Part 01: 魅音(水着): みんな、お疲れ様ー!予想よりお客さんが多くて大変だったけど、なんとか乗り切ることができたよ~! 詩音(水着): それもこれも、皆さんがこの海の家バイトで給仕と調理に力を貸してくれたおかげです。夏休みの忙しい時期、本当に助かりました。 美雪(水着): まぁ、これくらいだったらお安い御用だよ。バイト代も出してもらえるし、魅音たちには日頃から色々とお世話になってるからねー。 レナ(花柄水着): はぅ~、それに、レナたちが作った料理でお客さんが喜んでくれるのを間近で見ることができて、とってもやりがいがあったよ~。ねっ、菜央ちゃん♪ 菜央(パレオ水着): う、うん……そうね、楽しかったわ。 レナ(花柄水着): ……菜央ちゃん? 魅音(水着): うんうん! 特に、さっきも言ったけど菜央ちゃんが提案してくれた「そばめし」がすっごい大ヒットだったねー! 詩音(水着): えぇ。まさか焼きそばと炒飯を合わせた料理が、あんなにも絶妙な味わいになるなんて……正直に言って驚きというか、新発見でした。 詩音(水着): あれって、菜央さんが思いついたレシピなんですか?もしそうだとしたら、すごい料理センスだと思います。 菜央(パレオ水着): あ……あれはあたしのオリジナルじゃないわ。そばめしは神戸の近辺でローカル的な人気がある、地元でのお料理らしくて……。 菜央(パレオ水着): お母さんと以前旅行した時に一緒に食べたことを思い出したから、その味を再現してみただけよ。 沙都子(水着): あら、そうでしたの。菜央さんって、意外に全国のあちこちを回っておいでですのね。まるで水戸のご老公様のようですわ。 梨花(水着): みー。この桜吹雪を見忘れたたぁ言わせねぇぞー、なのです~。 羽入(水着): 梨花……それは別の時代劇作品とごっちゃになっているのですよ。 魅音(水着): いやいや、それでも大したもんだよ!口コミを聞きつけた近隣ホテルの宿泊客まで、海水浴そっちのけで食べに来たくらいだしね。 魅音(水着): いっそ海の家だけの限定料理じゃなくて、#p興宮#sおきのみや#rに帰ってから改めてエンジェルモートの新メニューにしちゃってもいいんじゃない? 詩音(水着): 私も賛成です。オペレーションが難しくない上、既存の食材を使い回せるのも高ポイントですしね。 詩音(水着): この前も、ソースカツ丼……でしたか?あれも簡単な調理でスタッフ全員が対応できて、あっという間に定番メニューになりましたから。 魅音(水着): お隣の県の名物料理だってのに、私たちは存在すら全然知らなかったもんねぇ……。もっと勉強しなくちゃ、って思い知らされたよ。 菜央(パレオ水着): い……いくらなんでも大げさよ、魅音さん。あたしが知ってたのは、本当にたまたまで……。 魅音(水着): あっはっはっはっ、謙遜しなくてもいいって!それでなくてもここ数ヶ月の間、菜央ちゃんには料理関係ですっごくお世話になっているんだしさ。 詩音(水着): ですねー。穀倉の店なんて、今やタウン誌や情報番組で取り上げられるくらいなんですよ?料理が斬新で、しかもおいしいって評判です。 詩音(水着): いっそのこと菜央さんには、正式に全店舗のフードアドバイザーになってもらいましょうか?もちろん、それなりの待遇を約束しますので。 菜央(パレオ水着): っ……いきなりそんなことを言われても、あ、あたしは……っ? 美雪(水着): ……まぁまぁ、詩音と魅音もそのへんで。話があさっての方向に大きくなりすぎて、さすがに菜央が戸惑ってるじゃんか。 詩音(水着): おっと……これは失礼しました。でも、それくらい私とお姉は菜央さんの才能を評価しているってことですよ。 菜央(パレオ水着): 詩音さんにそう言ってもらえると、すごく嬉しいけど……あたしは……。 魅音(水着): んじゃ、そんなわけで……今回の海の家でのバイトMVPは文句なしで、菜央ちゃんってことでいいよねー? 一同: 「「異議なーしっっ!!」」 魅音(水着): では、菜央ちゃんにはMVPの賞品として明日ホテルでの豪華ランチをプレゼントだー! 一穂(ナイト水着): ご……豪華ランチっ?それって、どんなお料理が出るの……?! 魅音(水着): くっくっくっ、それは見てのお楽しみ!ちなみに菜央ちゃん以外は見るだけで、つまみ食いはNGだよ。……いいね、一穂? 一穂(ナイト水着): ふぐっ?ど、どうして私だけを名指しで……っ? 美雪(水着): んー……だって一穂、豪勢な料理を目前にして菜央におねだりとかしない、って断言できる? 