Part 01: 梨花(私服): っ……はぁ……。 起きるなり、私は大きくため息をついて憂鬱な思いで頭を抱え込み……くしゃり、と前髪をかきあげながら額の汗を拭う。 ……このところ、気分が優れない。風邪を引いているわけでもないのに、全身がだるくて頭痛が続いている。 一応、直接の原因はわかっていた。最近おかしな夢を見てばかりで眠りが浅く、どうにも休んだように思えないせいだ。 ただ……忌々しいことに、その内容が思い出せない。目覚めると同時に苦しめていたものは存在を消して、その正体がわからなくなってしまう。 だから、夢の推移や結末さえ跡形もなく……私が何に苦しんでいたのか、悲しかったのか、怖かったのか、悔しかったのか……? 何もかもが不明のままなのに、感情だけが起きても残り続けて……絶望が刻み込まれる。 そんな繰り返しのせいで私は参ってしまい、近頃では夜が近づくたびに気が沈んできて……寝るのが正直億劫に感じるほどになっていた。 梨花(私服): (いったい何なの、この感じは……?) わからない。得体の知れなさだけがあり、どうにも苛立ちが収まらなくて……「怖い」。 最初のうちは、疲れていることで記憶の混同が生じ悪夢になったのだ――と自分に言い聞かせていたが、それで納得が得られても解決には全く繋がらず……。 考えるから余計に深みにはまるのだ、と思って何も頭の中に描かないようにしても……結局は、同じ。完全に八方塞がりの状態に陥っていた。 羽入(私服): あぅあぅ……どうしたのですか、梨花?最近は寝苦しさを通り越して、夜にうなされている様子なのですが。 梨花(私服): そうなの?……まぁ、やっぱりそうなんでしょうね。 羽入にそう言われた私は、さもありなんと素直にその指摘を受け止める。 弱みを見せたようであまりいい気分ではないが、この状態で「ぐっすりとよく寝ていた」と言われたほうがずっと不気味な話なので、むしろ安堵すら感じていた。 梨花(私服): ここのところ、あまり寝付きが良くないのよ。深夜番組を見たり、ブドウのあれを飲んだりしたわけでもないのにね……。 日常生活でも、そこまで疲れを感じるようなことは特にしていない……と思う。 梨花(私服): (しいてあげるのなら、もうすぐ行われる#p綿流#sわたなが#rしの奉納演舞に向けた練習くらいだけど……) あれも適度に休みを取りながら進めているので、そこまで負担に感じているわけでもない。……心当たりらしきものが、まるで思いつかなかった。 羽入(私服): ……気休めにしかならないかもしれませんが、一度診療所に行って入江に見てもらったほうがいいと思うのですよ。 羽入(私服): 入江なら、心療的な知識もあると思いますし……彼らの研究において梨花は重要な存在ですから、無下にはされないはずなのです。 梨花(私服): ……そうね。貴重な実験動物に死なれたりでもしたら、せっかくの研究が無駄になってしまうでしょうし。 羽入(私服): 梨花……。 梨花(私服): ……言葉が過ぎたわね、謝るわ。 素直に非を認め、羽入に謝る。……確かに思考が皮肉を通り越して、毒づきが酷い。精神が相当危ないところにきているようだ。 ここは羽入の勧め通り、診療所で処方をもらったほうが最善でなくとも無難だろう。そう思って私は立ち上がり、外出の準備を整え始めた。 梨花(私服): そういえば、沙都子はどうしたの?起きた時から姿が見えないんだけど。 羽入(私服): 詩音と一緒に温泉宿に泊まって、屋敷のアトラクション内容の企画を考えると昨日言っていたはずなのですが……。 羽入(私服): ……まさか、覚えていないのですか? 梨花(私服): あぁ、そうだったわね。うっかりしていたわ。……そんな顔をしなくていいわよ、羽入。起き抜けで、記憶が混同していただけだから。 深刻そうに表情をかげらせる羽入に、私はそういって無理やり笑顔を作ってみせる。 