ブリタニアの少年ルルーシュは、謎の少女C.C.から特殊な能力を手に入れた。
ギアス。いかなる相手にでも命令を下せる絶対遵守の力。
妹ナナリーのため、神聖ブリタニア帝国の破壊をもくろむルルーシュ。
一方、彼の友人枢木スザクは帝国内での足場を築きかけていた。
すでにこの時、先行きの命運は必然として約束されていたのかもしれない。

シャーリー:
私、東京租界を出るのって初めてなんですよー。

ミレイ:
ルルーシュも来られるとよかったのにねえ。

シャーリー:
あ…な…

ミレイ:
よいではないかー。今宵は夜通し語り明かそうぞ。
好きな男の子、教えあったりさ。

シャーリー:
いるんですか、会長にそんな人?

ミレイ:
ふふん。さあねー。

ミレイ:
大丈夫。河口湖はブリタニアの観光客も多いから治安はいいって。
ゲットーみたいに怖くないよ。

ニーナ:
でも…

ミレイ:
いっしょにいてあげるから。今度はおいてけぼりにしない。

ニーナ:
う…うん。

シャーリー:
うわあ!

ゼロ:
どうした?早く入れ。
今からここが、私たちのアジトだ。

扇:
それは、あんたが俺たちと組むと考えていいのか?

ゼロ:
ああ。私たちは仲間だ。

南:
すっげえなあ。

玉城:
何だこれ?

扇:
こんなもの一体どうやって?

ゼロ:
頼んだらゆずってくれたよ、道楽者の貴族が。

扇:
頼んだって…そんな簡単に。

ゼロ:
大丈夫だ。足はつかない。

吉田:
おいおい、二階もあるぞ。
大きすぎないか、この車?

カレン:
でも、逆にこれぐらいのほうが盲点になるかも。

南:
テレビまでついてる。

TV:
現場はどうなっているんですか?

カレン:
何?

TV:
はい。こちら河口湖のコンベンションセンターホテル前です。
ホテルジャック犯は「日本解放戦線」を名乗っており、ジェームス議長を中心とするサクラダイト配分会議のメンバーと、居合わせた観光客および数人の従業員を人質にとっています。
これが犯人から送られてきた映像です。ジェームス議長のほか、学生の姿も見受けられます。

カレン:
生徒会の…

TV:
犯行グループのリーダーは、草壁中佐と名乗る旧日本軍人です。

藤堂:
馬鹿なっ!

TV:
高温超伝導体の製造に欠かすことのできないサクラダイトは、世界の安全保障に直接関与する重要な戦略物資です。
ここエリア11は世界最大のサクラダイト産地であり、市場への供給量は実に70%に達します。
毎年、ここで開催されるサクラダイト生産国会議では、サクラダイトの国際分配レートを決定します。
その結果は我がブリタニアと諸外国とのパワーバランスそのものと言っても過言ではありません。
テロリストは国際世論がこの会議に寄せる関心の大きさを狙いにいれてホテルジャックという暴挙にうったえたものと思われます。

草壁:
日本解放戦線の草壁である。我々は日本の独立解放のために立ち上がった。
諸君は軍属ではないがブリタニア人だ。我々を支配するものだ。
おとなしくしているならば良し。さもなくば…。

シャーリー:
ルル…

玉城:
動いてきたなあ。

扇:
日本最大の反ブリタニア勢力だからな。意地もあるんだろ。

南:
俺たちへの?

扇:
かもな。

玉城:
喜ぶべきか、悲しむべきか。
あれじゃ玉砕しかねえだろ。

ゼロ:
リヴァル…

リヴァル:
ルルーシュ。

電話:
ルルーシュだ。
発信音のあとにメッセージを。

リヴァル:
何やってんだよ、こんな時に!

ゼロ:
わかっている。しかし…

将校:
ホテルにつながる橋は、メインを残して全て落とされました。
上空および水中からの接近はいずれも失敗。
人質救出作戦を展開するために残されたルートはひとつだけです。
コンベンションセンターホテルの真下までのびているライフラインのトンネル。
これを使えば作戦どおり基礎ブロックを破壊してホテルを水没させることができます。
このトンネルは物資搬入も兼ねているため、サザーランドならば突入可能。
敵にも備えはありましょうが、問題はありません。

ブリタニア兵:
Go!

将校:
今まで相手が使用した武器レベルなら十分回避可能です。

テロリスト1:
敵影補足。予測通り、地下坑道を移動してきます。

テロリスト2:
了解。
「雷光」。第二起動。
左右四連脚部、固定。
超電磁式榴散弾重砲、電圧確認。

ブリタニア兵:
アンチ ナイトメア ライフルと思われる。
散開しつつ突破せよ。

テロリスト2:
超電磁式榴散弾重砲、発射!

