Part 01: 美雪(私服): そういえば、千雨。どこの道場でだったかは忘れたけど……以前キミに真剣の試し斬りを見せてもらったことがあったよね? 千雨: あぁ……そうだな。確か小6の夏休みだから、2年前くらいか。 菜央(私服): 真剣って……それ、日本刀のことよね。千雨って剣道もやってたの? 千雨: いや、そういうことじゃなくて……道場の師範に勧められて、何度か知り合いのツテでやらせてもらったりしたんだ。 千雨: なんでも集中力を高めて、体幹を鍛えるのに最適だから……てな理由だったかな。まぁ実感はともかく、気分転換にはなったが。 美雪(私服): でも、先生には結構褒められてたじゃん。なかなか筋がいいとか、なんとか言われてさ。 千雨: ……どうでもいいことだけは覚えてるんだな。あんなのただの、勧誘目的の社交辞令だろ? 美雪(私服): んー、そんなことはないと思うけどなー。キミって他人から何を言われても妙に謙虚というか、自己評価の点数を低くつけがちだよね。 千雨: 自惚れて思い上がるよりはよっぽどマシだ。……で? なんで藪から棒に、そんな話を持ち出してきたんだ? 美雪(私服): いや、ちょっと疑問に思ってさ。キミって子どもの頃、少しの間だけ剣道をやってたことがあったよね? 千雨: あぁ。通ってた道場の隣に剣道場も併設されてたから、軽く見学した時に誘われて1ヶ月ほどな。 美雪(私服): うんうん、記憶通り。……けど、千雨って柔道とかは最近まで続けてたのに剣道だけはなぜか、結構早い段階で辞めたよね。 美雪(私服): それって、何か理由でもあったの?たとえば気に入らない先輩やその取り巻きを全員病院送りにして、破門を食らったとかさ。 千雨: ……私はどこぞの格闘漫画の悪役キャラか。んなことしたら道場の師範たちに悪評が伝わって、そっちでも稽古ができなくなるだろうが。 菜央(私服): そうね。千雨ってそのあたりは計算高そうだし、やるとしたら露見させずに制裁を下すと思うわ。 千雨: なんかフォローに聞こえないんだが……まぁいい。剣道を続けなかったのはトラブルとかじゃなくて、単純に自分には合わないと感じただけだ。 一穂(私服): 剣道が合わないって……どういうところが? 千雨: んー……そうだな。断っておくが、これは一穂がやってた剣道を悪く言うんじゃなくて、あくまで私の感覚だ。 千雨: だから、異論反論は好きにしてくれていい。そのつもりで聞いてくれ。 一穂(私服): う、うん……わかった。 千雨: まず思ったのは、格闘技のわりに相手への有効打として狙えるところが少ない点だ。左右の小手と胴、そして面……合計で5カ所か。 千雨: それ以外の部位はどれだけ攻撃しても意味がないし、むしろやりすぎると反則を取られることもある。 千雨: ……そういった制限がまどろっこしいし、実戦には役立たないと感じたのが理由のひとつだ。 一穂(私服): じ、実戦って……。武道を習うのは、喧嘩とかをするためじゃないと思うんだけど……。 千雨: 武道が喧嘩の手段じゃないってのは、同意する。……私が言いたいのは、護身術として考えてみても剣道はどうかなと感じたってことだ。 千雨: 剣道は、相手も狙う場所を限定して動いてくるという前提に基づいてる。しかも刀がなければ、そのスキルも活かせない。 千雨: そういったところが、護身術としても弱いし自分が強くなったという実感を持ちづらい……そう感じただけだ。 美雪(私服): んー、なるほど。かなり極端な見立てとは若干思うけど、そういう考え方もあるかもしれないね。 千雨: あぁ。それに対して柔道、空手は命に関わる危険技を除けば全身への攻撃がほぼ認められている。 