Haruhi(Japanese)>08. 笹の葉ラプソディ
キョン :
季節[きせつ] は 夏[なつ] 、 期末[きまつ] テスト を 間近[まぢか] に 控え[ひかえ] 、 俺[おれ] の 中の[なかの] 愉快[ゆかい] な 気分[きぶん] は ブラジル 辺り[あたり] を さ 迷って[まよって] 、 当分[とうぶん] 戻って[もどって] 来そ[きそ] うにない 。
ハルヒ :
ね 、 今日は[きょうは] 何の[なんの] 日[にち] か 知って[しって] る ?
キョン :
お 前[まえ] の 誕生日[たんじょうび] か ?
ハルヒ :
違う[ちがう] わよ 。
キョン :
朝比奈[あさひな] さんの 誕生日[たんじょうび] 。
ハルヒ :
違う[ちがう] 。
キョン :
古泉[こいずみ] か 長門[ながと] の 誕生日[たんじょうび] 。
ハルヒ :
知ら[しら] ないわよ 、 そんなの 。
キョン :
ちなみに 俺[おれ] の 誕生日[たんじょうび] は ...
ハルヒ :
どうでもいい 。 あんたって 奴[やつ] は 、 今日[きょう] がどんなに 大切[たいせつ] な 日[にち] か 分か[わか] ってないのね 。
キョン :
俺[おれ] にしてみれば 、 ただ 暑い[あつい] 平日[へいじつ] でしかないのだが 。
ハルヒ :
今日は[きょうは] 何月何日[なんがつなんにち] か 言って[いっって] みなさい 。
キョン :
七月[しちがつ] 七日[なのか] ... もしやと 思う[おもう] が 、 七夕[たなばた] がどうとか 言い出す[いいだす] んじゃないだろうな 。
ハルヒ :
勿論[もちろん] 、 言い出す[いいだす] つもりよ 。 七夕[たなばた] よ 、 七夕[たなばた] 。 あんたも 日本人[にほんじん] ならちゃんと 憶え[おぼえ] てないと 駄目[だめ] じゃないの 。
キョン :
ああ 、 そう 。
ハルヒ :
あたしは 、 こういう イベント 事[こと] は 、 しっかりやることにしてんの 。 今年[ことし] から 七夕[たなばた] は 、 団員[だんいん] 全員[ぜんいん] で 盛大[せいだい] にやるわよ !
キョン :
始ま[はじま] った 。
キョン :
ハルヒ が 何か[なにか] 言い出す[いいだす] たびに 、 意味[いみ] も 無く[なく] あちらこちら を うろちょろしなければならなくなってしまうという 法則[ほうそく] が 、 この 春[はる] からの 俺[おれ] の 日常[にちじょう] となりつつある 。 そんな 日々[ひび] に 慣れ[なれ] 始め[はじめ] ている 自分[じぶん] がちょっと 嫌だ[いやだ] 。
みくる :
はぁい 。
キョン :
オーッス 。
みくる :
こんにちは 。
古泉[こいずみ] :
どうも 。 調子[ちょうし] はどうですか ?
キョン :
俺[おれ] の 調子[ちょうし] は 、 高校[こうこう] 入学[にゅうがく] 以来[いらい] 、 狂い[くるい] っぱなしさ 。
みくる :
はい 。
キョン :
ありがとうございます 。
みくる :
どう 致し[いたし] まして 。
古泉[こいずみ] :
どうです 、 一局[いっきょく] ?
みくる 、 キョン :
ん ?
古泉[こいずみ] :
オセロ ばかりでは 飽き[あき] てしまいますからね 。
キョン :
あいにくだが 、 俺[おれ] は ルール を 知ら[しら] ん 。
古泉[こいずみ] :
それは 残念[ざんねん] 。
キョン :
暢気に[[のんきに] 構え[かまえ] てられるのも 今[いま] のうちだぞ 。 あいつがまた 詰ま[つま] らんこと を 思い付い[おもいつい] て ... おっ ...
ハルヒ :
やっほ ー い 、 めんご 、 めんご 、 遅れ[おくれ] て 御免[ごめん] ね 。
キョン :
どっから 持って[もって] 来た[きた] んだ 、 そんなもんと 、 挨拶[あいさつ] 。
ハルヒ :
学校[がっこう] の 裏[うら] の 林[はやし] 。
キョン :
あそこは 、 確か[たしか] 私有地[しゆうち] だぞ 。 この 笹[ささ] 泥棒[どろぼう] が 。
ハルヒ :
ほら 、 短冊[たんざく] も 作って[つくって] 来た[きた] から 、 皆[みんな] 、 願い事[ねがいごと] を 書き[かき] なさい 。
みくる :
短冊[たんざく] ?
古泉[こいずみ] :
なるほど 、 今日は[きょうは] 七夕[たなばた] でしたね 。
ハルヒ :
ただし 、 条件[じょうけん] があるわ 。
キョン :
条件[じょうけん] も 何も[なにも] 、 俺達[おれたち] はまだ 書く[かく] とも 何と[なんと] も 言って[いっって] ないぞ 。
ハルヒ :
キョン 、 あんた 七夕[たなばた] に 願い事[ねがいごと] を 叶え[かなえ] てくれるのって 、 誰[だれ] だか 知って[しって] いる ?
キョン :
織姫[おりひめ] か 彦星[ひこぼし] じゃねえの ?
ハルヒ :
まあ 、 正解[せいかい] 。 10 点[てん] 。 じゃあ 、 織姫[おりひめ] と 彦星[ひこぼし] って 、 どの 星[ほし] のことか 解る[わかる] ?
キョン :
知ら[しら] ん 。
古泉[こいずみ] :
ベガ と アルタイル でしょう 。
ハルヒ :
85 点[てん] 。 つまり 、 短冊[たんざく] はその 星[ほし] に 向か[むか] って 吊さ[つるさ] ないといけないの 。
キョン :
残り[のこり] の 15 点[てん] はどこの 部分[ぶぶん] だ ?
ハルヒ :
おっほん ...
ハルヒ :
説明し[せつめいし] ます 。 特殊[とくしゅ] 相対性理論[そうたいせいりろん] によると 、 光[ひかり] の 速さ[はやさ] を 越え[こえ] てどっかに 良く[よく] ことは 出来ま[できま] せん 。 ちなみに 地球[ちきゅう] から ベガ と アルタイル までは 、 それぞれ 25 光年[こうねん] と 16 光年[こうねん] 。 ってことは 、 地球[ちきゅう] から 発し[はっし] た 情報[じょうほう] がどっちかの 星[ほし] に 辿り[たどり] 着く[つく] まで 、 その 位[くらい] 掛か[かか] るわけ 。
キョン :
そんなこと 、 わざわざ 調べ[しらべ] て 来た[きた] のか 。
ハルヒ :
だからどっちかの 星[ほし] の 神様[かみさま] が 願い事[ねがいごと] を 叶え[かなえ] てくれるのも 、 そんくらい 後[のち] 。 今年[ことし] の クリスマス までに 彼氏[かれし] が 出来ま[できま] すようにとか 書い[かい] ても 、 間に合わ[まにあわ] ないわ 。
キョン :
行き[いき] でそうなら 、 往復[おうふく] で 50 年後[ねんご] とか 、 32 年後[ねんご] の 話[はなし] になるんじゃないのか ?
ハルヒ :
神様[かみさま] なんだから 、 それくらい 何とか[なんとか] してくれるわよ 。 半額[はんがく] サマーバーゲン よ 。
キョン :
へい 、 相対性理論[そうたいせいりろん] はどうなったんだ ユ 。
ハルヒ :
短冊[たんざく] は ベガ 宛と[あと] アルタイル 宛[あて] の 二種類[にしゅるい] 。 で 、 25 年後[ねんご] と 16 年後[ねんご] に 叶え[かなえ] て 欲しい[ほしい] 願い事[ねがいごと] を しなさい 。
キョン :
25 年後[ねんご] や 16 年後[ねんご] に 、 自分[じぶん] が 何[なに] してるかも 知れ[しれ] ないのに 、 どんな 願い事[ねがいごと] を せよと 言う[いう] のだ 。 いつもながら 、 しなくても 良い[よい] こと を ばかり を 考え[かんがえ] 付く[つく] 奴[やつ] だ 。 あいつの 考え[かんがえ] る 一般常識[いっぱんじょうしき] は 、 一体[いったい]何処[どこ] の 宇宙[うちゅう] の 常識[じょうしき] だ ?
古泉[こいずみ] :
そうとも 言え[いえ] ませんよ 。 涼宮[すずみや] さんはああ 見え[みえ] て 、 常識[じょうしき] と 言う[いう] もの を 良く[よく] 理解[りかい] しています 。
キョン :
何で[なんで] そんなことが 分か[わか] るんだ ?
古泉[こいずみ] :
涼宮[すずみや] さんは 、 世界[せかい] がもっと 風[かぜ] 変わり[かわり] になること を 望ん[のぞん] でいます 。 そして 彼女[かのじょ] には 、 世界[せかい] を 再構築[さいこうちく] できる 力も[りきも] ある 。 しかし 、 今[いま] のところこの 世界[せかい] は 、 まだまだ 理性[りせい] を 失って[うって] はいませんから 。
ハルヒ :
そこ 、 私語[しご] を 慎み[つつしみ] なさい !
