プロローグ



 この世のすべての音までがこおりついたように、ただシンシンと雪がり続いている。

 雪雲におおわれた黒い空から、とめどなく落ちてくる白いしんは、地上のものをことごとく白色に染めくそうとしていた。

 不意に張りつめた空気をふるわせ、どこからかかすかな声が聞こえてくる。

 耳をすましてみると、それは小さな男の子のようだ。

「アハハハ、ウフフフ、ハハハハッ……」

 だいにその声は、はっきりと聞こえてきた。

 よく見ると、おぼえのある神社のけいだいだ。男の子が降りしきる雪を、小さな手でつかもうと、両手を空にかざし一人たわむれている。

『どこの子だろう……』

 ジッと見つめるが、顔がぼやけて見えない。

 思わずけ寄ろうとしたしゆんかん……静かに降っていた雪が、突然、激しくった。

 一寸先が見えなくなってしまった。

 まどいながら目をらしていると、少しずつあたりがはっきりしてきた。

 どうやら同じ場所に、同じ男の子が立っているようだ。が、どこかようが違う。

 さっきまで、あんなに楽しそうにはしゃいでいたのに……。

「ウッウッウッ……」

 何かを必死にえようとしているが、おさえ切れないほどの深い悲しみなのか?

 しゃくり上げるような泣き声が、え間なくれていた。

 いわれもない切なさに駆られ、もう一度、近寄ろうとした。が、どうしても近づけない……。

 声を出そうとするが、声にならなかった。

 男の子が泣きながら、何かつぶやいている。

○○○○○!」

 その言葉を、はっきりと耳にすることはできなかった。しかし、激しく心がれた。何かが自分の中ではじけ飛んだ。

「あなたはだれ? 何が言いたいの?」