男はあわてて、ケインからミリィへと視線を移し、
「──ばかなっ!? 舌かみ切りやがった!?」
あわてて彼女をほうり出し、あらためて
だがしかし──
んっ!
男の銃口が定まるより早く。ケインのサイ・ブレードが放った白光が、髭面の額を
引き金を引くこともなく、男はその場に
ケインはそのまま動かない。
彼の視線は、髭面ではなく、
「……ミ……ミリィ……」
「ほーい♪」
「…………………………………………」
あっさり返ってきた元気な返事に、思わず
ミリィは、ひょこんっ、とその場に立ち上がり、服の
「……やー、思ったより汚れちゃったわねー……
「……ミ……ミリィ……?」
硬直したまま問うケイン。
「なに?」
「……舌は……だいじょーぶなのか……?」
「だいじょうぶも何も、舌
「…………けど…………その血…………」
「チョコレート」
あっさり言って、ポケットから取り出したハンカチで、口の
たしかに、もっと明るければ見分けもついたのだろうが、この
「……お前なぁ……」
脱力感に、思わずその場にへたり込みそうになるのを
「……悪い手だとは言わねーけど……どれだけ心配……」
がうん!
どこからか
顔を見合わせ、うなずく二人。
「話はあとだ! 行くぞっ!」
何が一体どうなっているのか、メリーナにはよくわからなかった。
──
そのことばを後ろに聞くと同時に、彼女は、あの男に
むろん、彼女の安全のためなどではなく、単に
そのあとしばし、男と、
やがて戦いは別の場所へと移ってゆき、ふと気がつくと、そこにいるのは、メリーナと、
しかしこうなれば、状況がどうあれ、彼女にできることはひとつ──、逃げるのみ。
両手は後ろで
おそらくこれこそが、男の言っていた『チャンス』だろう。この機に、なんとか逃げることができれば──
彼女はあたりをぐるりと見渡す。
ドアは四つ。
メリーナは、うちひとつに向かってかけ寄った。
ばむっ!
その向こうに立っていたのは、追いつめられた
アルザス=コーンウェル。
アルザスの左手が、メリーナの腕を
そのまま彼女の後ろにまわり込み、背中から銃をつきつける。
「来るな!」
アルザスは、自分がやって来たドアのむこうにひろがる
「来たら……この女を殺すぞぉぉぉっ!」
──それは
追いつめられた悪役など、最後にやることはみな同じである。
しかし、ケインたちの場合とは、決定的に
すなわち──追う側に立つ者が、ケインではなく──
んっ!
わずかなためらいさえ見せず、闇を白光が切り
男には、アルザスを一撃で殺すつもりはなかったのだろう。サイ・ブレードの光は、アルザスの右の耳を
しかしその一撃は、アルザスに、はずみで引き金を引かせるには十分だった。
ごぅん!
はげしい
アルザスは彼女から手を
熱い
今さらのように、メリーナは
自分が、まちがったドアを選んだことを。
「……ひ……ひぃぃぃぃぃっ! 来るなぁっ!」
叫びつつ、ふたたび銃をかまえなおそうとするアルザスの両肩と
「っあっ!?」
両手両足の動きを
そして、開いたドアのその向こう──
「言え」
男はアルザスのそばで立ち止まり、ぼそり、とそう言った。
サイ・ブレードの
「──わ、わかった! 言う! 言うから命だけは助けてくれ! なっ! 約束だぜ!」
男は
「ヴィメスの第六惑星だ!
言ったその
びぅっ!
サイ・ブレードの光が、アルザスの額を射ち抜いた。
男は無言のまま、アルザスの死体を引きずると、倒れたメリーナの目の前へとほうり出す。
「見えるか。言った通り、アルザス=コーンウェルの死体だ」
事務的とすら言える、何の
メリーナの
そして、動かなくなった。
男にとっては、それこそどうでもいいことだった。
「──聞こえたか? 『ネザード』」
男は言った。ドアの向こうの闇に向かって。
『聞こえた。たしかに』
声は
むろん、声の
「なら、行って
『いいだろう』
ひとことを残して声はとぎれた。
男はその場できびすを返し──
だんっ!
首を立て、ドアのひとつが開け放たれた。
現われたのは──ケイン。