Code Geass(Japanese)>12. The Messenger from Kyoto

ブリタニアの少年、ルルーシュは力を二つもっている。
ひとつはギアス。いかなる相手にでも命令を下せる絶対遵守(ぜったいじゅんしゅ)の力。
ひとつは黒の騎士団。父が統治するブリタニア帝国を破壊するための彼の軍隊。
ゼロというコードネームを使いルルーシュは動き出す。
母のかたきを討つために。そして、妹ナナリーが幸せにすごせる場所を作るために。
その行動がいかなる結果をうんでいくのか?今はまだ、誰も知らない。

事務次官:
総督の作戦で日本解放戦線はほぼ壊滅(かいめつ)しました。
逃走中の構成員も次々と捕まっています。

コーネリア:
それは嫌味か?
我が軍が建て直しをせまられているというのに。

事務次官:
あ…いえ、そんなつもりは…。

ギルフォード:
そもそも、占領後の政策が間違っていたのでは?
エリア11の地下鉄網や、鉱山坑道をなぜ放置された?
ゲットーでは戸籍管理や各地の所有権も曖昧(あいまい)なまま、反政府活動の温床(おんしょう)が放置されている。

事務次官:
えー、地下鉄はほぼ全国に張り巡らされておりまして、租界以外の場所を埋めるには予算が…

ギルフォード:
テロリストの拠点や逃走経路になるとわかっていてもか!

事務次官:
クロヴィス殿下の指示でして…
あ…その…強くでると内乱状態になり、中華連邦につけいる隙をあたえると。

コーネリア:
すでに与えている。
ゼロの勢力が力をつけつつあるしな。

ダールトン:
事務次官。内政省の管理下にこのエリアの自治を司るイレブンの代表達がおりましたな? NACとか言うグループの。
先日の作戦で、NACの尻尾をつかみたかったのですが…資料は土砂の下。
しかし、疑いは濃厚です。ここを先におさえれば…

コーネリア:
名門と財閥の集合体。もはや過去の遺物か…

事務次官:
お…お待ちください。
それはあくまで噂。証拠はまったくございません。
彼らをおさえればイレブンの経済がたちゆかなくなります。
本国への徴税にも影響が出ましょうし、そもそも、ナンバーズはナンバーズ自身に面倒をみさせるという帝国の大原則が…

コーネリア:
では黒の騎士団の捜査は? 

事務次官:
残っていたシールドマシンからナリタの件はゼロの手によるものと判明しましたが、団員の死骸からはそれ以上の情報は…。

コーネリア:
キョウトには手を出すな。
ゼロは追い詰められない。
知っておるか?結果が伴わぬ者を無能というのだ。



桐原:
ブリタニアの皇女がこれほどとはな…

キョウト六家:
解放戦線は分裂し、日本の灯火(ともしび)は消え去りました。

キョウト六家:
待たれよ!逃走中とはいえ、藤堂はいまだ健在ですぞ。

キョウト六家:
しかれども、無頼改まで失ったと聞いておる。もはや希望は…

神楽耶:
希望ならありますわ。

桐原:
黒の騎士団か…
紅蓮弐式もそうだが、枢木スザク救出の件以来、ゼロに御執心(ごしゅうしん)ですな。
教師:
トラファルガーの敗北により、エリザベス3世は革命勢力にエジンバラで包囲された…

シャーリー:
お父さんってば…

ミレイ:
ん? どうしたの、難しい顔して?
便秘?二日目?

シャーリー:
は?違いますよ。

ミレイ:
じゃあ、ルルーシュがいなくてさみしいとか?

シャーリー:
…っていうか、カレンもいっしょに欠席なんです…また。

ミレイ:
のんきだねぇ。
世界はおとといのナリタ騒ぎでもちきりだってのに。
スザクだってそのせいで今日も休みなんだし。

シャーリー:
わかってます。
でも私にはルルとカレンのほうが問題なんですよ。

ミレイ:
いいねー、シャーリーは。
そういうとこ好きよ。

シャーリー:
茶化(ちゃか)さないでください。

ミレイ:
だからさあ、いっちゃえばいいのに。好きですって。

シャーリー:
え?そ…そんなの駄目ですよ!そんなの!
だって、もし…

ミレイ:
…断られたらどうしよう?
友達でもいられなくなっちゃうかも。

シャーリー:
そんなに…笑わなくったって…

ミレイ:
居心地いいもんねえ、今、この場所、この私たちって。

シャーリー:
そうなんですよね。

ミレイ:
でも、少し覚悟しておいたほうがいいよ。
変わらないものなんか、どこにも無いんだから。
と…ごめん。そんなに深刻にならないでよ。
あ…どうしても気になるなら、いっそ本人に聞いてみれば?
ねえ、そのへんどうなの?

