――― だにゃん ―――

はかせ「なのー! なの? なーのー! なのー!」

なの「はーいー」

はかせ「なのなのー!」

なの「はーいー」

はかせ「なの」

なの「はーいはい」

はかせ「なのー!」

なの「ん?」

はかせ「見て見て。はかせだにゃん。にゃー。阪本も見て見て。はかせだにゃ」

阪本さん「おおお・・・」

はかせ「はかせだにゃー」

なの「はかせ、それはたぶん『萌え』です!」

はかせ「にゃー、はかせだにゃん」

なの「『萌え』です!」

はかせ「はかせだにゃー」

なの「『萌え』です!」

はかせ「はかせだにゃー」

なの「『萌え』です!」

はかせ「はかせだにゃんにゃん」

なの「『萌え』です!」

はかせ「はかせだにゃー」

なの「『萌え』です!」

はかせ「はかせだにゃんにゃん」

なの「『萌え』です!」

ナレーション「東雲家は今日も平和であった」


――― 日常の19 ―――

中之条(地球がなぜ丸いのか。ロケットがなぜ飛べるのか。なぜ磁石が引き合うのか。この世のものはすべて科学で証明できるんだ。世間で取りざたされる死後の世界や幽霊や怪談などの心霊現象、そんな眠たい類のものはあるはずがない! あってはいけないんだ。つまり、イタコが信じられないんだ!)


中之条(僕は休日を利用し、片道8時間の恐山の地に立った。山頂に近づくにつれ、胸の鼓動が加速する。本当にイタコはいるのか、いるとしたらどこに? 一人でこんな所に住んでいるのだろうか? それとも・・・あっ! いた・・・。よ、よし、早速呼んでもらおうじゃないか)「すみません」

イタコ「はい」

中之条「あの、石鹸を呼んで下さい!」

イタコ「はい。『どうも、石鹸でーす。あー、あー、あーあー、マイクテス、マイクテス、ツイー、マイクテス、テステス、ツイー、ツイツイツイー』」

中之条(何だ、このどうしようもない感覚は。もしかしたら『石鹸』という人がいるのかも・・・)

イタコ「『テステステス、ツイー、ツイー、ツイー、シッハッハ、せ、せ、せ、石鹸、石鹸、石鹸テス、テス』」

中之条(いや、怯んじゃだめだ。何、質問していけば、いずれ矛盾点が出てくるさ)「質問です。石鹸の血液型は何型ですか?」

イタコ「さあ」

中之条(もっとわかりやすい人物にしよう)「すみません。信長を、織田信長を呼んで下さい」

イタコ「勘弁してください」

中之条「うおーっ!」(呼ぶ呼ばないの前に拒否とは。いや、なにぶんお年寄りだ。体調の面もあるのだろう。ここで責めるのは・・・、いやあーーーっ!!)「失礼します」(帰ろう。僕には人は責められない。それがわかっただけでも収穫としようじゃないか)

イタコ「あ、お兄さん」

中之条「ああ?」

イタコ「5000円になります」


――― だるま落とし ―――


――― くしゃみ ―――

ウェボシー・フェっちゃん「あっ・・・。きゃーっ」

笹原「へくしっ!」

みさと「うそっ」

みお(男たちの・・・)


――― 日常の20 ―――

祐子「じゃあ、いくよ。じゃんけんぽん。きゃあ! ・・・ん? ワ、ワ、ワーオ! 違うよ、麻衣ちゃん! さっき説明したじゃんか。勝ったら叩くんだよ。すごいよ、すごい仕打ちだよ。ある意味、叩くよりひどいよ。いーい? さっき説明したとおり、負けたら防御、勝ったら叩くんだからね。わああああ! 今じゃねーよ! 何で今殴ったの?」

麻衣「いや、さっき勝ったから」 

祐子「今じゃないでしょ、さっきじゃん! 瞬間だよ。瞬間に生きてるんだよ。私たちはそういう生き物なんだよ!」


――― じゃんけん ―――

はかせ・なの「最初はグー! その次パー! グチョパは無しよ、ジャンケンポン!」

はかせ「なのだにゃん」


――― 日常の20の続き ―――

祐子「それじゃあ、まあ、仕切り直していくよ? じゃんけんぽん」(やる気ゼロかよ)「ピエロだよ! とんだピエロだよ!」(精神的に来るものあるよ)「んん? ああ、ちょっと麻衣ちゃん?」

麻衣「あった」

祐子「麻衣ちゃん、それ、ど、どうしたの?」

麻衣「彫った」

祐子(よかったー。生まれ変わって出てきたのかと思った)

麻衣「これを、ここに」

祐子(何かすごいうれしそうだ)「まあ、そんなんどうでもいいから、やるよ。はい、じゃんけんぽん! ま、麻衣ちゃん、それ・・・グッチョパじゃーん!」(そんな殺生な)「もう、麻衣ちゃん! なしだよ、なし! グッチョパなし。あと仏で叩くのもなし!」

