Part 01: さて。過去へタイムトラベルしたという行為だけでもとんでもなく不思議体験に違いないが、そこで起きた真実なのか妄想なのか、実に判断し難い事象を見てきたその後のこと。 ある日の日曜日、俺は明日の月曜に提出予定の宿題が先々週に出されていたことを朝飯を食い終わってから思い出し、面倒に思いながら部屋に戻って鞄の中身を確かめたところ……。 さらに面倒なことに、その課題の問題集は先週末帰る時に荷物が重すぎて部室に置いてきてしまったことが判明して、こうして学校に向かっている最中だった。 キョン: ……暑い。 学校まで続く坂道を誰かの流行曲の歌詞のように登りながら、俺は額に浮かんだ汗をタオルで拭う。 ここに来るまでの間で、すでにタオルはぐっしょりだ。絞れば「じわり」ではなく「だばぁ」と液体が出てきそうだが、さすがに汚いのでやらないことにする。 まだ夏に入ったばかりだというのに、今日は暑すぎだ。これでは夏休み頃の気温がどうなるか、考えるだけでも恐ろしい。さっさと秋になって、その後すぐ春が来ればいいのに。 キョン: ……参ったな。こんなことならあの時、無理してでも持って帰ってくればよかった。 おそらく今日よりは涼しかった……ような気がする当時のことを思い返して、俺はため息をつく。 このまま忘れてばっくれることも考えたが、よりにもよってこの課題を出した教師はルールに対して厳しい。ほぼ間違いなく、明日の放課後は補習決定になるだろう。 今晩に苦しむか、それとも明日に苦しむかの違いだけなので負担が減るどころか、むしろこうして暑い中を歩いている分こっちの方が疲れるのだが……放課後、というのが問題だった。 もし万が一、「あの」ハルヒがまた何かよからぬことを思いついて俺たちに号令をかけ、どこかに出かけるなり何かをするなりといった計画を言い出した時……。 そういった場面で不在だと、およそとんでもない内容がこちらの意思や#p思惑#sおもわく#rなどを蹴っ飛ばした上で勝手に決められ、頭を抱えざるを得ない状況になる危険性が大いにある。 確率としては授業中、教師から前に出て問題を解くようにと指名される程度……と思うが、絶望度としては桁違いなので身構えておくに越したことはない。 というわけなので、俺としては間違いだらけであったとしても今日中に宿題を終わらせておくことが最善かつ無難ととらえ、暑さとのトレードオフで学校へ向かうことにしたのだった。 キョン: ……ん? ハルヒ: あら、キョンじゃない。 しかし……だからといって、これは予想外だった。今日は休日のはずなのに、部室にハルヒがいたからだ。 ハルヒ: ……何よ。黙ったまま人の顔を見て、気持ち悪い。 キョン: 気持ち悪いって……お前な。 1週間足らずとはいえ、久しぶりに顔を合わせた団員に向ける言葉なのかよと毒づきかけたのをなんとか抑え、俺はいつもの席につく。 そしてロッカーを開け、探し求めていた件の参考書と課題の冊子がしまわれているのを確かめるとそれらを取り出し、持ってきた鞄の中に詰め込んだ。 ハルヒ: …………。 その一連の動作を、ハルヒが机に肘をついて顔を支えながらじっと見つめてくるのが視界の端に映る。 キョン: ……黙って見てくるのは気持ち悪いんじゃなかったのか、おい。 ハルヒ: あたしはいいのよ。ちゃんと意図があって見てるんだから。 だったら、さっきの俺はお前に見惚れていたとでも言うつもりか。恐ろしいほどに自信過剰だな。 キョン: で……ハルヒはなんで、今日学校に来てるんだ? ハルヒ: 別に。あんたには関係ないでしょ。 だと思った。まぁ相変わらずの反応ではあったが、それでも今日は少しご機嫌斜めの様子だ。 とりあえず、触らぬ神に#p祟#sたた#rりなし。そう考えた俺は無駄に時間を費やすことなく部室を出ていこうと鞄を肩に下げようとして――。 ハルヒ: ……あのさ。 まさか話しかけられるとは思ってもみなかったので、驚いてつい鞄を取り落としそうになった。 