Woman:
Wow, that's so cute.



綾:
ホームステイ?

陽子:
すげえ、それって外国のお家に泊めてもらうやつ?

綾:
どこの国に行くの?

忍:
イギリスです!

お母さんのお知り合いの家で、一週間ほどお世話になることになって…

陽子:
でも、しの、英語喋れないじゃん。

忍:
失礼ですね。ちょっとは喋れますよ。
ハロー、とか。

陽子:
ほかには?

忍:
ガッツポーズ、とか。

陽子:
それ、和製英語!

綾:
私、しのが無事に帰って来られるように、毎日お祈りする。

忍:
ありがとうございます。
その家には、同い歳くらいの女の子がいるそうなんです。

陽子:
へえ、仲良くなれるといいね!

忍:
はい! どんな子なんでしょうか?



Mom:
Daddy's home.

忍:
ありがとうございます。

Dad:
Shinobu.

忍:
はい。

Mom:
いらっしゃい、しのぶ。

忍:
はじめまして。お世話になります。
Hello.

Alice:
こ、こんにちわ。

忍:
きれいな、金色!
よろしくお願いします。
あの…

Mom:
人見知りな子で。

忍:
いえ。

Mom:
そのまま上がって。

忍:
あ、そうでした。
外国っぽい!

Mom:
ここがリビング。
浴室。
洗濯物があれば、遠慮無く言って。

忍:
はい。

Mom:
夕食の時間は7時。
ここがあなたの部屋。好きに使ってね。

忍:
はい。

Mom:
何か聞いておきたいことある?

忍:
あの子は?

Alice:
She looks like this doll...

忍:
Hello.
あの、えっと…

Mom:
Poppy, go back to your house.
Alice, she wants to be your friend.
しのぶ。

忍:
大宮忍です。

Alice: Omi...

忍:
しのぶでいいですよ。

Alice:
My name is Alice Cartalet.

忍:
金髪! 金髪少女!
待ってくださーい!
アリスー!

Mom:
Already getting along very well.

Alice:
Japanese girls are so scary!

Mom:
お口に合えばいいんだけど。

忍:
いただきます。

Mom:
しのぶ、味はどう?

忍:
とっても美味しいです。

Mom:
Aren't you gonna eat that dessert?

Alice:
Nope.



Karen:
Oh! Are you expecting any Japanese girls?
Sounds fun!

Alice:
But I don't speak much Japanese.
I got an idea!
While the Japanese girl is at the homestay, why don't you be my little sister and stay with me?

Karen:
No, I'm the big sister!
Then I'm going for my trip tomorrow.

Alice:
Karen's family seem to love travelling so much.

Karen:
Ta-da! Here, I will give you a funny doll to protect you.

Alice:
Uh-oh.

Karen:
Don't worry.
Maybe we don't speak the same language, but we can communicate as long as we try to listen to each other's heart!

Alice:
That's a big assumption...



Alice:
Hey, Poppy! Come here! Come on!
Hey! Good boy, Poppy!
You're so clever, Poppy!

忍:
アリス、おはようございます。

Alice:
Poppy!

Mom:
怪我はない?

忍:
はい、なんとも。

Mom:
あの子、ちゃんと謝った?

忍:
いえ、アリスのせいでは。

Mom:
ミルクでも温めるわ。

忍:
ありがとうございます。

Alice:
Uh, well...

忍:
アリス!
Hello.
これ、ありがとうございます。とっても暖かいです。

Alice:
ありがと...
Thank you?

忍:
はい、ありがとうです。

Alice:
Aren't you mad at me?

忍:
はい、とても暖かいです。
そのお礼というか、ちょっと来てもらえすか?

Alice:
Chocolate?

忍:
こっちです。
はい、日本のお土産です。
本当は、昨日渡したかったのですが。
選んだのは、お姉ちゃんなんですけど。
外国人にはお勧めって言われて。
貸してください。これはですね、こうやって…
えい!

Alice:
(Shriek)

忍:
ああ、髪に刺すものなんですね。
ありがとうございます、お姉ちゃん。

アリス、分りましたよ。
髪に刺してくるっと回すそうです。あっ!
くるっと!
くるっと!
お役に立てず、すみません。

Alice:
Shinobu. ありがとう。

忍:
お箸にでも使ってください。

Mom:
しのぶ、お菓子作りは得意?

Alice:
Mix it well.

忍:
はい。

忍:
Hello.

Alice:
ありがとう。

忍:
おいで。

Alice:
Wow!

Mom:
明日は空港まで送るわ。

忍:
ありがとうございます。

Alice:
Let's play Hanafuda!

忍:
あ、花札。でも、ルール知らなくって。

Alice:
Hyakunin isshu or Fukuwarai?

忍:
すごい、始めて見ました!

Alice:
(Muttering)

Mom:
あなたは本当に日本人なのかと。

忍:
純日本人ですよ!



忍:
アリス、お風呂どうですか?
桜の香りの入浴剤です。
こちらでは、あまりお湯を張らないそうですね。
肩まで浸かってくださいね。

Alice:
This smells like Japan.
Shinobu, I feel dizzy.

忍:
ありす!

忍:
お休みなさい。

Alice:
こんにちは。
Can I sleep next to you?

忍:
Hello.

Alice:
What is Japan like?

忍: じゃぱ… 日本?
日本は今、朝ですよ。
不思議ですよね。ここはまだ夜なのに、もう太陽が昇っているんです。
なんだか私達だけ、世界のはじっこに置いていかれてしまったようです。
こういう話は、あやちゃんが好きそうです。
あ、あやちゃんというのは、学校の…

Alice:
I hope I go visit Japan someday.



忍:
お世話になりました。

Mom:
また遊びにいらっしゃい。

忍:
はい。
Hello.