ブリタニア兵:
何?

テロリスト:
やった!

一撃だ!

使えますな、雷光は!

草壁:
見たか、ブリタニアの豚ども。

ダールトン:
全滅?

ブリタニア兵:
敵はグラスゴーを改造したリニア キャノンを設置していたようです。

ダールトン:
突破は無理ということか。

ブリタニア兵:
どうしますか?要求どおり政治犯の釈放と…

コーネリア:
テロリストに弱みを見せるな。

ギルフォード:
しかし、ユーフェミア様が。

コーネリア:
わかっている。

ダールトン:
その件は、まだ気づかれてはいないはずです。
人質の中にユーフェミア様がいるのがわかれば、必ずや交渉に使ってくるかと。
会議には立ち会うだけでしたからメンバーリストにものっていませんし。

C.C.:
ああ、わかってるよ。今度はうまくやる。
でも、私は保護者なんかじゃないんだ。

スザク:
僕達特派は救出作戦に参加できないんですか?

ロイド:
申請はしてあるけど、うちは命令系統が違うイレギュラーだし、それに…

スザク:
イレブンに作戦を任せるわけにはいかない。

ロイド:
コーネリア殿下はブリタニア人とナンバーズをきっちり区別されるかたでねえ。

スザク:
受け入れてもらうには、まだ足りないんですね。

セシル:
でもそれじゃ、なんのための名誉ブリタニア人制度なんだか…。

TV:
お父様。シャーリーさんが…

南:
これどこに置く?

扇:
そっち、そっち。運転席のほう。
おーい。ここに置いといた箱は?

シャーリーの父:
ただの観光なんですよ。
まだ学生なのに。それをテロリストは無差別に…。許せない。
シャーリーは…娘は無事なんでしょうか?
あの子は何も悪いことはしていないのに…。

ゼロ:
ブリタニアと戦うために組織は必要だ。しかし早すぎる。
でもこのまま放っておくわけにも…。
コーネリアの性格なら人質など無視して…
なら何故動かない?まさか…。

カレン:
ゼロ、人質どうなるかな?

ゼロ:
いずれにせよ、ブリタニア人を生かしておく理由は無いな。

カレン:
そう…そうだよね。

扇:
おーい、ゼロ。
こいつ、みんなに配っていいのか?
これさあ、かっこいいとは思うんだけど…俺たちレジスタンスだし。

ゼロ:
違う。私たちはレジスタンスではない。

扇:
じゃあ、なんだよ?

ゼロ:
私たちが目指すもの…それは
正義の味方だ。

ブリタニア兵:
特別狙撃小隊に達する。
現状はホールド。各小隊長は通達を確認せよ。

セシル:
人質の学生って生徒会の人たちなんでしょう?
交渉はまだ続けているから…

スザク:
僕は組織の人間です。
個人的な感情より、組織の論理を優先します。
セシルさん…あそこ。

セシル:
えっ?何?

スザク:
あれは…

セシル:
まさか人質を?

スザク:
やめろ、やめるんだ。
やめろーっ!

草壁:
我々の要求に対して何らかの返答がなされない限り、30分ごとに一人ずつ飛んでもらう。
人質のためにも誠意ある対応を期待する。

ダールトン:
見せしめとは…野蛮人め。

ギルフォード:
交渉に応じ、女子供だけでも先に解放させては?

コーネリア:
駄目だ。一度でも交渉に応じれば、テロという手段を肯定することになる。

ダールトン:
では、強攻策を?

ギルフォード:
それはユーフェミア様の安全を確保してからのことではないでしょうか?

コーネリア:
ユフィ、私は…。

ブリタニア兵:
総督、ゼロが。
ゼロから連絡が入りました。

ディートハルト:
何?3号車がゼロに盗まれた?
ギブソンは何をやってたんだ?

TVスタッフ:
何か、気がついたら取られてたって。

ディートハルト:
はぁ?…で、その3号車は?

TVスタッフ:
軍のど真ん中へ。

ディートハルト:
え?

ブリタニア兵1:
確認しました。ゼロです。
狙撃しますか?

ブリタニア兵2:
その状態で待機せよ。
包囲完了後に逮捕する。

扇:
なあ、彼の言う正義って、どういう意味なんだろうな?

カレン:
さあ。でもその前に殺されるかも。
後ろのみんなも逃げ場ないし。

団員1:
なんであのトレーラーを使わないんだ?

団員2:
アジトを人目にさらしてどうするんだよ。

団員1:
ああ。

井上:
本当に信用していいの、あのゼロって男?

