The Squid Girl (Japanese) > 10c. 野球しなイカ?

イカ娘「んっ、んーっ。今日もいい天気でゲソ!」

清美「えっ、本当に?」

イカ娘「お?」

清美「うん」

イカ娘「清美?」

清美「うん、わかった。お大事にね。はあ、困ったなあ。どうしよう」

イカ娘「何が困ったでゲソか?」

清美「イカちゃん!」


イカ娘「野球? って、テレビでたまにやってるあれでゲソか?」

清美「うん。実はこれから部活で女子野球の練習試合があるんだけど、ピッチャーの子が熱を出して来られなくなっちゃったの。私たちのチーム、人数ぎりぎりで、せっかく相手チームに来てもらうのに」

イカ娘「なら、私が代わりに入るでゲソ!」


清美「えっと、私の友達で、今日一緒に野球をやってくれる・・・」

イカ娘「イカ娘でゲソ!」

部員ら「よろしくお願いしまーす!」


清美「それじゃあ、いくよ! それっ!」

イカ娘「あっ、ああ・・・。清美、もう一回頼むでゲソ! ・・・ああ」

清美「ま、まあ最初はこんなもんだよ。じゃあ、次は・・・」


清美「そのグローブで捕ってね。それっ!」

イカ娘「ほっ、お、うわっ!」

清美「大丈夫、イカちゃん!?」

イカ娘「ううう、痛いでゲソ」


田中「やれやれ、あーんなド素人がいるチームと戦わなきゃいけないなんてね」


主審「それでは大相模中学校対長谷中学校の試合を始めます。お互いに、礼!」

全員「よろしくお願いします!」


イカ娘「さあ、いつでも来いでゲソーッ!」


清美(いきなりノーアウト満塁。やっぱり私が投げても抑えきれないよ)

イカ娘「捕ったでゲソーッ!」

清美「イカちゃん、投げて投げてーっ!」

イカ娘「お、おう・・・」

清美「わあっ、イカちゃん、グローブじゃなくてボール、ボール!」


イカ娘「すまんでゲソ・・・」

清美「ドンマイ。イカちゃん初めてだもん。しょうがないよ」

イカ娘(清美・・・優しいでゲソ。これ以上足を引っ張るわけにはいかないでゲソ。今日は絶対勝つでゲソ!)


キャッチャー「あっ・・・」

主審「ボール・フォア!」

清美(またこれでノーアウト1・2塁。しかも次のバッターは全国でも有名なあの、田中さん!)

田中「さあ、来い!」

清美(気兼ねしてちゃ駄目。絶対勝つんだから!)

イカ娘「捕ったでゲソーッ!」

主審「アウトーッ!」

田中「ああっ、嘘でしょ!?」

イカ娘「あっ、捕ったらボールを早く返すでゲソ。行くでゲソ。ゲ・・・ソーッ!」

セカンド「ああっ!? あっ!」

主審「アウト!」

セカンド「あ・・・」

主審「アーウトーッ!」

清美「1塁ランナーも2塁ランナーもアウト・・・。トリプルプレイ!」

センター「す、すごいです、イカ先輩! ナ、ナイスキャッチです!」

イカ娘「お、おう・・・」

田中(あんなすごい選手がいるなんて・・・。面白いじゃない!)


田中「おおうっ!」

主審「ストライク!」

田中「はっ!」

主審「ストライク!」

田中「えいっ!」

主審「ストライク!」

田中「おしっ!」


「えいっ」「はっ」

イカ娘「とおーっ!」「ゲソーっ!」


イカ娘「ああっ、ピンチじゃなイカ? あ、清美・・・?」

キャッチャー「これじゃあもう投げられないよ」

「でも、うちにはもうピッチャーやれる人が」

イカ娘「私がやるでゲソ!」

清美「イ、イカちゃん?」

イカ娘「要は相手に打たれなければいいでゲソね」

清美「う、うん、そうだけど・・・」

イカ娘「任せるでゲソ。ばっちりアウトをとってやるでゲソ」

清美「わかった、イカちゃん。お願いね」


イカ娘「いくでゲソよ!」

清美(イカちゃん、大丈夫かな)

イカ娘「打てるもんなら、打ってみるでゲソーっ!」

主審「ス、ストライク!」

清美「す、すごい! でも、あれってありなのかな?」


主審「ストライク! バッター、アウト!」「ストライク! バッター、アウト!」

イカ娘「ふっふっふー、誰も私の球を打てないでゲソか? ん?」

田中「お願いします」

イカ娘「こいつでゲソか。いざ尋常に勝負でゲソ」

田中「ああっ!」「えいっ!」

イカ娘「なかなかやるでゲソね。なら、これで終わりでゲソ!」

田中「ああっ!」

主審「おおっ!?」

イカ娘「そりゃーーっ!!」

田中「もらったああああーーーっ!!」

主審「ストライク! バッター、アウト!」

イカ娘「やったゲソ!」

清美「ナイス・ピッチ、イカちゃん! さあ、点入れて絶対勝つよ!」

イカ娘「おおっ!」


清美(やった、1・2塁! ここは絶対打って、点入れる!)
.                                      「部長、お願いしまーす!」
田中「はい!」

清美(しまった! ボテボテのピッチャーゴロ!)

大相模キャッチャー「ファースト!」

田中「ああっ!」

主審「セーフ!」

「やったあっ!」「満塁!」

「イカ先輩、がんばってください!」

イカ娘「任せるでゲソ! さあ、打つでゲソよ」

田中(この子は大丈夫。投げるほうはすごいけど、打たれない!)

清美「イカちゃん、がんばれーっ!」

イカ娘(清美!)

田中(これで終わりだ)「あっ、しまった!」

イカ娘「あっ」


子供「ははっ・・・。ん?」


清美「サ・・・、サヨナラ満塁ホームラン!」

イカ娘「やったでゲソ!」

「待って待って、イカ先輩! ベース回ってください!」

イカ娘「お、おお・・・」


長谷中・イカ娘「「やったあっ!」でゲソ!」

田中「負けたわ。最後のホームラン、すごかった。あなた、すごい選手ね」

イカ娘「当然じゃなイカ!」

清美「これで本当にうちの部員だったらいいんですけどね」

田中「ええっ?」

清美「あっ、この子、うちの部員じゃないんです。今日は助っ人で・・・」

田中「欲しい・・・」

イカ娘・清美「ん?」

田中「それなら是非、うちのチームに入ってくれ!」

イカ娘・清美「ええっ!?」

田中「あなたがいれば、全国制覇も夢じゃない! お願いだ!」

イカ娘「わ、私は中学生ではないでゲソ!」

大相模中「よろしくお願いしまーす!」

イカ娘「い、いやでゲソ! 侵略させてくれでゲソーっ!」

田中「待ってーっ!」


---予告---
清美「おはようございます。紗倉清美です。次は、『人形じゃなイカ?』『疑惑じゃなイカ?』『登山しなイカ?』です。じゃあ、朝練に行ってきます」