Code Geass(Japanese)>13. Shirley at Gunpoint

行動の果てには結果という答えが待っている。例外は無い。
そこにルルーシュの力は及ばない。
いかなる相手にでも命令を下せる絶対遵守の力を持っていようと、その必然からはのがれられない。
母の仇をうつために、妹ナナリーが幸せに過ごせる場所を作るために動き出したルルーシュ。
だがしかし、世界は…人々は…彼の思惑とは別に結果を突きつけ、その続きを求めてくる。その続きが世界を紡いでいくというのなら、誰かが負うべき罪は…受けるべき罰は…いったいどこにあると言うのだろう。


神父:
彼は敬虔(けいけん)なる神の信徒であり、我らの良き友人であり、また妻にとっては良き夫であり、子にとっては良き父でありました。

シャーリー:
お父さん…

神父:
それでは、彼の眠りの安らかならんことを。

シャーリーの母:
いやっ!やめて!
もう埋めないであげて…苦しませないで。
あなた…あなた…

シャーリー:
お母さん…お母さん。


シャーリー:
シャーリーね、シャーリーはパパのお嫁さんになるの。

シャーリーの父:
うれしいな。でもね、幼稚園の先生が言ったとおりなんだ。
おまえもいつか、好きな人が見つかるんだよ。

シャーリー:
パパより?

シャーリーの父:
うん、好きって言ってもいろいろあるんだ。
でも、シャーリーがその人のことを本当に好きで、その人もシャーリーを真剣に愛してくれるなら、パパは心からお祝いするよ。

カレン:
その…ごめんなさい、シャーリー。

シャーリー:
や…やだな、なんで謝るの?

カレン:
えっ?

リヴァル:
俺も、ごめん!
その…さ、俺、ホテルジャックの時テレビとか見てて、
黒の騎士団って、ちょっとかっこいいかもとか思って…
ほら、ニュースでも扱い違ってたし、ナリタのこともなんかすげえって掲示板で適当なこと書き込みしたり…
だから…ごめん。

シャーリー:
そんなことないよ。
そんなの、全然関係ないって。
私だってナリタのことには…

ミレイ:
よしなって。
それより私はあんたのほうが気がかり。
ちゃんと泣いた?
今、変に耐えると、後でもっとつらくなるよ。

シャーリー:
もういいの…もう十分、泣いたから。

スザク:
卑怯だ!
黒の騎士団は…ゼロのやり方は卑怯だ。
自分で仕掛けるのでもなく、ただ人の尻馬に乗って事態をかき回しては、審判者をきどって勝ち誇る。
あれじゃ何も変えられない。
間違ったやり方で得た結果なんて、意味はないのに。

ミレイ:
さぁ、じゃあ私たちはそろそろおいとましよう。
シャーリー。待ってるからね、いつもの生徒会室で。だから…
ほーら、みんな行こう。

リヴァル:
おい、ルルーシュ。
あ…あ…あの…

シャーリー:
ルル…ごめんね。

ルルーシュ:
えっ?

シャーリー:
ずるかったよね。
あんな…ほんとずるいよね。
あれじゃ、ああするしかないもの。
だから忘れて。困らせちゃってごめんね。
わたし、やり方間違えちゃった。
ね、キスだけしてもらってもうれしくないのにね。


ルルーシュ:
シャーリー!
C.C.:
悔いているのか、友人の父親を巻き込んだことを?
お前は桐原に言ったな…ぬるいと?
自分は修羅の道を行くと。

ルルーシュ:
黙れ。

C.C.:
だが、ぬるいのはお前のほうだ。
ゲームのつもりででもいたか?
今までもお前は多くの人間を殺してきた…
その手で…あるいはお前の言葉で…

ルルーシュ:
黙れ…

C.C.:
そいつらにも家族はいた…恋人も友人も。
まさか理解してなかったとでも言うつもりか?
お前の覚悟はその程度の…

ルルーシュ:
黙れっ!
覚悟はあるさ!
あの時…クロヴィスを殺したあの時からな!

