Code Geass(Japanese)>03. The False Classmate

皇暦(こうれき)2010年8月10日(にせんじゅうねん・はちがつ・とおか)、神聖ブリタニア帝国は、日本に宣戦布告した。
ブリタニアの最新兵器『ナイトメアフレーム』の前に、一月(ひとつき)ともたずに敗れ去った日本は、自由と伝統、権利と誇り、そして名前を奪われた。
『イレブン』―― その数字が、新しい日本人の名前だった・・・。


兵士1:
どういうことだイレブンを逃がせとは!?回収すべきガスもまだ残っているのだろう!!

兵士2:
しかし…クロヴィス殿下の指示ですから。

兵士1:
バトレー将軍は?参謀府の意見を聞きたい。

兵士2:
将軍達は席を外された様で。

兵士1:
では、コンダクトフロアには殿下のみだと…!?

クロヴィス:
嬉しいよ、ルルーシュ。
日本占領の時に死んだと聞いてたから…
いやぁよかった…生きていて…
どうだい?私と本国に…

ルルーシュ:
また、外交の道具とする気か?
お前は、何故(なにゆえ)俺達が道具となったか忘れたようだな。
そう…母さんが殺されたからだ!
母の身分は騎士候だったが、出(で)は庶民だ。
他の皇女(こうじょ)達にとってはさぞや目障りな存在だったんだろうな。
しかし…だからといってテロリストの仕業に見せかけてまで…母さんを殺したな…!

クロヴィス:
私じゃない!私じゃないぞ!

ルルーシュ:
なら、知っていることを話せ。
俺の前では、誰も嘘はつけない。
誰だ…!?殺したのは…!!


クロヴィス:
第二王子シュナイゼルと、第二皇女コーネリア…
彼らが知っている…


ルルーシュ:
あいつらが首謀者か…!?
そこまでは知らないか…


クロヴィス:
本当に私じゃない!
やってない!やらせてもいない!

ルルーシュ:
わかったよ。
しかし…

クロヴィス:
や、やめろ…!
腹違いとはいえ、実(じつ)の兄だぞー!

ルルーシュ:
奇麗事で、世界は変えられないから…



会長:
こーら、ルルーシュ!
今、寝てたでしょー!手が止まってた!

ルルーシュ:
だからって、叩かないでくださいよ!

リヴァル:
俺を置き去りにした罰だって!

シャーリー:
そうそう、何やってたのよ?昨日。

ルルーシュ:
ああ、いや…

会長:
はいはいはい!話を脱線させないの!
今は部活の予算審査、とっとと済ませないと!どこも予算が下りないでしょー?

女:
そんなことになったら…

リヴァル:
馬術部なんかマジ怒り[いかり]。またここに突入してきたりして!

会長:
リヴァル!あんたも一応生徒会メンバーなんだから!

シャーリー:
せめて、もう一日早く思い出してくれていればよかったんですよ!

リヴァル:
もう一日遅くが正解。諦めがつく。

ルルーシュ:
いい考えだ。今からでも…

会長:
がーーっつ!!

リヴァル:
また、ガッツの魔法ですかぁ!?

会長:
はぁ~い、あなた方は頑張りたくなりま~す!

ルルーシュ:
かかりませんよ。そんないんちき魔法じゃ。

シャーリー:
会長!私、かかったことにしま~す。

会長:
うん、肉体派は素直で宜しい。

シャーリー:
鍛えてるって言ってくれないと!

会長:
そうじゃなくてさぁ~。

シャーリー:


会長:
立派じゃん!

会長:
この間女子寮のバスルームで確かめた。
トップとアンダーのバランスがいいよね~。

リヴァル:
ほほ~。

シャーリー:
な…何言ってるんですか!?変態!!
シャーリー:
もう!会長って中身は絶対おじさんだよね!
自分で話をそらしていくし…

女:
ミレーちゃんは昔からああなんで…

リヴァル:
(笑い)
まあ、予算表間に合ったんだし、いいじゃないの!

男:
毒ガステロだって!

男:
怖いよなあ!
シンジュクなんて30分と離れてないのに!

女:
あたし見た!シンジュクの方で煙が上がってるの!
あれ毒ガスだったんだー…

男:
シンジュクの様子、他に出てない!?

シャーリー:
シンジュク…?

ルルーシュ:
昨日、この件で電話したんだよ。
知り合いからリアルタイムで聞いてて…

男:
おい!画像アップされてっぞ!イレブンの死体が!

女:
いやー!見せないで!

ルルーシュ:
おかしい…
何故あの情報を隠す…?





ルルーシュ:
クロヴィスの死を隠すということは、混乱を防ぐ為か…
しかし…それをやるということは、発表するとき…
ふん!我ながら細い神経だな!
ジェレミア:
ぬるいな…文官出のやることは…

ヴィレッタ:
バトレー将軍ですか?