Alice:
ありがとう。

忍:
写真、送りますね。
Hello!

Alice:
こ、こんにちは!

忍:
Hello, hello!

Alice:
こんにちは!

忍:
Hello!

Alice:
こんにちは!

Japan.



母:
しのぶ、起きなさい。遅刻するわよ。

忍:
はい…

母:
しのぶ。
しのぶ、学校!

忍:
いってきます!

松木:
おはよう、しのぶちゃん。

忍:
あ、おはようございます。
お、おはようございます。

陽子:
そしたらさ…

忍:
おはようございます。

綾:
やっと来た。

陽子:
しの、遅ーい。

忍:
すみません、手紙を読んでたら。

陽子:
手紙? あ、エアメール。

綾:
もしかして、昔イギリスにホームステイしたときの?

忍:
はい、アリスからです。

陽子:
おおお、すげー、不思議の国か?

綾:
イギリスね。

忍:
でも、全部英語で書かれていて、読めなくて困っているんです。

陽子:
読んでたんじゃないのか?
ちょっと見せて。
おお、本当に英語だ!
"Dear Shinobu..."

忍:
私は、大宮忍ですよ。

陽子:
おーい、もう高校生だぞ。

綾:
ふたりとも、後にして!

陽子:
手紙来たの初めてなんだ。

忍:
はい。何が書いてあるんでしょう?

綾:
仕方ないわね、見せて。
えーっと、日本に来るって書いてあると思うわ、たぶん。

忍:
すごーい、あやちゃん、英語読めるんですか?
いつ来られるって書いてありますか?

陽子:
しのの期待を裏切るな。

綾:
う、うるさい、ようこ!
あなたの学校、うれしい、ユニフォーム…

陽子: うれしいユニフォーム?

綾:
って、しの、靴!

忍:
すみません、ちょっと待っててください。

Alice:
あの、そこの方。

陽子:
お、金髪少女!

Alice:
しのぶという女の子を知りませんか?

陽子:
あっ、しの?

Alice:
最近の写真が無くて申し訳ないのですが、この人形にそっくりな子です。

陽子:
失礼だな、おい!

さくら:
あ、いたいた。カータレットさん、こっちですよ。

Alice:
はい。
失礼しました。

綾:
カスタネット?

陽子:
なんか楽しそうな名前だな!

忍:
お待たせしました。

綾:
気になる。

陽子:
うん。

綾:
さっきの子、うちの制服着てた。

陽子:
いや、そんなことより、しのがコケシにしか見えないんだけど。

綾:
そっち?

さくら:
おやようございまーす。

忍:
せんせい、おやようございまーす。

さくら:
大宮さん、今日も元気ね。

忍:
はい!

さくら:
いらっしゃい。

陽子:
おっ!

綾:
さっきの!

忍:
アリス?

Alice:
しのぶ!しのぶ!

忍:
お久しぶりです。本当に来たんですね!

Alice:
うん、しのぶに会いに来たよ。

忍:
アリス、日本語…

Alice:
勉強したよ。

忍:
すごいです。でも、どうしてここへ?

さくら:
カータレットさん、まず自己紹介からね。

Alice:
あ、ごめんなさい。

はじめまして、アリス・カータレットと申します。
イギリスから、編入してきました。

忍:
ええ?!

綾:
気付くの遅!

Alice:
手紙に書いたよ。

忍:
英語だったので…

Alice:
そう思って、二枚目はローマ字で書いたよ。

綾:
ええ?!

陽子:
あや。

Alice:
みなさん、よろしくお願いします。



陽子:
高校入学早々、外国の子が編入して来るなんてなあ。

綾:
髪も瞳もお人形さんみたい。

忍:
分かります。
ドレスを着せて、ショーケースに入れて、一日中眺めたいですよね。
なーんて。
あれ? ジョークですので、笑ってください。

陽子:
本気だと思った。

綾:
はい、書いたよ。

Alice:
あ、ありがとう。
こみち・あや。

Alice:
こみち・あや。

綾:
よろしくね。

Alice:
いのくま・ようこ。

陽子:
猪に熊で、いのくま。
ちょっと強そうで恰好いいでしょ?

Alice:
わ、私、食べても、美味しくないので。

陽子:
片言!

そのかんざし、可愛いな。

Alice:
あ、これはホームステイのときに、しのぶがくれたものなの。

忍:
あ、あの時の物を、今も大事に。
でも私、かんざしって刺すものだと思ってました、人に。

陽子:
恐ぇ…

綾:
仕事に?

陽子:
日本にいる間はどこに住むの?

綾:
ひとりで来たのよね?

Alice:
うん、えと、しのぶの家に…

忍:
アリス!
そんな、たったひとり、住む所もなく…
あたしの家に来ていいですよ!
何もない家ですが!

Alice:
え? あの、そのつもりで…

陽子:
面白いコンビだな!



Alice:
アリスと申します。
お世話になります。

忍:
お母さん、アリスが来ること知ってて内緒にしてたんですよ。
プチどっきりです。

母:
驚かせようと思ってだまってたの。ごめんなさい。
それにしても、日本語上手ね。

忍:
正座も上手です。

Alice:
日本のこと、たくさん勉強したよ。
それに、一度だけ着物も着たことあるよ。
正座も苦しいけど、着物も重くて暑くて辛かった。
十二単の重さは、およそ10キロにもなるという。
これに耐えたら、大和撫子になれると信じて。

忍:
苦しいなら、我慢しないでいいんですよ!
どうぞ、くつろいでください。
遠慮は無用ですよ。

Alice:
あの、お土産ですが。

忍:
まあ、ご丁寧に。

Alice:
空港で買ったどら焼きです。

忍:
日本産?!



忍:
桜の咲くころ、我が家にイギリス人少女がやってきました。