一穂(ナイト水着): ……っ……。 一穂(ナイト水着): で、できるよっ!だって、菜央ちゃんのためのランチだもんっ! 美雪(水着): 一穂……もう少し即答できるように頑張ろうよ?菜央が食べにくくなっちゃうじゃんか。 梨花(水着): みー。羽入も、菜央の近くで涎を垂らして物欲しそうな顔をしてはいけないのですよ。 羽入(水着): ぎくっ?そ、そんなことはしないのですよ……! 沙都子(水着): ……本当ですの? 羽入(水着): ほ、本当なのです! 信じてくださいなのですー! 菜央(パレオ水着): …………。 レナ(花柄水着): 菜央ちゃん……。 Part 02: レナ(私服): 菜央ちゃん……どこに行ったのかな、かな?迷子になっていないといいんだけど……はぅ? 菜央(私服): っ……れ、レナちゃん……? レナ(私服): よかった、そんなところにいたんだね。宿のどこにも姿が見えなかったから、探しちゃったよ。 菜央(私服): ごめんなさい……黙って外に出てきて。みんなにも心配かけちゃったかしら。 レナ(私服): あははは、大丈夫だよ。このあたりは電灯もあって、明るいしね。 レナ(私服): それに探していたのは、レナが一緒にお風呂へ行きたかっただけだから。他のみんなは、まだ気づいていないと思うよ。 菜央(私服): ……そう。なら、いいわ。 レナ(私服): ……。隣、座ってもいい? 菜央(私服): えっ? あ、うん……どうぞ。 レナ(私服): ありがとう。このあたりだと砂浜じゃなくて、岩が結構転がっているんだね。 菜央(私服): えぇ。……天然のベンチみたい。 レナ(私服): どうしたの、菜央ちゃん。やっぱりバイトで疲れちゃった? 菜央(私服): 少しだけ。でも、辛いってほどじゃないわ。 レナ(私服): けど……夕方から、元気がないみたいだよ。何か嫌なことでもあったのかな……かな? 菜央(私服): ううん、そういうことじゃないの。今回の海の家バイトは色々と勉強になったし、レナちゃんたちが一緒で楽しかったわ。でも……。 レナ(私服): でも……? 菜央(私服): なんとなく、ずるいことをしてMVPを取っちゃったみたいだから……本当にいいのかな、って。 レナ(私服): はぅ……どうして?レナには、菜央ちゃんがずるいことをしているようには見えなかったけど。 菜央(私服): だって……あたしが今回提案したレシピって自分で作り方を考え出したわけじゃないし、そんなに大したものでもない……。 菜央(私服): なんとなくひらめいて……お客さんが喜んでくれるかなって思って、知ってる料理を出しただけだもの。 菜央(私服): それに……おいしくできあがったのは、レナちゃんのおかげ。沙都子と梨花、一穂だって野菜を切るのを手伝ってくれたわ。 菜央(私服): なのに、自分だけが料理上手だって褒められて他の子の手柄を独り占めしたみたいになったのは申し訳なくて……その……。 レナ(私服): そうなんだ。……ごめんね、菜央ちゃん。あなたが一番頑張っていたって心から思って、レナたちはそう言ったつもりだったんだけど……。 レナ(私服): かえってそれが、菜央ちゃんに嫌な思いをさせちゃっていたんだね。……ごめんなさい。 菜央(私服): あっ……れ、レナちゃんが謝る必要なんてないわ!悪いのはあたしで、今回の賞品だって辞退すればそれですんだはずだし……。 レナ(私服): あははは。それは魅ぃちゃんたちに失礼だよ。だって今回の賞品は、一番頑張ってくれた人を表彰しようって企画してくれたものなんだもの。 レナ(私服): だから菜央ちゃんは、レナたちに遠慮しないで堂々とご褒美を受け取ってほしいかな……かな。 菜央(私服): ……わかったわ。レナちゃんがそう言うなら、受け取るのがきっと正しいことなのよね……。 レナ(私服): はぅ……正しい? 菜央(私服): あ、えっと……。 菜央(私服): ……あたしね。よく、わからないの。 菜央(私服): 今まで、その……ご褒美をかけて友達と競い合って、遊ぶことなんてなかったから。 レナ(私服): ……東京のお友達とは、あんまり遊んだりしなかったのかな? かな? 菜央(私服): ううん……友達がいなかったわけじゃないわ。学校とか塾とか、喋る子はたくさんいたから。 菜央(私服): でも、こんなふうにお休みの日とかに友達と出かけたことって……記憶になくて。 菜央(私服): だからレナちゃんたちと海に来て、いろんなことするのがすっごく……すっごく楽しくて。