ブリタニアの少年、ルルーシュは力を二つもっている。
ひとつはギアス。いかなる相手にでも命令を下せる絶対遵守の力。
ひとつは黒の騎士団。父が統治するブリタニア帝国を破壊するための彼の軍隊。
ゼロというコードネームを使いルルーシュは動き出す。
母のかたきを討つために。そして、妹ナナリーが幸せにすごせる場所を作るために。
その行動がいかなる結果をうんでいくのか?今はまだ、誰も知らない。

TV:
河口湖のコンベンションセンターホテルでは、ようやく撤去作業が始まるようですね。

ゼロが黒の騎士団を宣言してから二週間以上。結局、確たる証拠は見つからないままですか。

逃走ルートは絞り込めたのでは?

人質解放後、対岸から車で線路へ…

カレン母:
あ、カレン…お嬢様。すいません、起こしてしまって。

カレン:
また?

カレン母:
すみません。今度は脚立が倒れてしまって。

カレン:
はやく片付けて。もうすぐ学校に行く時間なんだから。

カレン母:
お嬢様。最近よく学校に行かれますね。お友達とか…

カレン:
あなたには関係ないでしょ。
消えてよ。もう…

男1:
福祉とはいえ、イレブンにくれてやるには惜しいですな。

男2:
だからそちらに流しているのだろう。
なに、イレブンは少し減ったほうが良いのだ。

男1:
報酬は奥様の口座のほうに。

男2:
コーネリア殿下は武人だ。こうしたことには疎くていらっしゃる。

男2:
明かりだ!明かりを!
お前は!?

カレン:
黒の騎士団!

シャーリー:
珍しいね。カレンが居眠りなんて。

カレン:
う…うん、ちょっとね。

リヴァル:
ルルーシュに弟子入りしたら?
あいつ、居眠りは達人だからさ。

カレン:
えっ?あれ眠ってるの?

リヴァル:
毎晩何してるのか知らないけどさ、授業の半分は寝てるよ、あいつ。

コーネリア:
エル アラメイン戦線ではEUが攻勢に出ている。
我々としては、いつまでもこのエリア11に足止めされているわけにはいかん。
内政を固めて衛星エリアに昇格させたい。
そのためにもテロ組織の撲滅は急務だが、イレブンの間に蔓延している薬物「リフレイン」の問題も深刻だ。
おかげで生産性が落ちている。ここで中華連邦の九州ルートをたたいておかねばならん。わかるな?

ユーフェミア:
はい。お気をつけて。

コーネリア:
お前こそ、もう租界からは出るなよ。

ユーフェミア:
お姉さま。黒の騎士団のことは?

コーネリア:
もう少し泳がせてやるさ。お前を救ってもらった借りもある。
だが、戻ってきたら…
このエリアは綺麗にしてお前に渡す。
だから危ないことは考えるな。
な、ユフィ。

ゼロ:
あの男がブリタニア皇帝の子供だから。
そういえば、あなたもそうでしたね。
しかし、今は…

ユーフェミア:
あの時ゼロが話した意味は、まだ続きがあるということかしら?
スザク…あなたならどう思うの、ゼロの行いを?
そして、私は…

カレン:
さすがにきついな、二重生活は。

ミレイ:
ほーら、スザク。そっち、そっち。

ルルーシュ:
馬鹿。やめろスザク。
やめろ、やめるんだ。

スザク:
ごめん、ルルーシュ。会長命令だから。

ルルーシュ:
顔が笑ってるだろ、おい。

シャーリー:
動かないの!

ミレイ:
おはようニャン。

カレン:
おは…ようございます。
何?これは?

リヴァル:
あれ?言ってなかったっけ?
アーサーの歓迎会。

カレン:
平和ですね。

ミレイ:
モラトリアム出来るうちは楽しんどこうよ。

シャーリー:
カレンの分、用意しといたから。
ほら。この前、変なこと言っちゃったお詫び。
どれにする?

カレン:
え?私も?

ルルーシュ:
カレンはいらないだろ?
とっくに被ってるもんな。

カレン:
あなたテレビにでも出れば?
人気者になれるわよ。

リヴァル:
どうですか?テレビスターさん。

スザク:
あ、そっちに振るんだ。

シャーリー:
そういう冗談やめてよ。あの後大変だったんだから。
四六時中追いかけまわされて質問攻め。お風呂の中までよ。

ミレイ:
ここ一週間、学校の外に出られなかったしねぇ。

リヴァル:
だからって、なんで俺たちまで外出禁止なんですか?