千雨: 反撃のリスクが高いから、私はあまりやらないが……相手の足を掴んで倒すことだってできるんだしな。 菜央(私服): まぁ、そうかもしれないけど……あれ?剣道って確か、千雨が今言った5カ所以外に喉元も狙えるんじゃなかった? 一穂(私服): 「突き」だね。けど、喉元ってすごく狙いづらいし危険だから、小中学生だと禁じ手になってるんだよ。 千雨: あー……実はそのことを、私は知らなくてな。初日に見よう見まねで師範代に突きで喉を狙ったら、危ないことをするなってめちゃくちゃ怒られた。 美雪(私服): おぅ、なるほど……それも千雨のやる気をそいだひとつってわけだね。 一穂(私服): 見よう見まねでも、初心者が突きを放つってすごい技量だと思うんだけど……。 千雨: ……まぁ、そんな感じに剣道に対してあまり前のめりになれなくてな。仮入門が終了した後、辞めちまったってわけだ。 菜央(私服): そうなんだ。……ちなみに一穂は、今の話を聞いてどう思った? 一穂(私服): えっ……わ、私?そうだね……うーん……。 一穂(私服): これは先生たちの受け売りだけど、剣道って心を鍛える武道って言われてるから……千雨ちゃんの言う通り、実戦向きじゃないと思う。 一穂(私服): けど、私はやって良かったと思ってるよ。だって『ツクヤミ』と戦う時も、剣道で培ったものがちゃんと活かせて……みんなの役に立ってるからね。 千雨: それは私も認めるよ。普段はともかく、『ツクヤミ』を相手にした一穂はまさに鬼神のごとき頼もしさだしな。 一穂(私服): き、鬼神って……?千雨ちゃん、いくらなんでもそれは言い過ぎ……! 美雪(私服): あはははっ、謙遜しなくてもいいって。私たちもその点については同意だからさ。……だよね、菜央? 菜央(私服): えぇ。あたしも機会があったら、武道をやってみようかしら。剣道なら一穂、その他は千雨に教わればいいわけだしね。 美雪(私服): おぅ……菜央。一穂はともかくとして、千雨はやめておいたほうがいいと思うよ。 菜央(私服): あら、どうして?千雨は全国レベルの腕前だってこの前言ってたから、この上ないくらいにいい先生じゃない。 美雪(私服): いや……私も以前そんなことを考えて気安く頼んだことがあったんだけど、その内容がスパルタというか、あれはもう……。 美雪(私服): はっきり言って、拷問のレベルだね。もしくは……虐待だ。 一穂(私服): そ、そこまで……っ? 千雨: おい美雪、いい加減なことを言って脅すんじゃない。私だってその辺りの常識くらいは弁えてるつもりだ。 千雨: 同い年の美雪ならともかく、年下の子を虐めて楽しむほど私は変態趣味じゃない。だから安心してくれていいぞ、菜央ちゃん。 菜央(私服): えぇ……わかったわ。それじゃ早速、明日稽古をつけてもらえるかしら。 千雨: 思い立ったらすぐ行動、か……いいぞ。イベントの準備も一段落ついたことだしな。 菜央(私服): えぇ……よろしくお願いします、千雨先生! 美雪(私服): ……どうなっても、私は知らないからね。 Part 02: 菜央(私服): ぅぅ……ほわぁ……っ。 レナ(私服): はぅ……それで菜央ちゃん、今日は来た時から元気がなかったんだね。 千雨: 一応、加減はしたつもりなんだが……基礎の練習として腕立て腹筋、背筋を中心に鍛える運動を10回から15回程度でな。 美雪(私服): いやいやいやっ!回数はほどほどでも、問題はセット数!10セットってことは、100回超えだよ?! 一穂(私服): で、でも菜央ちゃん……休憩を挟みながらだけど結局全部やりきったよね……? 菜央(私服): ぜ、全身の筋肉と、関節が……悲鳴を上げながら笑ってるわ……ほわ……わわ……っ……。 一穂(私服): な、菜央ちゃん大丈夫っ?