The Squid Girl (Japanese) > 08a. 病気じゃなイカ?
千鶴「横浜ラーメン、上がったわよ」
渚「はーい」
栄子「かき氷のメロンと練乳ですね。少々お待ちください。今日は忙しいな。イカ娘、かきご・・・うぇっ!」
イカ娘「んー・・・」
栄子「おいっ! 削れてるぞ触手!!」
栄子「ったく、異物混入なんて騒ぎが起こったら、商売上がったりなんだぞ。気をつけろ」
イカ娘「あー・・・」
栄子「触手、大丈夫なのか?」
イカ娘「んー?」
イカ娘「ごちそう様でゲソ・・・」
栄子「ごちそう様ってお前、何も食ってねえじゃねえか」
千鶴「体の具合でも悪いの?」
たける「元気ないよ、イカ姉ちゃん」
イカ娘「ちょっと疲れただけでゲソ。もう寝るでゲソ・・・」
千鶴「悩み事じゃないんでしょ?」
栄子「こいつが元気ないと気持ち悪(わり)いんだよなあ」
渚「もしかしたら夏バテなんじゃないですか?」
栄子「ああ、そっか。地上で快適な暮らしを送ってるうちに、人間と同じ現代病にかかってしまったとか」
イカ娘「私が現代病? 冗談じゃないでゲソ! 長年海で生活しつづてけいたたた、う、そんなくだらない、うぇ・・・ゲソー・・・」
栄子「夏バテ解消法って、何があったっけ?」
千鶴「そうねえ・・・」
渚「冷房をやめて扇風機にするとか」
たける「ぬるいお風呂にゆっくり浸かる。いっそ水風呂に入る」
栄子「軽い運動をする」
千鶴「辛いものを食べる」
イカ娘「ゲソ・・・」
栄子「やつれたな」
イカ娘「私は夏バテなんかじゃないでゲソ。この程度で治ってたまるか・・・でゲソー・・・」
栄子「言ってることと表情が真逆じゃねえか」
栄子「39.5度か。高いな。今日は安静にしてろ」
イカ娘「言われなくてもそのつもりでゲソ」
栄子「ところで、お前のそれは夏バテじゃなかったら何なんだ? 夏風邪か?」
イカ娘「ゲソ・・・、ゲソニンムルゴボング病だと思うでゲソ」
栄子「わかんねえよ! まいったなあ、初耳だ。イカ娘独特の病かよ」
イカ娘「栄子、仕事はどうなのでゲソ?」
栄子「心配するな。私たちが抜けた分、シンディーと早苗ががんばってくれてる」
イカ娘「あの二人が・・・」
栄子「いいか、お前の体のことはお前にしかわからん。少しでも良くなる方法があるなら言ってくれ」
イカ娘「うん・・・」
栄子「その、ゲソニン何とかって病気はどういった症状が出るんだ?」
イカ娘「死ぬ・・・」
栄子「死ぬ!?」
イカ娘「・・・ほどエビが食べたくなる病気でゲソ」
栄子「いつもと何が違うんだ?」
イカ娘「いつもと比べものにならないくらい食べたくなるのでゲソ」
栄子「じゃあエビを食べれば治るのか?」
イカ娘「いや、この病気のときに食べると、むしろ悪化するでゲソ」
栄子「悪化? 熱がもっと上がるのか?」
イカ娘「いや、もっともっとエビが食べたくなるでゲソ。そのエビ欲はとどまるところを知らないでゲソ。いつもより食べたいのに食べられない、ストレスでじたばたしてしまう病気でゲソー」
栄子「めんどくせえな、おい! あ、それじゃあ病気が治るまで、お前はひたすらエビを食べるのを我慢してればいいんだな?」
イカ娘「まあ、そういうことになるでゲソ。うっ・・・」
栄子「どうした!?」
イカ娘「エビ、食べたい・・・」
栄子「うーん・・・」
イカ娘「エビ食べたい! エビ食べたい! エビ食べたいでゲソーっ!」
栄子「発作か?」
イカ娘「食べないと死んじゃうでゲソ!」
栄子「結局死ぬのかよ!」
イカ娘「せめてエビっぽいものが食べたいでゲソ」
栄子「エビっぽいもの? そうだ!」
イカ娘「ううううう・・・」
栄子「ほら、持って来たぞ、イカ娘」
イカ娘「ん?」
栄子「海老根」
イカ娘「全然エビじゃないでゲソ!」
栄子「じゃあ、海老芋も駄目か?」
イカ娘「エビー、エビー。
からかってんじゃなイカ!?
断じて満足するめイカ!!