みくる :
この 人[ひと] は 何か[なにか] 勘違い[かんちがい] しているっぽい 。
古泉[こいずみ] :
我ながら[われながら] 小市民的[しょうしみんてき] ですが 。
ハルヒ :
俗物[ぞくぶつ] ね 。
キョン :
うるせ 。
お 前[まえ] のよりは 、 遥か[はるか] にましだ 。
ハルヒ :
価値観[かちかん] の 相違[そうい] よ 。
ハルヒ :
皆[みな] 、 書い[かい] た 内容[ないよう] を ちゃんと 憶え[おぼえ] ておきなさい 。 今[いま] から 16 年後[ねんご] が 最初[さいしょ] の ポイント だからね 。 誰[だれ] の 願い[ねがい] を 彦星[ひこぼし] が 叶え[かなえ] てくれるか 、 勝負[しょうぶ] よ !
キョン :
はあ ...
ハルヒ :
16 年[ねん] か ... 長い[ながい] な ...
キョン :
ん ?
キョン :
それからの ハルヒ は 、 妙に[みょうに] テンション が 低く[ひくく] 、 憂鬱[ゆううつ] そうだった 。 しおらしく している こいつは 、 それはそれで 、 そうとうに 不気味[ぶきみ] だ 。
今[いま] 静か[しずか] にしている 分[ふん] 、 反動[はんどう] が 恐い[こわい] 。
みくる :
お 代わり[かわり] いかがですか ?
キョン :
ああ 、 頂き[いただき] ます 。 ん ?
みくる :
しぃ ー っ 。
キョン :
かわいい 。 今[いま] だ 。 勿論[もちろん] ですとも 。
ハルヒ :
今日は[きょうは] 帰る[かえる] わ 。
最後[さいご] の 人[ひと] 、 鍵[かぎ] お 願い[ねがい] ね 。
古泉[こいずみ] :
では 、 僕[ぼく] も 。
キョン :
おお 、 ありがたい 。 ん ? おい ...
古泉[こいずみ] :
それでは お 先に[さきに] 。
キョン :
ああ 。
みくる :
良か[よか] った 、 自然[しぜん] に 二人[ふたり] だけに なれて 。
キョン :
他の[ほかの] 連中[れんちゅう] に 聞か[きか] れたら 、 まずい 話[はなし] ですか ?
みくる :
うぅん 、 あのぉ 、 一緒に[いっしょに] 行って[いって] 欲しい[ほしい] ところが あるの 。
キョン :
いいですよ 、 何処[どこ] に 行く[いく] んです ?
みくる :
その 、 三年前[さんねんまえ] ... です 。
キョン :
三[さん] ...
みくる :
突然[とつぜん] 変な[へんな] こと 言って[いっって] ごめんなさい 。 あの 、 駄目[だめ] ですか ?
キョン :
それって 、 タイムトラベル ですか ?
みくる :
はい 、 そうです 。
キョン :
行く[いく] のは やぶさかでは ありませんが 、 でも 、 何で[なんで] 俺[おれ] が ? 何[なに] しに ?
みくる :
それは 、 その 、 行け[いけ] ば 分か[わか] ります 。 多分[たぶん] ... お 願い[ねがい] です 、 今[いま] は 何も[なにも] 聞か[きか] ずに 、 うんと 言って[いっって] 下さい[ください] 。 でないと 、 私[わたし] 、 私[わたし] 、 困り[こまり] ます ...
キョン :
かわいい 。
キョン :
えっと 、 じゃあいいですけど 。
みくる :
本当[ほんとう] ? ありがとう 。
キョン :
かわいい 。
みくる :
はぁ 、 良か[よか] った 。
キョン :
思い[おもい] 起こ[おこ] せば 、 朝比奈[あさひな] さんが 未来[みらい] から 来た[きた] と 言う[いう] 発言[はつげん] は 、 自己申告[じこしんこく] でしか 無く[なく] 、 証拠[しょうこ] と 言え[いえ] ば 、 大人[おとな] モード の 朝比奈[あさひな] さんの 存在[そんざい] だけだ 。 これは 、 朝比奈[あさひな] さんが 未来[みらい] 少女[しょうじょ] だとはっきり 確認す[かくにんす]る うってつけの 機会[きかい] ではないか 。
キョン :
で 、 タイムマシン は 何処[どこ] なんです ?
みくる :
ここから 行き[いき] ます 。
キョン :
ここから ?
みくる :
キョン 君[くん] 、 ごめんね 。
キョン :
あっ ...
みくる :
あ 、 起き[おき] た 。
あの 、 そろそろ 起き[おき]て くれないと 、 あたし 、 足[あし] 痺れ[しびれ] ちゃって 。
キョン :
えっ 、 あっ 、 あっ 、 うっ ...
俺[おれ] 、 何で[なんで] 寝て[ねて] たんですか ?
みくる :
ごめんなさい 、 時間[じかん] 跳躍[ちょうやく] の 方法[ほうほう] を 知ら[しら] れたくなかったんです 。 禁則事項[きんそくじこう] ですから 。 あの 、 怒った[いかった] ?
キョン :
いやあ 、 全然[ぜんぜん] 。 ハルヒ のしたことなら 、 殴って[なぐって] ますが 、 朝比奈[あさひな] さんなら 、 オールオッケイ です 。
みくる :
良か[よか] った 。
キョン :
今[いま] って 、 もう 三年前[さんねんまえ] なんですか ?
みくる :
三年前[さんねんまえ] の 七月[しちがつ] 七日[なのか] 、 夜[よる] の 九時[くじ] ごろかな 。
キョン :
マジ でですか ?
みくる :
マジ でです 。
キョン :
この 公園[こうえん] 、 いつぞや 長門[ながと] に 呼び出さ[よびださ] れてきた 時[とき] と 、 同じ[おなじ] 場所[ばしょ] だ 。 ここは 、 変わり[かわり] 者[もの] 達[たち] の メッカ なのか ? え ? 朝比奈[あさひな] さん 、 あのぉ ... これは はたして 、 何らか[なんらか] の 意志表示[いしひょうじ] なのだろうか ? あっ !
みくる ( 大[だい] ):
キョン 君[くん] 、 こんばんは 。
キョン :
朝比奈[あさひな] さん 。
みくる ( 大[だい] ):
この 時の[ときの] 私[わたし] って 、 こんなだったのね 。 ここまで あなた を 導い[みちびい] て 来た[きた] のは 、 この 子[こ] の 役目[やくめ] 、 これから あなた を 導く[みちびく] のは 、 私[わたし] の 役目[やくめ] です 。
キョン :
朝比奈[あさひな] さん を 眠ら[ねむら] せたのはあなたですか ?
みくる ( 大[だい] ):
私[わたし] の 姿[すがた] を 見ら[みら] れる 訳[わけ] には いかないので 。 私[わたし] がこの 子[こ] の 立場[たちば] だった 時[とき] 、 私[わたし] は 私[わたし] に 会って[あって] ないから 。
キョン :
はぁ 。
みくる ( 大[だい] ):
そこにある 線路沿[せんろぞい] いに 下る[くだる] と 学校[がっこう] があります 。 その 校門[こうもん] 前[まえ] にいる 人[ひと] に 協力[きょうりょく] してあげて 。 そっちの 私[わたし] は 、 ごめんですが 、 おんぶして 行って[いって] ください 。
キョン :
何か[なにか] 、 ゲーム の イベント みたいですね 。 見返り[みかえり] に 何か[なにか] アイテム は 貰え[もらえ] ないんですか ?
みくる ( 大[だい] ):
見返り[みかえり] ですか ? そうね ... 私[わたし] から 差し上げ[さしあげ] られる 物[もの] はありません 。 でも 、 そっちで 眠って[ねむって] いる 私[わたし] に チュー くらいなら しちゃってもいいよ 。 ただし 、 寝て[ねて] いる 間に[まに] ね 。
キョン :
それは 、 ちょっと ...
キョン :
信条[しんじょう] 的に[てきに] も 、 状況[じょうきょう] 的に[てきに] も 、 それは 俺[おれ] の 主義[しゅぎ] に 反す[はんす] る 次第[しだい] である 。 しかし 、 いや 、 でも 。
みくる ( 大[だい] ):
時間[じかん] です 。 私[わたし] はもう 行か[いか] ないと 。 それから 、 私[わたし] のことは 、 この 子[こ] には 内緒[ないしょ] 。 約束[やくそく] ね 。 指[ゆび] 切り[きり] する ? 指[ゆび] 切った[きった] 。 さよなら キョン 君[くん] 。 またね 。
キョン :
今[いま] の 、 大人[おとな] 版[はん] 朝比奈[あさひな] さんと 俺[おれ] は 、 どれくらいぶりに 再会[さいかい] したのだろうか ? 前回[ぜんかい] 会った[あった] 時[とき] と 殆ど[ほとんど] 変化し[へんかし]て いないように 感じ[かんじ] る 。 てか 、 ここ 本当[ほんとう] に 三年前[さんねんまえ] なのか ? どこかで 確認す[かくにんす] ることが 必要[ひつよう] だ 。 117 にでも 電話[でんわ] するか 。
キョン :
東中[ひがしちゅう] か 。 ん ? おい !
ハルヒ :
何[なに] よ 、 あんた ?
キョン :
確かに[たしかに] 俺[おれ] は 、 三年前[さんねんまえ] に 来た[きた] らしい 。
涼宮[すずみや] ハルヒ 、 現在[げんざい] 中学[ちゅうがく] 一年生[いちねんせい] 。
ハルヒ :
何[なに] よ 、 あんたって 聞い[きい] てるのよ 。 変態[へんたい] ? 誘拐犯[ゆうかいはん] ?
キョン :
お 前[まえ]こそ 、 何[なに] やってるんだ ?