C.C.:
なら何故今さら迷う?
それとも情で揺らいだか?
せがまれるままにキスして…
ふっ…、どれだけ偉そうなことを言ってもしょせんは口先だけの頭でっかちな童貞坊やか?
お前にはもう、動揺したり立ち止まる権利など無い。
生きるために必要なのだろう?
私を失望させるな。


皇帝:
そう…人は、差別されるためにある!

ユーフェミア:
だから兄を殺したのですか?

スザク:
間違った方法で手に入れた結果に、価値はないと思うから…

扇:
なぁ…、本当にやるのか?

カレン:
口だけなら何とでも言える!

クロヴィス:
やめろ!腹違いとはいえ、実の兄だぞ!

スザク:
一方通行の自己満足だよ。

C.C.:
そんな都合のいい世界…

ナナリー:
やさしい世界でありますように。

C.C.:
お前には生きるための理由があるらしい…

ルルーシュ:
全てを変えるために。

桐原:
行くか…修羅の道を!


ルルーシュ:
扇か?
私だ…ゼロだ。
ブリタニア兵:
データロガー、S4コンタクト。
プロトコル、成立。

ロイド:
残念でした、スザク君。
コーネリア殿下の直属部隊からの命令。
次の作戦に参加しろってさ。

スザク:
えっ?

ロイド:
認められたのかな?
それとも、また囮?

セシル:
ロイドさぁん。
人との正しい付き合い方、教えて差し上げましょうか?

ロイド:
ありがと。遠慮します。
…んで、その作戦なんだけどさぁ。


扇:
ちょ…ちょっと待ってくれ、ゼロ。
確かにキョウトからも頼まれたし、こちらの受け入れも問題ない。
日本解放戦線にしたって、海外に逃亡するよりは我々と共に歩むことを選ぶはずだ。
しかし…

ゼロ:
情報提供者…ディートハルトと言ったか?

ディートハルト:
はい。お目にかかれて光栄です、ゼロ。

ゼロ:
コーネリアが海兵騎士団を投入し、解放戦線の片瀬少将の捕獲をもくろんでいる…本当なのだな?

ディートハルト:
はい。局では報道特番の準備に入っています。

ゼロ:
藤堂中佐は、片瀬少将と合流できずじまい。
つまり、今の日本解放戦線に確たる武力は存在しない。
逃亡資金代わりの流体サクラダイトだけがたより。

扇:
だから、コーネリアと戦うよりも、片瀬少将を逃がすことを優先して…

ゼロ:
扇、我々は何だ?

扇:
く…黒の騎士団。

ゼロ:
ならば、成すべきことはひとつだ!
コーネリアの部隊を壊滅させた上で、日本解放戦線の残存部隊を救出する。
ナリタでの忘れ物を、今日、この夜に取り戻すのだ!

扇:
勝算は?

ゼロ:
愚問だな。

扇:
わかった。

ゼロ:
作戦準備を開始する。
みんな、先ほどの指示通り待機しろ。

カレン:
あ…あの、ゼロ!

ゼロ:
私はやることがある。
話があるなら後にしてくれ。


ダールトン:
総督はまだ、ナンバーズである貴様をつかうことに難色を示されているが、私は使えるものは使う主義だ。
たとえそれが日本の元総理の息子だろうと。
目標は片瀬だ。こいつさえおさえれば、日本解放戦線はおしまいだ。
捕獲は海兵部隊がおこなう。
貴様は陸上から海兵が片瀬を確保するまでの援護射撃、および、確保後の残党の殲滅にあたれ。

スザク:
殲滅でありますか?

