暴走の証明 TESTATION(Japanese)

Mechanic: どうなってるんだ

Pilot A: おい、あれには誰が乗っている? おい 止まれ

Pilot B: なんだ 止まったぞ

Vice President: おい、何が起きているんだ

Ohba: これで良いんだな カゴ


SA: Runaway Evidence; TESTATION


Inspector:今のところ、各機体ごとの個体差は認められんな

Batou: つまり お前には個性がねえってことだよ

Tachikoma: 個性?

Inspector: どの期待をチョイスしても同じスペックで扱えると言って欲しいね

Batou: ふふん、だがそれじゃあ面白みがねぇぜ お前に良いもんをやろう 天然オイルだ

Togusa: 良いのか?そんなもん入れて 変な学習するかもしれねぇぜ

Batou: 良いの良いの。 これは機械に対する愛なの 愛。

Tachikoma: おぉ!いつもの合成オイルと違いますねぇ!

Batou: おうよ

Tachikoma: はっ!少佐!

Motoko: タチコマ6機をフル装備で準備。

Batou: 何かあったのか?

Motoko: 36分前けんび市重工の演習ドームで,新型多脚戦車が暴走を始めた。搭乗者は一週間前に死亡したこの戦車の設計者 かご たけし の認識コードを使用しているという点以外詳細は不明。
犯行声明や要求などは今のところないが、播磨研究学園都市会で起こった状況を考慮。
内務省はテロの可能性を示唆し、我々公安9課にこれを止めろとの出動要請がなされた
暴走はけんび市重工が行った最終調査の演習中に起きたそうよ
暴走の原因がハード及びソフトのセキュリティー面の欠陥であったとなれば 全ての責任をけんび市に押し付けたいというのが
正式採用を検討中だった陸自の本音ね。

Batou: 相変わらずだな

Motoko: テロリストからの声明があった場合のみ彼らは手を貸すそうよ

Togusa: ひでぇ話だ。面子で国防はつとまらねぇっての

Batou: それにしても スペックも良くわからねぇ 戦車相手にタチコマで?

Motoko: この子達も捨てたもんじゃないわよ

Tachikoma: さすが ビバ少佐

Batou: マジ

Operator: 少佐 戦車は進路を変えて 播磨研究学園都市を出て行く模様です

Motoko: チャンスだな。学園都市から伸びるテクノラインは山道を切り開いた専用道路周りは農村ばかりだ。
よし、戦車がテクノライン上に居るうちに叩く。パズは電脳化義体化等に反対しているテロ組織から
犯行声明が出ていないか確認。ボーマと斉藤は専攻して播磨テクノライン上で準備。
最も被害の出にくいポイントで戦車を狙撃・停車させる。トグサはけんび市で課長と合流戦車暴走の原因を究明。私とバトウはタチコマ6機で暴走戦車を誘導する。

Batou: それが君のお仕事

Togusa:戦車に吹っ飛ばされて泣くなぁ。

Tachikoma A: 播磨研究学園都市って僕達のニューロチップが作られたところでしょ?

Tachikoma B: 生まれ故郷に凱旋!

Tachikoma C: おしゃべりしていると少佐に怒られるよん


Motoko: 我々は攻殻機動隊だ。状況の説明を

Commander: はっ!通信によればもうじき姿を現すとのことです

SWAT Officer: 隊長!

Motoko: 今の所 仲間の戦車を破壊しただけで攻撃はしてこないようだ。
道を開けて後は我々に任せろ

Tachikoma: わお

Motoko:見とれて奴の車界に入り込むなよ。いくぞ!

SWAT Officer A: 攻機初めて見たよ

SWAT Officer B: 実在していたんだな。


Motoko: 現状の距離を保ち 迎撃ポイントまでかんしょうを継続する

Batou: ジガバチだ。陸自の奴高見の見物かよ。

Motoko: .けんび市重工への牽制と保険よ。

Batou: それにしてもコイツの目的は何だ?目的地も分からんし・・・大体本当に人が乗ってんのかよ
勝負にならんのは分かるが、これだけ完璧に無視されると頭にくるぜ

Motoko: じゃあ、鼻先に回り込んでみる?

Batou: 冗談だよ。親父とトグサからの情報を待つぜ。

Paz: 少佐。該当しそうな組織23のうち20を洗ったが、やはり本件に絡んだ声明などは出されていない

Motoko: よし、残り3を洗って、それでも何も出ない場合は、ほかのルートを使って検索をかけろ

Batou: 愉快犯、戦車泥棒、もしくは、AIの故障って線で手をうたねえか?

