Part 01: 魅音(私服): 諸君! 今日の放課後は郵便局でアルバイトである! 梨花(私服): みー、知っているのです。 菜央(私服): 分校を出る時に、説明があったしね。 魅音(私服): さすが!我らが部活メンバーは、付き合いが良くてほんとに助かるよ~! 魅音(私服): って、冗談はここまで。いや、本当にごめん……。食中毒から体調を回復して、現場に復帰してくれる人がまだあんまり集まっていなくて……。 レナ(私服): はぅ……仕方ないよ。病気がいつ治るかなんて、本人にはわからないもん。 美雪(私服): お医者さんだって正確に、いつまでには治る! って予測立てても外れることあって当然だからねー。 美雪(私服): 出産予定日とか、その典型だしさ。 魅音(私服): 今度! 今度かならずお礼するから! 沙都子(私服): あらあら、これは埋め合わせとやらも期待ができそうですわね。 羽入(私服): あぅあぅ、また美味しいものがたっくさん食べられそうなのですよ~! 一穂(私服): 美味しいものは楽しみだけど、今日も部活は無いんだね……ちょっと残念かな。 千雨: ある意味、郵便局のバイトが部活みたいなもんだろ。 沙都子(私服): 部活って……今回は何を競いますの? 千雨: それは、その……なんだ。己との、戦い……? 美雪(私服): 千雨……自分でもよくわかってないのに発言するのやめておこうよ。 菜央(私服): そうね……センスは感じないわね。 千雨: うぐっ! レナ(私服): じゃあ、どれだけ丁寧に通販の梱包ができるか競争しようよ。 レナ(私服): 楽しくゲーム感覚しながら役に立てる部活って、それはそれで素敵だよね。はぅ~。 羽入(私服): レナの言う通り、ゲーム感覚で楽しく人に役に立てるのはいいことなのですよ。 梨花(私服): ……羽入がまともなことを言っているのです。 羽入(私服): あぅあぅあぅ~!それじゃ普段はまともなことを言っていないみたいではないですか~! 梨花(私服): 普段はあぅあぅ言ってるだけなのですよ。 羽入(私服): あぅあぅあぅ~! 美雪(私服): うーん。今日も分校は平和だ。 レナ(私服): でもでも、来月からは農産物の通信販売の人手を増やすことになってるんだよね? 魅音(私服): うん、婦人会が手伝ってくれるって。でも、中途半端に引き継いじゃうと郵便局の人たちが戻って来た時に混乱するから……。 千雨: 引き継ぎは大事だからな。中途半端に引き継ぐと混乱が起きる可能性がある。 沙都子(私服): あら、なんだかお詳しいですわね。 千雨: って話を、海洋研究者から聞いた。引き継ぎ失敗で失われたものを取り戻すのは下手に新しく手に入れるよりも大変らしい。 一穂(私服): やっぱりサメ由来の知識なんだね……。 羽入(私服): 由来はどこであれ、知識は知識。僕たちのお仕事にもその法則は当てはまると思うのです。 羽入(私服): ということで、無事に引き継ぎができるようになるまで僕たちで頑張るのですよーっ! 美雪(私服): おぅ……羽入ちゃん、そんなにご馳走が楽しみ?まぁ、うちの腹ぺこ娘もたぶんキミと同じですごく期待してるんだろうけどさ。 一穂(私服): えっ、腹ぺこ娘って……私? 梨花(私服): いえ……お礼の話が出る前から、羽入は今回のお仕事に燃えているのですよ。ちょっと不思議なくらいに……。 レナ(私服): はぅ~。やる気満々だね。レナも負けないよーっ。 千雨: この調子なら、郵便局が通常営業できるまで無事に持ちこたえられそうだな。 魅音(私服): 本当、助かるよ……。 Part 02: 羽入(郵便屋): 美雪は郵便配達、みんなは通信販売の手配……そして僕は。 羽入(郵便屋): お客さんの対応の合間に、午後便の仕分けなのです!頑張るのですよーっ! 羽入(郵便屋): これはこっち、これはあっちで、こっちは……。 レナ(私服): はぅ……今日はお手紙がいっぱいだね。 羽入(郵便屋): あぅあぅ、でもお客さんが来ないので作業に集中できるのです。 羽入(郵便屋): 魅音に任されたからにはやり遂げるのです……! レナ(私服): 羽入ちゃん、仕分け作業が速いね。 羽入(郵便屋): それは……#p雛見沢#sひなみざわ#rの住民のみんながどこに住んでいるか覚えているので、確認の手間が省略できているからだと思うのですよー。 レナ(私服): はぅ……全員? すごいね、羽入ちゃん! レナ(私服): 雛見沢って同じ名字の人も多いし、年配の人は名前が似ている人も多いからレナもたまに間違えちゃうことあるのに……。 羽入(郵便屋): あぅあぅ、似ていたら間違えてしまうのは仕方ないことなのです。 羽入(郵便屋): でも僕は、僕だけは間違えてはいけないのです。