シャーリー:
え?ル…ルル!
今日、休みじゃ…?

ルルーシュ:
ナナリーが少し熱を出してね。
咲世子さんも昼まで用事だっていうから。

シャーリー:
ああ、そ…そうなんだ。
ナナちゃん、もう具合はいいの?

ルルーシュ:
まあね。
会長、例の書類。

ミレイ:
ああ、それ。各学年、クラスごとに仕分けしといて。

ルルーシュ:
はい、はい。あいかわらず人使いがあらいですね。

ミレイ:
ふふーん。
できる部下を持って幸せ。

ルルーシュ:
部下?そう…。
そうなるんですよね。

シャーリー:
もう、会長。心臓に悪いですよ、ああいう…
あれ?チケット。

シャーリー:
ルルー!

ルルーシュ:
なんだ?

シャーリー:
あ、あの…その書類の中に私の手紙まざってない?

ルルーシュ:
え?
ああ…悪い。
ん…どうした?

シャーリー:
ルル!

ルルーシュ:
はい。

C.C.:
よせ、邪推(じゃすい)は。
そんなはずないだろ。私にとってあいつは…

シャーリー:
やっちゃった!やっちゃったよ、私!
どうしよう?来てくれるよね。やだって言われなかったし。
でも…ううん、ただ一緒にコンサートに行くだけだもん!
それだけなら別に…、だけど…チャンスだし。
ありがとう、お父さん…
ん?
扇:
キョウトから紅蓮弐式をうまく使ったってほめられたよ。
感動だったなぁ。

カレン:
でも、あの白兜(しろかぶと)に…

玉城;
気にすんなって。
引き分けだろ!引き分け!

ゼロ:
なんなんだ、シャーリーのやつ?
いきなり…

シャーリー:
父さん単身赴任してて…、でも私のご機嫌とりにって、よくこういうの送ってくるの。
それでなんだけど…


扇:
これ。

ゼロ:
ん、何だこれは?

扇:
ラブレター。

ゼロ:
は? おまえ…。

玉城:
こいつに冗談は通じねえって。

カレン:
玉城、笑いすぎ。

扇:
キョウトからの勅書(ちょくしょ)だよ。
ぜひ直接俺たちに会いたいって。

ゼロ:
それほど騒ぐことか?

カレン:
それほどって…キョウトですよ?

扇:
認められれば資金援助もしてもらえる。
おれたちの苦しい財政も…

ゼロ:
財政?
わたしの組んだ予算どうりなら問題なかったはずだが?

扇:
それが…

玉城:
お…俺のせいじゃねえぞ。
もう俺たちは大組織なんだ。
人間が増えりゃ予定外の…

カレン:
大物ぶって新入りにおごりまくるのが予定外?

玉城:
おまえなぁ…

カレン:
わたし知ってんだからね。
どんなとこ行ってんのか。

玉城:
え…、そうなの?

ゼロ:
とりあえず、会計は扇が仕切ってくれ。

玉城:
待てよ!
昔からなぁ、金は俺が預かってきたんだ。
それを…

ゼロ:
信用されたければ、相応の成果を示せ。

玉城:
…って、お前が言うか?
仲間とかいって、顔も見せねえ奴が!
どうなんだよ、ゼロ?
ああ?

扇:
待てよ、それは…

カレン:
ゼロの正体がどうかなんて、問題じゃないでしょう?
ゼロはあのコーネリアを出し抜く実力を持った、私たち黒の騎士団のリーダーよ。
他に何が必要だって言うの?

玉城:
ちっ…



ナナリー:
ニーナさんですか?気分が悪いようなら…

ニーナ:
ううん、なんでもない。なんでもないの。
玉城:
なあ、どうすんだよ?

扇:
それは…

南:
俺たちはもともとナオトのチームだ。

杉山:
妹のカレンはかまわないが…

玉城:
2代目のお前がリーダーをゆずるから。

扇:
ナリタの時はみんなも…

井上:
でも、脅迫に近かったし…

吉田:
俺たち幹部にすら秘密だなんて。




ゼロ:
可能性がある12人には絞り込んだ。
あとはどの札が当たるかだが…、やはりアドリブが必要になるか。
誰だ?

