madoka ep2, それはとっても嬉しいなって
madoka ep2, それはとっても嬉しいなって
巴マミ:「私は巴マミ。 あなた達と同じ見滝原中の三年生。
そして キュウべえと契約した魔法少女よ」
鹿目まどか:「また変な夢ぇ。」
キュゥべえ:「おはよう!まどか!」
鹿目まどか:「は! えへへ」
――OP――
交わした約束忘れないよ
目を閉じ確かめる
押し寄せた闇 振り払って進むよ
いつになったら無くした未来を
私ここでまた見ることできるの?
溢れ出した不安の影を
何度でも裂いてこの世界歩んでこう
止めどなく刻まれた 時は今始まり告げ
変わらない思いをのせ
閉ざされた扉開けよう
目覚めた心は走り出した
未来を描くため
難しい道で立ち止まっても
空はきれいな青さでいつも待っててくれる
だから怖くない
もう何があっても挫けない
――OP――
鹿目詢子:「まどか、昨夜(ゆうべ)は帰りが遅かったんだって?」
鹿目まどか:「先輩の家にお呼ばれしちゃって」
鹿目詢子:「ま、門限とかうるさいことはいわないけどさ。
晩飯の前には一報いれなよ~」
鹿目まどか:「うん。ごめんね」
ほんとに人には見えないんだ。
美樹さやか:「わぁー」
鹿目まどか:「素敵なお部屋」
巴マミ:「一人暮らしだから遠慮しないで。
ろくにおもてなしの準備も無いんだけど」
鹿目まどか:「マミさん、すっごく美味しいです」
美樹さやか:「う~ん、めっちゃうまっすよ」
巴マミ:「有り難う。
キュウべえに選べれた以上、あなた達にとっても人事じゃないものね。
ある程度の説明は必要かと思って」
美樹さやか:「うんうん。何でも聞いてくれたまえ」
鹿目まどか:「さやかちゃん、それ逆」
巴マミ:「っふふ。」
鹿目まどか:「わぁ、きれい!」
巴マミ:「これがソウルジェム。
キュウべえに選ばれた女の子が契約によって生み出す宝石よ。
魔力の源であり、魔法少女であることの証でもあるの」
美樹さやか:「契約って?」
キュゥべえ:「僕は君たちの願い事を何でも一つ叶えてあげる」
美樹さやか:「え!?本当!?」
鹿目まどか:「願い事って...」
キュゥべえ:「何だってかまわない。
どんな奇跡だって起こしてあげられるよ」
美樹さやか:「うわぁ、金銀財宝とか、不老不死とか、満漢全席とかぁ~」
鹿目まどか:「いやぁ、最後のはちょっと」
キュゥべえ:「でも、それと引き換えに出来上がるのがソウルジェム。
この石を手にしたものは、魔女と戦う使命を課されるんだ」
鹿目まどか:「あっ...魔女?」
鹿目まどか:「ねえ、ママ?」
鹿目詢子:「うーん?」
鹿目まどか:「もしも、もしもだよ。
魔法でどんな願い事でもかなえてもらえるって言われたら、どうする」
鹿目詢子:「役員を二人ばかりよそに飛ばしてもらうわ」
鹿目まどか:「はぁわわ」
鹿目詢子:「あとそうねー。
社長もさー。
も 、無理がきく年じゃねんだからそろそろ隠居考えて欲しいんだけど。
代わりがいないってのがなぁ。」
鹿目まどか:「いっそ、ママが社長さんになっちゃったら?」
鹿目詢子:「ん?その手があったか。
営業部にさえしっかり根回ししとけば、企画部と総務は言いなりだし。
そうなると問題は経理のハゲか。
あれか、むしるか」
鹿目まどか:「ママ。
目が怖いよ。」
美樹さやか:「魔女って何なの?