だから……。 レナ(私服): 羽入ちゃんだけは……?それって、どうして……。 羽入(郵便屋): あぅ……? あぅあぅ……あぅあぅあぅ?! レナ(私服): え? ど、どうしたの? 羽入(郵便屋): よ、読めない……読めないのです……! 魅音(私服): うーん……太陽の光に透かしても特に文字が浮かんでくる! みたいなギミックはないみたいだね。 菜央(私服): 推理小説の読み過ぎよ……けど他に手がかりがないなら、この書かれている文字……文字? を読まないと手紙を届けられそうにないわね。 梨花(私服): ……これは何語なのでしょうか? 一穂(私服): 英語、じゃないよね……なんだろう? 羽入(郵便屋): あぅあぅ。しばらく郵便局のお手伝いをしていましたが、こんな文字は初めて見るのです。 魅音(私服): 菜央ちゃん、外国のことって詳しいよね。この文字、どこの国の言葉かわからない? 菜央(私服): ごめんなさい。あたしも見覚えがないわ……。 沙都子(私服): そもそも、これは言葉ですの?なんだか図形のように見えませんこと? 千雨: 文字は図形から生まれたものだからな。図形みたいって例えるのは間違いじゃないだろうが……。 レナ(私服): はぅ……切手もあってここまで届いているんだから、雛見沢の誰か宛だとは思うけど……。 沙都子(私服): だとしても、誰宛なんですの? 羽入(郵便屋): 雛見沢の住人のみんなの名前、僕はわかるのです。でも……名前がわからないと、誰あての手紙なのか全然わからないのですよ……。 菜央(私服): 羽入……。 梨花(私服): …………。 沙都子(私服): あらどうしましたの、梨花。宛先をじーっと見つめて。 梨花(私服): みー……雛見沢に、外国の人とお手紙を交換している人はいるのでしょうか。 千雨: いるにはいるんじゃないか。ペンパルとかで募集かけたりできるだろうしな。 一穂(私服): ぺんぱる? 魅音(私服): お互いの国の文化や言葉を勉強するために手紙のやりとりをするやつだよね! 魅音(私服): ちょっとやってみようかなって思ったことあるんだけど、ゲーム好きな趣味の人を探すのは難しいかもって聞いて諦めたんだよね~。 沙都子(私服): 魅音さん……もしかしてペンパル捜しの目的は文通ではなく、外国のゲーム好きなお友達を作ってレアなボードゲームを送って貰うためだったのでは……? 魅音(私服): こ、こっちからもいい感じのものを送るつもりだったし! 千雨: ……ペンパルより、輸入業者を探した方が確実そうだな。 羽入(郵便屋): あぅあぅ、今は手紙の行方なのです!この手紙を待っている人のためにも、早く届けてあげたいのですよ! 一穂(私服): 美雪ちゃんならわかるかな……?帰ってきてから、聞いてみる? レナ(私服): それもいいけど、わかるって確実に判明してる人に聞けばいいんじゃないかな? かな? 一穂(私服): え……わかる人って、誰? レナ(私服): だってこのお手紙、他のお手紙と一緒に#p興宮#sおきのみや#rの郵便局に送られてきたんだよね? 魅音(私服): うん。地方に送られてくる手紙は集配郵便局……その地域の一番大きい郵便局にまとめて送って、それから各郵便局に配達を……あ。 羽入(郵便屋): あぅあぅ……じゃあ、その集配郵便局には雛見沢行きの手紙だと判断して、この手紙をこちらに送ってきた人がいる……ということですよね?! 魅音(私服): ちょ、ちょっと電話で確認してくる! 沙都子(私服): 問題解決は近そうですわね。 沙都子(私服): それにしても、雛見沢でこんな見たことのない文字を使う外国からお手紙を送ってくるような方がいたなんて……なんだかびっくりですわ。 梨花(私服): みー……ボクもなのですよ。 Part 03: 羽入(郵便屋): あぅ……? 魅音、今なんと? 魅音(私服): いや、だから例の行き先が読めない外国の手紙……集配郵便局に問い合わせたんだけど。 魅音(私服): 結論から入ると……たぶんあの手紙、東京あてじゃないかって。 沙都子(私服): 東京……東京ですの?! 菜央(私服): なんで東京に向けて送った郵便物が、#p雛見沢#sひなみざわ#rに来てたの? 魅音(私服): なんでって……なんでだろ? レナ(私服): はぅ……人の手で仕分けをしているからじゃないかな? かな? 千雨: あぁ……手紙って人の目と手で送り先を分けてるからな。仕分け人が読み間違えたか、もしくはどっかで雛見沢行きの手紙にくっついて紛れて送られてきたとか。 魅音(私服): 多分、そんなところだろうね……あー、大騒ぎして損した~! 梨花(私服): みー……ボクが知らないのも当然だったのですよ。 