――― 日常の31の前 ―――

なの「いい天気。そろそろはかせを起こさなきゃ。んんんー・・・、朝ごはん食べたら、どっか散歩にでも行こっかなー。ん? え? え、ちょっ・・・」


――― 日常の31 ―――

祐子「お。えへ、みおちゃん、麻衣ちゃん、スラマッパギー」

みお「あ、ゆっこ、おはよう」

麻衣「おはよう」

みお「今日、晴れたね」

祐子「昨日は雨降るって言ってたのにね。いやー、こんな天気のいい日はさ、テンキーでも買っちゃおうかな、何つって」(はううっ! 何何何? このノーリアクション。恐ろしいわ、末恐ろしいわ、この子ら。あ、もしかして、私がほんとにテンキーを買いに行くって思ってるんじゃ? あっちゃー、そっかー、こりゃまいった。ちょっと難易度が高すぎたか。もっとみんなにわかるように伝えないとね。よし!)「いやー、暑いね! あまりの猛暑に、脱毛症! 何つって」(ヘコーーーッ! 怖いわ、怖いわ、バーチャル世代怖いわー。でも、ま、身内に脱毛症の人がいたら笑えないしね)

.                                            なの「待ってー!」

祐子(ちょっと反省。よーし、久しぶりに抜いてみますか、伝家の宝刀を!)「ねえねえ! ねえ、ムカデに襲われた人が何て言ったか知ってる? 『ムカデが向かっでくる!』っつってね!」(びっくりしたーーっ!! びっくりした。何なのこの子ら、ここまで能面を通せるなんて。はっ! いや、待てよ。もしかして聞こえなかったんじゃ・・・? ありゃりゃ、聞こえなかったんじゃ仕方ないか。よし!)「ねえねえねえねえねえねえ、ムカデに襲われた人が言ったんだって、『ムカデが向がっでくる!』っつってね!』(これほどの猛者とは・・・。いや、もはやこれは覇王のレベルに達して・・・、はっ、もしかして・・・もしかして、今のままのレベルで収まるなっていう私への、私への・・・期待! ここで引き下がったら、ここで負けを認めたら、二人の期待を裏切ることにな・・・rrrrrrrrrr! だから、引けない! 引けるかあああああっ!!)「地理の予習はあああっ、バッチリよ! ああっ! く・・・ううう、防空壕で僕ゴー! 谷が喜んだ、『やったにーっ』 ! わ、た、し、マスカラ、つけてますからああああっ・・・」


赤城先生「まあ、要するにだ。この公式のxにこれを代入して、答えを導いてやると。それからこのyを・・・」


――― 囲碁サッカー部5 ―――

小木「部長」

大工「小木! 何だよ、久しぶりに顔見せやがって。3ヶ月も幽霊決め込んじゃってさ。どうだ、元気か?」

小木「あ・・・あ、はい」

大工「いやあー、ちょうどよかったよ。今すげー暇でさ。何かして遊ぼうぜ。何する? いっせーのせとかする?」

小木「退部しに来ました」


――― ポップコーン ―――


――― ヒトコトワドコトバ ―――

そういや映画館で映画が始まる直前に、なんでセキばらいしちゃうんだろう


――― 日常の32 ―――

ウェボシー「んでさ、その時さ」

みさと「ウェボシー! フェッちゃん! 笹原見なかった?」

ウェボシー「笹原?」

フェッちゃん「ああ、私、屋上の階段あがって行くの見たよ」

みさと「ありがとう!」

ウェボシー「朝からみさとも大変だね。青春ですなー」

フェッちゃん「ちょっと見に行っちゃおっか。もしかしたらってこともあるからね」


笹原「おう! 

