちゃんなら、きっとてまりを受け入れてくれる。あんたは、あたしの分までお姉ちゃんと幸せに……。 なって、と言いかけて。ふっ……と肩の重みが消えた。 菜央: ……あれ? 慌てて、自分の肩に手を乗せる……何もない。地面を見ても、あの小さな身体は……どこにも……。 菜央: てまり? てまり? ……どこ? ゴミ山を見渡しても、その影も形も見当たらない。まるで今までの全てが、嘘みたいに消えて……。 てまりの存在が、完全に「な」くなっていた。 菜央: ……っ……。 あたしは大声を出そうとして……やめる。 菜央: なんで、探してるのかしら。 菜央: ……なんでこんなに、悲しいのかしら。 菜央: てまりとバイバイするって、決めたのはあたしじゃない。 菜央: てまりが消えたのも、自分から行きたい場所を見つけたからかもしれないじゃない。 菜央: じゃあ、いいじゃない。それで。 …………。 『――本当に?』 ここにいないてまりに、尋ねられた気がした。 菜央: ……がう、違うわよ。 菜央: あたしだって……あたしだって、わかってる! 菜央: 礼奈ちゃん……「レナ」ちゃんのためだからって、人を殺して解決するなんて間違ってるって! 菜央: でも、しょうがないじゃない!!他に選択肢なんてないんだものッ!! 菜央: あたしが違うって、間違ってるって言うなら……!だからてまりが消えたって言うなら……! 菜央: 他の道を、教えてよ……! 夕焼け空に、叫び声が響く。 それでも、てまりは戻ってこない。 ……じゃあ、どうすれば戻ってきてくれる? 他の道を選んだら、てまりは戻ってきてくれる? でも……思いつかない。 礼奈ちゃんの幸せを邪魔する存在を消す以外に、あの一家を助ける方法が……わからない。 だから、あたしは……。 二度と、てまりには会えず……礼奈ちゃんを助けて、死んで終わる。 だって、それしかないんだから。              …………。            でも……本当は。 菜央: 違う道があるなら、そっちを選びたいに決まってるでしょ……っ……! その叫びは……虚空へと吸い込まれる。 誰にも……どこにも届かずに空しく、悲しく……。