ハルヒ :
決ま[きま]って いるじゃ ないの 、 不法[ふほう] 侵入[しんにゅう] よ 。
キョン :
そんな どうどうと 犯罪行為[はんざいこうい] を 宣言[せんげん] されてもな 。
ハルヒ :
誰[だれ] だか 知ら[しら] ないけど 、 暇[ひま] なら 手伝い[てつだい] なさいよ 。 でないと 、 通報す[つうほうす] るわよ 。
キョン :
ハルヒ だ 、 間違い[まちがい] ない 。
ハルヒ :
こっちよ 。
キョン :
暗[あん] がりで 幸い[さいわい] だった 。 この 分[ふん] では 、 俺[おれ] と 朝比奈[あさひな] さんの 顔[かお] も 良く[よく] 見え[みえ] てはいまい 。 三年後[さんねんご] の ハルヒ は 、 俺[おれ] と 朝比奈[あさひな] さんのこと を 、 ちらりとも 憶え[おぼえ] ていない ようだったから 。 そうであって くれないと 困る[こまる] 気が[きが] する 。
ハルヒ :
夕方[ゆうがた] に 倉庫[そうこ] から 出し[だし] て 、 隠し[かくし] ておいたのよ 。 いい アイデア でしょ ?
キョン :
代わ[かわ] ってやるよ 。 お 前[まえ] は 線引き[せんひき] 持て[もて] 。
ハルヒ :
ん 。
キョン :
ん ?
キョン :
で 、 これ を どうする 気だ[きだ] ?
ハルヒ :
あたしの 言う[いう] 通り[とおり] に 線引[せんひき] いて 。
キョン :
俺[おれ] が ?
ハルヒ :
そ 、 あんたが 。 あたしは 監督[かんとく] しないと いけないから 。
キョン :
あぁ ...
ハルヒ :
そこ 歪ん[ゆがん] でいるわよ 。 何[なに] やってんの ?
キョン :
見ず知らず[みずしらず] の 高校生[こうこうせい] に 平気[へいき] で 命令[めいれい] する 気合い[きあい] は 、 やはり 何処[どこ] までも ハルヒ らしい 。 もし 俺[おれ] 自身[じしん] が 初対面[しょたいめん] でこんな 女子中学生[じょしちゅうがくせい] に 出食[しゅっしょく] わしていたら 、 真性[しんせい] のやばい 奴[やつ] だと 思った[おもった] ことだろう 。 そんな ハルヒ の 指示[しじ] の 元[もと] 、 俺[おれ] は グラウンド を 右往左往[うおうさおう] して 白線[はくせん] を 引い[ひい] た 。 いつか 谷口[たにぐち] が 言って[いっって] いた 謎[なぞ] の メッセージ だが 、 まさか 俺[おれ] が 書い[かい] たものだったとはな 。
ハルヒ :
うん 、 まあまあね 。
キョン :
悪か[わるか] ったな 。
ハルヒ :
あんた 、 宇宙人[うちゅうじん] ていると 思う[おもう] ?
キョン :
突然[とつぜん] だな 。
ハルヒ :
質問[しつもん] に 答え[こたえ] なさいよ 。
キョン :
いるんじゃねえの 。
ハルヒ :
じゃあ 、 未来人[みらいじん] は ?
キョン :
いても 、 おかしくは 無い[ない] な 。
ハルヒ :
超能力者[ちょうのうりょくしゃ] なら ?
キョン :
配り[くばり] 歩く[あるく] 程[ほど] 、 いるだろうよ 。
ハルヒ :
異世界[いせかい] 人[じん] は ?
キョン :
それはまだ 知り合って[しりあって] ないな 。
ハルヒ :
ふーん 。 それ 北高[きたこうの] 制服[せいふく] よね 。
キョン :
まあな 。
ハルヒ :
あんた 名前[なまえ] は ?
キョン :
ジョンスミス 。
ハルヒ :
馬鹿[ばか] じゃないの ?
キョン :
匿名希望[とくめいきぼう] ということに しておいてくれ 。
ハルヒ :
おんぶしていた 人[ひと] は ?
キョン :
俺[おれ] の 姉ちゃん[ねえちゃん] だ 。 突発[とっぱつ] 性[せい] 居眠り[いねむり] 病に[びょうに] かかっていてな 、 所[ところ] 構わ[かまわ] ず 居眠り[いねむり] を するんで 、 担い[かつい] で 歩い[あるい] てたのさ 。
ハルヒ :
ふん 。
キョン :
それで 、 これは 一体何[いったいなん] なんだ ?
ハルヒ :
見れ[みれ] ば 分か[わか] るでしょ ? メッセージ よ 。
キョン :
まさか 、 織姫[おりひめ] と 彦星[ひこぼし] 宛[あて] じゃないだろうな ?
ハルヒ :
どうして 分か[わか] ったの ?
キョン :
まあ 、 七夕[たなばた] だしな 。 似た[にた] ようなこと を している 奴[やつ] に 覚え[おぼえ] があっただけさ 。
ハルヒ :
はぁ 、 是非[ぜひ] 知り合い[しりあい] になりたいわね 。
北高に[きたこうに] そんな 人[ひと] がいるわけ ?
キョン :
まあな 。
ハルヒ :
ふうん 。 北高[きたこうね] 。
ハルヒ :
帰る[かえる] わ 。 目的[もくてき] は 果た[はた] したし 。 じゃあね 。
キョン :
手伝って[てつだって] くれてありがとう 、 の 台詞[せりふ] も 無し[なし] か 。
キョン :
朝比奈[あさひな] さん ...
みくる :
な 、 な 、 な 、 何で[なんで] すここ ?
何[なに] が 、 どうして 、 今[いま] はいつで ? あ !
キョン :
あのぉ ...
みくる :
TPDD がありません 。
キョン :
え ?
みくる :
無い[ない] よぉ ...
キョン :
どうしたんです ? TPDD って 何で[なんで] すか ?
みくる :
禁則[きんそく] に 該当[がいとう] しますけど 、 タイムマシン みたいな 奴[やつ] です 。
キョン :
何で[なんで] 無い[ない] んでしょうか ?
みくる :
分か[わか] りません 。 無く[なく] なるはずが 無い[ない] のに 、 無く[なく] しちゃった 。
キョン :
誰か[だれか] 助け[たすけ] に 来て[きて] くれたりは ?
みくる :
あり 得ま[えま] せん 。
キョン :
つまり 俺達[おれたち] は 、 どうなるんですか ?
みくる :
このままです 。 私達[わたしたち] は 、 この 三年前[さんねんまえ] の 時間[じかん] 平面上[へいめんじょう] に 取り残さ[とりのこさ] れて 、 元の[もとの] 時間[じかん] に 戻れ[もどれ] ません 。
キョン :
そりゃ 、 一大事[いちだいじ] ですね 。
みくる :
一大事[いちだいじ] です 。
キョン :
しかし 俺[おれ] は 、 今一つ[いまひとつ] 緊迫感[きんぱくかん] に 欠け[かけ] ていた 。 TPDD とやら を かすめ 取った[とった] のは 、 おそらく 大人[おとな] の 朝比奈[あさひな] さんだ 。 あの 人[ひと] は 多分[たぶん] 、 そのために 過去[かこ] に 来た[きた] のだろう 。 なぜなら 、 自分[じぶん] がこの 時[とき] TPDD を 無く[なく] すという 体験[たいけん] を ... あっ !
キョン :
何とか[なんとか] なるかも しれません 。
みくる :
えっ ?
キョン :
長門[ながと] ユキ さんのお 宅[たく] でしょうか ? ああ 、 何と[なんと] 言って[いっって] 良い[よい] のか 俺[おれ] にも 分か[わか] らんのだが ... 涼宮[すずみや] ハルヒ の 知り合い[しりあい] の 者[もの] だって 言った[いっった] ら 分か[わか] るか ? おっ !
キョン :
よっ ! 入れ[いれ] てもらって いいか ?
キョン :
俺達[おれたち] の 素性[すじょう] と 、 俺達[おれたち] がここにいる 理由[りゆう] の あらましは 以上[いじょう] だ 。
で 、 三年後[さんねんご] の お前[まえ] はこんな 物[もの] を くれたんだ 。
長門[ながと] :
理解[りかい] した 。
キョン :
お前[まえ] から すれば 、 俺達[おれたち] と 出会う[であう] のは
これが 初めて[はじめて] なんだよな 。
長門[ながと] :
そ 。 異[い] 時間[じかん] 同位体[どういたい] の 当該[とうがい] メモリ へ アクセス 許可申請[きょかしんせい] 。 時間[じかん] 連結[れんけつ] 平面[へいめん] 帯[おび] の 可逆性[かぎゃくせい] 越境[えっきょう] 情報[じょうほう] を ダウンロード した 。 現時点[げんじてん] から 三年後[さんねんご] の 時間[じかん] 平面上[へいめんじょう] に 存在[そんざい] する 私[わたし] と 、 現時点[げんじてん] にいるこの 私[わたし] は 同一人物[どういつじんぶつ] 。 記憶[きおく] を 共有[きょうゆう] した 。
キョン :
どうやって ?
長門[ながと] :
同期[どうき] した 。
キョン :
いや 、 分か[わか] らんけど 。
キョン :
何で[なんで] 、 北高[きたこうの] 制服[せいふく] 着て[きて] んだ ? もう 入学[にゅうがく] してるのか ?
長門[ながと] :
してない 。 今[いま] の 私[わたし] は 待機[たいき] モード 。
キョン :
待機[たいき] って 、 あと 三年[さんねん] 近く[ちかく] も 待機[たいき] している つもりなのか ?
長門[ながと] :
そう 。
キョン :
それはまた 、 えらく 気の[きの] 長い[ながい] 話[はなし] だな 。
長門[ながと] :
役目[やくめ] だから 。 時間[じかん] を 移動[いどう] する 方法[ほうほう] は 一つ[ひとつ] ではない 。 TPDD は 時空[じくう] 制御[せいぎょ] の 1 デバイス でしかない 。 不確か[ふたしか] で 原始的[げんしてき] 。
みくる :
あのう 、 それはどういう ?