ハルヒ: なによ。 キョン: あ、いや……なんでもない。どうした? ハルヒ: 夢を見たわ。あの#p雛見沢#sひなみざわ#rの夢よ。 キョン: ……そうか。 努めて素っ気なさを振る舞いつつ、怪訝な思いでハルヒにそっと目を向ける。 ひょっとして、彼女はあの時の記憶を今になって思い出したのだろうか。……ただ、それにしては落ち着いているようにも見える。 俺は探りを入れてみようと思い、軽い口調を意識して無難なところから尋ねてみることにした。 キョン: なんだ。幽霊が出てくる悪夢でも見たってのか? ハルヒ: 幽霊が出てきたほうがまだましよ。それくらいに酷い悪夢だったわ。 キョン: ほぅ。……ちなみに、どんな内容だったんだ? ハルヒ: 言いたくない。話したところであんたに嫌な思いをさせるだけだし。 キョン: ……。なら、無理に聞かないほうが良さそうだな。 俺はそういって、これ以上深入りすることを諦める。 これまでの付き合いでわかったことだが、ハルヒは妙なところで気を遣うのだ。破天荒で支離滅裂でも、他人を傷つけるようなことは基本的にしない。 だったら朝比奈さんや、コンピュータ研に対する狼藉はなんなんだ、とツッコミが返ってきそうだが……あれも一応彼女の中で踏み込んでいいラインを設定している、のだと思う。 たとえるなら……そう、ペットを可愛がって色々と世話を焼いたりして、一々反応を求めたりするようなうざい有閑マダム――とでも言えば適切だろうか。 いや、ちょっと待て。その例えだと朝比奈さんはSOS団のペットということになるじゃないか。なんて失礼な。 ……自分でボケて突っ込んで、何をやってるんだ俺は。ともかく、ハルヒがそう言って口をつぐむということはよほど酷い内容であったのだと窺い知ることができた。 ハルヒ: ……そういえばあんたに、話したことがあったっけ。あたしがなんで、幽霊を見たいって言い出したのか。 キョン: いや……聞いた覚えはないな。 どうせまた、退屈な日常に刺激を求めて……とか、いつもの理由だろう。 そう思ってあまり期待せず、とりあえず雑談をして気を紛らせたいのなら少しくらい付き合ってやるかと思った俺は、目の前の椅子に座り直して――。 ハルヒ: あたしは知りたかったのよ。もし魂っていうものが本当にあるんだったら、死んだ人の意思とかはどうなってるのかな……ってね。 ……予想していたよりも重い理由だったので、逆に驚いてしまった。 Part 02: やぶ蛇だったかもしれないと多少の後悔は覚えたが、真剣に話すハルヒにいい加減な態度はできない。そう思って俺は気持ちを改め、居住まいを正して向き直った。 ハルヒ: あそこの村に出るっていう幽霊って、噂が本当だと自然災害か何かの陰謀に巻き込まれて命を落とした人がそうなったって話でしょ? ハルヒ: つまり本来は、死ぬはずがなくて……病気や事故、事件に巻き込まれることがなければあたしたちのこの時代に生きててもおかしくない人たちだった。そういうことよね? キョン: まぁ……そうだな。それで? ハルヒ: そもそも幽霊って、この世に恨みや心残りがあるから成仏ができなくて……霊として留まったものっていうのが昔から定番化された説として言い伝えられてるわ。 ハルヒ: だからもし、あそこで幽霊が出るのだとしたら死んだ人たちには当然、いろんな心残りがあったはずよ。だって自分の意志とは関係なく、命を失ったんだもの。 ハルヒ: そんな人たちの魂と出会うことができたら死後はどんな感じで、どんな気持ちで過ごしてるのか……話を聞いてみたいと思ったのよ。 キョン: ……。なんでお前は、そんなことを思い立ったんだ? ハルヒ: なんとなくよ。……あたしは、いずれ寿命が来て死ぬ。もちろんあんたも、ここにいるSOS団のみんなも。 ハルヒ: その時までに誰かを殺したい、傷つけたいって恨みや憎しみの感情は絶対に持ちたくないけど、心残りはきっと……あると思う。 