でも……。 菜央(私服): ……間違えた行動をして、みんなにがっかりされたくないの。 レナ(私服): 間違えた、行動……? 菜央(私服): せっかくの楽しい時間を、あたしのせいで台無しにしちゃったらどうしよう。悪目立ちとかして、嫌な思いをさせて……。 菜央(私服): もう、あたしと遊びたくないって言われて……これが最後になったりしたらどうしようって考えると怖くて、不安で……っ……。 レナ(私服): …………。 菜央(私服): ……ごめんなさい。せっかく楽しい気分で遊んだ一日の終わりに、こんな後ろ向きなことを言っちゃって。 菜央(私服): でも……今が楽しくて幸せだって思えば思うほど、その反動のことばかりに意識が向いて……だからっ……。 レナ(私服): ……その気持ちは、レナもわかるよ。今が幸せだって感じる分、喪われることが怖くなることって……あるよね。 レナ(私服): けど……はぅ。今の話を聞いて、レナは菜央ちゃんのことがもっと好きになったかな……かな。 菜央(私服): ほわっ……?す、好きって……どこが? 何が?! レナ(私服): あははは。そうやってレナや他の子たちのことを、とても大事に考えてくれるところだよ。 レナ(私服): 菜央ちゃんは本当に頑張り屋で、料理と服のデザインの才能はその努力の積み重ねで培ってきたものなのに……全然、ひけらかさない。 レナ(私服): むしろ、自分の成果は他の人の協力があってこそだと本心から言ってくれる。 レナ(私服): そんな優しいあなただからこそ、周りの人も力を貸したいって考えるんだろうし……素直に褒めてくれるんだと思うよ。 菜央(私服): ……っ……。 レナ(私服): だから、菜央ちゃん……胸を張って。今回の海の家のバイトで一番頑張ってくれたのは、レナもあなただと思う。 レナ(私服): だって、魅ぃちゃんたちから言われたことだけをやっていても十分なのに……菜央ちゃんはお客さんにもっと喜んでもらいたい、って新メニューを考えた。 レナ(私服): 菜央ちゃんは大したことじゃない、他のみんなが協力してくれたからだ、って思っているのかもしれないけど……。 レナ(私服): あなたの提案がなければ、新メニューはなかった。それがすごいことだし、称えられることなんだってレナは心からそう思うよ。 レナ(私服): だからね……間違えてなんかいない。菜央ちゃんは本当に、一生懸命に頑張っていた。 レナ(私服): それに、万が一菜央ちゃんが間違えていたとしても……最後になったりしない。1度や2度の失敗で、レナたちは嫌いにならない。 レナ(私服): だから、間違えることを恐れないで。やり直せるよ……だってレナもみんなも、菜央ちゃんのことが大好きだもん。 菜央(私服): っ……レナちゃん……。 レナ(私服): あと……夜の海って、こうしてずっと見ているとなんだか不安になっちゃうよね。 レナ(私服): 昼は見えていたところが闇に包まれて、見えなくなっちゃうせいなのかな……かな? 菜央(私服): じゃあ……今のこの不安な気持ちは、夜の海のせい……? レナ(私服): うん、きっとそうだよ。レナも、夜の海をこうしてじっと見ていると吸い込まれそうだな、って思うことがある。 レナ(私服): あんな闇の淵に落ちて沈んだら、二度と陸にあがれないような気がして……その怖さが、心まで暗くさせるみたいにね。 菜央(私服): レナちゃんもそんな気持ちになるの?じゃあ……あたしが弱気になるのも仕方ないのかしら。 レナ(私服): うん。だから、みんなのところに早く戻ろう。心配を他に広げすぎないように、ね。 菜央(私服): えぇ……そうね、帰りましょう。ありがとう、レナちゃん。 Part 03: 詩音(水着): はーい菜央さん、こっち向いてください。太陽のような笑顔で! 菜央(パレオ水着): こ、こうかしら……に、にぱー? レナ(花柄水着): はぅ~! 菜央ちゃんかぁいいよ~!!お持ち帰りぃぃ~♪ 梨花(水着): ……みー。まだまだ「にぱにぱ度数」が低いのです。そんなにぱーでは、せっかくの宣伝用のポスターが色褪せてしまうのですよ。 梨花(水着): 本物のにぱーは、こうやるのです。みー、にぱ~♪ 美雪(水着): おぅ……さすが、本家のにぱリスト。付け焼き刃の菜央の笑顔なんかじゃ、とても比較にすらならないね。 菜央(パレオ水着): って、付け焼き刃ってなによ。そもそも「にぱリスト」って?にぱにぱ度数はどういう基準で計ってるの? 