長門[ながと] :
TPDD を 用いた[もちいた] 有機[ゆうき] 情報[じょうほう] 生命体[せいめいたい] の 転移[てんい] には 、 許容範囲[きょようはんい] ではあるが ノイズ が 発生[はっせい] する 。 我々[われわれ] にとって 、 それは 完全[かんぜん] なものではない 。
キョン :
我々[われわれ] ってのは 、 情報[じょうほう] 思念[しねん] 体[からだ] のことか ?
みくる :
長門[ながと] さんは 、 完全[かんぜん] な 形[かたち] で 時間[じかん] 跳躍[ちょうやく] できるの ?
長門[ながと] :
形[かたち] は 必要[ひつよう] ではない 。 同一[どういつ] の 情報[じょうほう] が 行き来[いきき] できれば 充分[じゅうぶん] 。
キョン 、 みくる :
ひぃっ !
キョン :
まさかとは 思う[おもう] が 、 ここで 寝ろ[ねろ] って 言う[いう] のか ?
長門[ながと] :
そう 。
キョン :
朝比奈[あさひな] さんと 、 二人[ふたり] で ?
長門[ながと] :
そう 。
キョン :
うっ 。
長門[ながと] :
寝て[ねて] 。
キョン :
単刀直入[たんとうちょくにゅう] !
長門[ながと] :
寝る[ねる] だけ 。
キョン :
ま 、 そのつもりではあるが ...
言う[いう] 通り[とおり] にするしかないでしょう 。
みくる :
ええ 。
長門[ながと] :
.....
キョン :
ん 、 あれ ?
みくる :
えっ 、 本当[ほんとう] に ?
キョン :
どうしました ? それが TPDD なんですか ?
みくる :
あ 、 違い[ちがい] ます 。 これは 、 ただの 電波[でんぱ] 時計[とけい] です 。 良か[よか] った 、 帰って[かえって] これました 。 あたし 達[たち] が 出発[しゅっぱつ] した 七月[しちがつ] 七日[なのか] の 九時[くじ] 半[はん] 過ぎ[すぎ] です 。
キョン :
どうやったんだ ?
長門[ながと] :
選択時[せんたくじ] 空間内[くうかんない] の 流体[りゅうたい] 結合情報[けつごうじょうほう] を 凍結[とうけつ] 、 既知[きち] 時間[じかん] 空間[くうかん] 連続体[れんぞくたい] の 該当[がいとう] ポイント において 凍結[とうけつ] を 解除[かいじょ] した 。
みくる :
時間[じかん] を 止め[とめ] たっていうことですか ?
キョン :
は ?
みくる :
長門[ながと] さんは 、 この 部屋[へや] ごと 時間[じかん] を 止め[とめ] たんです 、 三年[さんねん] 間[かん] 。 そして 今日[きょう] になって 時間[じかん] 凍結[とうけつ] を 解い[とい] た ... のね ...
長門[ながと] :
そう
みくる :
信じ[しんじ] られません 。
キョン :
ということはつまり 、 お 前[まえ]から 初めて[はじめて] 宇宙人[うちゅうじん] とか 何とか[なんとか] いう 話[はなし] を 聞い[きい] た 時[とき] 、 隣[となり] のこの 部屋[へや] では 、 俺[おれ] と 朝比奈[あさひな] さんが 寝て[ねて] たってことか 。
長門[ながと] :
そう 。
キョン :
あぁ ... いつも 器用[きよう] な 真似[まね] ばかりすると 思って[おもって] たが 、 無敵[むてき] じゃないか 、 これ ?
長門[ながと] :
そうでもない 。 今回[こんかい] のは 特別[とくべつ] 。
エマージェンシーモード 。 滅多[めった] にない 。 よほどのことがないと .
キョン :
ありがとよ 。
長門[ながと] :
別に[べつに] 、 いい 。
キョン 、 みくる :
ん ?
キョン :
これ 、 なんて 書い[かい] てあるか 、 読め[よめ] るか ?
長門[ながと] :
私[わたし] はここにいる 。 そう 書い[かい] てある 。
キョン :
ひょっとしてだが 、 それ 、 どっかの 宇宙人[うちゅうじん] が 使って[つかって] いる 言語[げんご] になっているんじゃないだろうな ?
キョン :
長門[ながと] は 何も[なにも] 答え[こたえ] なかった 。
みくる :
ごめんなさい 。 私[わたし] 、 その ... 実は[じつは] 良く[よく] 解って[かいって] いないんです 。 私[わたし] は 下っ端[したっぱ] 、 いえ 、 末端[まったん] 、 いえ 、 研修生[けんしゅうせい] みたいなものですから 。
キョン :
その 割[わり] には 、 ハルヒ の 近く[ちかく] にいるようですが 。
みくる :
だって 、 涼宮[すずみや] さんに 捕ま[つかま] ってしまうなんて 、 考え[かんがえ] てもみなかったもの 。 私[わたし] は 上司[じょうし] というか 、 上の[うえの] 人[ひと] というか 、 その 人[ひと] の 指令[しれい] に 従って[したがって] 動い[うごい] ているだけなの 。 だから 自分[じぶん] でも 、 していることの 意味[いみ] が 解か[とか] らなかったりするんです 。
キョン :
その 上司[じょうし] と 言う[いう] のは 、 大人[おとな] 版[はん] 朝比奈[あさひな] さんではないであろうか ? あの 大人[おとな] バージョン の 朝比奈[あさひな] さんは 、 俺達[おれたち] がどうなるか 知って[しって] いたはずだ 。 だが 、 この 今[いま] の 朝比奈[あさひな] さんには 何も[なにも] 教え[おしえ] てやっていないようだ 。 でも 、 ま 、 未来人[みらいじん] には 未来人[みらいじん] なりの 規則[きそく] や 法則[ほうそく] があるのだろう 。 いつか 誰か[だれか] が 教え[おしえ] てくれるさ 。 全て[すべて] の 落ち[おち] が 付く[つく] 時に[ときに] 。
キョン :
翌日[よくじつ] 、 つまり 七月[しちがつ] 八日[ようか] 、 俺[おれ] の 意識[いしき] ではちゃんと 翌日[よくじつ] なのだが 、 肉体的[にくたいてき] には 三年[さんねん] と 一日[ついたち] ぶりの 登校[とうこう] ということになるらしい 。
キョン :
どうした ? 毒[どく] きのこでも 拾い[ひろい] 食い[くい] したのか ?
ハルヒ :
別に[べつに] 。 思い出し[おもいだし] 憂鬱[ゆううつ] よ 。 七夕[たなばた] の 季節[きせつ] には 、 ちょっと 思い出[おもいで] があるのよ 。
キョン :
そうかい 。
キョン :
なあ 長門[ながと] 、 朝比奈[あさひな] さんはちゃんと 未来人[みらいじん] なんだよな 。
長門[ながと] :
そう 。
キョン :
それにしては 、 過去[かこ] や 未来[みらい] を 行き来[いきき] する プロセス に 辻褄[つじつま] が 合って[あって] ないような 気が[きが] するんだが 。
古泉[こいずみ] :
とおっしゃいますと ?
キョン :
以前[いぜん] 、 朝比奈[あさひな] さんは 過去[かこ] と 未来[みらい] には 連続性[れんぞくせい] は 無い[ない] と 言って[いっって] いた 。 だが 三年前[さんねんまえ] に 戻った[もどった] 俺[おれ] は 、 結果[けっか] として ハルヒ に 要ら[いら] ぬ 知恵[ちえ] を 付け[づけ] てしまって 、 どうやらその 知恵[ちえ] が ハルヒ を 北高[きたこうに] 呼ん[よん] だり 、 ただの 人間[にんげん] じゃないやつら を 探さ[さがさ] せてしまった ... 可能性[かのうせい] がある 。 過去[かこ] と 未来[みらい] には 明らか[あきらか] な 連続性[れんぞくせい] があるんだ 。 朝比奈[あさひな] さんの 説明[せつめい] と 矛盾[むじゅん] するだろ ?
長門[ながと] :
無矛盾[むむじゅん] な 公理的集合論[こうりてきしゅうごうろん] は 、 自己[じこ] そのものの 無矛盾性[むむじゅんせい] を 証明[しょうめい] 出来な[できな] いから 。
キョン :
お 前[まえ] はそれで 説明[せつめい] できたた つもりなのかも しれないがなぁ 。
長門[ながと] :
そのうち 解る[わかる] 。
古泉[こいずみ] :
こういうこと ですよ 。 今[いま] 、 僕[ぼく] の キング はあなたの ルーク によって 王手[おうて] を かけられています 。 困り[こまり] ましたねぇ 、 どこへ 逃げ[にげ] ましょうか ? さあ 、 この 僕[ぼく] の 行動[こうどう] の 何処[どこ] に 矛盾[むじゅん] があったでしょうか ? もっとも 我々[われわれ] の 場合[ばあい] 、 キング に 大した[たいした] 値打ち[ねうち] は 無い[ない] のですよ 。 より 重要性[じゅうようせい] があるのは 、 あくまで クィーン なのでね 。
キョン :
ああ 、 そうかい 。
次に[つぎに] 何[なに] が 起こ[おこ] るかは 知ら[しら] んが 、
もっと 頭[あたま] を 使わ[つかわ] ずに 済み[すみ] そうなことが 起き[おき] て 欲しい[ほしい] もんだな 。
古泉[こいずみ] :
無事[ぶじ] 平穏[へいおん] が 一番[いちばん] だと 思い[おもい] ますが 、 あなたは 何か[なにか] 起き[おき] た 方が[ほうが] いいですか ?