梨花(私服): (昨日診療所で定期検診を受けながら、あの子が言っていたのを直接聞いたはずなのに……私も、焼きが回ったってことかしら) いずれにしても、この話を深く掘り下げるのは羽入に心配を与えるだけでしかない。そう思って私は、話題を変えることにした。 梨花(私服): (……そうだわ) 定期検診のことを思い出したことで私はふと、以前から抱いてきた「疑問」を記憶から呼び起こす。そしてこれ幸いとばかりに、羽入に尋ねかけた。 梨花(私服): ねぇ、羽入。以前から、ずっとあんたに聞いておきたかったことなんだけど……この機会にひとつ、質問してもいいかしら? 羽入(私服): あぅあぅ……なんでしょうか? 梨花(私服): #p雛見沢#sひなみざわ#r症候群の研究に協力してほしい、って入江や鷹野から相談を持ちかけられた時……あんたは反対しなかったわよね。 梨花(私服): それって、どうして?あんたが症候群のことを明かしてもいいと判断できるような、何かがあったのかしら……? 羽入(私服): あぅあぅ……どうしたのですか、梨花?今になって、そんなことを聞いてくるなんて。 梨花(私服): ちょっと頭に浮かんだから、聞いてみたくなっただけよ。答えづらいんだったら、深くは聞かないけど。 その言葉の通り、正確な答えを欲したわけではなくあくまで場つなぎ程度の会話だ。私はそう思って、期待もしていなかったのだけど……。 羽入(私服): ……隠し立てするようなことではないので、別にお話をするのは問題ないのです。 羽入が明かした内容は、自分でも意外に感じるほどちゃんとした理由に基づいたものだった。 羽入(私服): 以前、どこかで話したかも知れませんが……僕は過去の記憶の大半を、失っています。 羽入(私服): この「世界」にどうやって来たか、などの節目におけるものは断片的に残していますが……それ以外については、曖昧なままです。 羽入(私服): ですから、この雛見沢症候群がこの地においてどのような役割を果たしているのか……。 羽入(私服): 人の子の知恵を通じて、把握しておきたいと考えたのですよ。 梨花(私服): ……そうだったのね。あんたって、昔のことは覚えていないって以前言っていたような気がするけど……。 梨花(私服): この村に私が生まれる前から蔓延している、風土病の由来とかもその中に含まれる……か。 羽入(私服): ……。時間をもらえたら、ある程度の範囲であれば記憶の復元が可能です。あなたが知りたいのであれば、ですが……。 梨花(私服): 別にいいわ。どうしても知っておきたいわけでもないし、この体調で聞いたところで役には立たないでしょうしね。 梨花(私服): それじゃ、ちょっと行ってくるわ。魅音には体調次第で午後から登校するかも、って伝えておいてちょうだい。 羽入(私服): あぅあぅ……無理はせずに、休んだほうがいいと思うのですよ。今日の梨花は、やっぱり様子がおかしいのです。 梨花(私服): ……っ……。 そんなふうに羽入が気遣ってくるのを背中で聞き流し、私は靴を履いて家を出てから神社の方へと歩いていく。 忌々しいほどに、いい天気だ。……この陽気にあてられて倒れたりしないよう、私は精々気を引き締めながら足元に力を込めた。 Part 02: いずれにしても、原因不明の体調不良を素人考えで判断したところで、何も解決はしない。 そう考えた私は、羽入が勧めた通りに善は急げ、と自転車を走らせて診療所へと向かうことにした。 梨花(私服): っ……着いた……。 駐車場の空いたスペースに自転車を停め、私は大きくため息をつく。 いつも以上に距離が長く感じられた道中だったが、何度も自分を励ましてなんとか無事に到着できた。 梨花(私服): ……っ……。 診療所の入口のドアを押し開け、中に入る。時間が少し遅かったので混んでいると思ったのだが、待合室にはなぜか誰の姿も見えなかった。 