玉城:
だから俺は怪しいって言ってんだ。
ま、いざとなったら俺がなんとかするけど。

ゼロ:
コーネリア。ここで借りを返したいところだが、お前の使いどころはもっと先だ。
読みどおりなら、ギアスを使うまでもないが。

コーネリア:
また会えたな、ゼロ。
お前は日本解放戦線のメンバーだったのか?
それとも協力するつもりか?
しかし、今はこちらの都合を優先する。
義弟クロヴィスの仇、ここで討たせてもらう。

ゼロ:
コーネリア、どちらを選ぶ?
死んだクロヴィスか?生きているユーフェミアか?
よし、やはりそうか。第一条件はクリアされた。
相変わらずだな、コーネリア。あなたは昔からユーフェミアを溺愛していた。
だから動けない。情の尻尾が邪魔をする。
ユーフェミアを救い出そう、私が。

コーネリア:
ゼロ。何を言っているのかわからないな。

ゼロ:
救ってみせる。私なら!

草壁:
ゼロだと?

テロリスト:
はい。ブリタニア軍から連絡が。

ブリタニア兵:
全部隊に達っする。
ゼロを通せ。
繰り返す。ゼロを通せ。

ゼロ:
日本解放戦線が私を同志として受け入れるか。それとも、邪魔者として扱うか。
いずれにせよ、ゼロに会いたいという誘惑、この心の動きに勝てるはずがない。
ということは…。
よし。作戦の前提条件は全てクリア。

ダールトン:
どういたしますか、総督?

コーネリア:
ゼロが行くことによって、次の人質殺害までに若干のゆとりが生まれるはずだ。
なら、これは好機だ。ゼロもまとめてたたいてくれる。

ロイド:
はーいー。ご指名ありがとうございまーす。アハハハハ。
出していいって、ランスロットを。

スザク:
え?

ロイド:
トンネル内をリニアキャノンに向かって突っ込めってさ。

セシル:
ロイドさん。それってうちを囮にして隙を造るってことですか?

ロイド:
うん。混乱に乗じて親衛隊がつっこむみたい。

セシル:
みたいってそんな…。

スザク:
セシルさん。やります。やらせてください。
みんなを助ける可能性があって、今僕とランスロットが必要とされているなら、やるべきです。
それがたとえ、囮であろうと。
セシル:
枢木准尉。作戦概要を説明します。
プライムサーチによると、人質はホテルのミドルフロア、食糧貯蔵庫に閉じ込められている模様。
嚮導兵器 Z01 ランスロットはライフライントンネルを使ってホテル地下へ移動。
現着後、基礎ブロックを破壊しホテルを水没させる。
人質のいる場所は、8分はもつと推測される。
救出ならびにテロリストの掃射は別部隊が担当する。
なお、基礎の破壊にはヴァリスを使用。
インパクトレールはアンチマテリアル レベル3に設定。

ロイド:
…で、問題はトンネル内で待ち受けてるリニアキャノンだよね。
限定空間だからランスロットでも回避率は47.8%。

セシル:
ほんとにやるんですか?

ロイド:
うん。だから適当なところでもどってきてよ。
ランスロットを壊すわけにはいかないしさ。

スザク:
適当なところ?

ロイド:
うん。

スザク:
わかりました。

シャーリー:
スザク君。今度の日曜日、会長やニーナと河口湖へ行くの。
いっしょに行かない?

スザク:
ごめん。その日は仕事が入ってて。

しゃーりー:
ああ、そっか。
それじゃあ、仕方ないか。

スザク:
でもありがとう、さそってくれて。
本当にうれしいよ。

セシル:
作戦開始まであと12分。
カウントダウンにはいります。

ニーナ:
イ、イレブン。

テロリスト:
今、何といった?
イレブンだと?我々は日本人だ。

ミレイ:
わかってるわよ。だからやめて。

テロリスト:
訂正しろ。
我々はイレブンではない。

シャーリー:
訂正するから。

テロリスト:
何だその言い方は?
お前たち、隣りまでこい。じっくり教え込んでやる。

ニーナ:
いやぁ!いやぁ!

テロリスト:
立たんか、こらぁ!

ニーナ:
いやぁ!いやぁ!

ユーフェミア:
おやめなさい。

テロリスト:
なんだ、貴様?

ユーフェミア:
わたくしを、あなたたちのリーダーに会わせなさい。

テロリスト:
何?

女:
いけません、副総督。

ユーフェミア:
わたくしはブリタニア第三皇女、ユーフェミア・リ・ブリタニアです。
あなた大丈夫?怪我は無い?

ニーナ:
はい。

ゼロ:
私と手を組むつもりはないか?

草壁:
ならば素顔を見せてもらおう、ゼロ。
無礼であろう。

ゼロ:
わかった。しかし、その前に聞かせてほしい。
お前はこの行動の果てに何を求めている。

草壁:
知れたことを。
日本人がまだ死んでいないことを内外に知らしめるのだ。

ゼロ:
古いな。お前たちは古い。もう救えない。

テロリスト:
貴様!