キョン :
ふん ! こんにゃろ 。
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季節[きせつ] は 夏[なつ] 、 期末[きまつ] テスト を 間近[まぢか] に 控え[ひかえ] 、 俺[おれ] の 中の[なかの] 愉快[ゆかい] な 気分[きぶん] は ブラジル 辺り[あたり] を さ 迷って[まよって] 、 当分[とうぶん] 戻って[もどって] 来そ[きそ] うにない 。
ハルヒ :
ね 、 今日は[きょうは] 何の[なんの] 日[にち] か 知って[しって] る ?
キョン :
お 前[まえ] の 誕生日[たんじょうび] か ?
ハルヒ :
違う[ちがう] わよ 。
キョン :
朝比奈[あさひな] さんの 誕生日[たんじょうび] 。
ハルヒ :
違う[ちがう] 。
キョン :
古泉[こいずみ] か 長門[ながと] の 誕生日[たんじょうび] 。
ハルヒ :
知ら[しら] ないわよ 、 そんなの 。
キョン :
ちなみに 俺[おれ] の 誕生日[たんじょうび] は ...
ハルヒ :
どうでもいい 。 あんたって 奴[やつ] は 、 今日[きょう] がどんなに 大切[たいせつ] な 日[にち] か 分か[わか] ってないのね 。
キョン :
俺[おれ] にしてみれば 、 ただ 暑い[あつい] 平日[へいじつ] でしかないのだが 。
ハルヒ :
今日は[きょうは] 何月何日[なんがつなんにち] か 言って[いっって] みなさい 。
キョン :
七月[しちがつ] 七日[なのか] ... もしやと 思う[おもう] が 、 七夕[たなばた] がどうとか 言い出す[いいだす] んじゃないだろうな 。
ハルヒ :
勿論[もちろん] 、 言い出す[いいだす] つもりよ 。 七夕[たなばた] よ 、 七夕[たなばた] 。 あんたも 日本人[にほんじん] ならちゃんと 憶え[おぼえ] てないと 駄目[だめ] じゃないの 。
キョン :
ああ 、 そう 。
ハルヒ :
あたしは 、 こういう イベント 事[こと] は 、 しっかりやることにしてんの 。 今年[ことし] から 七夕[たなばた] は 、 団員[だんいん] 全員[ぜんいん] で 盛大[せいだい] にやるわよ !
キョン :
始ま[はじま] った 。
キョン :
ハルヒ が 何か[なにか] 言い出す[いいだす] たびに 、 意味[いみ] も 無く[なく] あちらこちら を うろちょろしなければならなくなってしまうという 法則[ほうそく] が 、 この 春[はる] からの 俺[おれ] の 日常[にちじょう] となりつつある 。 そんな 日々[ひび] に 慣れ[なれ] 始め[はじめ] ている 自分[じぶん] がちょっと 嫌だ[いやだ] 。
みくる :
はぁい 。
キョン :
オーッス 。
みくる :
こんにちは 。
古泉[こいずみ] :
どうも 。 調子[ちょうし] はどうですか ?
キョン :
俺[おれ] の 調子[ちょうし] は 、 高校[こうこう] 入学[にゅうがく] 以来[いらい] 、 狂い[くるい] っぱなしさ 。
みくる :
はい 。
キョン :
ありがとうございます 。
みくる :
どう 致し[いたし] まして 。
古泉[こいずみ] :
どうです 、 一局[いっきょく] ?
みくる 、 キョン :
ん ?
古泉[こいずみ] :
オセロ ばかりでは 飽き[あき] てしまいますからね 。
キョン :
あいにくだが 、 俺[おれ] は ルール を 知ら[しら] ん 。
古泉[こいずみ] :
それは 残念[ざんねん] 。
キョン :
暢気に[[のんきに] 構え[かまえ] てられるのも 今[いま] のうちだぞ 。 あいつがまた 詰ま[つま] らんこと を 思い付い[おもいつい] て ... おっ ...
ハルヒ :
やっほ ー い 、 めんご 、 めんご 、 遅れ[おくれ] て 御免[ごめん] ね 。
キョン :
どっから 持って[もって] 来た[きた] んだ 、 そんなもんと 、 挨拶[あいさつ] 。
ハルヒ :
学校[がっこう] の 裏[うら] の 林[はやし] 。
キョン :
あそこは 、 確か[たしか] 私有地[しゆうち] だぞ 。 この 笹[ささ] 泥棒[どろぼう] が 。
ハルヒ :
ほら 、 短冊[たんざく] も 作って[つくって] 来た[きた] から 、 皆[みんな] 、 願い事[ねがいごと] を 書き[かき] なさい 。
みくる :
短冊[たんざく] ?
古泉[こいずみ] :
なるほど 、 今日は[きょうは] 七夕[たなばた] でしたね 。
ハルヒ :
ただし 、 条件[じょうけん] があるわ 。
キョン :
条件[じょうけん] も 何も[なにも] 、 俺達[おれたち] はまだ 書く[かく] とも 何と[なんと] も 言って[いっって] ないぞ 。
ハルヒ :
キョン 、 あんた 七夕[たなばた] に 願い事[ねがいごと] を 叶え[かなえ] てくれるのって 、 誰[だれ] だか 知って[しって] いる ?
キョン :
織姫[おりひめ] か 彦星[ひこぼし] じゃねえの ?
ハルヒ :
まあ 、 正解[せいかい] 。 10 点[てん] 。 じゃあ 、 織姫[おりひめ] と 彦星[ひこぼし] って 、 どの 星[ほし] のことか 解る[わかる] ?
キョン :
知ら[しら] ん 。
古泉[こいずみ] :
ベガ と アルタイル でしょう 。
ハルヒ :
85 点[てん] 。 つまり 、 短冊[たんざく] はその 星[ほし] に 向か[むか] って 吊さ[つるさ] ないといけないの 。
キョン :
残り[のこり] の 15 点[てん] はどこの 部分[ぶぶん] だ ?
ハルヒ :
おっほん ...
ハルヒ :
説明し[せつめいし] ます 。 特殊[とくしゅ] 相対性理論[そうたいせいりろん] によると 、 光[ひかり] の 速さ[はやさ] を 越え[こえ] てどっかに 良く[よく] ことは 出来ま[できま] せん 。 ちなみに 地球[ちきゅう] から ベガ と アルタイル までは 、 それぞれ 25 光年[こうねん] と 16 光年[こうねん] 。 ってことは 、 地球[ちきゅう] から 発し[はっし] た 情報[じょうほう] がどっちかの 星[ほし] に 辿り[たどり] 着く[つく] まで 、 その 位[くらい] 掛か[かか] るわけ 。
キョン :
そんなこと 、 わざわざ 調べ[しらべ] て 来た[きた] のか 。
ハルヒ :
だからどっちかの 星[ほし] の 神様[かみさま] が 願い事[ねがいごと] を 叶え[かなえ] てくれるのも 、 そんくらい 後[のち] 。 今年[ことし] の クリスマス までに 彼氏[かれし] が 出来ま[できま] すようにとか 書い[かい] ても 、 間に合わ[まにあわ] ないわ 。
キョン :
行き[いき] でそうなら 、 往復[おうふく] で 50 年後[ねんご] とか 、 32 年後[ねんご] の 話[はなし] になるんじゃないのか ?
ハルヒ :
神様[かみさま] なんだから 、 それくらい 何とか[なんとか] してくれるわよ 。 半額[はんがく] サマーバーゲン よ 。
キョン :
へい 、 相対性理論[そうたいせいりろん] はどうなったんだ ユ 。
ハルヒ :
短冊[たんざく] は ベガ 宛と[あと] アルタイル 宛[あて] の 二種類[にしゅるい] 。 で 、 25 年後[ねんご] と 16 年後[ねんご] に 叶え[かなえ] て 欲しい[ほしい] 願い事[ねがいごと] を しなさい 。
キョン :
25 年後[ねんご] や 16 年後[ねんご] に 、 自分[じぶん] が 何[なに] してるかも 知れ[しれ] ないのに 、 どんな 願い事[ねがいごと] を せよと 言う[いう] のだ 。 いつもながら 、 しなくても 良い[よい] こと を ばかり を 考え[かんがえ] 付く[つく] 奴[やつ] だ 。 あいつの 考え[かんがえ] る 一般常識[いっぱんじょうしき] は 、 一体[いったい]何処[どこ] の 宇宙[うちゅう] の 常識[じょうしき] だ ?
古泉[こいずみ] :
そうとも 言え[いえ] ませんよ 。 涼宮[すずみや] さんはああ 見え[みえ] て 、 常識[じょうしき] と 言う[いう] もの を 良く[よく] 理解[りかい] しています 。
キョン :
何で[なんで] そんなことが 分か[わか] るんだ ?
古泉[こいずみ] :
涼宮[すずみや] さんは 、 世界[せかい] がもっと 風[かぜ] 変わり[かわり] になること を 望ん[のぞん] でいます 。 そして 彼女[かのじょ] には 、 世界[せかい] を 再構築[さいこうちく] できる 力も[りきも] ある 。 しかし 、 今[いま] のところこの 世界[せかい] は 、 まだまだ 理性[りせい] を 失って[うって] はいませんから 。
ハルヒ :
そこ 、 私語[しご] を 慎み[つつしみ] なさい !
みくる :
この 人[ひと] は 何か[なにか] 勘違い[かんちがい] しているっぽい 。
古泉[こいずみ] :
我ながら[われながら] 小市民的[しょうしみんてき] ですが 。
ハルヒ :
俗物[ぞくぶつ] ね 。
キョン :
うるせ 。
お 前[まえ] のよりは 、 遥か[はるか] にましだ 。
ハルヒ :
価値観[かちかん] の 相違[そうい] よ 。
ハルヒ :
皆[みな] 、 書い[かい] た 内容[ないよう] を ちゃんと 憶え[おぼえ] ておきなさい 。 今[いま] から 16 年後[ねんご] が 最初[さいしょ] の ポイント だからね 。 誰[だれ] の 願い[ねがい] を 彦星[ひこぼし] が 叶え[かなえ] てくれるか 、 勝負[しょうぶ] よ !