魔法少女とは違うの?」
キュゥべえ:「願いから生まれるのが魔法少女だとすれば、魔女は呪いから生まれた存在なんだ。
魔法少女が希望をふりまくように、魔女は絶望を撒き散らす。
しかもその姿は普通の人間には見えないからたちが悪い。
不安や猜疑心、過剰な怒りや憎しみ、そういう災(わざわい)の種を世界にもたらしているんだ」
巴マミ:「理由のはっきりしない自殺や殺人事件は、かなりの確率で魔女の呪いが原因なのよ。
形の無い悪意となって、人間を内側から蝕んでいくの」
美樹さやか:「そんなやばいやつらがいるのに、どうして誰も気付かないの?」
キュゥべえ:「魔女は常に結界の奥に隠れ潜んで、決して人前には姿を現さないからね。
さっき君たちが迷い込んだ、迷路のような場所がそうだよ」
巴マミ:「結構、危ないところだったのよ。
あれに飲み込まれた人間は普通は生きて帰れないから」
鹿目まどか:「マミさんは、そんな怖いものと戦ってるんですか」
巴マミ:「そう。命懸けよ。
だからあなた達も慎重に選んだ方がいい。
キュウべえに選ばれたあなた達にはどんな願いでも叶えられるチャンスがある。
でもそれは、死と隣り合わせなの」
鹿目まどか:「ふぇぇ...」
美樹さやか:「うーん、悩むなぁ」
巴マミ:「そこで提案なんだけど、二人ともしばらく私の魔女退治に付き合ってみない?」
鹿目まどか、美樹さやか:「ええ!?」
巴マミ:「魔女との戦いがどういうものか、その目で確かめてみればいいわ。
その上で、危険を犯してまで叶えたい願いがあるのかどうか、じっくり考えてみるべきだと思うの」
鹿目まどか:「おっはよー!」
志筑仁美:「おはようございます」
美樹さやか:「おはよ うえぇぇ!」
キュゥべえ:「おはよう!さやか」
美樹さやか:「え あ あぐぁ」
志筑仁美:「どうかしましたか?さやかさん」
美樹さやか:「やっぱそいつ、私達にしか見えないんだ」
鹿目まどか:「そうみたい」
志筑仁美:「あのぅ...?」
美樹さやか:「ああ、いやぁ、何でもないから! 行こう、はは、行こう」
鹿目まどか:「頭で考えるだけで会話とかできるみたいだよ」
美樹さやか:「えぇ!?
私達、もう既にそんなマジカルな力が!?」
キュゥべえ:「いやいやぁ、今はまだ僕が間で中継しているだけ。
でも、内緒話には便利でしょ?」
美樹さやか:「なぁんか、変な感じ」
志筑仁美:「お二人とも、さっきからどうしたんです?
頻りに目配せしてますけど」
鹿目まどか:「えっ!!いやぁ、これは、あのぅ、そのぅ」
志筑仁美:「まさか二人とも、既に目と目で分かり合う間柄ですの?
まあ!!
たった一日でそこまで急接近だなんて。
昨日はあの後、一体何が!?」
美樹さやか:「いやぁ、そりゃねーわ、さすがに」
鹿目まどか:「確かに色々、あったんだけどさ」
志筑仁美:「でもいけませんわ、お二方!
女の子同士で!
それは禁断の、恋の形ですのよおぉぉぉ!!」
鹿目まどか:「ああ...」
美樹さやか:「バック忘れてるよ~!!」
鹿目まどか:「あ~あぁ、今日のひとみちゃん、何だかさやかちゃんみたいだよ」
美樹さやか:「ん、どーいう意味だよー、それはー!」
美樹さやか:「つーかさぁ、あんた、のこのこ学校まで付いて来ちゃって良かったの?」
キュゥべえ:「どうして?」
美樹さやか:「言ったでしょ、昨日のアイツ、このクラスの転校生だって。
あんた命狙われてるんじゃないの?」
キュゥべえ:「むしろ学校の方が安全だと思うな。
マミも居るし」
鹿目まどか:「マミさんは三年生だから、クラスちょっと遠いよ?」
巴マミ:「ご心配なく。
話はちゃんと聞こえているわ」
キュゥべえ:「この程度の距離なら、テレパシーの圏内だよ」
鹿目まどか:「ん、えーっと、お、おはようございます」
巴マミ:「ちゃんと見守っているから安心して。
それにあの子だって、人前で襲ってくるようなマネはしないはずよ」
美樹さやか:「ならいいんだけど」
美樹さやか:「げえ、噂をすれば影。」
美樹さやか:「あの転校生も、えと、その、魔法少女なの?
マミさんと同じ」
巴マミ:「そうね、間違いないわ。
かなり強い力を持ってるみたい」
美樹さやか:「でもそれなら、魔女をやっつける正義の味方なんだよね?
それが何で、急にまどかを襲ったりしたわけ?」
キュゥべえ:「彼女が狙ってたのは僕だよ。
新しい魔法少女が生まれることを、阻止しようとしてたんだろうね」
鹿目まどか:「え」
美樹さやか:「何で?
