The Squid Girl (Japanese) > 10a. てるてる坊主じゃなイカ?
イカ娘「雨が降ってきたでゲソ」
栄子「ああ、台風が近づいてるらしい。逸れるといいんだが、無理っぽいなあ」
イカ娘「ええー」
たける「ええーっ! 宿題の絵、描きに行こうと思ってたのに」
栄子「ま、あきらめろ」
たける「やだー。せっかくやる気になってたのに。あ、そうだ!」
たける「これをこう丸めて」
イカ娘「たける、何をしてるでゲソ?」
たける「あ、これ? あ、そっか。イカ姉ちゃん知らないのも当然か」
イカ娘「んー?」
たける「晴れるように、てるてる坊主!」
イカ娘「首をくくっているのに、笑っているのが逆に怖いでゲソ」
たける「やなこと言わないでよ、イカ姉ちゃん」
栄子「おまじないの一種だよ」
イカ娘「おまじない? 意味あるのでゲソ?」
栄子「これを吊るしておくと、雨が降らなくなるんだよ」
イカ娘「はあ・・・」
たける「早く天気になりますように。あーあ、やることなくて困っちゃうよ」
千鶴「あら、別に雨降ってても宿題できるじゃない」
たける・イカ娘「あ?」
千鶴「別に風景じゃなくてもいいんでしょう?」
栄子「そうだぞ、たける。言い訳するな」
たける「ええーっ? あ、じゃあモデルになってくれる?」
千鶴・栄子「え?」
たける「人物を描くなら家族にしなきゃいけないんだよ。どっちにしようかな」
千鶴「あら、だったら私たちよりもっといいモデルがいるじゃない」
たける「え?」
イカ娘「なかなか難しいでゲソ・・・」
栄子(何を作っとるんだ、こいつは)
たける「だから家族でないと・・・」
千鶴「何言ってるのよ。もう家族みたいなものじゃない。ねえ、イカ娘ちゃん」
たける「じゃあ、イカ姉ちゃん、僕が描いてる間、動かないでね」
イカ娘「わ、わかったでゲソ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・たける」
たける「動かないで!」
イカ娘「うっ・・・」
たける「だめだーっ! 失敗!」
イカ娘「あああーっ!」
たける「ごめん、イカ姉ちゃん。もう一回お願い」
イカ娘「いやでゲソ! 何もせずにじっとしていられるわけないじゃなイカ! 今度は私がたけるを描く番でゲソ」
たける「ええ?」
イカ娘「じゃーん!」
たける「何それ? あっ、そうか。ウケ狙いか」
イカ娘「私はいつでも真面目でゲソ!」
千鶴「イカ娘ちゃん、触手を使って描くっていうのはできる?」
イカ娘「え? できないことはないでゲソ」
栄子「上手いな」
千鶴「何か次元の壁を超えてるわね」
たける「これを提出してもバレないかな」
栄子「家族でないと駄目なんだろ? 自分の肖像画を提出してどうする」
千鶴「イカ娘ちゃん、こんなに上手なんだから、私たちも描いてくれない?」
イカ娘「え? う、うう、うーん・・・たけるは単純な顔だからいいけど」
たける「ええっ!?」
イカ娘「二人は難しいでゲソ」
栄子「さらっと酷いこと言うなあ」
イカ娘「千鶴」
千鶴「・・・・・・」
イカ娘「栄子」
栄子「なぜそうなる!」
イカ娘「私の触手は繊細だから、イメージをそのまま表現してしまうのでゲソ」
栄子「私をどうイメージしたらこうなるんだ! たけるはこんなに普通なのに・・・」
イカ娘「たけるは特に特徴がないからでゲソ」
たける「ないっ!?」
栄子「なあ、じゃあ他のやつらはどうなるんだ?」
イカ娘「まだ描くのでゲソ? 悟郎はこうで・・・」
栄子「それは水泳帽だ」
イカ娘「渚はこう」
栄子「うおお、まぶしい」
イカ娘「早苗でゲソ」
栄子「『早苗・オブ・ザ・デッド』になってんじゃねえか!」
イカ娘「シンディーはこんなイメージじゃなイカ?」
栄子「ある意味、早苗と同類か。早苗が見たら泣くな」
千鶴「あの子ならむしろ喜びそうな気が」
栄子「ってか、たけるが絵、描かないと・・・」
たける「心が折れた・・・」
栄子「やれやれ。イカ娘、もっかいモデルやってやれ」
イカ娘「ええー? う、うーん、仕方ないでゲソ」
たける「うーん、できたんだけど、何かマンガチックになっちゃった」
栄子「いや、これでいいんだよ」
千鶴「ええ」
イカ娘「私はこんなシンプルな顔じゃないでゲソ!」
栄子「いや、この上なく忠実だよ。あ、そうだ。お前のイメージを自分で描いたらどうなるんだ?」