キョン :
はあ ...
ハルヒ :
16 年[ねん] か ... 長い[ながい] な ...
キョン :
ん ?
キョン :
それからの ハルヒ は 、 妙に[みょうに] テンション が 低く[ひくく] 、 憂鬱[ゆううつ] そうだった 。 しおらしく している こいつは 、 それはそれで 、 そうとうに 不気味[ぶきみ] だ 。
今[いま] 静か[しずか] にしている 分[ふん] 、 反動[はんどう] が 恐い[こわい] 。
みくる :
お 代わり[かわり] いかがですか ?
キョン :
ああ 、 頂き[いただき] ます 。 ん ?
みくる :
しぃ ー っ 。
キョン :
かわいい 。 今[いま] だ 。 勿論[もちろん] ですとも 。
ハルヒ :
今日は[きょうは] 帰る[かえる] わ 。
最後[さいご] の 人[ひと] 、 鍵[かぎ] お 願い[ねがい] ね 。
古泉[こいずみ] :
では 、 僕[ぼく] も 。
キョン :
おお 、 ありがたい 。 ん ? おい ...
古泉[こいずみ] :
それでは お 先に[さきに] 。
キョン :
ああ 。
みくる :
良か[よか] った 、 自然[しぜん] に 二人[ふたり] だけに なれて 。
キョン :
他の[ほかの] 連中[れんちゅう] に 聞か[きか] れたら 、 まずい 話[はなし] ですか ?
みくる :
うぅん 、 あのぉ 、 一緒に[いっしょに] 行って[いって] 欲しい[ほしい] ところが あるの 。
キョン :
いいですよ 、 何処[どこ] に 行く[いく] んです ?
みくる :
その 、 三年前[さんねんまえ] ... です 。
キョン :
三[さん] ...
みくる :
突然[とつぜん] 変な[へんな] こと 言って[いっって] ごめんなさい 。 あの 、 駄目[だめ] ですか ?
キョン :
それって 、 タイムトラベル ですか ?
みくる :
はい 、 そうです 。
キョン :
行く[いく] のは やぶさかでは ありませんが 、 でも 、 何で[なんで] 俺[おれ] が ? 何[なに] しに ?
みくる :
それは 、 その 、 行け[いけ] ば 分か[わか] ります 。 多分[たぶん] ... お 願い[ねがい] です 、 今[いま] は 何も[なにも] 聞か[きか] ずに 、 うんと 言って[いっって] 下さい[ください] 。 でないと 、 私[わたし] 、 私[わたし] 、 困り[こまり] ます ...
キョン :
かわいい 。
キョン :
えっと 、 じゃあいいですけど 。
みくる :
本当[ほんとう] ? ありがとう 。
キョン :
かわいい 。
みくる :
はぁ 、 良か[よか] った 。
キョン :
思い[おもい] 起こ[おこ] せば 、 朝比奈[あさひな] さんが 未来[みらい] から 来た[きた] と 言う[いう] 発言[はつげん] は 、 自己申告[じこしんこく] でしか 無く[なく] 、 証拠[しょうこ] と 言え[いえ] ば 、 大人[おとな] モード の 朝比奈[あさひな] さんの 存在[そんざい] だけだ 。 これは 、 朝比奈[あさひな] さんが 未来[みらい] 少女[しょうじょ] だとはっきり 確認す[かくにんす]る うってつけの 機会[きかい] ではないか 。
キョン :
で 、 タイムマシン は 何処[どこ] なんです ?
みくる :
ここから 行き[いき] ます 。
キョン :
ここから ?
みくる :
キョン 君[くん] 、 ごめんね 。
キョン :
あっ ...
みくる :
あ 、 起き[おき] た 。
あの 、 そろそろ 起き[おき]て くれないと 、 あたし 、 足[あし] 痺れ[しびれ] ちゃって 。
キョン :
えっ 、 あっ 、 あっ 、 うっ ...
俺[おれ] 、 何で[なんで] 寝て[ねて] たんですか ?
みくる :
ごめんなさい 、 時間[じかん] 跳躍[ちょうやく] の 方法[ほうほう] を 知ら[しら] れたくなかったんです 。 禁則事項[きんそくじこう] ですから 。 あの 、 怒った[いかった] ?
キョン :
いやあ 、 全然[ぜんぜん] 。 ハルヒ のしたことなら 、 殴って[なぐって] ますが 、 朝比奈[あさひな] さんなら 、 オールオッケイ です 。
みくる :
良か[よか] った 。
キョン :
今[いま] って 、 もう 三年前[さんねんまえ] なんですか ?
みくる :
三年前[さんねんまえ] の 七月[しちがつ] 七日[なのか] 、 夜[よる] の 九時[くじ] ごろかな 。
キョン :
マジ でですか ?
みくる :
マジ でです 。
キョン :
この 公園[こうえん] 、 いつぞや 長門[ながと] に 呼び出さ[よびださ] れてきた 時[とき] と 、 同じ[おなじ] 場所[ばしょ] だ 。 ここは 、 変わり[かわり] 者[もの] 達[たち] の メッカ なのか ? え ? 朝比奈[あさひな] さん 、 あのぉ ... これは はたして 、 何らか[なんらか] の 意志表示[いしひょうじ] なのだろうか ? あっ !
みくる ( 大[だい] ):
キョン 君[くん] 、 こんばんは 。
キョン :
朝比奈[あさひな] さん 。
みくる ( 大[だい] ):
この 時の[ときの] 私[わたし] って 、 こんなだったのね 。 ここまで あなた を 導い[みちびい] て 来た[きた] のは 、 この 子[こ] の 役目[やくめ] 、 これから あなた を 導く[みちびく] のは 、 私[わたし] の 役目[やくめ] です 。
キョン :
朝比奈[あさひな] さん を 眠ら[ねむら] せたのはあなたですか ?
みくる ( 大[だい] ):
私[わたし] の 姿[すがた] を 見ら[みら] れる 訳[わけ] には いかないので 。 私[わたし] がこの 子[こ] の 立場[たちば] だった 時[とき] 、 私[わたし] は 私[わたし] に 会って[あって] ないから 。
キョン :
はぁ 。
みくる ( 大[だい] ):
そこにある 線路沿[せんろぞい] いに 下る[くだる] と 学校[がっこう] があります 。 その 校門[こうもん] 前[まえ] にいる 人[ひと] に 協力[きょうりょく] してあげて 。 そっちの 私[わたし] は 、 ごめんですが 、 おんぶして 行って[いって] ください 。
キョン :
何か[なにか] 、 ゲーム の イベント みたいですね 。 見返り[みかえり] に 何か[なにか] アイテム は 貰え[もらえ] ないんですか ?
みくる ( 大[だい] ):
見返り[みかえり] ですか ? そうね ... 私[わたし] から 差し上げ[さしあげ] られる 物[もの] はありません 。 でも 、 そっちで 眠って[ねむって] いる 私[わたし] に チュー くらいなら しちゃってもいいよ 。 ただし 、 寝て[ねて] いる 間に[まに] ね 。
キョン :
それは 、 ちょっと ...
キョン :
信条[しんじょう] 的に[てきに] も 、 状況[じょうきょう] 的に[てきに] も 、 それは 俺[おれ] の 主義[しゅぎ] に 反す[はんす] る 次第[しだい] である 。 しかし 、 いや 、 でも 。
みくる ( 大[だい] ):
時間[じかん] です 。 私[わたし] はもう 行か[いか] ないと 。 それから 、 私[わたし] のことは 、 この 子[こ] には 内緒[ないしょ] 。 約束[やくそく] ね 。 指[ゆび] 切り[きり] する ? 指[ゆび] 切った[きった] 。 さよなら キョン 君[くん] 。 またね 。
キョン :
今[いま] の 、 大人[おとな] 版[はん] 朝比奈[あさひな] さんと 俺[おれ] は 、 どれくらいぶりに 再会[さいかい] したのだろうか ? 前回[ぜんかい] 会った[あった] 時[とき] と 殆ど[ほとんど] 変化し[へんかし]て いないように 感じ[かんじ] る 。 てか 、 ここ 本当[ほんとう] に 三年前[さんねんまえ] なのか ? どこかで 確認す[かくにんす] ることが 必要[ひつよう] だ 。 117 にでも 電話[でんわ] するか 。
キョン :
東中[ひがしちゅう] か 。 ん ? おい !
ハルヒ :
何[なに] よ 、 あんた ?
キョン :
確かに[たしかに] 俺[おれ] は 、 三年前[さんねんまえ] に 来た[きた] らしい 。
涼宮[すずみや] ハルヒ 、 現在[げんざい] 中学[ちゅうがく] 一年生[いちねんせい] 。
ハルヒ :
何[なに] よ 、 あんたって 聞い[きい] てるのよ 。 変態[へんたい] ? 誘拐犯[ゆうかいはん] ?
キョン :
お 前[まえ]こそ 、 何[なに] やってるんだ ?