同じ敵と戦っているなら、仲間は多いほうが良いんじゃないの?」
巴マミ:「それがそうでも無いの。
むしろ競争になることの方が多いのよね」
鹿目まどか:「そんな、どうして」
巴マミ:「魔女を倒せば、それなりの見返りがあるの。
だから、時と場合によっては、手柄の取り合いになってぶつかることもあるのよね」
美樹さやか:「つまりあいつは、キュウべえがまどかに声かけるって最初から目星をつけてて、それで朝からあんなに絡んできたってわけ?」
巴マミ:「多分、そういうことでしょうね」
美樹さやか:「気にすんな、まどか。
あいつが何かちょっかい出してきたら、私がぶっ飛ばしてやるからさ。
マミさんだって付いてるんだし」
巴マミ:「そうよ。
美樹さんはともかくとして、私が付いているんだから大丈夫。
安心して」
美樹さやか:「ともかくって言うな!」
早乙女和子:「でえ、今まで勉強してきたみたいな、動作を行う人や物を主語にした表現は能動態と呼ばれまーす。
それに対して受動態というのは、BはAによってどうこうされるみたいに、動作を受ける人や物を主語にした表現なんですねー。
そういう受動態の形は、be動詞プラス過去分詞となります。例えば、He likes me. 彼は私のことが好きだ...」
鹿目まどか:「はい」
美樹さやか:「ねえまどかー。願い事、何か考えたー?」
鹿目まどか:「んーん。
さやかちゃんは?」
美樹さやか:「私も全然。
何だかなー。
いっくらでも思い付くと思ったんだけどなー。
欲しい物も、やりたい事もいっぱいあるけどさ。
命懸けってところで、やっぱ引っかかっちゃうよね。
そーまでするほどのもんじゃねーよなーって。」
鹿目まどか:「うん」
キュゥべえ:「意外だなぁ。
大抵の子は二つ返事なんだけど」
美樹さやか:「まあきっと。
私達が馬鹿なんだよ」
鹿目まどか:「ふぇー。
そーかなー」
美樹さやか:「そう。
幸せ馬鹿。
別に珍しくなんかないはずだよ、命と引き替えにしてでも叶えたい望みって。
そういうの抱えている人は、世の中に大勢いるんじゃないのかな」
鹿目まどか:「あぁ...」
美樹さやか:「だから、それが見付からない私達って、その程度の不幸しか知らないってことじゃん。
恵まれすぎて、馬鹿になっちゃってるんだよ。
何で...私達なのかな。
不公平だと思わない?
こういうチャンス、本当に欲しいと思っている人は、他に居るはずなのにね」
鹿目まどか:「さやかちゃん...」
巴マミ:「大丈夫」
美樹さやか:「昨日の続きかよ」
暁美ほむら:「いいえ。
そのつもりは無いわ。
そいつが鹿目まどかと接触する前にケリを付けたかったけれど、今更それも手遅れだし。
で、どうするの?
あなたも魔法少女になるつもり?」
鹿目まどか:「私は...」
美樹さやか:「アンタにとやかく言われる筋合いは無いわよ!」
暁美ほむら:「昨日の話、覚えてる?」
鹿目まどか:「うん」
暁美ほむら:「ならいいわ。
忠告が無駄にならないよう、祈ってる」
鹿目まどか:「ま、ほむらちゃん!
あ、あのぅ!
あなたはどんな願い事をして魔法少女になったの?」
鹿目まどか:「あっ」
美樹さやか:「ひとみ、ごめん。
今日はアタシら、ちょっと野暮用があって...」
志筑仁美:「あら、内緒事ですの?」
鹿目まどか:「えっと」
志筑仁美:「羨ましいですわ。
もうお二人の間に割り込む余地なんて、無いんですのねえぇぇぇ!」
鹿目まどか:「あっ、あぁ...」
美樹さやか:「いやぁ、だから、違うって、それ」
女子生徒A:「あけみさん!
今日こそ帰りに喫茶店寄って行こう?」
暁美ほむら:「今日もちょっと、急ぐ用事があって。
ごめんなさい」
女子生徒B:「ああ」
巴マミ:「さて。
それじゃ魔法少女体験コース第一弾。
張り切って行ってみましょうか。
準備はいい?」
美樹さやか:「準備になってるかどうかわからないけど...持って来ました!
何もないよりはマシかと思って」
巴マミ:「まぁ、そういう覚悟で居てくれるのは助かるわ」
美樹さやか:「まどかは何か、持ってきたぁ?」
鹿目まどか:「え?えっと、私は」
美樹さやか:「う~わぁ~」
鹿目まどか:「と、とりあえず衣装だけでも考えておこうかと思って」
美樹さやか、巴マミ:「あっはっはっは!はは!ふふ!」
鹿目まどか:「え、えぇ?あぅぅぅ」
巴マミ:「うん、意気込みとしては十分ね」
美樹さやか:「こりゃ参った!アンタには負けるわぁはは!」
巴マミ:「これが昨日の魔女が残していった魔力の痕跡。
基本的に魔女探しは足頼みよ。
こうしてソウルジェムが捉える魔女の気配を辿っていくわけ」
美樹さやか:「意外と地味ですね」
美樹さやか:「光、全然変わらないスね」
巴マミ:「取り逃がしてから、一晩経っちゃったからね。
足あとも薄くなってるわ」
鹿目まどか:「あの時、すぐ追いかけていたら」
巴マミ:「仕留められたかもしれないけど、あなた達を放っておいてまで優先することじゃなかったわ」
鹿目まどか:「ごめんなさい」
巴マミ:「いいのよ」
美樹さやか:「うん!やっぱりマミさんは正義の見方だ!
