「天地無用!」のこと あとがきにかえて
真木 太郎
(パイオニアLDC プロデューサー)
時、1991年3月(おもいっきりのバブル時代)
場所、アニメーションの制作会社AICの社長室(きたない、せまい、オンボロ)
三浦(AICの若社長、青年実業家風)「真木さん、これは女の子がいっぱい出てきてね、絶対に受けるアニメだから、ぜひやりましょう。ね、ね、ね。」
真木(アニメなんか分かりませんプロデューサー)「そんなもんですか、三浦さん。」
三浦「こんなもんですよ。だいたいこの手は定番といって、アニメの王道なんですから。」
真木「ふーん、それよりこの題名、変じゃありませんか?」
三浦「それは仮ですから。仮、仮。まあ、天地無用っていうのは、上からでも下からでもOKっていう意味で縁起もんですから。」(いまだにこういっている)
真木「!?。縁起もんじゃぁしょうがないですねぇ。やろう、やろう。」
三浦「ついでにこのモルダイバーという企画も……」
かくして「天地無用! 魎皇鬼」のプロジェクトはスタートした。第1話のラストシーンの天地の柏手に、安易なやりとりで始まった企画に対する後悔の念がダブリ、自らも柏手を心の中で打つ真木であった。(なぜ、初号に三浦が来ない?)
時、1994年春(向かうところ敵無し前夜)
場所、ビヴァリーヒルズのホテルのバー(なんてったってアメリカ)
真木「三浦! (すでに呼び捨て)テレビやるぞ、テレビ!」
三浦「そんなの、いつ決まったの?」
真木「今、思いついた。」
三浦「!?」
かくしてテレビシリーズはスタートした。テレビ界の水戸黄門「サザエさん」に挑戦することになるとは……。
時、1994年冬(向かうところ敵無し状態)
場所、AIC社長室(天地無用の印税により新築。きれい、ひろい、絢爛豪華、ソープの待合室風)
真木(アニメなら何でもまかせておけプロデューサー)「映画やろう! 映画。」
三浦(ベルサーチ大好きプロデューサー、中年実業家)「やっぱり、そうきたか。」
真木「ずばり、ラブ・ストーリー。泣かせの話にしよう。状大なスケールを持った映画らしい、映画だ。いままでの謎が解け、それが新たな謎を呼ぶ、天地無用の集大成にしよう。音は全部、ハリウッドで作ろう。すげぇのが出来るぜ。」
三浦「どこまででもついていきますよ。(演歌調)」
待望の映画制作がスタートした。オリジナル・ビデオから始まった企画はテレビ・シリーズという頂点を極めた余勢をかって、まるで出世魚のようにそのステージを変えていく。
時、1996年4月(バブリー時代再びか?)
場所、なんにも変わらないパイオニアLDCの会議室
真木(年収1000万春闘中)「天地無用は不滅だ! もっともっと作るぞ。」
三浦(ベルサーチからお歳暮もらったぞ)「また、なにいってんの? このおやじ。」
真木「映画で全て燃焼し尽くしたイメージがあるけど、終わったわけじゃぁない。この映画をきっかけにして、さらに天地無用の世界を広げるんだ! 予告篇を作っている時にむらむらきたよ。」
三浦「真木さんも好きだねェ。原点に戻ってOVAでも作ろうか。」
なあんて会話のどこまでがホントでどこまでが冗談かはみなさんのご想像におまかせします。ともあれ「天地無用!」は当初の我々の予測をはるかに越えて、多くのファンの支持を得ることができました。ビデオからはじまって、CD、小説、コミック、単行本。もちろんイベントもやりました。テレビにもなりました。CD─ROMを始め、ゲームもあらゆる機種で展開しています(出てない機種はどれでしょう)。「天地無用!」というタイトルのついたアイテムはすでに総合計1200万点を越えています。
そうしたファンの愛情に支えられて96年春「天地無用!」はついに劇場映画として登場することになりました。我々映像を手掛けている人間にとって、映画というのは最高の夢です。そしてこの映画のテーマは「愛」と「夢」です。楽しんでいただけたでしょうか。
こうやって「あとがき」なぞを書いていると、改めていままでの道のりを思い、作品に、ファンのみなさんに感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございます。
最後にいままで支援していただいた関係各位、制作スタッフの仲間たちに感謝。個人名をあげられないほど多くの人々の共同作業の結果、それが「天地無用!」プロジェクトです。これからもよろしくお願いします。