麻衣「うん」

祐子「じゃあいくよ? 最初がグー、じゃんけんぽん」

麻衣「あ?・・・」

祐子「麻衣ちゃん・・・。それそれ、それだよ麻衣ちゃん。あ、もう、やればできるじゃん! よし、次やろう、次。えーと、最初は
ごおおおーーーっ! ゴーッド・イズ・デーッド!」

ナレーション「神は、死んだ」

祐子「ちょっと! 何で殴んの? もう、さっきはちゃんとできたじゃーん!」

麻衣「うーん、何というか、やりたくないから」

祐子「あ・・・。弥勒菩薩、見ていい?」

麻衣「いいよ」


――― 日常の21 ―――

なの「じゃあ、図書館に本返しに行ってきます。ちゃんとお留守番しててくださいね」

はかせ「はーい! ・・・ふーん。ふん? どうしてなののダルマは目が1個しかないんだろう? そうだ! はかせがちゃんとした目にすれば、ほめられちゃうかもしれない。もしかしたらなのは、お菓子いっぱい食べていいよって言うかもしれない」


はかせ「あー、ちょっと間違っちゃったかもしれない。なののなのに、どうしよう。あっ! もしかしたら怒られるかもしれない」

(なの「はかせは当分おやつ抜きです!」)

はかせ「えっとー、こうして、こうして・・・。んんんんんっ、ううーーーっ」

阪本さん「何してんだ?」

はかせ「あ、阪本、どうしよう、これ」

阪本さん「何だこりゃ。お前、何やってんだ!? これ、娘のだろ」

はかせ「だって目がなかったから・・・」

阪本さん「ふむ。ふむふむ。しょうがねえなあ。俺の言うとおりにしてみ」


はかせ・阪本さん「(爆笑)」

なの「ただいまー」

はかせ・阪本さん「あっ!」

阪本さん「達者でな」

はかせ「あ、阪本」

なの「あ、あれ? 阪本さん、お出かけですか? はかせ、ただいま。新しく借りてくる本選んでたら、遅くなっちゃいました。何してるんですか? って、はかせ、どうしたんです、そのおなか!?」

はかせ「えへ、へへへへへ。えへ」

なの「えへへじゃなくて」

はかせ「う、生まれるーっ」

なの「がーん! って、いやいやいや、そんなわけないじゃないですか」

はかせ「生まれるの! 生まれる、生まれるーっ!」

なの「えっと、何かの遊びですか?」

はかせ「違うの! なのの弟が生まれるの!」

なの「あ」

はかせ「弟です。おぎゃー。おぎゃー」

阪本さん「だ、だめだこりゃ」


――― Helvetica Standard ―――


――― こっくりさん ―――

祐子「みおちゃん、みおちゃん」

みお「何?」

祐子「こっくりさんやろう」

みお「何それ?」

祐子「あ、うわあ、みおちゃん、知らないんだ」

みお「知んない」

祐子「んじゃ、軽く説明するね。まず、こうやって真ん中に鳥居を描いて、『はい』と『いいえ』と五十音とを書いた紙を用意するのね」

みお「うん」

祐子「地域によっては、紙には油揚げを描いたほうがいいとかいうのもあるんだけど、今はいちばん簡単なのにしとくね」

みお「うん」

祐子「で、こっくりさんが入ってこれるように、北の窓を開けて、っと」

みお「ふむ」

祐子「それで、この10円玉をこの鳥居のところにセットして、二人いっしょに指を置いて、聞きたいことを質問するの。人の秘密とか、好きな人のこととか、悩んでることとか」

みお「うん」

祐子「そうすると何もしてないのに、10円玉がすーっと動いて、こっくりさんが答えてくれるんだよ」

みお「へえー」

祐子「ね、すごいでしょ? でもタブーがあって、まず一人でやっちゃだめなのと、ふざけてやっちゃだめ。低級霊に憑依されるから」

みお「ふーん」

祐子「あと、途中でやめたりしても憑依されちゃうから注意して」

みお「なるほど」

祐子「って感じで、けっこう危ない遊びなんだけどね。ま、とりあえずやってみようか」

みお「別にいいよ」

祐子(あーれー?)