エビ、エビ、エビ、エビ、エビ、エビ、エビ、エビ、エビ、エビーッ!」
栄子「手に負えん。うーん、まいったなあ・・・うあっ」(まずい、病気のせいで我慢が効かなくなっている。このままでは・・・)
イカ娘「栄子ぉ・・・。栄子!」
栄子「うわああっ、ぐっ・・・ああ?」
イカ娘「もうこんな思いするくらいなら、死んでもいいでゲソ。エビ食べたいでゲソ」
栄子「しかしな、イカ娘」
イカ娘「一生のお願いでゲソ」
栄子「駄目だ、イカ娘! お前のた・・・え?」
イカ娘「エビ、エビ、おかしいでゲソ。ここにエビがあるのにつかめないでゲソ」
栄子(バカなんだか、いじらしいんだか)「おい、イカ娘、病気を治したいか?」
イカ娘「うん。治してエビを食べたいでゲソ」
栄子「こうなったら一か八か・・・。頼みがある。すぐ来てくれないか? 頼む。毒をもって、毒を制す!」
栄子「頼んでおいて何だが、やめるならやめてもいいぞ」
早苗「愚問よ、栄子。イカちゃんが苦しんでいるのを、私が黙っていられると思う? 愛する人のためなら、この命、惜しくはない!」
栄子(早苗・・・。今のお前、最高にかっこいいぜ!)
イカ娘「うーん、誰でゲソ・・・? エビーッ!!」
栄子「お、落ち着いたのか?」
千鶴「ただいま」
栄子「お帰り」
千鶴「イカ娘ちゃんは?」
イカ娘「もうすっかり治ったでゲソよ」
千鶴「まあ、よかった」
栄子「その代わり、早苗が桃源郷から帰ってこないんだ」
イカ娘「はあ、やっと心置きなくエビが食べられるでゲソ。今日はエビフライにしようじゃなイカ」
栄子「え・・・」
千鶴「え?」
栄子「何だよ、お前まだ治ってねえんじゃねえか」
イカ娘「え?」
栄子「いいから部屋で安静にしてろ」
イカ娘「ちょ・・・、大丈夫でゲソ」
栄子「大丈夫なもんか」
イカ娘「もう大丈夫なのでゲソ! だからエビを」
栄子「ふん」
早苗「任せてー!」
イカ娘「や、やめるでゲソー!」
Portions not contributed by visitors are Copyright 2018 Tangient LLC
TES: The largest network of teachers in the world
Turn off "Getting Started"
Home
...
Loading...
渚「はーい」
栄子「かき氷のメロンと練乳ですね。少々お待ちください。今日は忙しいな。イカ娘、かきご・・・うぇっ!」
イカ娘「んー・・・」
栄子「おいっ! 削れてるぞ触手!!」
栄子「ったく、異物混入なんて騒ぎが起こったら、商売上がったりなんだぞ。気をつけろ」
イカ娘「あー・・・」
栄子「触手、大丈夫なのか?」
イカ娘「んー?」
イカ娘「ごちそう様でゲソ・・・」
栄子「ごちそう様ってお前、何も食ってねえじゃねえか」
千鶴「体の具合でも悪いの?」
たける「元気ないよ、イカ姉ちゃん」
イカ娘「ちょっと疲れただけでゲソ。もう寝るでゲソ・・・」
千鶴「悩み事じゃないんでしょ?」
栄子「こいつが元気ないと気持ち悪(わり)いんだよなあ」
渚「もしかしたら夏バテなんじゃないですか?」
栄子「ああ、そっか。地上で快適な暮らしを送ってるうちに、人間と同じ現代病にかかってしまったとか」
イカ娘「私が現代病? 冗談じゃないでゲソ! 長年海で生活しつづてけいたたた、う、そんなくだらない、うぇ・・・ゲソー・・・」
栄子「夏バテ解消法って、何があったっけ?」
千鶴「そうねえ・・・」
渚「冷房をやめて扇風機にするとか」
たける「ぬるいお風呂にゆっくり浸かる。いっそ水風呂に入る」
栄子「軽い運動をする」
千鶴「辛いものを食べる」
イカ娘「ゲソ・・・」
栄子「やつれたな」
イカ娘「私は夏バテなんかじゃないでゲソ。この程度で治ってたまるか・・・でゲソー・・・」
栄子「言ってることと表情が真逆じゃねえか」
栄子「39.5度か。高いな。今日は安静にしてろ」
イカ娘「言われなくてもそのつもりでゲソ」