ジェレミア:
犯人はあれだけの警備を二度も突破している…
こんな型通りの検問では…

ヴィレッタ:
ジェレミア辺境伯(へんきょうはく)、クロヴィス殿下亡き今、我々純潔派が…

ジェレミア:
指示は私が出す。内部をまとめるまで待て。




女子生徒:
カレン、久しぶり~


体いいの?


ソフィちゃん、心配してたよ。


もう大丈夫なの?

カレン:
うん、あんまり無理はできないけどね。

ルルーシュ:
そうか…引っ掛かった訳だ…

カレン:
だって、あんまり休むと皆についていけなくなっちゃうし…

リヴァル:
ルルーシュ君、な~に見てるのかな~?
ひょっとして惚れちゃった~?

ルルーシュ:
珍しいだけだよ。
彼女、始業式以来、来て無かったよな…?

リヴァル:
カレン・シュタットフェルト。
なんか~体が弱いらしくてさあ~
前の学年でもたまにしかねえ…
でも成績は抜群に優秀。
シュタットフェルト家の御令嬢だから、金はあるし、性格も穏やか!
いやぁ~お目が高い!

ルルーシュ:
違うって。

リヴァル:
隠さない隠さない。


まあ~ちょっと箱入りすぎるけどね~

女子生徒:
きゃああああ
蜂よ!蜂が!
カレンさん、逃げて!
きゃああああ
早く逃げて!

カレン:
こんなところに蜂だなんて…
蜂の巣でもあるのかしら…?
あ~イライラする!
病弱なんて設定にしなきゃよかった!
やばっ…見られた…

ルルーシュ:
やはりあの時の女だ…

カレン:
な…なにか用かしら…


ルルーシュ:
質問に答えろ。

カレン:
はい。

ルルーシュ:
昨日、シンジュクでグラスゴーに乗っていたな。

カレン:
はい。

ルルーシュ:
どうしてテロを?

カレン:
わたしは日本人だから。
ブリタニアの血も半分入ってるけど。

ルルーシュ:
ハーフ!?
しかし、何故そこまで…

カレン:
えっと…私に何か…

ルルーシュ:
いや、もう用は済んだ。
そうだ…念の為…
シンジュクのことは何も言うな。

カレン:
えっ?シンジュクってどういうこと?
どうしてそんなこというの?

ルルーシュ:
教室に戻れ。

カレン:
あなたが質問に答えてくれたらね!

ルルーシュ:
きかない?どういうことだ!?これは!?

シャーリー:
ルルー!
カレンさ~ん!

次、理科準備室だよ!
急がないと!

ルルーシュ:
やっべ!
実験器具出さなくっちゃ!


しくじった…!?
しかし…
どうしましょう…今日も遅いかも…


待ちます。夕食は一緒にって言ってたから。


ほーら、できましたよ。


鳥?


はい。鶴(つる)です。


すごーい。日本人って器用なのね。


ナナリー様?


ごめん、遅れちゃって…


お帰りなさい、お兄(にい)様。


お帰りなさいませ。


ただいま、ナナリー、さよこさん。










諸君も知っての通り、計画は全て失敗した。


故にこの研究所を破棄する。


えっ!?しかし…


ナリタに場所を用意した。全て移す。


記憶がないとはいえ、私や参謀達がクロヴィス殿下の元を離れたのは事実だ。


私は本国に戻され、責任を問われるだろう。


その際、皇帝陛下に秘密でこの実験を進めていたことが知られると…


わかりました。早急(さっきゅう)に準備を進めます。
ナナリー:
さっきさよこさんに折り紙を教えてもらったんです。
一枚の紙を何度も折ると、鳥や船とかいろんな物になるんですって。

ルルーシュ:
あぁ、そんなに急いで話さなくても大丈夫だよ。
俺はどこにも行かないから。

ナナリー:
ありがとう、お兄様。

ルルーシュ:
どういたしまして。

ナナリー:
よかった。
お兄様、昨日の夜何か怖かったから…

ルルーシュ:
そうかい。ごめん。ちょっと考え事があってさ。

ナナリー:
ねえ、この鶴を一〇〇〇羽(ば)折るとね、願いが叶うんですって。
もしお兄様に叶えたい事があるのなら…

ルルーシュ:
いやー、俺は…
ナナリーは、何かないのかい?

ナナリー:
やさしい世界でありますように。

ルルーシュ:
お前の目が見えるようになる頃にはきっとそうなってるよ。

ナナリー:
ほんとうに?

ルルーシュ:
約束する。
そうだ、俺達には選択できる未来が限られている。
ここで匿われているといっても、アッシュフォード家がいつまで後ろ盾になってくれるか
素性がばれたら、シャーリーやリヴァル達だって離れるだろうし…
行く末は政治の道具か陰謀の餌食だ。
作らねば…ナナリーだけでも幸せに過ごせる世界を…!