イカ娘「私のイメージでゲソか?」
栄子「やっぱりお前のイカセンスはわからんな」
イカ娘「芸術は理解されにくいもんでゲソ」
栄子「芸術って、あれもか? ただのゴミにしか見えん」
イカ娘「ああっ、極めて遺憾じゃなイカ!」
栄子「たける、ちゃんとしたてるてる坊主の作り方を教えてやれよ」
たける「ええ?」
たける「きゅっ、きゅ、と。こんなもんかな?」
栄子「おお、かわいいじゃないか。イカ娘、そっちはどう・・・」
栄子・たける「うぇっ!」(うわああ・・・)
イカ娘「糸で首を絞めていたら、感情移入してしまったでゲソ」
たける「とても天気にしてくれるとは思えないよ、それ」
イカ娘「ならば! 私自らがてるてる坊主になるでゲソ! で、てるてる坊主は何をすればいいのでゲソ?」
たける「ええっ? じゃあ、まず窓際に立って」
イカ娘「ああ・・・」
たける「それから笑顔!」
イカ娘「にこっ」
たける「で、あとは雨がやむまでじっとしてて」
イカ娘「わかったでゲソ」
イカ娘「まだ続けるのでゲソ?」
たける「イカ姉ちゃん、そろそろ寝る時間だよ」
イカ娘「あ、雨は?」
たける「うん、さらにひどくなってる・・・」
イカ娘「うあっ! ううう、がんばってじっとしてたのに・・・。やっぱり首をくくるところまでやらなきゃ駄目だったでゲ・・・」
たける「もういいよ、イカ姉ちゃん!」
イカ娘「ううう、しかし・・・」
たける「気にしないで、イカ姉ちゃん。てるてる坊主なんて所詮はただのおまじないなんだから」
イカ娘(たける・・・、このままではたけるがすさんだ子供になってしまうでゲソ。子供はもっと夢を持たなきゃいかんでゲソ!)「大丈夫でゲソ、たける!」
たける「ええっ?」
イカ娘「てるてる坊主はちゃんとたけるのことを見守っててくれるでゲソ!」
たける「あ・・・、うん」
たける「ううん・・・。駄目だ。うるさくて眠れやしない。え? 何だこれ・・・? ぎゃあああああああああああああっ!!!」
千鶴「で、外は晴れたけど、局地的に雨が降っちゃったのね?」
イカ娘「ほーら、私の言ったとおりじゃなイカ」
栄子「余計なことしかしてねえだろ!」
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栄子「ああ、台風が近づいてるらしい。逸れるといいんだが、無理っぽいなあ」
イカ娘「ええー」
たける「ええーっ! 宿題の絵、描きに行こうと思ってたのに」
栄子「ま、あきらめろ」
たける「やだー。せっかくやる気になってたのに。あ、そうだ!」
たける「これをこう丸めて」
イカ娘「たける、何をしてるでゲソ?」
たける「あ、これ? あ、そっか。イカ姉ちゃん知らないのも当然か」
イカ娘「んー?」
たける「晴れるように、てるてる坊主!」
イカ娘「首をくくっているのに、笑っているのが逆に怖いでゲソ」
たける「やなこと言わないでよ、イカ姉ちゃん」
栄子「おまじないの一種だよ」
イカ娘「おまじない? 意味あるのでゲソ?」
栄子「これを吊るしておくと、雨が降らなくなるんだよ」
イカ娘「はあ・・・」
たける「早く天気になりますように。あーあ、やることなくて困っちゃうよ」
千鶴「あら、別に雨降ってても宿題できるじゃない」
たける・イカ娘「あ?」
千鶴「別に風景じゃなくてもいいんでしょう?」
栄子「そうだぞ、たける。言い訳するな」
たける「ええーっ? あ、じゃあモデルになってくれる?」
千鶴・栄子「え?」
たける「人物を描くなら家族にしなきゃいけないんだよ。どっちにしようかな」
千鶴「あら、だったら私たちよりもっといいモデルがいるじゃない」
たける「え?」
イカ娘「なかなか難しいでゲソ・・・」
栄子(何を作っとるんだ、こいつは)
たける「だから家族でないと・・・」
千鶴「何言ってるのよ。もう家族みたいなものじゃない。ねえ、イカ娘ちゃん」
たける「じゃあ、イカ姉ちゃん、僕が描いてる間、動かないでね」
イカ娘「わ、わかったでゲソ。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・たける」
たける「動かないで!」
イカ娘「うっ・・・」
たける「だめだーっ! 失敗!」
イカ娘「あああーっ!」
たける「ごめん、イカ姉ちゃん。もう一回お願い」