それに引き換え、あの転校生!
ほんとにムカつくなぁ!」
鹿目まどか:「本当に、悪い子なのかな...」
美樹さやか:「ねえマミさん。
魔女の居そうな場所、せめて目星くらいは付けられないの?」
巴マミ:「魔女の呪いの影響で割りと多いのは、交通事故や傷害事件よね。
だから大きな道路や喧嘩が起きそうな歓楽街は、優先的にチェックしないと。
あとは、自殺に向いてそうな人気の無い場所。
それから病院とかに取り憑かれると最悪よ。
ただでさえ弱っている人たちから、生命力が吸い上げられるから、目も当てられないことになる」
巴マミ:「かなり強い魔力の波動だわ。
近いかも」
巴マミ:「間違いない。
ここよ」
美樹さやか:「あ、マミさん!あれ!」
美樹さやか:「ああ!」
鹿目まどか:「きゃあー!」
巴マミ:「は!」
巴マミ:「魔女の口づけ。
やっぱりね」
鹿目まどか:「う、この人は」
巴マミ:「大丈夫、気を失っているだけ。
行くわよ」
巴マミ:「今日こそ逃がさないわよ」
美樹さやか:「う、うわわわわ!」
鹿目まどか:「す、凄ーい...!」
巴マミ:「気休めだけど。
これで身を守る程度の役には立つわ。
絶対に私の側を離れないでね!」
鹿目まどか、美樹さやか:「はい!」
美樹さやか:「う、うわぁ、来んな、来んなぁ!」
巴マミ:「どう?
怖い?
二人とも」
美樹さやか:「なんてこと、ねぇって!」
鹿目まどか:怖いけど、でも...!
キュゥべえ:「頑張って!
もうすぐ結界の最深部だ!」
巴マミ:「見て。
あれが魔女よ」
美樹さやか:「うわ。
ぐろい」
鹿目まどか:「あんなのと、戦うんですか」
巴マミ:「大丈夫。
負けるもんですか。
下がってて!」
美樹さやか:「あっ」
鹿目まどか:「マミさーん!」
巴マミ:「大丈夫。
未来の後輩に、あんまり格好悪い所見せられないものね!」
巴マミ:「惜しかったわね。
ティロ・フィナーレ!!」
美樹さやか:「あ、勝ったの?」
鹿目まどか:「凄ーい!」
巴マミ:「これがグリーフシード。
魔女の卵よ」
美樹さやか:「た、たまご...」
巴マミ:「運が良ければ、時々魔女が持ち歩いていることがあるの」
キュゥべえ:「大丈夫!
その状態では安全だよ。
むしろ役に立つ貴重なものだ」
巴マミ:「私のソウルジェム、夕べよりちょっと色が濁っているでしょ?」
美樹さやか:「そういえば」
巴マミ:「でも、グリーフシードを使えば、ほら」
美樹さやか、鹿目まどか:「あ」
美樹さやか:「綺麗になった」
巴マミ:「ね。
これで消耗した魔力も元通り。
前に話した魔女退治の見返りっていうのが、これ」
美樹さやか、鹿目まどか:「あ!」
巴マミ:「あと一度くらいは使えるはずよ。
あなたにあげるわ。
暁美ほむらさん」
美樹さやか:「あいつ...!」
巴マミ:「それとも、人と分け合うんじゃ不服かしら?」
暁美ほむら「あなたの獲物よ。
あなただけの物にすればいい」
巴マミ:「そう、それがあなたの答えね」
美樹さやか:「くうー!
やっぱり感じ悪いやつ!」
鹿目まどか:「仲良くできればいいのに」
巴マミ:「お互いにそう思えれば、ね」
女性:「ここは...?あれ?私は...。
い、嫌だ、私、なんで、そんな、どうして、あんな、ことを」
巴マミ:「大丈夫、もう大丈夫です。
ちょっと、悪い夢を見てただけですよ」
美樹さやか:「一件落着って感じかな」
鹿目まどか:「うん」
鹿目まどか:叶えたい願い事とか、私には難し過ぎてすぐには決められないけれど。
でも人助けのために頑張るマミさんの姿は、とても素敵で。
こんな私でもあんな風に誰かの役に立てるとしたら、それはとっても嬉しいなって、思ってしまうのでした。
――次回予告――
巴マミ:無理して格好つけてるだけで、怖くても辛くても誰にも相談できないし、一人ぼっちで泣いてばかり。
良いものじゃ無いわよ、魔法少女なんて。
もう何も恐くない
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巴マミ:「私は巴マミ。 あなた達と同じ見滝原中の三年生。
そして キュウべえと契約した魔法少女よ」
鹿目まどか:「また変な夢ぇ。」
キュゥべえ:「おはよう!まどか!」
鹿目まどか:「は! えへへ」
――OP――
交わした約束忘れないよ
目を閉じ確かめる
押し寄せた闇 振り払って進むよ
いつになったら無くした未来を
私ここでまた見ることできるの?