カレン
わたしです。あの…、さっきは出すぎたことを言って申し訳ありませんでした。

ゼロ:
カレン、君も私の素顔が知りたいか?

カレン:
あの人は知って…、いえ、失礼します。



ナナリー:
お兄様?

ルルーシュ:
もう熱はさがったそうだね?

ナナリー:
ちょっとすねてみただけなのかも。

ルルーシュ:
すねる?

ナナリー:
なんだか、最近お兄様が少し遠くなったような…そんな気がして。
だから体が勝手にかまってもらいたがったのかもしれません。

ルルーシュ:
誓うよ。おれは変わらない。
なにがあろうと、いつまでもおまえのそばにいるよ、ナナリー。

ナナリー:
じゃあ、わがままを言ってもいいですか?
もう少しだけ手を握っていてください。
このまま一人で眠ると、またあの夢を見てしまいそうな気がして…
C.C.:
本気か?私に頼みごとというのは。

ルルーシュ:
ああ、お前がくれたヒントをもとにしたい。
キョウトの意図がどうであれ、俺は連中の力を手に入れたいんだ。

C.C.:
それがお前の願い…生きる目的に必要なら手を貸してもいいが。

ルルーシュ:
必要だ。シーツー、お前が。

C.C.:
わかった。
それから忘れ物だぞ。

ルルーシュ:
わすれたんじゃない。
今日はいつ帰れるかわからないから、断りの電話を入れるつもりだったんだ。

C.C.:
契約は守れ…
ん?

ルルーシュ:
俺だ。
ああ、ちょうどよかった。実は…

シャーリー:
あの…ね、ルル。今日の約束なんだけど、遅れるかもしれない。
でも…あの、きっと大丈夫だから。うん…必ず行くから。



運転手:
他の幹部もお連れするよう主(あるじ)から言いつかっているのですが。

ゼロ:
万一の事態に備えて、周囲を警戒している。
すぐに呼ぼう。だが、その前に…
ブリタニア兵:
遺体の破損がひどいものは第2テントへ。
遺留品があれば身元確認を急げ。
顔の判別がつくものは第1テントへ。
発見場所、時間を書類に明記しておけ。

ブリタニア兵:
間もなく、第2班の医療チームが到着する。
運搬作業においては、至急仮説テントへ向かえ…


スザク:
本当にいたんだろうか、彼女はあそこに?
それに…。
忘れろ、データにも残っちゃいないんだ。

ロイド:
もう満足したかい、死体発掘は?

スザク:
できればもう少し、救出作業に従事させてください。

ロイド:
なら気が済むまでどうぞ。
一応コーネリア殿下の命令でもあるしね。

スザク:
ロイドさん。
ゼロは…黒の騎士団は何をしようとしているんでしょう?
こんな犠牲の上に、何が出来ると思ってるんでしょう?

ロイド:
正義の味方だろ?本人の言葉によれば。

スザク:
これが正義ですか?

ロイド:
おいおい、まさか正義とは何かなんて恥ずかしい議論をふっかけるきじゃあるまいね?
ぼくらは一応軍人だよ。

セシル:
終わったわよ、エナジーフィラーの交換。

スザク:
あ、はい。

ロイド:
セシルくん。

セシル:
調べました。純潔派の機体も。

ロイド:
やっぱり、あれ…。

セシル:
はい、輻射波動(ふくしゃはどう)です。

ロイド:
まさか敵に協力するなんてね。あのラクシャータが。

セシル:
敵パイロットもエース級です。
スザク君の精神安定が見込めない今、もし再びこの相手と戦ったら…

ロイド:
…勝てないっていうつもりかい? 僕のランスロットが?
玉城:
ずいぶんたつけど、まだ走るのかよ?

カレン:
少しは落ち着けば?
みっともない。

玉城:
な…何だ?

カレン:
上がってる?

運転手:
不自由をおかけしました。主が皆様をお待ちです。


扇:
ここは…、富士鉱山?

玉城:
うそだろ、おい!
そんなところに来られるわけ…

カレン:
でも間違いないわよ。
この山。この形。

玉城:
ってことは、この下にサクラダイトが…
戦争のもとになったお宝だろ?
侵入者は尋問なしで銃殺だってのに…

扇:
こんなところにまで力が及ぶなんて、やはりキョウトはすごい。

桐原:
醜かろう?
かつて山紫水明(さんしすいめい)、水清く緑豊かな霊峰(れいほう)として名をはせた富士の山も、今は帝国に屈し、なすがままに陵辱されつづける我ら日本の姿そのもの。
なげかわしきことよ…。
顔を見せぬ非礼をわびよう。
…が、ゼロ。それはおぬしも同じこと。
わしは見極めねばならぬ。おぬしが何者なのかを。
その素顔、見せてもらうぞ。

カレン:
お待ちください!
ゼロは我々に力と勝利を与えてくれました。
それを…。

桐原:
だまるのだ。
扇というものは?