鷹野: あら……? 梨花ちゃんじゃない。今日はどうしたの? 梨花(私服): みー……体調を崩してしまったようなのです。今日、入江は診療所にいますですか? 鷹野: えっと……せっかく来てもらったのに申し訳ないんだけど、入江先生は東京での学会に出席することになっていて、今日は休みなのよ。 鷹野: 一昨日の検査の時に、そのことをあなたたちにも伝えたつもりでいたんだけど……覚えてなかったかしら? ……またしても記憶忘れか。ひょっとして若年性の健忘症にでもかかったのかと疑いたくなるくらいにうっかりの連続だ。 梨花(私服): ……ごめんなさいです。ちゃんと聞いていなかったのかもしれないのですよ。 鷹野: どうやら、そのようね……。あの時から梨花ちゃん、様子がおかしい感じでちょっと心配していたのよ。 鷹野: 本当は今日、休診の予定だったんだけど……私でよかったら、少し診てあげましょうか? 梨花(私服): みー……鷹野が、ですか? それを聞いて私は、気分が悪いせいでうつむきがちだった顔を上げ……鷹野に視線を向ける。 診療所での勤務こそ看護婦として働く彼女だが、実際には入江と同じ医師としての免許を持っている。だから診察をしてもらうには、何の問題もない。 そう、問題はない……はずなんだけど……。 梨花(私服): (……なぜだろう? 最近、彼女に対して妙な警戒心がわいてしまっている……) #p雛見沢#sひなみざわ#r症候群を解明するため、この地に蔓延している病原因子を研究する者……それが、鷹野三四だ。 そのため、女王感染者である私の身体を毎回事細かに分析し……時には解剖寸前まで手を伸ばしたこともあった。 ただ、それは彼女なりに雛見沢症候群を究明したいという真剣な思いの裏返しであるため、私もその想いを尊重して協力してきたのだ。 だから、その点についての恐怖心は特にない。実際に解剖と言っても苦痛を伴うようなことは避けられ、まして命の危険を感じることもなかった。 ただ……確かに気になることは、いくつかあって……。 鷹野: ……? 大丈夫、梨花ちゃん?本当に顔色が悪いように見えるんだけど……。 梨花(私服): ……ごめんなさいなのです。気分が悪くて、……みー……。 鷹野: 謝らなくてもいいのよ。体調が悪い時に、遠慮する必要なんてないんだから。 鷹野: すぐに診察できるよう、準備するわ。梨花ちゃんはそこのソファで横になっていて。 そう言って鷹野は踵を返し、早足で診察室へと駆け込んでいく。 その後ろ姿を見送ってから私はソファに腰を下ろして目を閉じ、覆ってきた闇に意識を沈ませていった……。 …………。 梨花(私服): ……? みー、ここは……。 鷹野: あ……やっと気がついたようね。大丈夫、梨花ちゃん? 梨花(私服): ……っ……? 顔を横に傾けて、天井だけしか見えない視界を声が聞こえた方向へと移動させる。 普段だと、入江が使う診察室の椅子。そこに鷹野が座っているのが目に映った。 鷹野: よかった……顔色も、少し戻ったみたい。待合室に戻った時は血の気がなくなって真っ白になっていたから、本気で心配したのよ。 梨花(私服): ……ボクを、運んでくれたのですか? 鷹野: えぇ。……最近、あまり眠れていなかったようね。無断で申し訳ないけど、点滴処置をさせてもらったわ。 その言葉の通り、右腕には点滴の管が刺さっている。……頭上の瓶の中の残量は、あと1cmほどだろう。 鷹野: 深夜番組でも観て、夜更かしをしていたのかしら?だめよ、子どものうちからそんな癖をつけちゃ。 そう言って鷹野は、くすくすと穏やかに笑いながら机に向かい、ペンを走らせている。 私のカルテを作っているのか、それとも他の仕事を合間に片付けているのか……ベッドに横になったここからだと、よくわからなかった。 梨花(私服): ……心配をかけて、ごめんなさいなのです。