溢れ出した不安の影を
何度でも裂いてこの世界歩んでこう
止めどなく刻まれた 時は今始まり告げ
変わらない思いをのせ
閉ざされた扉開けよう
目覚めた心は走り出した
未来を描くため
難しい道で立ち止まっても
空はきれいな青さでいつも待っててくれる
だから怖くない
もう何があっても挫けない
――OP――
鹿目詢子:「まどか、昨夜(ゆうべ)は帰りが遅かったんだって?」
鹿目まどか:「先輩の家にお呼ばれしちゃって」
鹿目詢子:「ま、門限とかうるさいことはいわないけどさ。
晩飯の前には一報いれなよ~」
鹿目まどか:「うん。ごめんね」
ほんとに人には見えないんだ。
美樹さやか:「わぁー」
鹿目まどか:「素敵なお部屋」
巴マミ:「一人暮らしだから遠慮しないで。
ろくにおもてなしの準備も無いんだけど」
鹿目まどか:「マミさん、すっごく美味しいです」
美樹さやか:「う~ん、めっちゃうまっすよ」
巴マミ:「有り難う。
キュウべえに選べれた以上、あなた達にとっても人事じゃないものね。
ある程度の説明は必要かと思って」
美樹さやか:「うんうん。何でも聞いてくれたまえ」
鹿目まどか:「さやかちゃん、それ逆」
巴マミ:「っふふ。」
鹿目まどか:「わぁ、きれい!」
巴マミ:「これがソウルジェム。
キュウべえに選ばれた女の子が契約によって生み出す宝石よ。
魔力の源であり、魔法少女であることの証でもあるの」
美樹さやか:「契約って?」
キュゥべえ:「僕は君たちの願い事を何でも一つ叶えてあげる」
美樹さやか:「え!?本当!?」
鹿目まどか:「願い事って...」
キュゥべえ:「何だってかまわない。
どんな奇跡だって起こしてあげられるよ」
美樹さやか:「うわぁ、金銀財宝とか、不老不死とか、満漢全席とかぁ~」
鹿目まどか:「いやぁ、最後のはちょっと」
キュゥべえ:「でも、それと引き換えに出来上がるのがソウルジェム。
この石を手にしたものは、魔女と戦う使命を課されるんだ」
鹿目まどか:「あっ...魔女?」
鹿目まどか:「ねえ、ママ?」
鹿目詢子:「うーん?」
鹿目まどか:「もしも、もしもだよ。
魔法でどんな願い事でもかなえてもらえるって言われたら、どうする」
鹿目詢子:「役員を二人ばかりよそに飛ばしてもらうわ」
鹿目まどか:「はぁわわ」
鹿目詢子:「あとそうねー。
社長もさー。
も 、無理がきく年じゃねんだからそろそろ隠居考えて欲しいんだけど。
代わりがいないってのがなぁ。」
鹿目まどか:「いっそ、ママが社長さんになっちゃったら?」
鹿目詢子:「ん?その手があったか。
営業部にさえしっかり根回ししとけば、企画部と総務は言いなりだし。
そうなると問題は経理のハゲか。
あれか、むしるか」
鹿目まどか:「ママ。
目が怖いよ。」
美樹さやか:「魔女って何なの?