Motoko: 愉快犯も戦車ドロも広義においてはテロだ。AIの故障の線は捨て切れないけど、それは課長達の報告を待って結論を出す。

Batou: へいへい


Aramaki: 先ごろ亡くなった、開発担当社のカゴタケシの同僚で、同じく開発を担当していた、おおばという技師が居る。
暴走した戦車を直前まで整備していたそうだ。
お前達は彼を事情聴取しろ。
ワシはけんび市の上層と掛け合う。


Togusa: はい

Ishikawa: はい


Togusa: 開発担当のおおばとしおさんですね?

Ohba: えっ、あっ、はい.


Aramaki: 被害を最小限に抑えることをお望みでしたら、新型戦車に関わる全ての情報を速やかに我々に提示して頂きたい。


Aramaki: これで・・・全てですかな?

Vice President: えぇ

Aramaki: 少佐!けんび市重工から提示されたデータを送る。

Motoko: 確認したわ。これなら何とか抜けるわね。

Batou: 結局ゴツイ戦車の尻見て終わりか。もうすぐ迎撃ポイントだぜ。

Motoko: 斉藤!準備は?

Saito: もう少しです。

Borma: こんなもんか

Saito: あぁ

Saito: 少佐 離れてください

Motoko: まだだ、気付かれないようにぎりぎりまで待つ。

Saito: 衛星とリンクした!少佐!

Motoko: よし!

Motoko:課長!

Saito:少佐 たがのめのデータが盗まれている。奴は衛星とリンクしているようです。
目視で 後ワンチャンス!


Aramaki: 残念ながら、全ての情報は教えてはもらえなかったようですな。

Motoko: そのまま撤収!合流しろ!

Saito and Borma: 了解!

Batou: 高速に乗るつもりだぞ。

Motoko: 急いで行きたい場所があるんでしょ

Batou: ジガバチが離れていくぜ

Motoko: そろそろ報道管制が破られるころだ。テロリストからの犯行声明もなく、けんび市もこの件を自社のミスと認めない限り、陸自はシラをきり通すだろう。

Batou: 俺達で止めるしかねえのか。猿親父に期待しようぜ。

Motoko: そうゆうちょうなこともいってられないわよ。奴が分岐でどっちに行きたがるかで話しは違ってくる。


Aramaki: 陸自の答えは聞かなくてもお分かりでしょう。後はけんび市が公安9課を信用していただけるかですな。

Vice President: HAW206は!けんび市が6年の年月をかけて開発したんだぞ!スペックを公開することで受ける損害をあなた達警察が補償するとでも言うのか!

Aramaki: それは購入先があっての事でしょう。このままではけんび市のマークが入った宣伝カーが最悪のデモンストレーションをして回ることになりますが?よろしいか?

President: 何とかお宅の戦車だけで、あれを足止めすることは出来んかね。


Togusa: さっきから何を気にしているんです?教えてくれないか?あの戦車、君が作ったんだろ?
何が原因で暴走を起こしたと思う。本当に心当たりはないのか?別に、この件を君に容疑者として取り調べてる訳じゃないんだ。もっと協力してくれないかな。それとも 何か話せない事情があるのかな。


Motoko:ばとう、奴がどっちに行きたいのか確認するぞ。

Batou: 市街地に向かうんじゃねえの?

Motoko: 抜かれるなよ 
散れ!

Tachikoma A: あぁああああ

Batou: 大丈夫か?

Tachikoma A: 大丈夫で~す

Motoko: お前はそこで救助を待て!

Tachikoma A: はーい

Tachikoma B: いいないいなぁ壊れたよぉ

Tachikoma C: 構造解析されちゃうかも

Motoko: 課長 奴は橋に進路を向けたわ。対戦車ミサイルを使えるラストチャンスかも。アイツにそれが有効かだけでも聞いて。しくじればスプリングエイトの4倍の税金をかけた橋を落とすことになるかもって。

