プロローグ
──こいつは今……何を言ったんだ?
一人の少年は言葉を無くす。周りにいる、他の少年・少女たちもだ。彼らに
──それがどれだけ難しいことなのか、本当に理解しているのか?
少年は右手を握る。
少年の英明な頭脳は思索を始める。
思索の先には獣がいた……可能性という名の獣が。その獣とは、もう一人の自分だった。
偽り、潜み……獲物に飛び掛かる瞬間を、今か今かと待ち続ける。
この獣は叫んでいた。変えたいと。壊したいと。暴れたいと。
伴ったのは
コイツを解き放つのは今なのか? と……。
少年は
少年が戦うべき、本当の敵を。心のどこかで、打倒してやりたかった極上の獲物を。
そして、かつて
勇者が示したのは、少女の夢見た世界だった。
弱者に優しい、弱者がいても良い場所だった。
でも……少年はそれがどれほど難しい事なのかを知っていた。
「それが何を意味するのか分かっているのか?」
少年の口が思わず動く。勇者は笑った。事もなげに答える。
「ああ。
少年の
ひまわりの花みたいに笑う少女と────目の前の勇者が重なった気がした。
少年は気付かない。自分の口元が、
「世界中のヘキサを救う。そのために……君たちの力を貸してほしい」
この時は誰も分からない。少年自身もまた、
彼こそが、この世界を救うかもしれなかった本物の勇者で……
自分こそ、この世界を壊すことになる