沙都子(私服): そもそも雛見沢に住んでる人宛の手紙じゃないなら、誰宛かわからなくて当然ですわね……。 レナ(私服): はぅ……それで、このお手紙はどうするの? 魅音(私服): 明日雛見沢発の手紙と一緒に、#p興宮#sおきのみや#r郵便局経由で東京に送ってくれって。 一穂(私服): そ、そっか……はぁ。なんか、ちょっと肩の力抜けちゃったね。 菜央(私服): そろそろ美雪も配達から帰ってくる頃だし、お茶でも準備して休憩しましょうか。 魅音(私服): さんせーい! お菓子食べようお菓子!もらいもののクッキー缶、持って来たから! 魅音(私服): 天気いいし、このまま外でレジャーシートでも引いてお菓子ピクニックでもしよう! 羽入(郵便屋): お、お菓子ピクニック……!なんて甘くて素敵な響きっ……?! 梨花(私服): 羽入が手紙にクッキーの粉を落とさないためにも、外で食べるのはいいことだと思うのです。 羽入(郵便屋): あぅあぅ!大事な手紙にそんなことしないのです~! 魅音(私服): じゃあお茶の準備をしてくるね。 レナ(私服): あ、レナも手伝うよ。 菜央(私服): あ、あたしも行くわ! 一穂、あんたも来なさい。 一穂(私服): うん。 羽入(郵便屋): はぅ~。クッキー楽しみなのですよ~! 沙都子(私服): 皆さん、大なり小なりがっくりしているのに羽入さんは元気ですわね……? 羽入(郵便屋): あぅあぅ、宛先がわかって嬉しいのです! 羽入(郵便屋): 東京の、どこの誰宛かはわからないですが……無事に手紙を届けてあげられるのです。 羽入(郵便屋): あの手紙の宛先の人は、手紙が届くのを首を長くして待っているかもしれませんから。 羽入(郵便屋): ただ、届くのが遅くなってしまって今頃ヤキモキさせてしまっているかもしれません……。 千雨: それでも、届かないよりずっとマシだろ。 梨花(私服): ……レナの言う通りに、わかる人に確認するのが最短の解決の道だったのですね。 千雨: 将来的にこんな間違いは起こらなくなるだろうから、今のうちの間違いだろうけどな。 梨花(私服): みー……?どうして間違いは起こらないと断言出来るのですか? 千雨: 今手紙とか郵便物は全部手作業で仕分けしてるけど、将来的には手紙類は機械で仕分けするようになるらしい。郵便番号も桁数を統一するとか、なんとか。 沙都子(私服): 確かに郵便番号の下の桁って、場所によってバラバラですものね。3桁だったり5桁だったり……。 沙都子(私服): 機械で正確に仕分けられるようになったら、他人の仕分け間違いのせいで苦しめられることもなくなりますわね! 羽入(郵便屋): ……機械を使っても、間違える時はあると思うのですよ。 梨花(私服): 羽入……? 羽入(郵便屋): 機械も、人が管理するものなのですから。 羽入(郵便屋): どれだけ一生懸命頑張っても、精一杯力を尽くしても……間違いは、起こってしまうのものです。 沙都子(私服): それは……そうかもしれませんが。 羽入(郵便屋): 今回の間違いは、そう大したものではないのですよ。間違いの全てに悪意を見いだしていたら世界の全てが、敵に見えてしまうのです。 羽入(郵便屋): ……それは、とても苦しいことなのですよ。 沙都子(私服): 悪意がなかったとしても、その間違いのせいで羽入さんは大変な思いをしたのは違いありませんこと? 千雨: 羽入って……その、なんだ。心が広いんだな? 羽入(郵便屋): あぅあぅ、そんなことはないのですよ。僕がそのせいで苦しかったような……そんな気がするだけなのです。 梨花(私服): 気がする……? 羽入(郵便屋): それが……上手く思い出せないのですよ。そんな気持ちになったことがあった……ような気がして。 羽入(郵便屋): でも……全てが敵に見えても幸せになれなかったことだけは、覚えているのです。 沙都子(私服): それ、本当に羽入さんの記憶ですの?映画の内容と現実がごっちゃになってません? 羽入(郵便屋): あ、あぅ……もしかしたら、そうかもしれません。 羽入(郵便屋): でも、どれだけ欠けていても、失われていても。映画の出来事だとしても……。 羽入(郵便屋): 僕にとっては、意味のある思い出だと。そう思うのです。 梨花(私服): 羽入……。 千雨: そうか……本人が価値があるって言うなら他人がとやかく言うことじゃないな。 沙都子(私服): むむ……確かに、羽入さんがいいと言うならそれでいいのかもしれませんわね。 美雪(郵便屋): たっだいまー! あれ?みんな揃って外で何してるの? 千雨: 宛先不明の手紙の、正体判明祝いパーティーの開催準備中だ。 美雪(郵便屋): え? ごめん、どういう話の流れ? 羽入(郵便屋): あぅあぅ……迷子の手紙のお家がわかったお祝いなのです!