やっぱり今日は、家で休んでたほうがよかったんじゃ……? 菜央(私服): れ、レナちゃんが来るのに……あたし、だけサボってるわけ、にはいかない……でしょ……っ? 菜央(私服): それに、明後日からのイベント……の、最終確認をしなくちゃ……ッッ……! 美雪(私服): それまでにその筋肉痛、治ってるといいけどね……。 千雨: うん、いい心がけだ。やっぱり菜央ちゃんは精神面で見込みがある。半日で音を上げた美雪とは大違いだ。 美雪(私服): 菜央をここまでボロボロにしたサディストが、自分のことを棚上げして何か言ってるよ……。 千雨: で……例によって緊急招集との話だが、今度は何があったんだ? 魅音(私服): …………。 千雨: ……魅音? 魅音(私服): つまり、さっきの話だと千雨は曲がりなりにでも剣道の心得があるってわけだね……?しかも真剣斬りをやった経験が……ある……。 千雨: あ、あぁ……?ただ、真剣といっても基礎の基礎しかやってないし、素人と技量はあんまり変わらな――。 魅音(私服): ぃよっしゃああぁぁぁ!!これぞ天の配剤、地獄に仏ッ!!まさにうってつけの人材が見つかったぁぁあ!! 千雨: は……? おい、話が全く見えんぞ。勝手にガッツポーズなんかしてないで、ちゃんと説明してくれ……! 詩音(私服): あー、では私がお話ししますね。実は……。 千雨: ……なるほど。要するに、明後日のイベントでの演目が増えたってわけか。 魅音(私服): というわけで……頼んだよ、千雨!あんただけが頼りだ! というかお願い! 千雨: おい……だから、話をちゃんと聞いてたか?さっきも言ったように私の技量は素人同然で、見世物にできるようなレベルじゃない。 魅音(私服): 大丈夫! それでも完全ド素人にお願いするよりはずっとずっとマシだよ! 多少の手ほどきだったら私かお母さん、あるいは婆っちゃがつけてくれるから! 千雨: いや、手ほどきって……お前なぁ。 あまりにもあまりすぎる魅音たちの無茶振りに、さすがの私も安請け合いができずため息をつく。 彼女たちから頼まれた(泣きつかれた)追加案件……それは華道や茶道ではなく、なんと「剣術」だった。 魅音(私服): 巻き藁斬りの実演を頼んでいた段位持ちの人が、身内に不幸があって出られない、って言ってきてさ……! 魅音(私服): さすがに直近過ぎるし、かといって例の議員がぜひにもと言って開くことになったイベントだから、どうしても代理を立てないとまずいんだよー! 千雨: いや……落ち着け、魅音。まずいって言われても、万が一素人にやらせて怪我や事故でも起きたらどうするんだ? 美雪(私服): んー、いくら素人でも千雨がそんな危ない状況になるって想像が全く浮かんでこないんだけど……? 千雨: そこ、茶化すな。今は真面目な話をしてるんだぞ。 魅音(私服): うっ……言われてみれば、確かに……。 魅音(私服): 華道と茶道がなんとかなりそうだったからこっちもいける、って勘違いしちゃったよ。 ようやく冷静な思考を取り戻したのか、魅音は「あちゃぁ」と声を上げながら頭を抱えてうなだれる。 いずれにせよ、急場しのぎにしても乱暴すぎる代案だ。文字通りの付け焼き刃というやつだろう。 千雨: (……とはいえ、こんな無理を言ってくるのは魅音がそれだけ進退窮まってるってことか) 仲間と呼んでくれた彼女のために、困っているのであれば助けてやりたいという思いは確かにある……だが……。 物事には、限度というものがある。急場しのぎとはいえイベントを成功させるためにも、無理なものは無理と突っぱねるべきだろう。 千雨: っていうか、私の勝手な意見だが……真剣の実演だったらそれこそお前のお母さんと、お祖母さんに頼んだらどうなんだ? 