ハルヒ :
決ま[きま]って いるじゃ ないの 、 不法[ふほう] 侵入[しんにゅう] よ 。
キョン :
そんな どうどうと 犯罪行為[はんざいこうい] を 宣言[せんげん] されてもな 。
ハルヒ :
誰[だれ] だか 知ら[しら] ないけど 、 暇[ひま] なら 手伝い[てつだい] なさいよ 。 でないと 、 通報す[つうほうす] るわよ 。
キョン :
ハルヒ だ 、 間違い[まちがい] ない 。
ハルヒ :
こっちよ 。
キョン :
暗[あん] がりで 幸い[さいわい] だった 。 この 分[ふん] では 、 俺[おれ] と 朝比奈[あさひな] さんの 顔[かお] も 良く[よく] 見え[みえ] てはいまい 。 三年後[さんねんご] の ハルヒ は 、 俺[おれ] と 朝比奈[あさひな] さんのこと を 、 ちらりとも 憶え[おぼえ] ていない ようだったから 。 そうであって くれないと 困る[こまる] 気が[きが] する 。
ハルヒ :
夕方[ゆうがた] に 倉庫[そうこ] から 出し[だし] て 、 隠し[かくし] ておいたのよ 。 いい アイデア でしょ ?
キョン :
代わ[かわ] ってやるよ 。 お 前[まえ] は 線引き[せんひき] 持て[もて] 。
ハルヒ :
ん 。
キョン :
ん ?
キョン :
で 、 これ を どうする 気だ[きだ] ?
ハルヒ :
あたしの 言う[いう] 通り[とおり] に 線引[せんひき] いて 。
キョン :
俺[おれ] が ?
ハルヒ :
そ 、 あんたが 。 あたしは 監督[かんとく] しないと いけないから 。
キョン :
あぁ ...
ハルヒ :
そこ 歪ん[ゆがん] でいるわよ 。 何[なに] やってんの ?
キョン :
見ず知らず[みずしらず] の 高校生[こうこうせい] に 平気[へいき] で 命令[めいれい] する 気合い[きあい] は 、 やはり 何処[どこ] までも ハルヒ らしい 。 もし 俺[おれ] 自身[じしん] が 初対面[しょたいめん] でこんな 女子中学生[じょしちゅうがくせい] に 出食[しゅっしょく] わしていたら 、 真性[しんせい] のやばい 奴[やつ] だと 思った[おもった] ことだろう 。 そんな ハルヒ の 指示[しじ] の 元[もと] 、 俺[おれ] は グラウンド を 右往左往[うおうさおう] して 白線[はくせん] を 引い[ひい] た 。 いつか 谷口[たにぐち] が 言って[いっって] いた 謎[なぞ] の メッセージ だが 、 まさか 俺[おれ] が 書い[かい] たものだったとはな 。
ハルヒ :
うん 、 まあまあね 。
キョン :
悪か[わるか] ったな 。
ハルヒ :
あんた 、 宇宙人[うちゅうじん] ていると 思う[おもう] ?
キョン :
突然[とつぜん] だな 。
ハルヒ :
質問[しつもん] に 答え[こたえ] なさいよ 。
キョン :
いるんじゃねえの 。
ハルヒ :
じゃあ 、 未来人[みらいじん] は ?
キョン :
いても 、 おかしくは 無い[ない] な 。
ハルヒ :
超能力者[ちょうのうりょくしゃ] なら ?
キョン :
配り[くばり] 歩く[あるく] 程[ほど] 、 いるだろうよ 。
ハルヒ :
異世界[いせかい] 人[じん] は ?
キョン :
それはまだ 知り合って[しりあって] ないな 。
ハルヒ :
ふーん 。 それ 北高[きたこうの] 制服[せいふく] よね 。
キョン :
まあな 。
ハルヒ :
あんた 名前[なまえ] は ?
キョン :
ジョンスミス 。
ハルヒ :
馬鹿[ばか] じゃないの ?
キョン :
匿名希望[とくめいきぼう] ということに しておいてくれ 。
ハルヒ :
おんぶしていた 人[ひと] は ?
キョン :
俺[おれ] の 姉ちゃん[ねえちゃん] だ 。 突発[とっぱつ] 性[せい] 居眠り[いねむり] 病に[びょうに] かかっていてな 、 所[ところ] 構わ[かまわ] ず 居眠り[いねむり] を するんで 、 担い[かつい] で 歩い[あるい] てたのさ 。
ハルヒ :
ふん 。
キョン :
それで 、 これは 一体何[いったいなん] なんだ ?
ハルヒ :
見れ[みれ] ば 分か[わか] るでしょ ? メッセージ よ 。
キョン :
まさか 、 織姫[おりひめ] と 彦星[ひこぼし] 宛[あて] じゃないだろうな ?
ハルヒ :
どうして 分か[わか] ったの ?
キョン :
まあ 、 七夕[たなばた] だしな 。 似た[にた] ようなこと を している 奴[やつ] に 覚え[おぼえ] があっただけさ 。
ハルヒ :
はぁ 、 是非[ぜひ] 知り合い[しりあい] になりたいわね 。
北高に[きたこうに] そんな 人[ひと] がいるわけ ?
キョン :
まあな 。
ハルヒ :
ふうん 。 北高[きたこうね] 。
ハルヒ :
帰る[かえる] わ 。 目的[もくてき] は 果た[はた] したし 。 じゃあね 。
キョン :
手伝って[てつだって] くれてありがとう 、 の 台詞[せりふ] も 無し[なし] か 。
キョン :
朝比奈[あさひな] さん ...
みくる :
な 、 な 、 な 、 何で[なんで] すここ ?
何[なに] が 、 どうして 、 今[いま] はいつで ? あ !
キョン :
あのぉ ...
みくる :
TPDD がありません 。
キョン :
え ?
みくる :
無い[ない] よぉ ...
キョン :
どうしたんです ? TPDD って 何で[なんで] すか ?
みくる :
禁則[きんそく] に 該当[がいとう] しますけど 、 タイムマシン みたいな 奴[やつ] です 。
キョン :
何で[なんで] 無い[ない] んでしょうか ?
みくる :
分か[わか] りません 。 無く[なく] なるはずが 無い[ない] のに 、 無く[なく] しちゃった 。
キョン :
誰か[だれか] 助け[たすけ] に 来て[きて] くれたりは ?
みくる :
あり 得ま[えま] せん 。
キョン :
つまり 俺達[おれたち] は 、 どうなるんですか ?
みくる :
このままです 。 私達[わたしたち] は 、 この 三年前[さんねんまえ] の 時間[じかん] 平面上[へいめんじょう] に 取り残さ[とりのこさ] れて 、 元の[もとの] 時間[じかん] に 戻れ[もどれ] ません 。
キョン :
そりゃ 、 一大事[いちだいじ] ですね 。
みくる :
一大事[いちだいじ] です 。
キョン :
しかし 俺[おれ] は 、 今一つ[いまひとつ] 緊迫感[きんぱくかん] に 欠け[かけ] ていた 。 TPDD とやら を かすめ 取った[とった] のは 、 おそらく 大人[おとな] の 朝比奈[あさひな] さんだ 。 あの 人[ひと] は 多分[たぶん] 、 そのために 過去[かこ] に 来た[きた] のだろう 。 なぜなら 、 自分[じぶん] がこの 時[とき] TPDD を 無く[なく] すという 体験[たいけん] を ... あっ !
キョン :
何とか[なんとか] なるかも しれません 。
みくる :
えっ ?
キョン :
長門[ながと] ユキ さんのお 宅[たく] でしょうか ? ああ 、 何と[なんと] 言って[いっって] 良い[よい] のか 俺[おれ] にも 分か[わか] らんのだが ... 涼宮[すずみや] ハルヒ の 知り合い[しりあい] の 者[もの] だって 言った[いっった] ら 分か[わか] るか ? おっ !
キョン :
よっ ! 入れ[いれ] てもらって いいか ?
キョン :
俺達[おれたち] の 素性[すじょう] と 、 俺達[おれたち] がここにいる 理由[りゆう] の あらましは 以上[いじょう] だ 。
で 、 三年後[さんねんご] の お前[まえ] はこんな 物[もの] を くれたんだ 。
長門[ながと] :
理解[りかい] した 。
キョン :
お前[まえ] から すれば 、 俺達[おれたち] と 出会う[であう] のは
これが 初めて[はじめて] なんだよな 。
長門[ながと] :
そ 。 異[い] 時間[じかん] 同位体[どういたい] の 当該[とうがい] メモリ へ アクセス 許可申請[きょかしんせい] 。 時間[じかん] 連結[れんけつ] 平面[へいめん] 帯[おび] の 可逆性[かぎゃくせい] 越境[えっきょう] 情報[じょうほう] を ダウンロード した 。 現時点[げんじてん] から 三年後[さんねんご] の 時間[じかん] 平面上[へいめんじょう] に 存在[そんざい] する 私[わたし] と 、 現時点[げんじてん] にいるこの 私[わたし] は 同一人物[どういつじんぶつ] 。 記憶[きおく] を 共有[きょうゆう] した 。
キョン :
どうやって ?
長門[ながと] :
同期[どうき] した 。
キョン :
いや 、 分か[わか] らんけど 。
キョン :
何で[なんで] 、 北高[きたこうの] 制服[せいふく] 着て[きて] んだ ? もう 入学[にゅうがく] してるのか ?
長門[ながと] :
してない 。 今[いま] の 私[わたし] は 待機[たいき] モード 。
キョン :
待機[たいき] って 、 あと 三年[さんねん] 近く[ちかく] も 待機[たいき] している つもりなのか ?
長門[ながと] :
そう 。
キョン :
それはまた 、 えらく 気の[きの] 長い[ながい] 話[はなし] だな 。
長門[ながと] :
役目[やくめ] だから 。 時間[じかん] を 移動[いどう] する 方法[ほうほう] は 一つ[ひとつ] ではない 。 TPDD は 時空[じくう] 制御[せいぎょ] の 1 デバイス でしかない 。 不確か[ふたしか] で 原始的[げんしてき] 。
みくる :
あのう 、 それはどういう ?