イカ娘「いやでゲソ! 何もせずにじっとしていられるわけないじゃなイカ! 今度は私がたけるを描く番でゲソ」
たける「ええ?」
イカ娘「じゃーん!」
たける「何それ? あっ、そうか。ウケ狙いか」
イカ娘「私はいつでも真面目でゲソ!」
千鶴「イカ娘ちゃん、触手を使って描くっていうのはできる?」
イカ娘「え? できないことはないでゲソ」
栄子「上手いな」
千鶴「何か次元の壁を超えてるわね」
たける「これを提出してもバレないかな」
栄子「家族でないと駄目なんだろ? 自分の肖像画を提出してどうする」
千鶴「イカ娘ちゃん、こんなに上手なんだから、私たちも描いてくれない?」
イカ娘「え? う、うう、うーん・・・たけるは単純な顔だからいいけど」
たける「ええっ!?」
イカ娘「二人は難しいでゲソ」
栄子「さらっと酷いこと言うなあ」
イカ娘「千鶴」
千鶴「・・・・・・」
イカ娘「栄子」
栄子「なぜそうなる!」
イカ娘「私の触手は繊細だから、イメージをそのまま表現してしまうのでゲソ」
栄子「私をどうイメージしたらこうなるんだ! たけるはこんなに普通なのに・・・」
イカ娘「たけるは特に特徴がないからでゲソ」
たける「ないっ!?」
栄子「なあ、じゃあ他のやつらはどうなるんだ?」
イカ娘「まだ描くのでゲソ? 悟郎はこうで・・・」
栄子「それは水泳帽だ」
イカ娘「渚はこう」
栄子「うおお、まぶしい」
イカ娘「早苗でゲソ」
栄子「『早苗・オブ・ザ・デッド』になってんじゃねえか!」
イカ娘「シンディーはこんなイメージじゃなイカ?」
栄子「ある意味、早苗と同類か。早苗が見たら泣くな」
千鶴「あの子ならむしろ喜びそうな気が」
栄子「ってか、たけるが絵、描かないと・・・」
たける「心が折れた・・・」
栄子「やれやれ。イカ娘、もっかいモデルやってやれ」
イカ娘「ええー? う、うーん、仕方ないでゲソ」
たける「うーん、できたんだけど、何かマンガチックになっちゃった」
栄子「いや、これでいいんだよ」
千鶴「ええ」
イカ娘「私はこんなシンプルな顔じゃないでゲソ!」
栄子「いや、この上なく忠実だよ。あ、そうだ。お前のイメージを自分で描いたらどうなるんだ?」
イカ娘「私のイメージでゲソか?」
栄子「やっぱりお前のイカセンスはわからんな」
イカ娘「芸術は理解されにくいもんでゲソ」
栄子「芸術って、あれもか? ただのゴミにしか見えん」
イカ娘「ああっ、極めて遺憾じゃなイカ!」
栄子「たける、ちゃんとしたてるてる坊主の作り方を教えてやれよ」
たける「ええ?」
たける「きゅっ、きゅ、と。こんなもんかな?」
栄子「おお、かわいいじゃないか。イカ娘、そっちはどう・・・」
栄子・たける「うぇっ!」(うわああ・・・)
イカ娘「糸で首を絞めていたら、感情移入してしまったでゲソ」
たける「とても天気にしてくれるとは思えないよ、それ」
イカ娘「ならば! 私自らがてるてる坊主になるでゲソ! で、てるてる坊主は何をすればいいのでゲソ?」
たける「ええっ? じゃあ、まず窓際に立って」
イカ娘「ああ・・・」
たける「それから笑顔!」
イカ娘「にこっ」
たける「で、あとは雨がやむまでじっとしてて」
イカ娘「わかったでゲソ」
イカ娘「まだ続けるのでゲソ?」
たける「イカ姉ちゃん、そろそろ寝る時間だよ」
イカ娘「あ、雨は?」
たける「うん、さらにひどくなってる・・・」
イカ娘「うあっ! ううう、がんばってじっとしてたのに・・・。やっぱり首をくくるところまでやらなきゃ駄目だったでゲ・・・」
たける「もういいよ、イカ姉ちゃん!」
イカ娘「ううう、しかし・・・」
たける「気にしないで、イカ姉ちゃん。てるてる坊主なんて所詮はただのおまじないなんだから」
イカ娘(たける・・・、このままではたけるがすさんだ子供になってしまうでゲソ。子供はもっと夢を持たなきゃいかんでゲソ!)「大丈夫でゲソ、たける!」
たける「ええっ?」
イカ娘「てるてる坊主はちゃんとたけるのことを見守っててくれるでゲソ!」
たける「あ・・・、うん」
たける「ううん・・・。駄目だ。うるさくて眠れやしない。え? 何だこれ・・・? ぎゃあああああああああああああっ!!!」
千鶴「で、外は晴れたけど、局地的に雨が降っちゃったのね?」
イカ娘「ほーら、私の言ったとおりじゃなイカ」
栄子「余計なことしかしてねえだろ!」