沙都子(私服): そうですわね。あの方々なら、見事な演舞を披露してくれると私も思いましてよ。 梨花(私服): みー。お魎の抜刀術は、若い頃だと銃弾を弾き落とせるくらいの達人レベルなのですよ。 羽入(私服): あ、あぅあぅ……あくまでも若い頃の話なので、今はどの程度なのか誰も見たことがありませんですが。 魅音(私服): あ、いや……その……。 千雨: ? どうした、魅音。 魅音(私服): 実は、お母さんも婆っちゃも……以前園崎家でなんやかんやがあった時に、某所で大立ち回りを演じちゃってさ。 魅音(私服): まぁ、そこでは警察とモニョモニョをしてムショ送りだけは回避できたんだけど……。 魅音(私服): だけど次、衆目のある場所で真剣を持ったら容赦なくしょっ引くからな! って警察から釘を刺されていて……あはは……。 美雪(私服): あーあー、聞こえなーい!私は何も聞いてませーん!! 魅音が告げたとんでもない事実の吐露に私たちは美雪の大声に便乗してそっぽを向き、……数秒前の記憶を吹き飛ばす。 こういう話を聞かせてくる恐れがある彼女と、仮にも警察官の子息の私たちが友達でいても本当に大丈夫なのか……? 不安だ。 千雨: なら、私じゃなくて一穂がやるってのは……ダメだな、危険すぎる。 美雪(私服): いや、相談する前に却下しなくてもいいじゃんか。この中でも数少ない剣道の経験者なんだからさ。 千雨: お前はそう言うが……なぁ一穂、真剣を扱っての藁束斬り……できそうか? 一穂(私服): ……。脚を斬る可能性の方が高いと思う。 美雪(私服): うん、絶対ダメだね。私が間違ってたよ。 一穂(私服): ご、ごめんなさい……。 千雨: はぁ……わかった。他にいい人材もいなさそうだし、引き受けてやるよ。 魅音(私服): おぉっ……助かるよ千雨、恩に着る!それじゃ、早速手配をしておくねー! そう言って魅音は、弾かれたように立ち上がって勢いよく居間を飛び出していった。 美雪(私服): で……本当にいいの、千雨? 千雨: あぁ、なんとかなるさ。藁束くらいなら、振り方さえ間違えなければそんなに難しいものじゃないしな。 美雪(私服): けど、やっぱりブランクがあるのは心配だよ。だからさ、もしもの時は――。 Part 03: 詩音(私服): では、これより真剣による実演――藁斬りを行います。……よろしくお願いします。 千雨: …………。 詩音に促された私は、内心渋々ながらも表情には出さないよう頬あたりに力を込め……用意された場所へと足を踏み入れる。 目の前に居並ぶのは、真剣で斬る標的の数々だ。柔らかい藁の束なので、剣さばきさえぶれなければ素人でも簡単に斬れる……と聞いていたが……。 千雨: (って……おいおいおいっ!標的が藁の束じゃなくて、竹になってるぞ?どういうことだ、詩音?!) 思わず叫びそうになったが辛うじて声を飲み込み、私は少し離れたところに立つ詩音に目配せを送る。 すると彼女は、一瞬きょとんと目を瞬かせたものの私が不安に感じているとでも思ったのか……。 詩音(私服): (がんばです、千雨さんっ♪) 満面の笑みを浮かべながら、親指を立てて励ましてきた。 千雨: (……って、そうじゃねぇぇええっ!なんだそのどや顔、親指へし折ってやろうかっ?つか竹じゃなくて、お前の首斬るぞこの野郎?!) そんな怒りを込めて力一杯睨んでやったが、詩音は観客に顔を戻してしまって……気づかない。 とりあえず、まずは気持ちを静めよう。このままのテンションで剣を振るえば、動きがぶれて逆に危険になってしまう。 千雨: (……。さて……) 頭が冷えて思考が地球に戻ってきたところで、私は目の前に並ぶ竹の標的に視線を戻す。 藁束斬りから竹斬りとなると、難易度が2から3ほどランクアップする。