一穂(ナイト水着): あ、あははは……私も、今日初めて聞いたよ。 羽入(水着): あぅあぅ~。要するによくわかっていない人を笑顔でごまかし騙す、タヌキ仕草のことなのです。極めても、胡散臭さが増すだけなので……。 梨花(水着): みー……そして笑顔にほんのり赤みをつけるためにあえてキムチを食するのです。もぐもぐ、ごっくん。 羽入(水着): ほ、ほぎゃああぁあぁぁあああっっ?!こ、この灼熱の太陽の真下で辛いものを食べるなんて、あなたは正気じゃないのですよ梨花ぁぁぁあぁっ?! 沙都子(水着): ちょっ……羽入さんっ?お戯れになるのは結構ですけど、そんな砂浜の上で転がっては砂まみれになってしまいましてよ?! 羽入(水着): す、好き好んでゴロゴロしているわけではないのですよ……がくっ……。 美雪(水着): んー……にしても、魅音ってばホテルの豪華ランチが賞品と言いつつ、しっかりランチの風景を広報用写真として撮るなんてさ。 美雪(水着): おまけに、撮影映えする専用の水着まで用意してるなんて……実に抜け目がないね。 魅音(水着): えー、いいじゃんこれくらい。今回のことでうまくいったら、次の旅行はホテル側でもっと豪華にしてもらうつもりだからさ! 詩音(水着): それにしても、お姉。あんなトロピカルな水着をよく調達できましたね。しかも菜央さんのような、子ども向けで。 魅音(水着): いやー、なんかここのホテルがレンタル用ってことで男女子ども用を問わず海外の水着をたくさん仕入れたらしくてさー。 魅音(水着): なかなかエゲつないのもあったから、罰ゲーム用にいくつか買い取らせてもらっちゃった! 美雪(水着): おぅ、エゲつない水着ってなんだろ……紐とか? 一穂(ナイト水着): ひ、紐?! 沙都子(水着): 大丈夫ですわ、一穂さん。罰ゲーム用なんですから紐でも貝でも、勝てば着なくていいんですのよ! 美雪(水着): いや、貝の水着って……人魚姫じゃないんだから。 一穂(ナイト水着): そ……そうだよね。そういうことがあっても、勝って罰ゲームを回避すればいいだけだもんね……っ? 梨花(水着): ……負けフラグの伏線なのですよ、みー。 羽入(水着): ま、また地獄への生け贄を増やすつもりなのですよこの鬼のタヌキ娘は……ぐはっ……? 菜央(パレオ水着): ねぇ、レナちゃん。 レナ(花柄水着): はぅ……どうしたの、菜央ちゃん? 菜央(パレオ水着): 次の旅行……今の話だと、心配しなくてもあるみたいね。 レナ(花柄水着): ……あっ、魅ぃちゃんが言っていた次の旅行は豪華に、ってこと? 菜央(パレオ水着): えぇ。まだ帰ってもないのに、魅音さんはもう次の予定を考えてるみたい。 レナ(花柄水着): あははは、もちろん。だってみんな、楽しいことが大好きなんだもん! 菜央(パレオ水着): そう……えぇ、確かにそうよね。 菜央(パレオ水着): ふふっ……ちょっと、考え過ぎてたみたいね。 菜央(パレオ水着): 明るい昼の海を見てると、昨夜の暗い気持ちがまるで嘘みたいに思えてくるから……不思議よね。 菜央(パレオ水着): 明るい海を見て気持ちが明るくなるなら、逆に暗い海を見て暗くなるのはある意味で当然なのかも……かも。 レナ(花柄水着): 菜央ちゃん……? 菜央(パレオ水着): ごめんなさい、大丈夫よ。昨夜の暗い気持ちなんて、もう吹き飛んじゃったわ。 レナ(花柄水着): はぅ……菜央ちゃんはやっぱり、笑顔の方がかぁいいよぉ~♪ レナ(花柄水着): ねっ、菜央ちゃん。あとで一緒に記念写真を撮ってもいいかな、かな? 菜央(パレオ水着): ほわっ……き、記念写真?! レナ(花柄水着): うんっ。次に旅行に来た時、菜央ちゃんには今とは違う水着を選んであげたいから。……ダメかな? かな? 菜央(パレオ水着): も、もちろんいいわ……あっ、待って!2ショットの他に、レナちゃんだけの写真も撮らせてもらってもいいかしらっ? レナ(花柄水着): うんっ。じゃあ、交代で写真の撮りっこしよう。今回の勝利の思い出にね。 レナ(花柄水着): ……あ、でも。次の旅行でまた対決があったら、今度はレナが勝っちゃうからっ! 菜央(パレオ水着): …………。 菜央(パレオ水着): ……あたし、次も負けないわ。 菜央(パレオ水着): 次こそは胸を張って、勝ったって言えるように頑張るから! レナ(花柄水着): あははは。だったら、次の旅行も真剣勝負だね。 菜央(パレオ水着): えぇ……!またみんなで、旅行に来ましょう!