.   青空に 雲をたなびく 右手かな
.                      笹原

上出来じゃないか」

みさと「ちょっと笹原、あんた自分のやったことわかってるの?」

笹原「私は、天気がよかったので屋上で一句ひねっていただけだが」

みさと「違うわよ。これよ、これ。あんた、身に覚えないの?」

笹原「これは私のではないか。どうして立花みさとが持っているのだ?」

みさと「何勘違いしてんの! あんたがゴミ捨てるから、私が拾ってあげたのよ!」

笹原「いやいや、捨てたのではない。うっかり落としてしまったのだ」

みさと「ええい!」

笹原「それにこれはゴミではない。ハンカチ」

みさと「何よ! あんたの持ち物なんて全部ゴミじゃない!」

笹原「なぜ落とし主が私とわかったのだ? 家の方角はまったくの逆であろうに」

みさと「あ・・・」

笹原「しかもアイロンまでかけてある」

ウェボシー、フェッちゃん「あああ」

みさと「バ、バッカじゃないの? 何、その勘違い。たまたま世界の真理を考えてたら、そっちの通学路に行っちゃっただけなんだから!」

ウェボシー、フェッちゃん「ああああああ・・・」

笹原「わざわざすまんな、立花みさと」

ウェボシー、フェッちゃん「あああ・・・ああ」

みさと「あんた、朝、物よく落とすでしょ?」

笹原「自分ではあまり気づかんが、どうだろう?」

みさと「そうやって町汚されるの迷惑なんだけど! ま、まあ、私がそのゴミ、拾ってあげてもいいんだけど」

ウェボシー、フェッちゃん「わあああああ!」

みさと「勘違いしないでよね! ボランティア精神にのっとってるだけなんだから!」

ウェボシー、フェッちゃん「うわっ」

執事「あ!」

笹原「あ!」


ウェボシー「いやあ、みさとは相変わらずだね」

フェッちゃん「ウェボシー、これ、どうしよう?」

ウェボシー「ちょっ、何で持ってきてんの!」

フェッちゃん「どうしよう」

ウェボシー「置いて来なよ!」

フェッちゃん「いや、でもどうしよう」

ウェボシー「だから、置いて来ようよ!」

フェッちゃん「いや、でもどうしよう」

ウェボシー「だから、置いて来なって・・・」


――― かっこいいと思うもの ―――

祐子・みお「かっこいいと思うもの! スーパーカー自転車!」


――― 日常の33 ―――

祐子「まいった・・・。全然、助けが来ない・・・」

みお「神も・・・仏もない・・・」

祐子「昨日は・・・とんかつ?・・・」

麻衣「あ・・・・・・。まあ、いいか・・・」

祐子「あれ?・・・・・・どんくらい、経ったっけ?・・・」

みお「何か、今・・・ちょっと寝てた・・・」

麻衣「あ・・・・・・・・・。まあ、いいか・・・」

祐子「しりとりでも・・・しよっか・・・。みかん」

みお「あ、ごめん・・・もっかい言って・・・」

祐子「何てったっけ?・・・」

みお「け・・・け・・・け・・・・・・。全然違うこと言っていい?・・・なすび」

祐子・みお<噴笑>

祐子「なすび」

みお「死んでる」

祐子「助けが来ない。助けが来ない! 助けが!」

麻衣(金縛り中)