ナナリー:
この前、教えてもらったの。日本の約束の仕方。
嘘ついたら針千本のーます。指切った!

ルルーシュ:
怖いな…千本も針を飲まなくちゃいけないのか…

ナナリー:
そう、だから、嘘ついたらいけないんですよ。

ルルーシュ:
大丈夫。俺は嘘をつかないよ。
…お前にだけは…
ルルーシュ:
これだけが俺の武器だ…
知らなくては…使い方を…

先生:
ルルーシュ!
もうすぐ授業が始まるぞ!

ルルーシュ:
あ、はい!
先生、今度の論述試験の問題、教えてくださいよ。

先生:
エディンバラの屈辱と新大陸への遷都、北南(ほくなん)戦争についてだ。

ルルーシュ:
この力…無くなったわけではないのか…

先生:
うっ!?

ルルーシュ:
先生、今度の論述試験の問題、教えてくださいよ!

先生:
冗談言ってないで、真面目に勉強しろ!
お前は、やればできるんだからな!

ルルーシュ:
は~い!
やはりな…
同じ人間には一度しか効かないってわけか…



扇:
どうだい、久しぶりの学校は?

カレン:
窮屈。
昨日なんて歴史の授業だし…
ねえ、そっちに戻ったほうが…

扇:
今は軍の警戒が厳しい。
しばらくはそこで熱り(ほとぼり)を冷ますんだ。

カレン:
でも、あの声のことだって…

扇:
声だけじゃ探しようが無いよ…
それに、カレンが学生やってるほうがナオトも喜ぶ。
シンジュクのことはしばらく忘れろ。
また連絡する。

カレン:
シンジュク…分かってるけど…
はっ!

ルルーシュ:
シンジュクのことは何も言うな。

カレン:
まさか…あの時の声…
ルルーシュ:

ひとつは貴族教育です。
統治する人間を特定し、集中的に教育、訓練することで優れた統治者を育てる。
ふたつめはスピードです。
選りすぐられた…

カレン:
似てる…か?
いや、声の記憶なんて当てにならないけど…

教師:
はい、よろしい。
偉大なるエリザベス一世のお子であるヘンリー九世の即位によって…

ルルーシュ:
与えたのはシンジュクという情報だけだ。
しかし…

カレン:
もし私の正体を知られていたら…

ルルーシュ:
早いうちに…

カレン:
処理しなければ…




バトレー
研究所は…?

ブリタニア兵:
昨晩のうちにはナリタに

バトレー
そうか
申し訳ありません殿下…




女子生徒:
ハーブティーの専門店なの。
すっごく素敵なとこ。
カレンさんもおいでよ。

シャーリー:
ねぇルル、このあとさあ…

ルルーシュ:
悪い、また今度な。

女子生徒:
ああやっぱり~?

カレンさん自宅通いなんだ~。

門限とかあるの~?


ルルーシュ:
ちょっと付き合ってくれないか。
話したいことがある。

女子生徒:
えぇ?!

カレン:
ええ。誘ってくれると思ってた。

女子生徒:
はあ?!




ジェレミア:
お分かりですか?
私達の決意を。

バトレー:
だから私は!

ジェレミア:
覚えていない?
まだそんなつまらぬ言い訳を!

バトレー:
他の者にも聞け!
証言なら…!

ジェレミア:
我が身大事か…みぐるしい!
あなたがこれ以上殿下のお側にいるのは許されない!
カレン:
学校内にこんな場所があったなんて…

ルルーシュ:
生徒会専用のクラブハウスだ。
舞踏会なんかも出来るように広めに作ってある。

カレン:
ここなら邪魔は入らない。

ルルーシュ:
そういうことだ。

シャーリー:
あったー!
あったあった!
ほら、これでしょ?

ニーナ:
あー、それです!
実験データ。

リヴァル:
やれやれ、腰いてえ!

ミレイ:
そっち見つかったぁ?
こっちもできたからはじめよっかぁ?

リヴァル:
うおおすげえええ

シャーリー:
さっすがミレイさん!

ミレイ:
ふっふふー。
もっと褒めるがよいー。

ルルーシュ:
あの、何ですか、これ?

ミレイ:
知ってて連れて来てくれたんじゃなかったのぉ?
カレンさん、生徒会に入れるから。

カレン:
はっ?

ミレイ:
お爺ちゃんに頼まれちゃってさあ。

ルルーシュ:
理事長に?

ミレイ:
うん、体のこともあるから、普通に部活は難しいだろうって。
あっ、あたし、生徒会長のミレー、宜しくね。

カレン:
あっ、宜しくお願いします。

リヴァル:
俺、リヴァル。
書記ね。
わからないことがあったらなんでも聞いて。

シャーリー:
シャーリーです。
水泳部と掛け持ちだけどよろしく!