Aramaki:
だ、そうです。いかがかな開発部長。
Motoko
対岸に渡ったらすぐに市街地に入るわ。ますます打つ手は無くなるわよ。
Vice President:
ミサイルはやめたほうが良い。モードLで操作されていると思われるので。ほとんどの無線誘導弾にジャミングをかけられます。
Aramaki:
レーザー誘導でも?
Vice President:
レーザー誘導の場合には、ぎまん信号を出してミサイルを探します オンライン誘導でも射程距離が300m以上なら、90%以上の確立でハッキングをかけ、ミサイルを発射した本人に送り返す事も可能です。
Aramaki:
黙っていれば、良い宣伝材料になったでしょうな。
Togusa:
課長。戦車に誰が乗っているか分かりました。
President:
誰があれを動かしているんだ!?
Togusa:
カゴタケシです。
Vice President:
カゴ・タケシだって!?アイツは一週間前に死んだんだぞ!
Togusa:
えぇ、聞きました。 彼の話では、死んだカゴの脳を戦車のAIに繋いだそうです。
President:
なぜそんなことをしたんだ!?
Ohba:
それが・・・彼の遺言だったからです。

Togusa:
少佐。聞いてます?戦車の目的地はカゴタケシの実家です。これが所在地。
Motoko:
だいぶ近いわね。
Togusa:
えぇ、やばいです。かごたけしの目的は両親への復讐ではないかと思われます。かごは兵器の設計に天才的な才能を発揮し、大学在籍中にスカウトされた人物で すが、生まれつき体が弱く、意思からも、義体化しない限り、20の春は迎えられないといわれていたようです。しかし、宗教的な理由から、義体化は勿論、電 脳化すら許されず、ほとんど戦車の開発への執念で、28まで生きていたような人生だったようです。似たような境遇に生まれながら、義体化することで生きな がらえたおおばは、カゴが死ぬ間際の遺言、肉体が死んだら宗教から解放される。そしたら脳を取り出し、戦車に繋いでくれとの約束を実行したんだそうです。
Aramaki:
ワシだ。淡路所のいしづか君を呼び出してくれ。
Motoko:
それで、何故両親に復讐を?
Togusa:
生前かごは病弱な体に自分を産んだ両親を恨み、ことあるごとに、鋼鉄の体に生まれ変わりたいと言っていたそうです。生から解放されれば、両親の教えに背くことなく、鋼鉄の肉体を手に入れられる。
カゴはその夢をおおばに託したんです。

Batou:
あーあぁ強引な奴。
Motoko:
ここからだと目的地はすぐね。とにかく追うぞ!
Batou:
特攻でもかけるか?

Aramaki:
とうとう市街地に入りましたな。 現在、あの戦車による死傷者は一人も出ていません。ですが、これから先はどうなるか予想がつきません。
President:
死傷者は・・・ゼロ。
Vice President:
しゃ・・・社長それは・・・
President:
ワシはけんび市自体を明日に残さんといかんのだ。
Aramaki:
ご協力感謝致します。

Motoko:
ワイヤーで戦車の脚を狙うぞ!
Tachikomas:
了解。
Motoko:
ワイヤーを切れ!物理的攻撃では無理ね。
Batou:
馬鹿な考えを起こすなよ。軍の防壁だ。脳を焼ききられるぞ。大体有線できねぇだろうが!
Motoko:
やるだけやってみるわよ。

Aramaki:
有効射程距離まであとどのくらいだ。
Oparator:
約2分です。

Batou:
少佐!
Motoko:
ぬぅうううううう!
Batou:
少佐!無理だ!やめろ!!
Ishikawa:
止まれ!
Motoko:
課長!
Batou:
猿が狸を説得したか。けんび市の対多脚戦車兵器か。あるならとっととよこしやがれ。
Motoko:
やっと止まったか。
Batou:
すげぇ粘着力だなぁ
Motoko:
課長!構成防壁解除の暗証コードを ハッチをパージしてかごの脳を取り出すわ。
<clicking>

Motoko:
戦車の防壁が無ければ、ただの無防備な脳だな。
Motoko:
ばとう!手を貸して!
Batou:
おう!物理的なトラップか?
Motoko:
大丈夫だと思うけど、念のため用心して開けて。
Kago's Mother:
たけし・・・
Motoko and Batou:
ん?
Kago's Mother:
たけし・・・なのかい?
Motoko:
ばかな!何故非難していない!?
Batou:
たちこま!
Kago's Mother:
あぁ!
Aramaki:
止めたか?

Vice President:
誠に申し訳ありません
Togusa:
只今、かごの脳を焼ききったそうだ。
Ohba:
はぁ!?かご・・・

Batou:
くそったれ、そこまで自分の親がにくかったのか?
Motoko:
違う。かごの脳を焼いたとき、一瞬だけど感じたわ。どうだい母さん。鋼鉄の体になった俺の姿。そんな自慢とも復讐ともつかない感覚。
Batou:
やめとけ。それはただの錯覚だ。
Motoko:
なら、良いんだけど。それを確かめる術は二度と無くなったわ。