ハルヒ: だから、幽霊になった人と会話ができたら……どうやったら幸せになって、納得できたのかを聞いておきたかったのよ。 キョン: ……幽霊の気持ちを知る、か。かなり怖いが、確かに一度は聞いてみたいことだな。つまりハルヒは、天国を信じてないってわけか? ハルヒ: 信じる信じない以前に、天国になんて行きたくないわ。 ハルヒ: だってみんなが平等に幸せな暮らしをするって、要するに自分の感情を押し込めて他人に合わせろってことでしょ?そんなの退屈に決まってるじゃない。 キョン: みんなが幸せだって思える状況ってのは、それぞれ自分のやりたいことを我慢してこそ成立する……? ハルヒ: そうよ。自分がまず幸せになろうと思って動けば、その分誰かが少しずつ不幸せになることは避けられない。だって幸せって、定数が決まってるものなんだから。 ハルヒ: みんなが幸せであればいいなんて、結局のところ何かを我慢してる裏返しなのよ。自分の気持ちを偽りながら長い時間を刺激もなく過ごすなんて、あたしは御免だわ。 キョン: なるほど。他人の都合なんて我関せずを貫く、お前らしい考え方だな。 ハルヒ: だってそうでしょ? 誰かの都合を自分の解釈で忖度してみたって、それが相手のためになるなんて結局は受け取る本人の気持ち次第じゃない。 ハルヒ: そんな不確かで、自己満足に染まりきったお為ごかしをするために自分のやりたいことを我慢するくらいだったら、あたしはあたしの好きにやらせてもらう。そう決めたのよ。 キョン: ……そっか。 そのあたりで無難な生き方、当たり前の選択をしないで自分の信念を押し通すところはさすがハルヒだと改めて思う。 そして、自分の悩みに対して逃げたりごまかしたりせずに真正面からぶつかって答えを見つけ出そうと足掻くさまは、ある意味で狂人と見られても仕方がないのだろう。 だからこそ……俺には、わかった。こいつが今抱えている不安と、恐怖の正体ってやつが――。 キョン: ハルヒ。……お前は死んで、幽霊になるのが怖いか? ハルヒ: 当然じゃない。いろんな記憶や知識、人格……自分が培って大事にしてきた全てのものがなくなって、心残りだけになっちゃうのよ。 ハルヒ: そんな後ろ向きの思いだけで、いつまでも現世にい続けて何が楽しいのかわからない。だからあたしは、……っ。 そこまで話してからハルヒは唐突に口をつぐみ、視線を机の上に落としたまま何も言わなくなる。 何でもできるからこその、渇望感。誰よりも考えて気づいてしまったことによる、虚無感。 一般人である俺にとって、それがどれだけ苦痛で退屈を強いられるものであるのかはわからないし、想像もできない。 ただひとつ、仲間として一緒にいる俺が僭越ながらもこいつに言えることがあるとすれば……。 キョン: 目の前にあること、あるかもしれない楽しいことをひたすら追い求める……そんなクラブやサークルがあればいい。なければ自分で作ればいい。 キョン: そう考えて、俺たちを巻き込んで立ち上げたのがこのSOS団――だったよな、ハルヒ? そう言って俺は、顔を上げて目を見開くハルヒに笑いかける。そしてぽかん、と毒気を抜かれたような表情の彼女に向かって昔を懐かしむ思いで続けていった。 キョン: 心残りってのは、何もネガティブなものばかりじゃないだろ。楽しかったから終わらせたくない、嬉しかったから忘れない、大事なものだから手放したくない……。 キョン: そういう独善があるからこそ、心残りができるんだと思う。大事なものを失った時、確かにショックを受けたりするが……同時にもう一度手に入れたい、って励みにも繋がるはずだ。 キョン: もちろん、俺たちのようなSOS団もな。心残りがあるからこそ、もう一度作ってやろうって気持ちが湧いてくると思うんだが……その点については、どうだ? 俺はハルヒに問いかけながら、SOS団を結成した時のことを思い出す。 あの日のハルヒは「ないなら自分で作ればいい」とこの部活を自ら立ち上げるべく行動を開始したのだ。 ただ……大事なものができれば当然、喪われることが怖くなる。