ダールトン:
目標以外は一人も生かしておいてはならん。
ブリタニアへの忠誠を示せ、枢木スザク准尉。
出世のチャンスだ、励めよ。

スザク:
イエス、マイロード。

ロイド:
踏絵(ふみえ)かな?どうする?
ためされてるよ、きみ。
シャーリー:
ルル…嘘だよね?
あんな怪しい人の言うことなんて…

ヴィレッタ:
この少年は、黒の騎士団に関与している可能性がある。

シャーリー:
黒の騎士団って…

ヴィレッタ:
テロリストだ。

シャーリー:
嘘です!
そんなはず…そんなの嘘…
ルル…こんな疑うようなことしてごめんね。
でも…お願い、信じさせて。

ヴィレッタ:
ちっ、見失ったようだな。
早く連絡してくれれば手をうてたというのに…
やはりあの学生を先にとらえるべきだったか?
いや、確証が必要だ。
女との会話で必ず接点がわかる。
やつが何か記憶を操作できる手段をもっているなら、なおのこと。
私はジェレミアのように地位も名誉も失って死んだりはしない。
いや、逆に手に入れてみせる。
そのためにも、ゼロにつながる手がかりを…私一人で。

ゼロ:
誰だ?

カレン:
あ、す…すみません。
失礼しました。

ゼロ:
迷っているのか?

カレン:
私は正義のためだと…それが正しいことだと思って、今まで戦ってきました。
だから人も殺しました。
でも…本当に、本当に私たちのやり方で世界が変えられるのでしょうか?

ゼロ:
変えられる。
いや、変えねばならない。

カレン:
でも!

ゼロ:
犠牲がでる…か?
兵士でもないのに、巻き込まれて死ぬ者が。
だが、だからこそ我々は立ち止まることはできない。
たとえ、どんな手段を使っても…卑怯だと罵られようとも、勝つしかないんだ。
そのためなら、修羅になるべきだ。
流した血を無駄にしないためにも、さらなる血を流してみせる。
だが強制はしない。
カレン、引き返すなら今だ。

カレン:
共に進みます。私は、あなたと共に。

ゼロ:
ありがとう、カレン。


ゼロ:
そう…さっきは助かった。ありがとう。
必要だ…シーツー、お前が。

C.C.:
私は…もう同じ失敗を繰り返すわけにはいかないのに…
ブリタニア兵:
時間です。

コーネリア:
作戦を開始せよ!

ブリタニア兵:
アンダーウォーター全ユニット、潜航開始。

ダイブ!ダイブ!ダイブ!

特務制圧隊、使用火気はカテゴリー…

ブリタニア兵:
我が隊は、陸上より援護にまわる。
対象のタンカーを沈めぬよう気をつけろ。

スザク:
イエス、マイロード。

ブリタニア兵:
…全部隊、武器使用自由。
繰り返す。雷撃後、武器使用自由。


シャーリー:
まさか…テロ?

扇:
はじまったぞ、ゼロ。
ゼロ?まだでないのか、ゼロ?
おい、聞こえてるんだろ。日本解放戦線を…

ゼロ:
今は駄目だ。

扇:
えっ?

ゼロ:
思ったよりコーネリアの動きが早い。
今動くと共倒れになる。

ブリタニア兵:
援護射撃を開始せよ。
なお、使用火気はマイクロ弾の[一点射]に限定する。
流体サクラダイトに引火させないよう気をつけろ。

日本解放戦線:
くそっ、ブリタニア軍め。いつの間に。

日本解放戦線:
敵だ!水中から来るぞ!
うわっ!

日本解放戦線:
イタガキ!うわっ!

ブリタニア兵:
202(にいまるに)、503(ごうまるさん)。
[九時]の方向に雷撃を加えよ。

スザク:
こんなの…もう戦いじゃない。

セシル:
枢木准尉。
つらいかもしれないけど、あなたは職業軍人なのよ。

スザク:
はい。わかっています。

片瀬:
どこから情報がもれた。藤堂は!?

日本解放戦線:
いまだ所在がつかめず。四聖剣も…

片瀬:
キョウトは!?
助けをよこすといっていたではないか!

日本解放戦線:
そのはずですが、こちらから連絡をする手段が無く…

片瀬:
将兵に死ねというのか?無為に死ねと?