魔法少女とは違うの?」
キュゥべえ:「願いから生まれるのが魔法少女だとすれば、魔女は呪いから生まれた存在なんだ。
魔法少女が希望をふりまくように、魔女は絶望を撒き散らす。
しかもその姿は普通の人間には見えないからたちが悪い。
不安や猜疑心、過剰な怒りや憎しみ、そういう災(わざわい)の種を世界にもたらしているんだ」
巴マミ:「理由のはっきりしない自殺や殺人事件は、かなりの確率で魔女の呪いが原因なのよ。
形の無い悪意となって、人間を内側から蝕んでいくの」
美樹さやか:「そんなやばいやつらがいるのに、どうして誰も気付かないの?」
キュゥべえ:「魔女は常に結界の奥に隠れ潜んで、決して人前には姿を現さないからね。
さっき君たちが迷い込んだ、迷路のような場所がそうだよ」
巴マミ:「結構、危ないところだったのよ。
あれに飲み込まれた人間は普通は生きて帰れないから」
鹿目まどか:「マミさんは、そんな怖いものと戦ってるんですか」
巴マミ:「そう。命懸けよ。
だからあなた達も慎重に選んだ方がいい。
キュウべえに選ばれたあなた達にはどんな願いでも叶えられるチャンスがある。
でもそれは、死と隣り合わせなの」
鹿目まどか:「ふぇぇ...」
美樹さやか:「うーん、悩むなぁ」
巴マミ:「そこで提案なんだけど、二人ともしばらく私の魔女退治に付き合ってみない?」
鹿目まどか、美樹さやか:「ええ!?」
巴マミ:「魔女との戦いがどういうものか、その目で確かめてみればいいわ。
その上で、危険を犯してまで叶えたい願いがあるのかどうか、じっくり考えてみるべきだと思うの」
鹿目まどか:「おっはよー!」
志筑仁美:「おはようございます」
美樹さやか:「おはよ うえぇぇ!」
キュゥべえ:「おはよう!さやか」
美樹さやか:「え あ あぐぁ」
志筑仁美:「どうかしましたか?さやかさん」
美樹さやか:「やっぱそいつ、私達にしか見えないんだ」
鹿目まどか:「そうみたい」
志筑仁美:「あのぅ...?」
美樹さやか:「ああ、いやぁ、何でもないから! 行こう、はは、行こう」
鹿目まどか:「頭で考えるだけで会話とかできるみたいだよ」
美樹さやか:「えぇ!?
私達、もう既にそんなマジカルな力が!?」
キュゥべえ:「いやいやぁ、今はまだ僕が間で中継しているだけ。
でも、内緒話には便利でしょ?」
美樹さやか:「なぁんか、変な感じ」
志筑仁美:「お二人とも、さっきからどうしたんです?
頻りに目配せしてますけど」
鹿目まどか:「えっ!!いやぁ、これは、あのぅ、そのぅ」
志筑仁美:「まさか二人とも、既に目と目で分かり合う間柄ですの?
まあ!!
たった一日でそこまで急接近だなんて。
昨日はあの後、一体何が!?」
美樹さやか:「いやぁ、そりゃねーわ、さすがに」
鹿目まどか:「確かに色々、あったんだけどさ」
志筑仁美:「でもいけませんわ、お二方!
女の子同士で!
それは禁断の、恋の形ですのよおぉぉぉ!!」
鹿目まどか:「ああ...」
美樹さやか:「バック忘れてるよ~!!」
鹿目まどか:「あ~あぁ、今日のひとみちゃん、何だかさやかちゃんみたいだよ」
美樹さやか:「ん、どーいう意味だよー、それはー!」
美樹さやか:「つーかさぁ、あんた、のこのこ学校まで付いて来ちゃって良かったの?」
キュゥべえ:「どうして?」
美樹さやか:「言ったでしょ、昨日のアイツ、このクラスの転校生だって。
あんた命狙われてるんじゃないの?」
キュゥべえ:「むしろ学校の方が安全だと思うな。
マミも居るし」
鹿目まどか:「マミさんは三年生だから、クラスちょっと遠いよ?」
巴マミ:「ご心配なく。
話はちゃんと聞こえているわ」
キュゥべえ:「この程度の距離なら、テレパシーの圏内だよ」
鹿目まどか:「ん、えーっと、お、おはようございます」
巴マミ:「ちゃんと見守っているから安心して。
それにあの子だって、人前で襲ってくるようなマネはしないはずよ」
美樹さやか:「ならいいんだけど」
美樹さやか:「げえ、噂をすれば影。」
美樹さやか:「あの転校生も、えと、その、魔法少女なの?
マミさんと同じ」
巴マミ:「そうね、間違いないわ。
かなり強い力を持ってるみたい」
美樹さやか:「でもそれなら、魔女をやっつける正義の味方なんだよね?
それが何で、急にまどかを襲ったりしたわけ?」
キュゥべえ:「彼女が狙ってたのは僕だよ。
新しい魔法少女が生まれることを、阻止しようとしてたんだろうね」
鹿目まどか:「え」
美樹さやか:「何で?