栄子「ところで、お前のそれは夏バテじゃなかったら何なんだ? 夏風邪か?」
イカ娘「ゲソ・・・、ゲソニンムルゴボング病だと思うでゲソ」
栄子「わかんねえよ! まいったなあ、初耳だ。イカ娘独特の病かよ」
イカ娘「栄子、仕事はどうなのでゲソ?」
栄子「心配するな。私たちが抜けた分、シンディーと早苗ががんばってくれてる」
イカ娘「あの二人が・・・」
栄子「いいか、お前の体のことはお前にしかわからん。少しでも良くなる方法があるなら言ってくれ」
イカ娘「うん・・・」
栄子「その、ゲソニン何とかって病気はどういった症状が出るんだ?」
イカ娘「死ぬ・・・」
栄子「死ぬ!?」
イカ娘「・・・ほどエビが食べたくなる病気でゲソ」
栄子「いつもと何が違うんだ?」
イカ娘「いつもと比べものにならないくらい食べたくなるのでゲソ」
栄子「じゃあエビを食べれば治るのか?」
イカ娘「いや、この病気のときに食べると、むしろ悪化するでゲソ」
栄子「悪化? 熱がもっと上がるのか?」
イカ娘「いや、もっともっとエビが食べたくなるでゲソ。そのエビ欲はとどまるところを知らないでゲソ。いつもより食べたいのに食べられない、ストレスでじたばたしてしまう病気でゲソー」
栄子「めんどくせえな、おい! あ、それじゃあ病気が治るまで、お前はひたすらエビを食べるのを我慢してればいいんだな?」
イカ娘「まあ、そういうことになるでゲソ。うっ・・・」
栄子「どうした!?」
イカ娘「エビ、食べたい・・・」
栄子「うーん・・・」
イカ娘「エビ食べたい! エビ食べたい! エビ食べたいでゲソーっ!」
栄子「発作か?」
イカ娘「食べないと死んじゃうでゲソ!」
栄子「結局死ぬのかよ!」
イカ娘「せめてエビっぽいものが食べたいでゲソ」
栄子「エビっぽいもの? そうだ!」
イカ娘「ううううう・・・」
栄子「ほら、持って来たぞ、イカ娘」
イカ娘「ん?」
栄子「海老根」
イカ娘「全然エビじゃないでゲソ!」
栄子「じゃあ、海老芋も駄目か?」
イカ娘「エビー、エビー。
からかってんじゃなイカ!?
断じて満足するめイカ!!
エビ、エビ、エビ、エビ、エビ、エビ、エビ、エビ、エビ、エビーッ!」
栄子「手に負えん。うーん、まいったなあ・・・うあっ」(まずい、病気のせいで我慢が効かなくなっている。このままでは・・・)
イカ娘「栄子ぉ・・・。栄子!」
栄子「うわああっ、ぐっ・・・ああ?」
イカ娘「もうこんな思いするくらいなら、死んでもいいでゲソ。エビ食べたいでゲソ」
栄子「しかしな、イカ娘」
イカ娘「一生のお願いでゲソ」
栄子「駄目だ、イカ娘! お前のた・・・え?」
イカ娘「エビ、エビ、おかしいでゲソ。ここにエビがあるのにつかめないでゲソ」
栄子(バカなんだか、いじらしいんだか)「おい、イカ娘、病気を治したいか?」
イカ娘「うん。治してエビを食べたいでゲソ」
栄子「こうなったら一か八か・・・。頼みがある。すぐ来てくれないか? 頼む。毒をもって、毒を制す!」
栄子「頼んでおいて何だが、やめるならやめてもいいぞ」
早苗「愚問よ、栄子。イカちゃんが苦しんでいるのを、私が黙っていられると思う? 愛する人のためなら、この命、惜しくはない!」
栄子(早苗・・・。今のお前、最高にかっこいいぜ!)
イカ娘「うーん、誰でゲソ・・・? エビーッ!!」
栄子「お、落ち着いたのか?」
千鶴「ただいま」
栄子「お帰り」
千鶴「イカ娘ちゃんは?」
イカ娘「もうすっかり治ったでゲソよ」
千鶴「まあ、よかった」
栄子「その代わり、早苗が桃源郷から帰ってこないんだ」
イカ娘「はあ、やっと心置きなくエビが食べられるでゲソ。今日はエビフライにしようじゃなイカ」
栄子「え・・・」
千鶴「え?」
栄子「何だよ、お前まだ治ってねえんじゃねえか」
イカ娘「え?」
栄子「いいから部屋で安静にしてろ」
イカ娘「ちょ・・・、大丈夫でゲソ」
栄子「大丈夫なもんか」
イカ娘「もう大丈夫なのでゲソ! だからエビを」
栄子「ふん」
早苗「任せてー!」
イカ娘「や、やめるでゲソー!」