慎重になってしまう。 もちろん、それくらいにハルヒが俺たちのことを大切に思うようになってくれた裏返しでもあるので、嬉しくもあるしくすぐったくもあるのだが……。 独善だとしても俺は、最初に出会った時から印象に残っている彼女本来の気高さと快活な魅力も、そのままであってほしい……そんな思いだった。 ハルヒ: …………。 ハルヒ: キョンって、本当に能天気よね。あんたと話してると、色々考えてる自分が馬鹿みたいに思えてくるわ。 そう言ってハルヒは鼻で笑い、うーん、と大きく両手を高く伸ばす。そして大きくため息をつくと、そこにいたのは俺のよく知る彼女だった。 キョン: ところで……なぁ、ハルヒ。ものは相談なんだが、この宿題を手伝ってくれないか?今回の課題、中々厄介なのが揃ってる感じなんだ。 ハルヒ: はぁ? バカ言わないでよ。あたしは忙しいんだから、そんな宿題くらいさっさと片付けなさい。 キョン: そう言うと思った。……だがハルヒ、よく考えてくれ。この宿題さえ片付ければ、また近いうちにお前が立ち上げる何かしらの不思議ツアーへ付き合うこともできる。 キョン: 俺なんていてもいなくても変わらんだろうが枯れ葉も山の賑わいって言うし、ここは団長として力を貸してくれるとありがたい。 ハルヒ: …………。 ハルヒ: いいわ。その代わり、あたしのペースにちゃんとついてきなさいよ。居眠りはもちろんだけど、弱音の1つでも吐いたらはっ倒してやるから。 キョン: 望むところだ。 Part 03: …………。 その日、あたしは夢を見た。舞台はあの、#p雛見沢#sひなみざわ#rにあった分校のグラウンド。 そこであたしは、夢で出会った幽霊……もとい、雛見沢で知り合ったあの子たちに自作のビラを手渡しながら叫んでいった。 ハルヒ: さぁ!生きてる人も死んだ人も、聞いてらっしゃい見てらっしゃい!SOS団の新人、絶賛募集中よ~! ハルヒ: ただの人間には興味ないけど、幽霊のあんたたちなら大歓迎!一緒に不思議なものを見つけて楽しみましょ~! 一穂: す、涼宮さん……? あの、何をやってるんですか? ハルヒ: 決まってるじゃない、部員の募集よ!一穂、あんたって魅音の部活に入って間がないのよね?だったらこっちに転部しなさい、可愛がってあげるから! そう言ってあたしは、数ある村の子たちの中から一穂の手を取り、「えぇっ?」と悲鳴を上げるのも軽く聞き流してぐいっと引き寄せる。 実は出会った時から、この子には目をつけていたのだ。一見普通そうに見えるのだけど、どこかそうじゃないと感じるような空気を身にまとっているように感じて……。 魅音: ちょ、ちょっとちょっと涼宮さんっ!うちの有望な部員を勝手に引き抜かないでくださいよー! ハルヒ: ふっふーん、こういうのは早いもの勝ちよ!あたし、前からこの子の潜在能力は面白そうって思ってたのよねー。 ハルヒ: どう、一穂? 今なら三食昼寝付き、しかも毎食炊きたてご飯を出してあげるわ! 一穂: っ……え、えっと……もう少し、考える時間を……。 美雪: って、裏切る気か一穂ーっ?私たちの友情はご飯よりも劣るってのかぁぁ?! 菜央: ……あんた、最近パン食多すぎなのよ。少しは控えなさいって言ったのに改めないから、ついに一穂もキレちゃったんじゃない? 美雪: おぅっ? そ、それは……。 ハルヒ: とにかく、あたしはほしいと決めたら絶対に譲らないの!どうしてもというなら、勝負して決めましょう! ハルヒ: あたしたちが勝ったら、一穂はSOS団にトレード!どう、文句はないでしょ? 美雪: ……いや、文句ありまくりですよ!そんなムチャクチャ、聞けるわけないじゃないですか! レナ: はぅ……わかりました、ハルヒさん。 魅音: ちょっ……何言い出すのさ、レナっ?負けたら一穂が、ハルヒさんたちのところに引き抜かれちゃうんだよ?! 美雪: そうだよ、レナ!キミは一穂がいなくなってもいいっての?! レナ: あははは、そんなこと思っていないよ。