「……誰が座っていいと言った? ケイン」
「……てめー……」
「……あのあの、えっと……」
険悪な
「……そうだ、レイルさん……」
「レイル、と呼んでください」
言って
ミリィの
「……じゃあレイル、もう、あの時の
「ええ。ご心配には及びません。弾丸は
「……そ……そぉ……
──で、あの時
彼女の問いに、レイルは顔を
「──連中ですか……まあもちろん、私に対する
連中、ただ、私たちを
「やっぱりな」
あっさりと言うケインに、レイルは
「金をたかれる相手はいないかとうろついている時に、口笛みたいな音が聞こえて、そっちへ言ってみたら、私たちがいたんで
……まあ、
「……うーん……そっかぁ……」
ミリィは小さくうなると、どこからともなく取り出したチョコレートを一かけ、口にほうり込み、
「──で、海賊たちの
「ええ……お聞きしていますけど……」
レイルは歯ぎれの悪い
「ただ……捜査の方は、あまり進展していない、というのが実情ですね……特に、
なにしろ、海賊船を相手にする以前に、予算と宇宙を相手にしなくちゃなりませんからね。こちらは」
「予算と宇宙?」
意味がよくわからず、問い返すミリィ。
「ええ。
つまり、もしも海賊たちにパトロールの船が出くわしたとしても、
──まあ、連中も、
もしそんなまねをすれば、
とはいえ人間、追いつめられれば何をやりだすか、わかったものではないのだが。
「それと、問題は宇宙の広さ、という奴です。
現在、この星域に
どこかに海賊が出た、という通報を受けても、たまたまパトロール船が近くにでもいればともかくとして、そうでなければ、現場にたどり着くまで、数時間かかることなんてざらですからね」
「……うーん……」
ミリィは、むずかしい顔で腕を組み、
「たとえば──
「……なんとかできないことはないでしょうね。
ただし、こちらの船はほとんど二十四時間、休みなしで働くことになるでしょうし、旅客船の護衛も全くできなくなります」
「……あ……そっか……旅客船があったんだ……」
ミリィはぽつりとつぶやいた。今まで
「……我々は今、もっぱら、旅客船の警護につとめていましてね……いくら海賊たちが、おもに
「……うーん……
それじゃ、さ、レイルのアプローチしてる、『この
「──まず、海賊たちのボスとおぼしき人間ですが……」
言いながらレイルは、書類の中から数枚の写真を取り出した。
おそらく
としの
「アルザス=コーンウェル。……本名かどうかはわかりませんけどね。
最近、この
チンピラみたいな格好はしていますけど、こいつがどうやら海賊たちのボスらしい、というのは、地元じゃあ子供でも知ってるようです。
──何度か、地元の組織ともめごとも起こしてますしね」
「地元の組織?」
「──ああ」
思わず問うケインに、めずらしく答えるレイル。
「小さな組織でな。海賊を連れてきたアルザスに、あっさり
ただ問題は──その組織が、『ナイトメア』の
『ナイトメア!?』
ケインとミリィの声がハモった。
「ああ。『ナイトメア』にケンカ売るなど、正気とは思えんがな。しばらく前──この
「……けど、『ナイトメア』の連中、どうやって海賊たち見つけたのかしら……?」
「……さあ……海賊たちの中にスパイでも送りこんでいたんじゃありませんか」
適当なことを言うレイル。
彼は知らないが、事実はその逆だった。
海賊たちに対するプレッシャーとして、『ナイトメア』が送り込んだ
そう。これで『ナイトメア』とも渡りあえる、などという
「──話を
そうでなくともあのあたりは、地元の警官でも寄りつきたがらないような場所ですし」
「……相手がシッポを出すまで待つしかない……か……」
ぽつりとケインがつぶやいた。
たしかに証拠がない以上、警察としては手出しはできない。
「……ほんとに何も
レイルに向かって問うケイン。
「それにしちゃあ、いきなり
「ああ……あの時は……」
レイルは苦笑を
「アルザスのいる場所はわかってるんでな。ゆさぶりをかけるつもりで、直接会ってみたんだが……それで、いきなりあれだ。よっぽど気にさわったと見えるな」
「なるほどな……」
ケインはうなずき、ふと、あることを思いつき、
「──ところでレイル、海賊たちにやられた
「……アソート……? なんでまた?」
「いや……ちょっとな……」
この時、ケインの頭の中には、きのう
──人殺しの会社──
むろん単なる
「そいつの死にかたに、何か
「……しかしなぁ……」
「あたしも知りたい
」
「
レイルは、テーブルの上に散らばるファイルの一冊をぱらぱらとめくり、
「……これかな? アソート=イングレス……二十五歳、男。
ラグルド社、宇宙貨物部門の
ふた月前、海賊たちにやられた、ラグルド社の宇宙貨物船、『
──けどミリィさん、海賊に船ごと
「…………」
無言で顔を見合わせるケインとミリィ。
たしかに、それはそうである。
だがしかし、どういうわけか、