もちろん私には、その経験がない。 少なくとも今の腕では、難しいではなく無理だ。となると、ここは……。 千雨: (仕方ねぇ……ここは美雪のアドバイス通り、「イカサマ」を使わせてもらうとするか……ッ!) 私は覚悟を決め、ゆっくりとした動作で剣を抜く。 ……と同時に、鞘を持つ手を動かしてあらかじめ腰紐に挟んでおいた『ロールカード』を観客に見えないよう、指の間に挟み込んだ。 千雨: えぇと……『ロールカード・エスカレーション』……だったか? その言葉を口の中で転がした次の瞬間、片手持ちに構えた真剣の鍔元から切っ先にかけてほのかに青白い光が迸っていく。 それを確かめてから、私は「カード」を戻すと真剣を両手持ちに変えて大上段に構え……気合いとともに、袈裟懸けに振り下ろした!! 千雨: はあぁっっ!!……ふんっっ!! 標的の中央を斬り落とし、切っ先が地面につく前に返す手で今度は逆袈裟に真剣を振り上げる。 その斬撃は、傾いて落ちかけた標的の上部を捉え……気持ちいいほどの手応えで、それを真っ二つにした。 観客の若い男: なっ……す、すごい……! 観客の老人: まだ若いお嬢さんなのに、なんて刀さばきだ……! 観客たちが口々に声を上げ、驚きと賞賛のため息を漏らすのが私の耳にも届いてくる。 千雨: ……っ……! そんな反応にあえて気づかないふりをして、私が無言で真剣を鞘に収めると……一斉に、割れんばかりの拍手が響き渡った。 観客の老人: お見事……素晴らしいぞ、お嬢さん! 観客の若い男: 藁束ならともかく、竹を斬るって相当の腕じゃないか……! なんて観客たちの無責任な賛辞を聞き流し、私は一礼をしてから爆発寸前の怒りを隠しつつやや足早に舞台の袖へと引き上げていった……。 詩音(私服): お疲れ様でしたー、千雨さん!1週間とはいえ鍛錬の成果が、見事に出ましたね♪ 千雨: …………。 詩音(私服): あれ……どうかしましたか、千雨さん?私のことをまるで、親の仇を見るような目で睨んできているように感じるんですが。 千雨: 仇ではないが……そうだな。今すぐこの真剣で、お前の首を斬ってやってもいいんじゃないか……? くらいは思ってるぞ。 詩音(私服): は……?あの、冗談抜きに本気で怒っているようですが何かまずいことでもありましたか……? 千雨: あの竹の標的だ。真剣の試し斬りは藁束が基本なのに、なんでアレになったんだ? 詩音(私服): えっ……?! 魅音(私服): ごめん……千雨っ!完全にこっちの手違いで、達人向けの標的のまま設置がされちゃっていてさ……! 魅音(私服): 私は茶道と華道の方でかかりっきりで、詩音との情報共有ができていなかったよ……ホント、申し訳ない! 千雨: はぁ……まぁ、そういうことなら別にいいがな。私はてっきり、詩音のやつがイタズラか何かで竹にすり替えたのかと思った。 詩音(私服): まさか……! いくら私でも、お姉の無茶振りを聞いてくれた人にそんな真似はしませんよ。 詩音(私服): ……ただ、気づくのが遅れたのは私も一緒です。本当にすみませんでした、千雨さん。 千雨: あぁ、わかった。とにかくトラブルがなく終わって、良かったよ。 美雪(私服): いやー、それにしても「カード」がちゃんと機能して良かったね~。ぶっつけ本番だったけど、うまくいったでしょ? 千雨: おかげさまでな。助かったよ、美雪。 私は受け取ったタオルで汗を拭いながら、苦笑に近い笑みを返す。 千雨: (一時はどうなるかと思ったが……とりあえずなんとかこなせて、よかった) そんな安堵感とともに、私は少しだけ……ほんの少しだけ、真剣斬りに興味を覚えて。 今度機会があったら本格的に覚えるのも悪くないかなと、内心で呟いていた……。