唯: 夏だ~!
律: 海だ~!
澪: キレイ…
唯: キラキラしてる。
律: よーし、泳ぐぞ~!
唯: おう!
澪: おーい、あんまりハメ外しすぎるなよ~!
律: 唯、水がしょっぱいぞ。
唯: 塩、塩だよ、りっちゃん。
律: 唯、波だ、波。
唯: おおー、波だね、りっちゃん。
澪: きッ聞いちゃいねえ。

OP

澪: うん? 軽音部…。あ、桜高祭?

唯: えっと・・・、ゆッ指~
律: ホントに忘れたんだな。
唯: おばあちゃんによく褒められたんだ。唯は一つ覚えると、他のことは全部忘れちゃうって。
律: それ、たぶん違うぞ。
唯: あッ澪ちゃん。
律: どこ行ってたんだ?
澪: 合宿をします。
唯: 合宿?
澪: そう。もうすぐ夏休みだし。
律: もしかして海? それとも山とか?
澪: 遊びに行くんじゃありません。バンドの強化合宿。朝から晩までみっちり練習するの!
唯: 着ていく服、買わなきゃ。
律: 水着も買わないとなあ。
澪: 聞けーッ!

澪: 夏休みが終わったら、もうすぐ学園祭でしょう。
律: 学園祭…
澪: そう。桜高祭での軽音部のライブっていえば、昔は結構有名だったんだぞ。それなのに…
律: 学園祭。
唯: 高校の学園祭ってスゴイんでしょ?
律: 模擬店。
唯: 焼きそば?
律: たこ焼き。はいはーい! 私メイド喫茶がやりたい。
唯: え~ッ、おばけ屋敷がいいよ~。
律: メイド喫茶。
唯: おばけ屋敷。
律: メイド喫茶!
唯: おばけ屋敷!
律: もーう、絶対メイド喫茶の方が…! 何で私だけ
澪: 私達は軽音部でしょ。ライブやるの!
紬: ごめんなさい、遅れちゃって。・・・マドレーヌ、食べる?

紬: まあ。
澪: ムギはどう思う? いくら慌てずやっていこうって言っても、もう3ヵ月にもなるのに一度も合わせたことないなんて。
紬: まあまあ、まあまあ、まあまあ。
唯: 6回。
紬: 行きましょう、ぜひ。みんなでお泊まり行くの、夢だったの。
唯: そうなんだあ。
律: じゃあ、海にする? それとも~・・・
澪: だからバンドの強化合宿って言ってるだろうッ!
唯: でも、いくらぐらいかかるのかな?
律: そうだぞ。キツくないか?
澪: そッ、それは…。ムッ、ムギ?
紬: はい?
澪: 別荘とか…
紬: ありますよ。
3: あるんかい!

憂: お姉ちゃ~ん。お姉ちゃん、そろそろ起きたら? ていうか、それあたしのパジャマじゃん。
唯: もうちょっと…
憂: しょうがないなあ・・・。うん? お姉ちゃん?
唯: 今、何時!?
憂: えっと…
唯: もしもし。
澪: おはよう。
唯: おはようございます。・・・ごめんなさ~い!

唯: 何とか間に合った~
律: あれだけ寝坊しないように言ったのに。
唯: ゴメン。ワクワクしてうまく眠れなくて。
律: …ったく小学生か。
澪: いや、そうでもないみたい。
唯: ムギちゃん・・・。夢だって言ってたもんね。
紬: ゲル状がいいの・・・
澪: ゲル!
唯: どんな夢、見てるんだろう。
律: よし、写真に収めとこうぜ。
唯: よしなよー。かわいそうだよー。
律: 思い出思い出。
紬: あッ、ごめんなさい。
唯: ほら、起きちゃった。
律: 悪い悪い。それよりもそろそろ教えてよ。別荘ってどこにあるんだ?
紬: あッ。ええと…もうすぐ。
律: スッゲ~!
澪: 海か。
紬: はい、海。
律: 唯ッ。
唯律: うん、せ~の。
唯: うわ~、潮のにおいだあ!
律: 泳ぐぞ~ッ!
澪: だから、遊びにきたんじゃなくて!
唯律: わあーーーーっ!

