The Squid Girl (Japanese) > 07b. 研究しなイカ?

シンディー「研究所に行くくらいいいじゃない!」

イカ娘「いやでゲソ!」

シンディー「ちらーっと内側を見せてもらうだけだから」

イカ娘「さらっと恐ろしいことを言うなでゲソ!」

シンディー「何事も経験よ。さあ!」

イカ娘「そんな経験いらないっ、でゲソ!」

渚(誰? あの人)

シンディー「私は宇宙人対策のプロフェッショナル、シンディー・キャンベルよ」

渚「宇宙・・・人?」

シンディー「今日こそ研究所に連れて行ってみせるわ。待ちなさーい!」

渚(この国はもう、おしまいだ)


イカ娘「私は海の使者、イカ娘でゲソ。私はもっと海の使者として、敬われなければならないのでゲソ」

たける「イカ姉ちゃん、遊ぼう!」

イカ娘「イカ姉ちゃんではない! 今日から私はイカ女王様でゲソ」

たける「えっ?」

イカ娘「たけるは今日から私のしもべでゲソ。立場をわきまえなイカ!」

たける(何かよくわからないけど、話合わせとくか)「これは失礼しました。何なりとお申し付けください、女王様」

イカ娘「さすがたける、空気の読める男でゲソ」

たける「イカ姉・・・じゃなくて、女王様?」

イカ娘「何だ?」

たける「しもべって僕の他にいるの?」

イカ娘「あ、うーん・・・。いた」


イカ娘「おい、悟郎! その席を私に譲らなイカ!」

悟郎「はあ? 駄目に決まってるだろう」

イカ娘「千鶴の隠し撮り写真」

悟郎「なぜそれを!?」

イカ娘「やっぱり図星でゲソか。隠し場所はおそらく押入れの中に入れて・・・」

悟郎「うわったー! ちょちょちょちょ、それ以上言うな! わかった! わかったから!」

イカ娘「苦しゅうない!」

たける(悟郎兄ちゃん、何か今日は弱気だな)