近頃ずっと変な夢を見て、よく眠れなくて……。 鷹野: 夢……? それって、どんな内容? 梨花(私服): よく覚えていないのです。怖くて、恐ろしかったという印象と感情だけは残っているのですが、詳しい内容までは……。 鷹野: ……。おそらく、あまりに刺激が強すぎるから脳が記憶することを拒否しているんじゃないかしら。覚えていてもいいことはない、と判断してね。 梨花(私服): みー……そんなことって、あるのですか? 鷹野: えぇ。睡眠中と言っても、脳は情報の整理のために動いているものだしね。 鷹野: ただ……無意識下の時の脳は、基本的にないものを生み出したりはしない。今までに見たものや聞いたものを体験などを土台にして、お話として構築する。 鷹野: そこに、本人が一番強く抱いている感情が混ざって映像化される……といった塩梅かしら。 鷹野: 言ってしまうと、その感情を整理して分析するために生み出されたのが、夢……時には悪夢といったものよ。 梨花(私服): ……思い出すことは、できないのでしょうか。 鷹野: 意識をコントロールすれば、できないこともないでしょうけど……やらなくてもいいというのが脳の判断なんだから、思い出す必要はないと思うわ。 鷹野: 人間は、必要のない記憶をどんどん隅に押しやっていくものだから……あえて引っ張り出してきても、役に立つようなことはほとんどない。 鷹野: 要するに、忘れてしまうのが一番でしょうね。だからあまり気にせず、休んでしまうのが一番よ。 梨花(私服): みー……そうさせてもらうのですよ……。 私は鷹野のアドバイスに従い、まだ残っていた眠気を掘り起こして目を閉じる。 そして微睡みからゆっくりと、意識を闇の底へ沈めていった……。 鷹野: おやすみなさい……梨花ちゃん。そして――。 Part 03: 鷹野(感染発症): ようこそ、私のための「世界」へ……!くすくす……あっははははははっ!! 梨花(巫女服): ……っ……?! 禍々しい表情で哄笑する鷹野を目前にして、私は呆然とその場に立ち尽くす。 周囲を取り巻くように燃える、業火の炎。闇が支配する中で紅蓮に照らされた彼女は、まさに悪魔……。 いや、それを凌駕した『邪神』と化していた……! 梨花(巫女服): ……ぁ……あぁっ……?! ……全身が震え、弾けるように激しい胸の鼓動。炎のせいで灼熱が風となって吹きつけてくるのに、まるで氷水でも浴びせられたような冷たさを感じる。 でもそれは、目の前に広がる地獄への恐怖からもたらされたものではない。むしろ……むしろッ! 梨花(巫女服): (これだ……これだったんだ!私を連日連夜苦しめてきた、悪夢の正体は……ッ!!) 思い出せなかったことが、悔しい。思い出してしまったことが、悲しい。 でも、なんで、なんで、なんでッ……?! どうしてこの地獄を引き起こしたのが、わずかでも救いをもたらしてくれたあの鷹野なんだっ?! 鷹野(感染発症): くすくす……梨花ちゃん。本当の悪夢をその目にした気分は……どうかしら? 梨花(巫女服): た、鷹野……これは、いったい……?! わきあがる疑問が次から次へと頭を駆け巡り、何から聞けばいいのか、どう尋ねるべきかがわからなくて……私はそれだけを、やっと絞り出す。 すると鷹野は笑みを消し、私のことを冷ややかに見つめてから……ぽつりと、呟くように言った。 鷹野(感染発症): ……本当に、覚えていないのね。あれだけ私を追い詰めて、願い続けてきた夢を見事なまでに打ち砕いてくれたのに……。 梨花(巫女服): ……えっ……? 鷹野(感染発症): 私はね……ようやく見つけたのよ。私が私らしい、夢のありかというものをね。そして、そのための力も手に入れた……! 鷹野(感染発症): 今、ようやく……私は復讐を果たす!神に選ばれた者を地上に叩き落とし、自らが神になるためにッッ!! 