同じ敵と戦っているなら、仲間は多いほうが良いんじゃないの?」
巴マミ:「それがそうでも無いの。
むしろ競争になることの方が多いのよね」
鹿目まどか:「そんな、どうして」
巴マミ:「魔女を倒せば、それなりの見返りがあるの。
だから、時と場合によっては、手柄の取り合いになってぶつかることもあるのよね」
美樹さやか:「つまりあいつは、キュウべえがまどかに声かけるって最初から目星をつけてて、それで朝からあんなに絡んできたってわけ?」
巴マミ:「多分、そういうことでしょうね」
美樹さやか:「気にすんな、まどか。
あいつが何かちょっかい出してきたら、私がぶっ飛ばしてやるからさ。
マミさんだって付いてるんだし」
巴マミ:「そうよ。
美樹さんはともかくとして、私が付いているんだから大丈夫。
安心して」
美樹さやか:「ともかくって言うな!」
早乙女和子:「でえ、今まで勉強してきたみたいな、動作を行う人や物を主語にした表現は能動態と呼ばれまーす。
それに対して受動態というのは、BはAによってどうこうされるみたいに、動作を受ける人や物を主語にした表現なんですねー。
そういう受動態の形は、be動詞プラス過去分詞となります。例えば、He likes me. 彼は私のことが好きだ...」
鹿目まどか:「はい」
美樹さやか:「ねえまどかー。願い事、何か考えたー?」
鹿目まどか:「んーん。
さやかちゃんは?」
美樹さやか:「私も全然。
何だかなー。
いっくらでも思い付くと思ったんだけどなー。
欲しい物も、やりたい事もいっぱいあるけどさ。
命懸けってところで、やっぱ引っかかっちゃうよね。
そーまでするほどのもんじゃねーよなーって。」
鹿目まどか:「うん」
キュゥべえ:「意外だなぁ。
大抵の子は二つ返事なんだけど」
美樹さやか:「まあきっと。
私達が馬鹿なんだよ」
鹿目まどか:「ふぇー。
そーかなー」
美樹さやか:「そう。
幸せ馬鹿。
別に珍しくなんかないはずだよ、命と引き替えにしてでも叶えたい望みって。
そういうの抱えている人は、世の中に大勢いるんじゃないのかな」
鹿目まどか:「あぁ...」
美樹さやか:「だから、それが見付からない私達って、その程度の不幸しか知らないってことじゃん。
恵まれすぎて、馬鹿になっちゃってるんだよ。
何で...私達なのかな。
不公平だと思わない?
こういうチャンス、本当に欲しいと思っている人は、他に居るはずなのにね」
鹿目まどか:「さやかちゃん...」
巴マミ:「大丈夫」
美樹さやか:「昨日の続きかよ」
暁美ほむら:「いいえ。
そのつもりは無いわ。
そいつが鹿目まどかと接触する前にケリを付けたかったけれど、今更それも手遅れだし。
で、どうするの?
あなたも魔法少女になるつもり?」
鹿目まどか:「私は...」
美樹さやか:「アンタにとやかく言われる筋合いは無いわよ!」
暁美ほむら:「昨日の話、覚えてる?」
鹿目まどか:「うん」
暁美ほむら:「ならいいわ。
忠告が無駄にならないよう、祈ってる」
鹿目まどか:「ま、ほむらちゃん!
あ、あのぅ!
あなたはどんな願い事をして魔法少女になったの?」
鹿目まどか:「あっ」
美樹さやか:「ひとみ、ごめん。
今日はアタシら、ちょっと野暮用があって...」
志筑仁美:「あら、内緒事ですの?」
鹿目まどか:「えっと」
志筑仁美:「羨ましいですわ。
もうお二人の間に割り込む余地なんて、無いんですのねえぇぇぇ!」
鹿目まどか:「あっ、あぁ...」
美樹さやか:「いやぁ、だから、違うって、それ」
女子生徒A:「あけみさん!
今日こそ帰りに喫茶店寄って行こう?」
暁美ほむら:「今日もちょっと、急ぐ用事があって。
ごめんなさい」
女子生徒B:「ああ」
巴マミ:「さて。
それじゃ魔法少女体験コース第一弾。
張り切って行ってみましょうか。
準備はいい?」
美樹さやか:「準備になってるかどうかわからないけど...持って来ました!
何もないよりはマシかと思って」
巴マミ:「まぁ、そういう覚悟で居てくれるのは助かるわ」
美樹さやか:「まどかは何か、持ってきたぁ?」
鹿目まどか:「え?えっと、私は」
美樹さやか:「う~わぁ~」
鹿目まどか:「と、とりあえず衣装だけでも考えておこうかと思って」
美樹さやか、巴マミ:「あっはっはっは!はは!ふふ!」
鹿目まどか:「え、えぇ?あぅぅぅ」
巴マミ:「うん、意気込みとしては十分ね」
美樹さやか:「こりゃ参った!アンタには負けるわぁはは!」
巴マミ:「これが昨日の魔女が残していった魔力の痕跡。
基本的に魔女探しは足頼みよ。
こうしてソウルジェムが捉える魔女の気配を辿っていくわけ」
美樹さやか:「意外と地味ですね」
美樹さやか:「光、全然変わらないスね」
巴マミ:「取り逃がしてから、一晩経っちゃったからね。
足あとも薄くなってるわ」
鹿目まどか:「あの時、すぐ追いかけていたら」
巴マミ:「仕留められたかもしれないけど、あなた達を放っておいてまで優先することじゃなかったわ」
鹿目まどか:「ごめんなさい」
巴マミ:「いいのよ」
美樹さやか:「うん!やっぱりマミさんは正義の見方だ!