扇:
あ…はい。私です。

桐原:
おぬしがゼロの仮面をはずせ。

カレン:
扇さん!

扇:
すまない、ゼロ。
でも俺も信じたいんだ。お前を。
だから…、信じさせてくれ。

玉城:
お…女?

扇:
そんな!

カレン:
違うわ!
この人はゼロじゃない。
私は見た。ゼロがこの人といっしょにいたのを!

桐原:
そこな女、まことか?

C.C.:
ああ。

桐原:
しかもおぬし、日本人ではないな?

C.C.:
イエスだ。キョウトの代表、桐原泰三。

男:
御前の素性を知るものは、生かしておけぬ!

男:
それが日本人にあらざれば、なおさら!

玉城:
待ってくれ!
俺は関係ねえからよお!

ゼロ:
ぬるいな。
それに、やり方も考え方も古い。
だから、あなた方は勝てないのだ!

カレン:
ゼロ?

男:
いつの間に?

男:
やめろ!遠隔射撃されるぞ!
いいな、誰も手を出すな!

ゼロ:
桐原泰三。
サクラダイト採掘業務を一手に担う桐原産業の創設者にして、枢木政権の影の立役者。
しかし、敗戦後は身をひるがえし、植民地支配の積極的協力者となる。
通称、売国奴(ばいこくど)の桐原。
しかし、その実態は…
全国のレジスタンスを束ねるキョウト六家の重鎮(じゅうちん)。
面従腹背(めんじゅうふくはい)か…、安いな。

男:
貴様、御前のお気持ちを!

桐原:
やめい。

ゼロ:
あなたがお察しのとおりだ。
私は、日本人ではない。

カレン:
ええっ?

玉城:
マジかよ?
そりゃ、顔見せられねえはずだ。

桐原:
日本人ならざるおぬしが、なぜ戦う?
何を望んでおる?

ゼロ:
ブリタニアの崩壊を。

桐原:
そのようなこと、できるというのか…おぬしに?

ゼロ:
できる!
なぜならば、私にはそれを成さねばならぬ理由があるからだ。
あなたが相手でよかった。

桐原:
おぬし…

ゼロ:
お久しぶりです。桐原公。

桐原:
やはり…、八年前にあの家で人身御供(ひとみごくう)として預かった…

ゼロ:
はい。当時はなにかと世話になりまして…

桐原:
相手がわしでなければ人質にするつもりだったのかな?

ゼロ:
まさか。私には、ただお願いすることしかできません。

桐原:
八年前の種が花を咲かすか…

玉城:
くっそー、見えねえ。

桐原:
扇よ!

扇:
は…はい。

桐原:
この者は偽り無きブリタニアの敵。
素顔をさらせぬわけも得心がいった。
わしが保証しよう。ゼロについていけ。
情報の隠蔽(いんぺい)や拠点探しなどは、わしらも協力する。

扇:
ありがとうございます。

ゼロ:
感謝します、桐原公。

桐原:
行くか…修羅(しゅら)の道を?

ゼロ:
それが、我が運命ならば。
放送:
第2、第5、第7、第8、第9小隊は管理本部で引き続き確認作業にはいって…

ヴィレッタ:
ああ、フェネットのつづりはこちらですか。
やはりそちらです。すいません、なにしろこんな状況でして…。

シャーリーの母:
い…いえ。

男:
では、確認をお願いします。



ルルーシュ:
さすがにもういないか。
とにかく、これからだな。
黒の騎士団は、これから本当に俺の思い描いた組織になる。
あの…、遅れてすまない。
てっきりもう行ったものかと…。
いや、そんなことより…とにかくどこか雨宿りできるところに…

シャーリー:
ねえ、ルル。
ゼロって弱いものの味方なんだよね?

ルルーシュ:
あ…ああ、そう言ってたな。

シャーリー:
なら、なんで私のお父さん殺したんだろ?
お父さん優しくて、私ぶたれたこともなくて…なんにも悪いこと…
なのに…埋められて…いき…苦しかっ…
どうして?なんでお父さん…私の…
こんな…いやよ!いやっ!いやぁっ!
おねがい…ルル…たすけて。