鷹野(感染発症): そのためにあなたは、私の贄となるのよッ……!あはははは……あーっはははははッッッ!!! 梨花(巫女服): ……っ……?! ぞっとした戦慄を全身に覚えながら、私はまだ理解することを拒絶して……狂ったように高笑いを轟かせている鷹野を見つめる。 なぜだ……どうしてなんだ……?忘れてしまっていた記憶の全てを思い出したからこそ、絶望を伴った疑問が押し寄せてくる。 以前の「世界」で、私は……私たちは鷹野の企む巨大な陰謀をあばき、力を合わせて彼女に打ち勝ったはずだ。 その上で鷹野の境遇、そして信念と思慕の深さを知ったことでそれまでの憎しみも、怒りも昇華してわかり合えたと思っていた……そう、思っていたのだ。 なのに……それなのに、これは何だっ?! 私の周りには、もはや物言わぬ躯と化した仲間たちが血まみれになって転がって……! そして鷹野は、もはや人とは思えぬほどの狂気に満ちた光をその瞳に宿して……恐ろしく巨大な闇を、その背にまとっている……?! 梨花(巫女服): 鷹野……三四……っ……! 梨花(巫女服): どうしてなのです……どうしてなのっ?私とあなたは、どうあっても同じ道を歩むことはできないっていうの?! 梨花(巫女服): 私は、あなたのことを認めていた……あなたの夢を実現することを本気で願っていたのに……なんでッ、……あぁっ?! その叫びが全て吐き出されるよりも早く、鷹野の背後の「闇」が私に襲いかかってくる。 それを防ぐこともできず、私は境内の石畳の上に全身を叩きつけられて……激痛と窒息が駆け巡り、思わず気が遠くなった。 梨花(巫女服): っ、……かはっ……?! 口からうめき声とともに漏れ出る、……血の臭い。私は起き上がることもできず、顔だけをなんとか鷹野のいるところへ向ける。すると、 鷹野(感染発症): …………。 鷹野(感染発症): 梨花ちゃん……それが、宿命というものよ。 傲然と私を見下ろしながら、……鷹野は、言った。 鷹野(感染発症): あなたに罪はない……そんなことはわかっている。あなたのことを羨ましいと思うことはあっても、憎んだり恨んだりっていう気持ちは、なかった。 鷹野(感染発症): いえ……実はあったのかしら?でもそれは、ただの私の逆恨みか八つ当たり。えぇ、そんなことはわかっていた……。 鷹野(感染発症): でもね――古手梨花ッ! お前の存在が、言葉が!私の「世界」を否定する限り私たちは、決して相容れないッ!! 鷹野(感染発症): 私を倒すか、あなたが死ぬかッ!この先の未来を決めるのは、ただそれだけ……!だから生きたいのなら、私を殺せッッ! 鷹野(感染発症): さもなくばお前が死ねっ、ここでッッ!!! 梨花(巫女服): っ、……あ、……あぁ……っ……。 梨花(巫女服): うわああああぁぁぁああぁぁぁっっっ!!! ……闇の波動が、全身から吹き出してくる。 それは、瞬く間に私の全身を包み込んで……そして――!! 梨花(巫女服): 鷹野、三四……そこまで、あんたが望むなら……ッ! 梨花(巫女服): 私は、あんたを殺すッッ!!その命を奪って食い破って、踏みにじってやる!!ぅうわああああぁぁぁぁぁああぁつっっ!!! …………。 沙都子(私服): ……梨花? 起きてくださいまし、梨花……。 梨花(巫女服): ……っ……。 沙都子(私服): あぁ、やっと起きましたわね。なかなか目を覚まさないから、心配しましたわ。 梨花(私服): 沙都子……みー、ここは……? 沙都子(私服): ……まだ寝ぼけていますの?早く起きないと、学校に遅刻しましてよ。 沙都子(私服): さぁ、朝ご飯の準備はできていますから布団を畳んでくださいませ。それから、制服に着替えて――。 梨花(私服): …………。 梨花(私服): 夢……だったのですね。でも……。 梨花(私服): 今度は……覚えているわ。はっきりと、ね……!