えっ、2巻ですか?
と困惑してしまった日を、今でも覚えています。
本作は、かなり早い段階から2巻の構想を練ってほしい旨のご連絡をいただいておりました。
ありがたいことでしたが、大いに悩みました。わたし自身、このお話は1巻で完結しているものだとばかり思っていたのです。
「社会人になった素直の話はどうでしょう」「主人公を男の子にしてみたいです」「SFに全振りするのは……」など、いろいろな案を出しました。理由はそれぞれ異なりますが、そのすべてが却下されました。
「ひとりの読者として、ナオの物語の続きを知りたいです」
そう担当様から言われたとき、自分の心に迷いがあることに気がつきました。
笑顔で手を繫いで、光の向こうに歩いていった二人を呼び止めるのは、本当に正しいことなのか。わたしは、ずっとそこに引っ掛かっていたのです。
しかしナオの世界は、最初から美しいものばかりではありませんでした。悪意があり、理不尽があり、彼女は生きている人間が味わったことがない、大きな恐怖までも経験しています。
そして本当は、最初から知っていました。別にわたしが書かなくたって、ナオは今日も自転車を漕いで、いろんなものを見て、何かを一生懸命に考えて、恋だってしているのです。
じゃあ、書くしかないな。そう腹をくくって、もういちど、彼女の小さな背中を追いかけてみることにしました。
担当様の一言を憎らしく思った夜もありますが、あの言葉があったからこそ、2巻を書き切ることができたのだと思います。
今のわたしは「えっ、2巻ですか?」なんて言いません。「これが2巻です!」と胸を張って言えます。えへん!(ウィスパーボイス)
第1巻発売の際には、たくさんの貴重な経験をさせていただきました。
豪華なPVに始まり、JR東海道本線にてトレインジャック広告の展開、静岡エリアの書店限定でリーフレットの配布、直近だとテレビCMになったりなどなど。
「なにそれ見逃した!」という方はスマホで検索していただくと、だいたい画像や動画とかが出てくるので、ぜひご覧になってみてください。ネットは便利です。
レプリコの広告に囲まれ、担当様と二人で電車に揺られながら、2巻の内容についてあーでもないこーでもないと語り合った日は、これから先も忘れられないと思います。
作者の近況報告をしますと、以前から気になっていたJR東海主催の「さわやかウォーキング」というウォーキングイベントに、気の置けない友人と共に参加してまいりました。
朝早くに駅を出発し、公園や博物館を巡って、午後三時までに同じ駅に戻ってきてゴールする……というルールでしたが、花を見ながら歩き、夢中になって話し、たい焼きおいしいね~なんて言いながら駅に着いたら、午後六時になっていました。
生まれ育った静岡県内でも、まだまだ知らない魅力的なお店や場所だらけで、生きている間にぜんぶ見て回るのは無理だなぁ、としみじみ感じました。もったいないのと嬉しいのが半々です。
一生、時間内のゴールはできないような気がしますが、のんびり気ままな冒険に来月も参加してまいります。今からわくわくです。
それでは、謝辞に移らせていただきます。
担当編集様には、今巻でも大変お世話になりました。だめなところはだめ、いいところは最高にいいと褒めちぎってくださる飴と鞭、怠惰なわたしにこの上なく効果的です。
イラストレーターのraemz様、いつもありがとうございます。デザインを拝見して、元生徒会の二人がいっそう愛おしくなりました。そして今巻でもナオやアキの新たな表情を引きだしていただけて、感無量です。
そしてこの一冊を選んでくださったあなたに、心より感謝申し上げます。胸に響くものがありましたら幸いです。
本作『レプリカだって、恋をする。』のコミカライズも、電撃マオウにて連載が始まっております。花田ももせ様が、ナオたちの日々を漫画の世界で描いてくださっています。ときめきが止まらなくなる素敵な漫画ですので、ぜひ小説と併せてお楽しみくださいね。
最後に、ちょっとしたご提案です。
この本が発売する頃は、アイスがおいしい季節だと思います。
まだみんな夏服の第1巻も、一緒に読み返してみるのはいかがでしょうか。