律: でっけ~!
紬: 本当はもっと広い所に泊まりたかったんだけど、一番小さい所しか借りられなかったの。
律: 一番小さい? これで?

唯: うわ~、ひろ~い。
律: スッゲーなあ。
澪: うん? これは…
紬: あッ、ごめんなさい。何もしておかなくていいって言(ゆ)っておいたんだけど。

律: ここは何だッ!
唯: お姫様ベッド!

律: うまそう!
紬: ごめんなさあい。

紬: いつもなるべく普通にしたいって言ってるんだけど、なかなか分かってもらえなくて。どうぞ。しばらく使ってないから、ちゃんと動くか心配だけど。
澪: うん、大丈夫そう。あれ、唯と律は?
紬: 途中でいなくなっちゃったけど。
澪: しょうがないなあ。
紬: な~に?
澪: ああ、これ? 昔の軽音部の学園祭でのライブ。この前、部室で見つけたんだ。
紬: 上手…
澪: 私達より相当うまい。
紬: うん。
澪: 何か聴いてたら、負けたくないなって。
紬: それで合宿って言いだしたのね。
澪: うん、でも…
紬: 負けないと思う。私達なら。
澪: ムギ…
律: よーし、あっそぶぞ~い!
唯: オー! イエーイ!
澪: 早ッ。練習は?
唯: 先、行ってるから。2人とも急いでね~
澪: これでも?
紬: ええ、まあ…
律: おーい。
唯: 早く~。
紬: ちょっと待って。澪ちゃん、行こう。
澪: え? ムギ、行くつもり?
紬: せっかくだし、少しぐらいなら。ねッ?
澪: でも私は…
律: ムギ、行くぞ~
紬: は~い。じゃあ、待ってるから。
澪: 私も行く~!

唯: 無人島にたどりついて、かれこれもう2週間かあ。
律: 流されたときはどうなることかと思ったけどな。
唯: でも何か、これはこれで楽しいよねえ。
律: おッ、大物発見。助かった。
唯: ごっつぁんです。
澪: 何、勝手な設定つくってるんだ?
唯: 澪ちゃん…
律: くらえ~ッ!唯、泳ぐぞ!
唯: うん!
澪: 痛い。けど…キレイな所だな。

唯: ねえねえ、何描いたの?

紬: 気がついたらこんなになってて。

澪: 怖くない、怖くない…
律: お医者さんに行くと、ヒザの皿にフジツボがビッシリと・・・

唯: 海水飲んだ~
律: たどりついたぞ、黄金の島ジパング。
澪: まだまだ。
律: いつの間に。
澪: せっかく海に来たんだから、思う存分遊ばないと、ここまで来た意味が…ああーッ、練習!
律: 忘れてたのかよ。
澪: まッまったくー、律が遊ぼうとか言うからだぞ~
律: 一番楽しそうに遊んでたのは誰だ?
澪: つーん。

律: おなかいっぱ~い。
唯: 床が冷たくて気持ちいい。こうやって目を閉じると、何か波に流されてるみたいな感じするよね。
律: あッホントだ。
唯: おやすみなさい。
律: おやすみ。
澪: 始めるぞ!
紬: 2人とも起きて。
澪: ムギ、ちょっとどいてて。

律: なあ、もう今日はやめにしようぜ。
澪: 練習が目的でここに来たの。
律: それはそうだけどさ。
澪: そういえば律、最近ちょっと太ったんじゃないか? 特におなかのところとか。最近ドラムたたいてないからかな?
唯: もうギター持てない。だってこのギター重いんだもん。
澪: だから軽いやつにしておけって言ったのに。
唯: 誰だ! このギター買うって言ったのは。
澪: って、お前だ!

唯: そろそろ床あったまってきたね。
律: ああ・・・
唯律: ごろり、ごろり、ごろり。
紬: 汚れちゃうわよ。
唯: ああ、またひんやり。
澪: そんなんで学園祭どうするつもりだよ。
律: だ~から、メイド喫茶がいいって言ってんだろ。
唯: おばけ屋敷だよ~。
律: 唯、お前なんにも分かってない。澪を見てみろ。
澪: なッ何よ、急に。
律: 澪ほどメイド服姿が似合うヤツ、なかなかいないぞ~。黒のストッキング、純白のエプロン、そしてメイドカチューシャ! 萌え萌え~キュン! とか言ったりしてなあ。
唯: カワイイかも。
律: なんてな、冗談…
唯: りっちゃん隊員・・・