――― 囲碁サッカー部6 ―――

大工「あーあ・・・。ついに俺と関口だけになっちゃったな。最低、部員3人いないと廃部になっちゃうんだけどな。何かいい勧誘方法があればいいんだけどな

関口「部長」

大工「ん?」

関口「うちの部って何をするんですか?」

大工「なーんだ、いい勧誘方法が浮かんだのかと思ったよ。特に何もしないよ」


――― スタート ―――

みお「位置について。用意! どん!」


――― Helvetica Standard ―――

セキ「ちょ、やめ、こら! ユニフォームを取るんじゃない!」

ゴトウ「いいじゃないすか、セキさん。ユニフォームくださいよ」

セキ「だ、だってほら、俺今日1点もとってねーし!」

ゴトウ「いいんです。セキさんの引退記念のユニフォームなんすから」

セキ「で、でもさ、引退試合で1点もとれない選手のユニフォームなんか価値ないだろ?」

ゴトウ「んなことないっすよ。俺、セキさん見てサッカー始めたんすから」

セキ「ま、待て。わかった、わかったから。じゃあ、俺のタイミングで脱ぐから。な? な? とりあえずその手を放せ!」

ゴトウ「ええー? わかりましたよ」

セキ「ふう・・・」

ゴトウ「隙あり!」

セキ「うわっ!」

ゴトウ「・・・何かすんません」


――― しっぽ ―――

阪本さん「いいか、これからはもっと年長者を敬うようにしろよ」

はかせ「はーい」


阪本さん「ったく、ほんとしょうがねえガキだなあ。ん? ・・・よっ、ほっ。やべー、楽しーーっ! 待て待てーい!」


――― 囲碁サッカー部7 ―――

大工「最初は、囲碁とサッカーを合わせたまったく新しい部を作ろうと思ったんだ。で、この部を作った。しかし、思いつかなかった」


――― 日常の34 ―――

はかせ「ブーメラン描いて、三角描いて四角描いて」

なの「はかせ、そろそろ寝ましょう」

はかせ「あ、はーい!」

なの「んん、はかせ、お菓子食べました?」

はかせ「食べてませんけど」

なの「何でそっぽ向くんですか?」

はかせ「そっぽだからかもしれないけど」

なの「意味がわかりません! ああ、ほら、何で寝る前にお菓子食べるんですか?」

はかせ「これは・・・はかせじゃないんですけど」

なの「口にいっぱいお菓子のカスつけてるのは誰ですか?」

はかせ「あああっ! ごほっ、ごほっ。ちょっと風邪ひいたかも」

なの「何ですか、それは! 寝る前にお菓子食べちゃだめって、何で毎回守ってくれないんですか!」

はかせ「ちがうもん! だって阪本が食べろって言ったから! ぷぷ、鼻ちょうちん出してる。傑作」

なの「話を逸らさないでください!」


なの「もう、ちゃんと歯みがきしてから寝てくださいね」

はかせ「歯みがきはしました」

なの「したって、お菓子食べる前じゃないですか?」

はかせ「うーん。そうです。みがきました」

なの「何で照れるんですか」

はかせ「でも歯は一回みがいたらいいんだよ」

なの「よくないです! お菓子食べたんですから」

はかせ「じゃあ、なのは歯みがいたの?」

なの「私はちゃんとみがきました!」

はかせ「じゃあ、じゃあ・・・」

なの「私は寝る準備ばっちりですよ。はかせができてないんです!」

はかせ「ううう・・・、なのはロボだから虫歯になんないけど!」

なの「ええええええっ!?」

はかせ「はっ。なの、えっとね、えっとね、ちょっとだけ虫歯になるから」

なの「ほんとですか?」

はかせ「ほんとです・・・」

なの「ガーン! 嘘だ・・・」

はかせ「ああああ!でもほら、錆びることもあるかもだし」

なの「錆・・・」

はかせ「うわああああ! あの、はかせが虫歯機能つけるから。大丈夫、ほんとにつけてあげるから」

なの「約束ですよ」

はかせ「それはほんとでーす! じゃあなの、はかせと一緒にみがきにいこう!」

なの「はい、2回目ですけど」

はかせ「もう午後10時だ!」

なの「そうですね」

はかせ「今日も楽しかったね!」

なの「はいはい」

はかせ「なの、うれしいなー!」


――― まぁまぁの奇跡 ―――

みさと「ったく、笹原ってばいっつも真面目に考えないんだから」


――― 予告 ―――

「俺たちは一卵性双生児だぜ!」

「だぜぃ!」

「あっち、あち、あちあちあちあち!」

「あっつ! あっつーっ! じ、次回の『日常』は、だ、第9話! お、お、お楽しみ、あつ、あっつーっ!」