イカ娘「他にしもべにするのは、まず渚でゲソ。あとは」

シンディー「私がなります!」

イカ娘「まだいたのでゲソか」

シンディー「はい、女王様。たった今から私はあなた様の忠実なしもべです」

イカ娘「そこまで言うなら、しもべにしてやってもいいでゲソ」

シンディー「その代わり、ひとつ約束してください」

イカ娘「何でゲソ?」

シンディー「私の研究所に来ると」

イカ娘「うーん・・・・・・はっ。わかったでゲソ。今日からお前は私のしもべでゲソ」

シンディー「ありがとうございます、女王様」

イカ娘「さあ、ひざまずいて足をお舐め」

たける「そ、そっち?」

シンディー「ご随意のままに」

栄子「あ、おい、イカ娘。またこんなところでサボって」

イカ娘「無礼者でゲソ。取り押さえよ!」

栄子「はあ? あ、ちょっ、何すんだよ」

シンディー「悪く思わないでください、相沢さん」

イカ娘「はっはっはー、そいつは私のしもべなのでゲソ」

栄子「しもべ? 何だそりゃあ」

イカ娘「今までさんざん小突かれたお返しでゲソ!」

栄子「うぁっはっはっは! やめ、はっはっは!」

イカ娘「やめてほしければ、私のしもべにならなイカ!」

栄子「バカ! よく考えろ! 対等な人間がいなくなったら、お前は本当に独りぼっちになっちまうんだぞ!」

イカ娘「ああっ・・・」

栄子「隙あり! ていっ!」

イカ娘「痛いじゃなイカ」

栄子「お前の暴走にいつまでも付き合ってられるか。さあ、仕事に戻るぞ」

シンディー「待って! 私の約束は?」

栄子「約束って?」


イカ娘「迂闊だったでゲソ。まさかほんとに行くとは」

栄子「約束は守らないとな」

シンディー「見えてきたわ」

栄子「あ。おおっ。物々しいな」

シンディー「この程度で驚かれては困るわ」

栄子「何だこりゃ?」

イカ娘「すごいでゲソ」

シンディー「そうよ、すごいのよ」

ハリス「シンディー、その子が例のイカ星人かい?」

イカ娘「イカ星人じゃないでゲソ!」

ハリス「ちょっとこの中に入ってみてくれないかな」

イカ娘「うわああっ!! 燻製にされるでゲソ。危ないじゃなイカ!! こ、今度は何でゲソ?」

クラーク「試してもいいですかね、宇宙人用の光線銃」

イカ娘「うわああああ! 助けるでゲソ!」

シンディー「駄目よ、二人とも。今日は見学だけって約束なんだから」

H&C「がっかりでーす」

マーティン「見学はいい、ってことですね?」

イカ娘「わああああっ!」

栄子「いったい次から次へと、何なんだよ」

シンディー「紹介するわ。実験担当のハリス。開発担当のクラーク。研究担当のマーティン。そして私が調査担当のシンディー。全員MIT首席卒業という、アメリカが誇る最強の宇宙人研究集団よ」

栄子「というか、研究員ってこれだけなのか?」

シンディー「少数精鋭ってやつよ」

栄子「んじゃあ、宇宙人に関する極秘データとかもあるんだ」

クラーク「これから」

イカ娘「なぜ私を見るでゲソ」

シンディー「活動したいのはやまやまだけど、宇宙人がなかなか現れないから準備ばかり先行しちゃって」

ハリス「宇宙人を眠らせる装置を作る過程で、癌を治す装置ができてしまったり」

クラーク「物体を縮小拡大する光線銃ができてしまったり」

マーティン「宇宙人との会話方法を調べる過程で、世界中の言語を一瞬で覚える方法を見つけてしまったり」

イカ娘「才能の無駄遣いでゲソ」

栄子「そんなに有能なら、他の仕事に就いたほうがよっぽど有意義じゃ・・・」

ハリス「わかってないようですね、お嬢さんがた」

イカ娘・栄子「あ?」

クラーク「私たちは宇宙人さえ調べられれば、他に何もいりません」

マーティン「私たちが求めるのはマネーではなくロマンなのです」

3人「お願いですから、とりあえず宇宙人ってことにして、研究させてください!」

栄子「ロマンはあってもプライドはないのか!」

シンディー「彼らも待ちくたびれたのよ」

イカ娘「どんな事情があろうと、私は宇宙人になんかならないでゲソ。私はイカであることに、誇りを持っているでゲソ!」

ハリス「では、こうしましょう。次の言葉を10回言ってください。『あなたは宇宙人』」

3人「はいっ!」

イカ娘「あなたは宇宙人。あなたは宇宙人。あなたは宇宙人。あなたは宇宙人。あなたは宇宙人。あなたは宇宙人。あなたは宇宙人。あなたは宇宙人。あなたは宇宙人。あなたは宇宙人」

3人「あなたは?」

イカ娘「宇宙人!」

ハリス「イーヤッフーッ!」

マーティン「ついに我々、宇宙人との交流という偉業を成し遂げました!」

クラーク「しっかり録音しましたよ」

レコーダー『宇宙人!』

3人「イヤッホーッ!」

イカ娘「こんなのズルいじゃないか!」

栄子「小学生かよ」

シンディー「ったく、三馬鹿トリオが」

栄子「お前が言うか!」

イカ娘「だったら今度は私の番でゲソ。『お主はしもべ』10回! はい!」

3人「お主はしもべ。お主はしもべ。お主はしもべ。お主はしもべ。お主はしもべ。お主はしもべ。お主はしもべ。お主はしもべ。お主はしもべ。お主はしもべ」

イカ娘「お主は?」

ハリス「ハリス」

クラーク「クラーク」

マーティン「マーティン」

イカ娘「ああっ・・・」

ハリス「MIT主席の我々が」

マーティン「引っかかるとでも思ったんですか?」

クラーク「そんな手に引っかかるのはバカだけです」

イカ娘「お前らみたいな宇宙バカに言われたくないでゲソ!!」