ニーナ:
私…ニーナです…

カレン:
あっ、いえ…こちらこそ…

ナナリー:
あの、シャーリーさんすみません、これテーブルに…

シャーリー:
ああ、ありがとうナナちゃん!

ルルーシュ:
ナナリー、お前まで…

ミレイ:
ルルーシュの妹よ。

ナナリー:
私は中等部なので生徒会じゃないんですけど…

リヴァル:
いいでしょ。
準会員ということで。

ナナリー:
うん!
カレンさん、宜しくお願いします!

カレン:
宜しく、こちらこそ。

リヴァル:
さて、まずは乾杯といきますかあ!

シャーリー:
シャンパン!?

ニーナ:
生徒会自ら、これはまずいんじゃあ…

リヴァル:
まあまあ、かたい事言わないでえ。

シャーリー:
だめに決まってるでしょぉ!?

ナナリー:
何ですかぁ?

ミレイ:
ナナリーはこっちねー。

リヴァル:
ルルーシュ、パス!

シャーリー:
ルルも簡単に受け取らないの!

ナナリー:
どうかしましたぁ?

ミレイ:
着替えはぁ?

シャーリー:
咲世子(さよこ)さんが。
カレン:
これだからブリタニアは…まったく…
あっ!?

ルルーシュ:
ルルーシュだ。着替え持ってきたんだけど。

カレン:
大丈夫、カーテン引いてるから。

ルルーシュ:
ああ、悪いな。
にぎやか過ぎる連中で。

カレン:
ううん。
たまにはこうゆう無邪気な楽しさも悪くないわ。

ルルーシュ:
着替え、とりあえず俺のでいいか?

カレン:
気にしない。そういうのは。
早いのね。
男子寮まで行ってきたんでしょ?

ルルーシュ:
俺、ここに住んでるから。

カレン:
え?

ルルーシュ:
寮で暮らすのは妹には難しくてさ。
理事長の好意でここに住まわせてもらってる。

カレン:
そう。

ルルーシュ:
それじゃ。

カレン:
待って。
取ってくれる?そこのポーチ。

ルルーシュ:
ああ。

ルルーシュ:
思ったより活発なんだな…

カレン:
あの日、シンジュクにいたの?

ルルーシュ:
何のことだ?

カレン:
とぼけないで!
何故シンジュクって言ったの?

ルルーシュ:
シンジュクだと何か都合が悪いのか?

カレン:
質問に質問で答えないで。

答えはYESかNO。
それ以外は聞きたくない。

ルルーシュ:
出ないと、誰か来ちゃうけど

いいかな?

はい、アッシュフォード学園生徒会。
えっ?いや俺は…
はあ…
君宛だ。
出れば分かるってさ。

カレン:
もしもし。

電話:
無事だったようだな、Q1。

カレン:
違った?

電話:
明後日の16時。
旧東京タワーの展望室に一人で来い。

カレン:
お前は誰だ!?
停戦命令を出させたのは!?
おい!切るな!!

ルルーシュ:
何だ?
停戦命令って。

随分物騒なお友達だな。

カレン:
あっ、今のはその…

ルルーシュ:
当てようか?
ゲームの話だろ?
ネットとかさ?

カレン:
ええ。そうなの。
あたし家に篭りがちだったから…

ルルーシュ:
だから忠告したんだよ。
シンジュクのことは言わないほうがいいって。
いるんだ。君みたいな人にわざと画像とか見せたがる奴らがさ。
ところで、見えてるんだけど…。

カレン:
えっ?
あわあああああああ

ルルーシュ:
あの…誰にも言わないから…
じゃ、後で。

カレン:
違ったんだ…
生徒会(せいとかい)っていっても、大して仕事はないんだ。
たまに書類仕事があるくらいで、あとはイベントの企画。

イベントって、文化祭とか?

男女逆転祭(まつり)とか、絶対無言パーティとか、水着で授業とか。

な~に~それ?

会長の趣味。
そのうち付き合わされるから、覚悟しとけよ。

お兄(にい)様、大変!

なんだい?

クロヴィス殿下が亡くなったのよ。

殺されたんだってさー。

ええ!?

クロヴィス殿下は薨御(こうぎょ)された。
イレブンとの戦いの中で平和と正義のために殉死されたのだ。
我々は悲しみを押して、その遺志を継がなければならない!

たった今、新しい情報が入りました。
実行犯と見られる男が拘束されました。
発表によりますと、逮捕されたのは名誉ブリタニア人です。

まさか!?

枢木(くるるぎ)スザク一等兵。
容疑者は、元イレブン、名誉ブリタニア人の枢木(くるるぎ)スザクです!