一穂ちゃんはレナの大切な、大好きなお友達……もちろん美雪ちゃん、菜央ちゃんのこともね。 レナ: 魅ぃちゃんや沙都子ちゃん、梨花ちゃん、羽入ちゃん……ここにいる誰ひとりだって欠けてほしくないし、一緒にいたい。 レナ: ……だから、そのためには守らなきゃ。本気でぶつかってこそ、大切だって気持ちが伝わると思うし……伝えたい。 レナ: ハルヒさんもきっと、そんな思いでレナたちと勝負したいって言ってきたんじゃないかな……かな? 美雪: レナ……。 魅音: よーし、この挑戦受けて立った!私たち部活メンバーの団結力と個々の強さ、とくと披露してやろうじゃない! 沙都子: をーっほっほっほっ、こちらこそ喜んで!涼宮さんたちと一戦交えることができるなんて、相手にとって不足なしでしてよ~! 梨花: みー! 全員で力を合わせて、ふぁいと、おーなのです。ボクたちの本気を、しかと見せてやるのですよー! 羽入: ぼ、僕もやってやるのですよ……あぅあぅ……! 魅音: おっ? 沙都子と梨花ちゃんはもちろんだけど、羽入もやる気満々って感じで頼もしいねー! 魅音: で、どうする美雪?正々堂々と勝負を挑まれたからには、こっちもイモを引くわけには行かないと思うけどね……くっくっくっ! 美雪: はっ……冗談! 私がどれだけ、一穂のことを可愛がってきたと思ってるのさ? 美雪: 買ってやろうじゃん……その喧嘩!相手が年上だろうが異世界の神だろうが、黙って引き下がるような美雪ちゃんじゃないっての! 菜央: ……そういう素直な気持ちをもう少しちゃんと表してたら、一穂も心が動いたりしなかったんでしょうけどね。 一穂: えっ? わ、私は別に、浮気なんて……!美雪ちゃんのことは大好きだし、もちろん菜央ちゃんたちだって……わわっ? ハルヒ: だったらあんたたちの思い、ここでぶつけてきなさい!もちろんあたしたちも全員で立ち向かってあげるから、いいわねみんなっ? みくる: え、えっとぉ……あたしはあんまり、暴力的じゃない方が……。 古泉: おや、面白いですね。僕も雛見沢の皆さんの力がどれくらいのものなのか、初めて会った時から知りたいと思っていたんですよ。 有希: ……リミッター解除。全力で対処する。 キョン: いや……俺はほどほどにやらせてもらうぞ。お前らの超人バトルに付き合わされたんじゃ、身体が幾つあっても足りん。 魅音: そうですか?……じゃあハルヒさん、提案です!もし私たちが勝ったら、こっちの部活メンバーにキョンさんをいただきますねー! キョン: なにっ? ハルヒ: いいわよ! キョン: って、お前も即答するな!! ハルヒ: 当然じゃない!向こうが本気を出すって言ってくれてるんだから、あたしたちもそれなりのものを提示するのが誠意よ! キョン: 俺の人権に対する誠意はないのか!? ハルヒ: 何を今からビビってるのよ。あたしたちSOS団が負けるわけないじゃない。そうよね、キョンっ……!? キョン: ……にっこり笑顔で迫ってくるんじゃない。しかも目が据わってて怖いんだが。 美雪: ちょ、ちょっと魅音……なんでキョンさんを指名したのさ? 魅音: いやー……なんとなくあのメンバーの中で一番、ハルヒさんが取られたくない人に見えたからね。 魅音: そういう人を狙い撃ちにするって宣言したほうが、あっちも本気出して面白い勝負ができそうでしょ? 美雪: ……空気の読み方間違ってるよ、魅音。どう考えても火に油を通り越して、ガソリンぶっかけて大爆発レベルの暴挙だって。 菜央: いいじゃない。勝てばいいのよ、勝てば。一穂だってそう思ってるでしょ? 一穂: う……うんっ!私も頑張るから絶対に勝とうね、美雪ちゃん! ハルヒ: じゃあ、対決する種目を選びましょう!あたしの希望は――。 …………。 だから、あんたたち。必ずいつか、どこかでまた会いましょう。 そして今度も、不思議なものを探して……あたしたちと一緒に楽しく遊びましょうね。