ミレイ:
友情ってやつでしょ。
「我ら生まれた時は違えども、死すべき時は同じと願わん」by 三国志。

リヴァル:
それってプロポーズ?

ミレイ:
死ニャばもろとも、ってこと。
(死なばもろとも If I die, then we all do. : Japanese proverb which means "to be in the same boat.")

リヴァル:
ひっでぇなぁ。なあ、スザク。
ん?

スザク:
よかった…。
またみんなで集まれて、本当よかった。

リヴァル:
なんだよ。ここは笑うとこなの!

シャーリー:
でも、そこがスザク君のいいとこよね。

ミレイ:
ま、たまに空気読めーって言いたくなるけどね。

スザク:
すいません。

リヴァル:
おまえ、それネタだろ?

カレン:
そっか、私みんなを助けたんだ。

カレン:
ホテルジャック事件での華々しい登場以来、世間は黒の騎士団一色に染まった。
黒の騎士団はゼロの宣言通り、弱者の味方だった。
民間人を巻き込むテロ。横暴な軍隊。さらには汚職政治家、営利主義の企業、犯罪組織など、法では裁けない悪を一方的に断罪していった。
私たちはあっというまに英雄になった。
協力者も増え、ナイトメアまで再び手に入れることができた。
もちろん、表立っての話ではない、だって…

母親:
やめなさい、黒の騎士団なんて。

子供:
なんでだよ?

母親:
ブリタニアのこと、悪く言っちゃいけません。
私たちはイレブンなのよ。

カレン:
…リーダーのゼロは、クロヴィス皇子を殺しているのだから。
仲間内でも彼の素顔を知りたがる人は多い。私だってそうだ。
でも…、無理強いすれば彼はいなくなってしまう気がする。
もう、彼がいないと駄目なのかもしれない、私たちは。

リヴァル:
最近さぁ、付き合い悪くない?

ルルーシュ:
そうかな?

リヴァル:
そうだよ。

ユーフェミア:
あなた、大丈夫?

卜部:
ユーフェミアを助けた奴らに民衆はなぜ協力する?

仙波:
キョウトまで黒の騎士団に紅蓮弐式をまわすと言ってきた。

朝比奈:
あんな義賊気取りに?

千葉:
奴らはレジスタンスじゃない。その証拠に草壁中佐を殺している。

卜部:
中佐は自決されたのだろう?

仙波:
止めなかったという噂もある。
藤堂中佐、いずれにせよこのままでは…。

カレン母:
カレンお嬢様。カレンお嬢様。

カレン:
会長。

ミレイ:
ちょっと、渡したい物があってね。

カレン母:
どちらにお通ししましょうか?
客間か、それとも…

カレン:
私の部屋に。

カレン母:
かしこまりました。

継母:
あら。お友達っていうからてっきり男だと思ったら…
朝帰りに不登校。ゲットーにも出入りしてるようね。
お父様が本国にいるのをいいことに…
血は争えないわね。

カレン:
父の留守を楽しんでいるのは、あなたのほうでしょう?

カレン母:
あぁ、どうしましょう。どうしましょう。

継母:
何やってるの、あなたは?

カレン母:
すみません。奥様、すみません。

継母:
ほんとに使えないわね。女を売るしか能が無くて。

ミレイ:
なかなか複雑な家庭みたいね。

カレン:
渡したいものってなんですか?

ミレイ:
うん、おじいちゃんに頼まれてね。

カレン:
学園長に?

ミレイ:
中学からの成績証明書。
学校で渡さないほうがいいと思ったから。

カレン:
ばれたってことですね、私がブリタニア人とイレブンのハーフだってこと。
さっきのは継母(ままはは)です。本当の母親は花瓶を倒したドジなメイドのほう。

ミレイ:
父親は、シュタットフェルト家の御当主様?