――― なわとび ―――


――― 日常の22 ―――

桜井先生「えっと、それでは今日はこれで終わりにします。明日は豆テストをしますので、みなさん、勉強してきてくださいね」

千代田「えー、延期延期」

片品「おめーはいくら延期しても結果は同じだろ」

千代田「かもな」

祐子「桜井先生」

桜井先生「あ、相生さん、何でしょうか?」

祐子「ちょっと聞きたいことがあるんですけど」

桜井先生「あ、はい」

祐子「えっと、この前やったテストなんですけど、これ何ですか?」

桜井先生「ああ、えーと、それはフライ(fly)ですね」

祐子「ああー、いや、答えじゃなくて、このニフラムで消えそうなの、先生が描いたんですか?」

桜井先生「あ、はい。絵入れたほうがテストが柔らかくなるかな、って思いまして」

祐子「先生って面白い絵描くんですね」

桜井先生「すみません。私、絵下手だからわかりにくかったですよね」

祐子「へえー。あ、そうだ。じゃあ先生、今度私の描いた絵、載せてくださいよ。超かっこいいの描きますから」

桜井先生「はい」

祐子「あ、みおちゃーん」

みお「ん?」

祐子「聞いて聞いて。私の絵がテストに載るんだよ」

みお「え? 何で?」

祐子「先生が載せてくれるって。みおちゃんも今描けば漏れなく載るかもしれないよ」

みお「漏れなくなのに漏れる可能性があるのか」

祐子「あれ? 描かないの?」

みお「あ、私はいいや。遠慮しとくよ。これ返さないといけないし」

祐子「ありゃ、そーお? よーし、じゃあかっこいい男を一筆」

みお(えっ!?)

祐子「ちょいちょい、ちょちょちょーい、ちょこちょいちょ、ちょちょちょちょちょっちょっちょーい。ふんふん。こんな感じですかね、っと」

みお(ああああああっ)

桜井先生「わあ、かっこいいですね」

みお(どえええーーっ)

桜井先生「相生さん、絵上手なんですね。尊敬です」

祐子「いやー、それほどでも、あるよ。なんつって。ちなみに名前は五月雨ジョージだったりします」

桜井先生「うわー、ますますかっこいいですね」

みお(かっこいい!?)「ちょっと待って、二人とも。普通、かっこいいっていうのは・・・こうでしょう」

(絵の男「うっとうしい」)

桜井先生「うわー、すごーい。マンガみたいですよ。長野原さん、マンガとか描いてるんですか?」

みお「あ、いや、まあ、少しだけ」

桜井先生「すごーい。今度見せてください」

みお「あ、それは、ちょっと・・・」

桜井先生「えー、だめですか? 見たいです。見せてください」

みお「ええー、あー、でも・・・」

祐子「ちょっと貸して!」

みお「え?」

祐子「私のほうがもっとかっこいいよ」

みお「パクってるじゃん!」

祐子「パクってないよ」

みお「パクってるよ!」

祐子「パクリという名のオマージュだよ」

みお「認めちゃってるよ!」

桜井先生「うわー、かっこいい」

みお「何でもありか! じゃあ、こういうのはどうですか? 眼鏡!」

(絵の男「顔の一部です」)

みお「知的でクールなイメージはいつの時代も女性の憧れ!」

桜井先生「あ、眼鏡ですね。目が悪いんですか?」

祐子「コンタクトにすればいいものを」

みお(こいつらまるでわかってなーい!!)

祐子「じゃあ私なんか、こうだもん!」

みお「耳の下で留めてる! ってか、これもパクリでしょ!?」

祐子「ちっちっち、サングラスです」

桜井先生「うわー、かっこいい!」

みお「さじ加減がー! じゃあ、これでどう? 執事! お出迎えから紅茶サービスまで、気分はもう令嬢! ダージリンの魔力を受けよ!」

桜井先生「あ、また眼鏡。すみません、よくわからなくて」

祐子「コンタクトの忠告も聞かずに」

みお(ぐはーーーーっ!!!)

祐子「みおちゃんはわかってないなあ。あのね、本当にかっこいいっていうのはね。さらさらさらさらさらさら。こういうこと」

みお「ぎゃああああっ、浮いてる! いや、ちょっと待って、これ、走ってんの!?」

桜井先生「うわー、速そうでかっこいいなあ」

みお(嘘こけーっ! かっこいいっていうのは・・・)「かっこいいっていうのは・・・、かっこいいっていうのは、常識的に、常識的に考えて・・・かっこいいっていうのは! こういうことでしょうが!」

(絵の男「やあ!」)

みお(ああっ! しまったーーーーーー・・・)「なーんちゃって! あははーっ、っつって!」


――― ヒトコトワドコトバ ―――

ジャズを聴きながら描きました


――― 日常の22の続き ―――

祐子「おはよう。あ、先生、おはようございます」

みお「誰が先生だ!」

桜井先生「では、朝の豆テスト配りますので、渡してください」

みお(はあ、まいった。絵描いてるのは内緒にしとこうと思ってたんだけど、まさかあんな絵描いちゃうとは。でもまあ、暴走してたにもかかわらず、あのレベルでとどまれたのは、不幸中の幸いだよね。ギリギリよしとするしかないでしょう。でも2-3日はゆっこにからかわれるんだろうな。だめだめ、張り切って、前向きに・・・)

(絵の男「やあ」)

祐子「みお先生、早く」

桜井先生「ええーっと、始め!」

祐子「みお先生」


――― 予告 ―――

「キュイーン! スチャッ! タタタッ! やあ、初めてだね。オノマトペだよ。クックドゥードゥルドゥーは口にしたくなる日本語だよな。日本語じゃないが。次回は日常の6話だ。お楽しみに!」