日本解放戦線:
…攻撃を停止していただきたい。
こちらは日本解放戦線。
貴軍に降伏する。

スザク:
少佐!
オープンチャンネルで降伏宣言が!

少佐:
無視しろ。

スザク:
しかしそれは…

少佐:
見ろ。ただの時間稼ぎだ。
手を休めず、命令を遂行せよ。

シャーリー:
ほんとにルルが黒の騎士団に?

扇:
くそっ、これじゃ手遅れになる。
ゼロはいつ動くつもりなんだ!

ディートハルト:
ゼロがただの理想論者ではないことを祈るばかりだが…

扇:
ナイトメアが船に取り付いた!

ゼロ:
そうか。脱出するルートは一つしかないはずだな…
流体サクラダイトを大事に抱えて。

扇:
ゼロ!早くしないと!

ゼロ:
わかっている。出撃。

片瀬:
な…何事か!?

コーネリア:
何という愚かなことを…流体サクラダイトを爆発させるとは!

ゼロ:
さすがだな、日本解放戦線。
ブリタニア軍を巻き込んで自決とは。

扇:
自決?
しかし、そんな連絡は…

ゼロ:
我々はこのままコーネリアのいる本陣に突入する!
それ以外にはかまうな。
結果は全てにおいて優先する。
日本解放戦線の血にむくいたくば、コーネリアを捕らえ、我らの覚悟と、力を示せ!

扇:
これじゃ、ナリタの時と同じじゃないか。

ディートハルト:
こうでなければ!

扇:
お…おい、どこへ行く?

ディートハルト:
解放戦線を囮に手薄になった本体に攻め入る。
ふっ…定石だがそれでは今ひとつ弱い。

扇:
逃げる気か?おい!

ディートハルト:
そうだ、どうせなら敵の戦力をそぎ落とす。
役立たずの解放戦線を生きたトラップとして。
ふっ…やはりゼロは素晴らしき素材。カオスの権化だ。
もっと…もっと見せてくれ私に、あなたの主観に満ちた世界を。
ブリタニア兵:
て…敵襲か?

ブリタニア兵:
204(にいまるよん)、シグナル、ロスト。

ブリタニア兵:
エリクソンは308(さんまるはち)に合流。支援せよ。

ブリタニア兵:
全機、状況を報告せよ。
繰り返す。全機、状況を報告せよ。

スザク:
本当に自爆を…片瀬少将?
本隊が…まさか、タンカーを囮にして?

ブリタニア兵:
緊急騎乗!防衛線を形成せよ!

コーネリア:
どこから情報が!?

ギルフォード:
殿下!

ゼロ:
パイロットが乗り込む前にナイトメアを海に叩きおとせ!
紅蓮弐式は私について来い!


カレン:
はい!

ギルフォード:
殿下!ここは我らが…

コーネリア:
黙れ!
二度ならず三度までも愚弄されてたまるか!
ええい、起動前に!
私にナイトメア戦で勝てるつもりだったか!?
あの新型か?

ゼロ:
ハッチを砕いて引きずり出してやる、コーネリア!
シャーリー?

スザク:
ゼロ!
お前のやり方じゃ何も変えられない!
結果ばかり追い求めて、他人の痛みがわからないのか!

カレン:
ゼロ!

コーネリア:
ナリタの借りを返させてもらう!

ゼロ:
ええい!
またか、この白兜(しろかぶと)がっ!

スザク:
平然と命を囮にする。お前はただの人殺しだ。

ゼロ:
なぜ、いつも貴様は俺の邪魔をする!

スザク:
どうしてお前は無意味に人の血を流す!

ゼロ:
貴様さえいなければ!

スザク:
お前がいるから!


スザク:
ゼロ…これも一つの結果だ。

コーネリア:
ランスロット!後ろだ!

カレン:
ゼロは私が守る!


シャーリー:
ゼロのかしら?
だったら…これで…
私が…お父さんの!