カレン:
馬鹿なんです、母は。
結局、使用人あつかいで…。たいした仕事もできないから、どんなに馬鹿にされてもへらへら笑ってることしかできなくて…。
わざわざこの家に住まなくたっていいのに…。
ようするにすがってるんですよ、昔の男に。

ミレイ:
嫌いなんだ、お母さん。

カレン:
うっとおしいだけです。

ミレイ:
ま、ヘビーな話よねぇ。正妻も妾もその娘もいっしょに暮らしてるなんて。

カレン:
そうでもないですよ。衣食住に不自由はないし、我慢できないってほどじゃありませんから。

ミレイ:
そう?
でもね、ひとつひとつは我慢できることでも積み重なればいつか擦り切れてしまうものよ。
大丈夫。人の秘密って知りたくなるほうだけど、話す趣味はないから。
ルルーシュ:
あんなところで泣くなよな。恥ずかしい奴。

スザク:
素直って言ってよ。

ルルーシュ:
ま、みんなが助かったのはよかったけどな。黒の騎士団様様だ。

スザク:
犯罪者を取り締まりたいなら、警察に入ればいいのに。
彼らはどうしてそうしないんだろ?

ルルーシュ:
警察じゃできないと思ったんだろう。
警察なんて・・・。

スザク:
今は駄目でも、警察のなかに入って変えていけばいいじゃないか。

ルルーシュ:
変える過程で、結局はいろいろなしがらみをかかえることになる。

スザク:
それは、ぎりぎりまで変える努力をしてから初めて言えることだよ。
それをしない限り、彼らの言い分は独善に過ぎない。

ルルーシュ:
独善?

スザク:
彼らが言う悪って何だい?
何を基準にしているのかもわからないじゃないか。
一方通行の自己満足だよ。

シャーリー:
あれ?二人だけ?

スザク:
それじゃ、僕は軍に戻らなくちゃならないから。
じゃあね、シャーリー。

シャーリー:
あ、うん。じゃあね。

シャーリー:
ねえ、ルル。今度さ…、時間が合えばでいいんだけど、私と…。

ルルーシュ:
あいつ、「軍に戻らなくちゃ」って言ったよな?
戻る…そこがお前の居場所ってことか・・・。

カレン:
リフレイン?

扇:
麻薬。過去に戻った気になれるってのが特徴かな。

カレン:
売れそうですね。特に日本人に。

扇:
誰だってなつかしいよ、ブリタニアに占領される前の日本が。
日本人を狙い打ちにした薬だ。ほうってはおけないだろう。
「無頼」の補充物資が届いたらすぐに動く。

カレン:
補給も増えたし、仲間になりたい人もいっぱいいるって聞きました。
黒の騎士団は人気者ですね。

扇:
正義の味方だからな。
弾薬が届いたらまた連絡する。

男1:
なんとか言ってみろよ、イレブンが。

男2:
謝罪しろ。謝罪。

男3:
イレブンは頭下げるのが得意だろうが。

カレン:
イレブン…。
ルルーシュ?

ルルーシュ:
相手は五人だ。勝てるわけ無いだろ。

カレン:
だからってほうっておけるの?

ルルーシュ:
よく見ろ、やられているイレブンを。
下手に加勢してあいつらに勝ってみろ。あのイレブンは明日からここで商売が出来なくなる。
あいつは自分でブリタニアの奴隷を選んだんだ。
租界で働くってのは、そういうことだろ?

カレン:
だからって…。

男1:
文句あんの、そっち?
イレブンがかわいそうだってか?

男2:
ちがうって。仲間に入りたいんだよ。なあ?

ルルーシュ:
まさか。
あんたらも、もう飽きたんだろ、イレブンいじめなんて。

男1:
あーあ、つまんねえの。

男2:
ゲーセンでも行く?

男3:
金ねえよ。

ルルーシュ:
飽きっぽい連中だな。

カレン:
大丈夫?

ホットドッグ屋:
ブリタニアの学生さん?
い…いらっしゃいませ。カリフォルニアドックはいかがですか?
あ…恋人さんですか?よかったらお二人でどうぞ。
アイスクリームもありますよ。

ルルーシュ:
エリア11は日本だったころに比べて良くなったとも言えるよ。
ブリタニアの植民エリアに入れたおかげで軍事も経済も格段に安定した。
市民権だって手に入る。役所にいって手続きをすれば名誉ブリタニア人になれるじゃないか。
あとはプライドの問題。ま、そっちを大事にしたい気もわかるけどね。

カレン:
それで?

ルルーシュ:
ん?

カレン:
そこまでわかっててルルーシュ・ランペルージはどういう考えなの?何をしたいの?