澪: 終わったら本当に練習するからな。
律: 分かってるって。
紬: うん。
律紬: せ~の!
唯: それじゃあ最後の曲、いっくぜ~! オー、イエー、オー、イエーイ! って、あれッ、もう終わり?
律: 予算がなあ。
紬: いつかまた。
律: そうだな。武道館公演で派手にバババババーンと。
唯: 武道館?
律: おいおい、目標はそこだって決めただろう。なッ?
唯: じゃあ、そのときはピンクがいい。
律: 小学生かよ?
唯: ええ? だってかわいくない?
律: ガキっぽいだろ。
紬: 私もピンクはちょっと。
唯: ええ、そうかなあ。
澪: 武道館目指すなら、まずこのくらいはできるようにならないとな。
律: へえ、うまいなあ。
唯: あれ? でもこの曲…
DD: お前らが来るのを待っていたーッ! 死ね~~~ッ!
唯: あ、これって・・・
紬: テープがB面にかわったのね。
律: 何だ。
澪: 聞こえない聞こえない…
律: フジツボ。ヒザの皿屋敷。
澪: イヤだ~! イヤ~! イヤだよ~!
紬: りっちゃん。
唯: やりすぎだよ。
律: ゴメン…悪かったなあ、澪。
唯: 澪ちゃん、大丈夫だから。
紬: おばけなんかじゃないわ。
澪: ホント?
律唯: きゅるるるりん。萌え萌えー、キュン。

律: ゴメンな、澪。
紬: 唯ちゃん、でも本当にさっきの曲。
唯: うん、見てて。え~と・・・
律: ウソ…
唯: はい、どう?
紬: すごい。完璧。
唯: でも「ミョーン」てところが分からなくて。
律: ミョーン?
澪: たぶんそれ、チョーキングのことじゃないか?
律: チョーキング?
澪: 違う。チョーキングっていうのは、音を出しながら弦を引っ張ること。そうすると…。ねッ?
唯: これで…こう?
澪: そうそう!
唯: これ、なんかヘン。
澪: ヘンて…
律: ツボだったみたいだな。
澪: フジツボ~!

唯: まさか露天風呂まであるとはねえ。
紬: 今日はホントに楽しかった。
澪: うん。ムギが言ってたとおり、そんなに心配することなかったのかもな。
律: だったらもっと遊べばよかったのに!
澪: 誰だ!
律: 私だ。
澪: 前髪なっげ~
律: 何だよ悪いか?
紬: でも意外とカワイイ。
律: ありがとう。て、意外とってどういうことかな?
紬: あ、ごめんなさい。つい・・・

唯: ええと…
澪: そこはこう?
唯: えッ分かるの? スゴーイ。
澪: で、あとは薬指だけパッと。
唯: あッ、そっか。
澪: だッ大丈夫か!?
唯: やっぱり音楽っていいね。今日みんなと初めて合わせてみて、楽しかったもん。
澪: 唯…
唯: 合宿しようって言ってくれた澪ちゃんのおかげだよ。ありがとう。
澪: そう?
律: 澪のヤツ、照れてるぞ~
澪: 違うッ。のぼせただけだ。
律: またまた~
澪: だから、違うっつってるだろう。
律: 澪が怒ったあ。
澪: この、待て! コラッ!
律: いやっ、怖え~
澪: 待て~!

律: ごめんく~ださ~い。
澪: はーい。ちょっと待って。合宿の写真できたんだって?
律: うん。はい。
澪: おー、へえー。うっ・・・!
律: よく撮れてるだろう? ちなみにムギのも・・・
澪: ネガを渡しなさい。
律: デジタルカメラだから、ネガは…

律: おい、澪。始めるぞ。
澪: うん? うん、ちょっと待って。

【予告】
和: うーん…やっぱりリストにはないわね。
唯: そんな。
律: もしかして。
唯: 先生ギターやってたんですか?
さわ子: ううん、昔友達がね。
律: この前、澪が見つけた段ボールに入ってたんだ。昔の軽音部の写真みたい。
唯: すごいね。さすが和ちゃんだよ。
和: 顧問は?
4: 顧問?