草壁:
どういう意味かな、ゼロ?

スザク:
MEブースト。

セシル:
ランスロット、発進!

テロリスト1:
反応、確認。
敵ナイトメア、1。
移動速度は約2倍です。

テロリスト2:
かまわん。同じことだ。
超電磁式榴散弾重砲、発射!

セシル:
だから言ったじゃないですか!

ロイド:
うん。囮じゃなくって、やりきっちゃうつもりだね。

テロリスト:
中佐のもとに先ほど連絡した人質を連行しました。
ユーフェミアと名乗っていますが。

草壁:
ゼロ、もはや問答無用!

ゼロ:
死ね。

テロリスト1:
発射!

テロリスト2:
中佐!

ゼロ:
落ち着け。

ユーフェミア:
ゼロ。

ゼロ:
中佐たちは自決した。
行動の無意味さを悟ったのだ。
ユーフェミア、民衆のために人質をかってでたか。
あいかわらずだな。

ユーフェミア:
え?

コーネリア:
何?特派のナイトメアが?

ダールトン:
はい、このままいくと突破できそうです。

コーネリア:
ふん。期待していいのか?

スザク:
よし、この破壊力なら耐えられる。

テロリスト1:
第五射も突破されました。信じられない。

テロリスト2:
臆するな。
四連腕部自在砲台も展開。
ここは絶対防衛線である。
死守するんだ!

スザク:
セシルさん。ここでヴァリスを使います。

セシル:
え?待って、それは危険よ。

スザク:
活動領域が狭まりました。
爆風は覚悟の上です。

テロリスト:
貴様ら…

ゼロ:
副総督に就任されたと聞きました。ユーフェミア皇女殿下。

ユーフェミア:
喜ぶことではありません。

ゼロ:
そう、クロヴィスが死んだからですね。
私が殺した。
彼は最後まで私に阿り(おもねり)、命乞いをした。
イレブンを殺せと命じたその口で。

ユーフェミア:
だから兄を殺したのですか?

ゼロ:
いいや。

ユーフェミア:
では、なぜ?

ゼロ:
あの男がブリタニア皇帝の子供だから。

ユーフェミア:
え?

ゼロ:
そういえば、あなたもそうでしたね。

テロリスト:
出力全開!
砲身がいかれてもかまわん。
絶対死守を敢行せよ!
粉砕!

コーネリア:
あのイレブン…
やりきったか。ギルフォード!

ギルフォード:
はっ!

スザク:
まさか。

ゼロ:
あの時の白兜か。

コーネリア:
ユフィーッ!

スザク:
みんなーっ!

ロイド:
よせっ、枢木准尉!

ディートハルト:
3番のカメラはどうなってる?

TVスタッフ:
ゼロに取られちゃったじゃ…

ディートハルト:
だから、反応が欲しいんだよ!
どうした、ゼロ?
そのためじゃなかったのか?利用するためじゃ?

セシル:
スザク君!

スザク:
救えなかった。
僕は…僕は…また!

ディートハルト:
来た。

男:
え、あれは?ゼロだ。

ゼロ:
ブリタニア人よ、動じることはない。
ホテルに捕らわれていた人質は、全員救出した。
あなた方のもとへお返ししよう。

スザク:
みんな。

リヴァル:
よかったぁ。

コーネリア:
ぬけぬけとよく言う。
お前に手出しをしたら人質に逆戻りということだろう。

ゼロ:
人々よ!
我らを恐れ、求めるがいい。
我らの名は…「黒の騎士団」!

セシル:
騎士団…

ロイド:
皮肉だね。テロリストがナイトを名乗るなんて。

ゼロ:
我々黒の騎士団は、武器を持たない全ての者の味方である。
イレブンだろうと、ブリタニア人であろうと。
日本解放戦線は卑劣にもブリタニアの民間人を人質にとり、無残に殺害した。
無意味な行為だ。
故に我々が制裁を下した。

ディートハルト:
当然です。このまま流さないと。
責任?そんなものは私が取ります。

ゼロ:
クロヴィス前総督も同じだ。
武器をもたぬイレブンの虐殺を命じた。
このような残虐行為を見過ごすわけにはいかない。故に制裁を加えたのだ。
私は戦いを否定しない。しかし、強いものが弱いものを一方的に殺すことは、断じて許さない。
撃っていいのは、撃たれる覚悟のある奴だけだ。
我々は、力あるものが力なきものを襲う時、再び現れるだろう。
たとえその敵がどれだけ大きな力を持っているとしても。

カレン:
正義の味方…?

ゼロ:
力あるものよ、我を恐れよ。
力なきものよ、我を求めよ。
世界は我々黒の騎士団が、裁く!