それに引き換え、あの転校生!
ほんとにムカつくなぁ!」
鹿目まどか:「本当に、悪い子なのかな...」
美樹さやか:「ねえマミさん。
魔女の居そうな場所、せめて目星くらいは付けられないの?」
巴マミ:「魔女の呪いの影響で割りと多いのは、交通事故や傷害事件よね。
だから大きな道路や喧嘩が起きそうな歓楽街は、優先的にチェックしないと。
あとは、自殺に向いてそうな人気の無い場所。
それから病院とかに取り憑かれると最悪よ。
ただでさえ弱っている人たちから、生命力が吸い上げられるから、目も当てられないことになる」
巴マミ:「かなり強い魔力の波動だわ。
近いかも」
巴マミ:「間違いない。
ここよ」
美樹さやか:「あ、マミさん!あれ!」
美樹さやか:「ああ!」
鹿目まどか:「きゃあー!」
巴マミ:「は!」
巴マミ:「魔女の口づけ。
やっぱりね」
鹿目まどか:「う、この人は」
巴マミ:「大丈夫、気を失っているだけ。
行くわよ」
巴マミ:「今日こそ逃がさないわよ」
美樹さやか:「う、うわわわわ!」
鹿目まどか:「す、凄ーい...!」
巴マミ:「気休めだけど。
これで身を守る程度の役には立つわ。
絶対に私の側を離れないでね!」
鹿目まどか、美樹さやか:「はい!」
美樹さやか:「う、うわぁ、来んな、来んなぁ!」
巴マミ:「どう?
怖い?
二人とも」
美樹さやか:「なんてこと、ねぇって!」
鹿目まどか:怖いけど、でも...!
キュゥべえ:「頑張って!
もうすぐ結界の最深部だ!」
巴マミ:「見て。
あれが魔女よ」
美樹さやか:「うわ。
ぐろい」
鹿目まどか:「あんなのと、戦うんですか」
巴マミ:「大丈夫。
負けるもんですか。
下がってて!」
美樹さやか:「あっ」
鹿目まどか:「マミさーん!」
巴マミ:「大丈夫。
未来の後輩に、あんまり格好悪い所見せられないものね!」
巴マミ:「惜しかったわね。
ティロ・フィナーレ!!」
美樹さやか:「あ、勝ったの?」
鹿目まどか:「凄ーい!」
巴マミ:「これがグリーフシード。
魔女の卵よ」
美樹さやか:「た、たまご...」
巴マミ:「運が良ければ、時々魔女が持ち歩いていることがあるの」
キュゥべえ:「大丈夫!
その状態では安全だよ。
むしろ役に立つ貴重なものだ」
巴マミ:「私のソウルジェム、夕べよりちょっと色が濁っているでしょ?」
美樹さやか:「そういえば」
巴マミ:「でも、グリーフシードを使えば、ほら」
美樹さやか、鹿目まどか:「あ」
美樹さやか:「綺麗になった」
巴マミ:「ね。
これで消耗した魔力も元通り。
前に話した魔女退治の見返りっていうのが、これ」
美樹さやか、鹿目まどか:「あ!」
巴マミ:「あと一度くらいは使えるはずよ。
あなたにあげるわ。
暁美ほむらさん」
美樹さやか:「あいつ...!」
巴マミ:「それとも、人と分け合うんじゃ不服かしら?」
暁美ほむら「あなたの獲物よ。
あなただけの物にすればいい」
巴マミ:「そう、それがあなたの答えね」
美樹さやか:「くうー!
やっぱり感じ悪いやつ!」
鹿目まどか:「仲良くできればいいのに」
巴マミ:「お互いにそう思えれば、ね」
女性:「ここは...?あれ?私は...。
い、嫌だ、私、なんで、そんな、どうして、あんな、ことを」
巴マミ:「大丈夫、もう大丈夫です。
ちょっと、悪い夢を見てただけですよ」
美樹さやか:「一件落着って感じかな」
鹿目まどか:「うん」
鹿目まどか:叶えたい願い事とか、私には難し過ぎてすぐには決められないけれど。
でも人助けのために頑張るマミさんの姿は、とても素敵で。
こんな私でもあんな風に誰かの役に立てるとしたら、それはとっても嬉しいなって、思ってしまうのでした。
――次回予告――
巴マミ:無理して格好つけてるだけで、怖くても辛くても誰にも相談できないし、一人ぼっちで泣いてばかり。
良いものじゃ無いわよ、魔法少女なんて。
もう何も恐くない