ルルーシュ:
別に。

カレン:
君はずいぶん頭がいいみたいだけど、持ち腐れね。
シャーリーが嘆いてたわ。「ルルは努力しようとしない。せっかく頭がいいのに」って。

ルルーシュ:
だから何もしないんだろ?
さっきのイレブンだってわかってるんだ。
ブリタニア人に頭を下げたほうがいい暮らしが出来るって。

カレン:
かっこいいと思ってるの?
そんな評論家ぶって、世間を斜めに見てるのが!
少しでも期待した私が馬鹿だったわ。多少はましな男だと思ったのに。

ヴィレッタ:
例のオレンジ事件の…。失礼しました。
例の枢木スザク強奪事件の時の、卿の記憶が無いというのは本当でしょうか?

ジェレミア:
信じてもらおうとは思わん。

ヴィレッタ:
いえ、実は私も新宿事変の時に記憶の喪失を経験しているのです。

ジェレミア:
何?

ヴィレッタ:
意識が戻ったときにはサザーランドを奪われていました。
それに記憶を失う直前、私は学生服の少年と会っているのです。

ジェレミア:
では、その学生が?

ヴィレッタ:
顔は思い出せません。しかし、調べてみる価値はあるかと。

玉城:
何考えてんだよ、ゼロの奴は?
ブリタニアを倒すって言ってたくせに、やってることは警察の手伝いじゃねえか。

団員1:
でも、人に感謝されるのって悪い気分じゃないよ。

団員2:
そうそう。ネットじゃ英雄だもんな。

カレン:
私たちさ、これでいいんだよね。

扇:
カレン・・・。

団員1:
ゼロからの合図だ。

団員2:
よく入れたな。

玉城:
毎回毎回、どんな手品使ってやがんだ。

男1:
名古屋の分は終わったのか?

男2:
安全だよ、租界の中は。

玉城:
黒の騎士団、参上!

男3:
侵入者だ!

男3:
ナイトメア!

男4:
そんな!冗談じゃないぞ!

カレン:
やっぱりナイトメアはすごい。一機あるだけで圧倒的。

イレブン:
日本!日本!

はい、来月結婚するんです!

栄転だぞ。今度はパリ支店だって。

来週の花火、いっしょに行くよね?

まかせてください。日本の技術は世界一ですから。

カレン:
リフレイン・・・。

ホットドッグ屋:
決まったんだよ、留学。やるぞぉ、俺は!

ミレイ:
つみかさなれば、いつかすりきれてしまうものよ。

カレン:
そうよ。だから私は…。

カレン母:
ほらほら、走ったら危ないわよ。

カレン:
お母さん?

カレン母:
こらナオト、ちゃんとカレンのこと見ててあげなきゃ駄目でしょ。

カレン:
あなたって女はどれだけ弱いの?
ブリタニアにすがって、男にすがって、今度は薬。
お兄ちゃんはもういないんだよ。これ以上…

カレン:
ナイトポリス?

団員:
あれ、警察のだろ?

扇:
グルってことか。玉城!

玉城:
知らねえよ。俺が調べたときは確かに…。

ゼロ:
腐ってやがる。

カレン:
邪魔だ!
どうして…?
いらないのに・・・いらないのに!

カレン母:
カレン・・・ナオト・・・。

ゼロ:
ナイトメア相手では…。

カレン:
逃げ…ろ…。
逃げろっ!この馬鹿!

カレン母:
・・・いるから。
ずっとそばにいるから。カレン、そばにいるからね。

カレン:
だから…だからあんなうちに居続けたっていうの?
そんなことのために・・・、馬鹿じゃないの!

カレン:
馬鹿は…あたしだ。

扇:
カレン。

カレン母:
よかったね、カレン。お前はブリタニア人になれるんだよ。
そうなれば、もう殴られることもない。電話だって旅行だって自由に出来るんだよ。

ゼロ:
母親…だったのか。

C.C.:
嘘の涙は人を傷つける。
嘘の笑顔は自分を…。

看護士:
薬の後遺症です。会話はほとんどできません。
回復するとしても時間が必要かと。

カレン:
判決、出たよ。20年だって。
待ってて。お母さんが出てくるまでには、変えて見せるから。
私とお母さんが普通に暮らせる世界に。
だから…だから。

カレン母:
がんばれ…。
がんばれ、カレン。私の娘。

カレン:
うん、がんばる!
私、がんばるから!