長門[ながと] :
TPDD を 用いた[もちいた] 有機[ゆうき] 情報[じょうほう] 生命体[せいめいたい] の 転移[てんい] には 、 許容範囲[きょようはんい] ではあるが ノイズ が 発生[はっせい] する 。 我々[われわれ] にとって 、 それは 完全[かんぜん] なものではない 。
キョン :
我々[われわれ] ってのは 、 情報[じょうほう] 思念[しねん] 体[からだ] のことか ?
みくる :
長門[ながと] さんは 、 完全[かんぜん] な 形[かたち] で 時間[じかん] 跳躍[ちょうやく] できるの ?
長門[ながと] :
形[かたち] は 必要[ひつよう] ではない 。 同一[どういつ] の 情報[じょうほう] が 行き来[いきき] できれば 充分[じゅうぶん] 。
キョン 、 みくる :
ひぃっ !
キョン :
まさかとは 思う[おもう] が 、 ここで 寝ろ[ねろ] って 言う[いう] のか ?
長門[ながと] :
そう 。
キョン :
朝比奈[あさひな] さんと 、 二人[ふたり] で ?
長門[ながと] :
そう 。
キョン :
うっ 。
長門[ながと] :
寝て[ねて] 。
キョン :
単刀直入[たんとうちょくにゅう] !
長門[ながと] :
寝る[ねる] だけ 。
キョン :
ま 、 そのつもりではあるが ...
言う[いう] 通り[とおり] にするしかないでしょう 。
みくる :
ええ 。
長門[ながと] :
.....
キョン :
ん 、 あれ ?
みくる :
えっ 、 本当[ほんとう] に ?
キョン :
どうしました ? それが TPDD なんですか ?
みくる :
あ 、 違い[ちがい] ます 。 これは 、 ただの 電波[でんぱ] 時計[とけい] です 。 良か[よか] った 、 帰って[かえって] これました 。 あたし 達[たち] が 出発[しゅっぱつ] した 七月[しちがつ] 七日[なのか] の 九時[くじ] 半[はん] 過ぎ[すぎ] です 。
キョン :
どうやったんだ ?
長門[ながと] :
選択時[せんたくじ] 空間内[くうかんない] の 流体[りゅうたい] 結合情報[けつごうじょうほう] を 凍結[とうけつ] 、 既知[きち] 時間[じかん] 空間[くうかん] 連続体[れんぞくたい] の 該当[がいとう] ポイント において 凍結[とうけつ] を 解除[かいじょ] した 。
みくる :
時間[じかん] を 止め[とめ] たっていうことですか ?
キョン :
は ?
みくる :
長門[ながと] さんは 、 この 部屋[へや] ごと 時間[じかん] を 止め[とめ] たんです 、 三年[さんねん] 間[かん] 。 そして 今日[きょう] になって 時間[じかん] 凍結[とうけつ] を 解い[とい] た ... のね ...
長門[ながと] :
そう
みくる :
信じ[しんじ] られません 。
キョン :
ということはつまり 、 お 前[まえ]から 初めて[はじめて] 宇宙人[うちゅうじん] とか 何とか[なんとか] いう 話[はなし] を 聞い[きい] た 時[とき] 、 隣[となり] のこの 部屋[へや] では 、 俺[おれ] と 朝比奈[あさひな] さんが 寝て[ねて] たってことか 。
長門[ながと] :
そう 。
キョン :
あぁ ... いつも 器用[きよう] な 真似[まね] ばかりすると 思って[おもって] たが 、 無敵[むてき] じゃないか 、 これ ?
長門[ながと] :
そうでもない 。 今回[こんかい] のは 特別[とくべつ] 。
エマージェンシーモード 。 滅多[めった] にない 。 よほどのことがないと .
キョン :
ありがとよ 。
長門[ながと] :
別に[べつに] 、 いい 。
キョン 、 みくる :
ん ?
キョン :
これ 、 なんて 書い[かい] てあるか 、 読め[よめ] るか ?
長門[ながと] :
私[わたし] はここにいる 。 そう 書い[かい] てある 。
キョン :
ひょっとしてだが 、 それ 、 どっかの 宇宙人[うちゅうじん] が 使って[つかって] いる 言語[げんご] になっているんじゃないだろうな ?
キョン :
長門[ながと] は 何も[なにも] 答え[こたえ] なかった 。
みくる :
ごめんなさい 。 私[わたし] 、 その ... 実は[じつは] 良く[よく] 解って[かいって] いないんです 。 私[わたし] は 下っ端[したっぱ] 、 いえ 、 末端[まったん] 、 いえ 、 研修生[けんしゅうせい] みたいなものですから 。
キョン :
その 割[わり] には 、 ハルヒ の 近く[ちかく] にいるようですが 。
みくる :
だって 、 涼宮[すずみや] さんに 捕ま[つかま] ってしまうなんて 、 考え[かんがえ] てもみなかったもの 。 私[わたし] は 上司[じょうし] というか 、 上の[うえの] 人[ひと] というか 、 その 人[ひと] の 指令[しれい] に 従って[したがって] 動い[うごい] ているだけなの 。 だから 自分[じぶん] でも 、 していることの 意味[いみ] が 解か[とか] らなかったりするんです 。
キョン :
その 上司[じょうし] と 言う[いう] のは 、 大人[おとな] 版[はん] 朝比奈[あさひな] さんではないであろうか ? あの 大人[おとな] バージョン の 朝比奈[あさひな] さんは 、 俺達[おれたち] がどうなるか 知って[しって] いたはずだ 。 だが 、 この 今[いま] の 朝比奈[あさひな] さんには 何も[なにも] 教え[おしえ] てやっていないようだ 。 でも 、 ま 、 未来人[みらいじん] には 未来人[みらいじん] なりの 規則[きそく] や 法則[ほうそく] があるのだろう 。 いつか 誰か[だれか] が 教え[おしえ] てくれるさ 。 全て[すべて] の 落ち[おち] が 付く[つく] 時に[ときに] 。
キョン :
翌日[よくじつ] 、 つまり 七月[しちがつ] 八日[ようか] 、 俺[おれ] の 意識[いしき] ではちゃんと 翌日[よくじつ] なのだが 、 肉体的[にくたいてき] には 三年[さんねん] と 一日[ついたち] ぶりの 登校[とうこう] ということになるらしい 。
キョン :
どうした ? 毒[どく] きのこでも 拾い[ひろい] 食い[くい] したのか ?
ハルヒ :
別に[べつに] 。 思い出し[おもいだし] 憂鬱[ゆううつ] よ 。 七夕[たなばた] の 季節[きせつ] には 、 ちょっと 思い出[おもいで] があるのよ 。
キョン :
そうかい 。
キョン :
なあ 長門[ながと] 、 朝比奈[あさひな] さんはちゃんと 未来人[みらいじん] なんだよな 。
長門[ながと] :
そう 。
キョン :
それにしては 、 過去[かこ] や 未来[みらい] を 行き来[いきき] する プロセス に 辻褄[つじつま] が 合って[あって] ないような 気が[きが] するんだが 。
古泉[こいずみ] :
とおっしゃいますと ?
キョン :
以前[いぜん] 、 朝比奈[あさひな] さんは 過去[かこ] と 未来[みらい] には 連続性[れんぞくせい] は 無い[ない] と 言って[いっって] いた 。 だが 三年前[さんねんまえ] に 戻った[もどった] 俺[おれ] は 、 結果[けっか] として ハルヒ に 要ら[いら] ぬ 知恵[ちえ] を 付け[づけ] てしまって 、 どうやらその 知恵[ちえ] が ハルヒ を 北高[きたこうに] 呼ん[よん] だり 、 ただの 人間[にんげん] じゃないやつら を 探さ[さがさ] せてしまった ... 可能性[かのうせい] がある 。 過去[かこ] と 未来[みらい] には 明らか[あきらか] な 連続性[れんぞくせい] があるんだ 。 朝比奈[あさひな] さんの 説明[せつめい] と 矛盾[むじゅん] するだろ ?
長門[ながと] :
無矛盾[むむじゅん] な 公理的集合論[こうりてきしゅうごうろん] は 、 自己[じこ] そのものの 無矛盾性[むむじゅんせい] を 証明[しょうめい] 出来な[できな] いから 。
キョン :
お 前[まえ] はそれで 説明[せつめい] できたた つもりなのかも しれないがなぁ 。
長門[ながと] :
そのうち 解る[わかる] 。
古泉[こいずみ] :
こういうこと ですよ 。 今[いま] 、 僕[ぼく] の キング はあなたの ルーク によって 王手[おうて] を かけられています 。 困り[こまり] ましたねぇ 、 どこへ 逃げ[にげ] ましょうか ? さあ 、 この 僕[ぼく] の 行動[こうどう] の 何処[どこ] に 矛盾[むじゅん] があったでしょうか ? もっとも 我々[われわれ] の 場合[ばあい] 、 キング に 大した[たいした] 値打ち[ねうち] は 無い[ない] のですよ 。 より 重要性[じゅうようせい] があるのは 、 あくまで クィーン なのでね 。
キョン :
ああ 、 そうかい 。
次に[つぎに] 何[なに] が 起こ[おこ] るかは 知ら[しら] んが 、
もっと 頭[あたま] を 使わ[つかわ] ずに 済み[すみ] そうなことが 起き[おき] て 欲しい[ほしい] もんだな 。
古泉[こいずみ] :
無事[ぶじ] 平穏[へいおん] が 一番[いちばん] だと 思い[おもい] ますが 、 あなたは 何か[なにか] 起き[おき] た 方が[ほうが] いいですか ?
キョン :
ふん ! こんにゃろ 。