K-ON! (Japanese) > 01. 廃部!

憂: 
おねえちゃ~ん、そろそろ起きないと… おねえちゃ…

唯: 
は、8時!? 遅刻、遅刻!!

憂: 
何で急ぐの?

唯: 
[ちこく~! /いっふぇきまーす!]
おばさん: あら、ゆいちゃん。

唯: 
おはよう!

唯: 
あれ? 見間違えたー!

唯: 
今日から…高校生!

OP

上級生: 入学おめでとうございまーす!/是非テニス部へ!/是非柔道部へ!/是非茶道部へ!/是非珠算部へ!/是非の是非!

和: 
何唸ってるのよ、ゆい。

唯: 
あーのどかちゃーん、実はどの部活に入ろうか迷って…

和: 
えー!まだ決めてなかったの!? もう学校始まってから二週間もたってるよ!?

唯: 
あ、でもでも、私運動音痴だし、文科系のクラブもよくわかんないし…

和: 
はああ、こうやってニートが出来上がっていくのねー。

唯: 
はっ! 部活やってないだけでニート!?

和: 
振り返ってみると、ゆいって今まで何の部活もやってこなかったもんねー。

唯: 
ぐさっ!
何かしなくちゃいけないような気がするんだけど、一体何をすればいいんだろう?

律: 
みおーっ!

澪: 
りつ?

律: 
クラブ見学行こうぜー

澪: 
クラブ見学?

律: 
軽音部だよ、軽音部!

澪: 
でも、私文芸部に入るつもりだし…

律: 
えっ!?

澪: 
入部希望の紙も書いたし…

律: 
びり。

澪: あああああああ! 何すんだよおお、りつうう!

律: 
ほーら、行くぞ。早く早くう!

澪: 
ちょっとおお!

律: 
えっ!? 廃部した?

さわ子: 
正確には廃部寸前ね。昨年度までいた部員はみんな卒業しちゃって。今月中に四人(よにん)入部しないと、廃部になっちゃうの。

律: 
ああ、だから誰もいなかったんだ音楽室。

唯: 
せんせーー

さわ子: 
はい、今行くわね。ゴメンネ、次音楽の授業あるから。頑張ってね…軽音部。

澪: 
奇麗な先生だったなー。

律: 
そういう問題じゃねえ。

さわ子: 
このプリントをみんなに配っておいてね。プリントを…

唯: 
ほ、ほい、失礼いたしやした。へへ、へへへ・・・
にらまれた!

律: 
テンポ悪… 使えない子…

唯: 
す…すいませーん。

さわ子: 
大丈夫?

律: 
ドジっ子…

澪: 
廃部なら仕方ないな。私は文芸部に…

律: 
誰もいないってことは、今入部すれば私が部長? へへー、悪くないわねーん。

唯: 
あのー、さっき話してた軽音部って?

さわ子: 
軽音部?

唯: 
って何ですか?

さわ子: 
軽い音楽と書いて軽音よ。

唯: 
軽い…音楽…

さわ子: 
そ、軽い音楽。

澪: 
で、どうするの?

律: 
入部希望者を待つ!!

澪: 
待つの?

律: 
待つ!! フン!!

澪: 
帰ろっか…

紬: 
あのー、見学したいんですけどお。

律: 
おおおおおお!! 軽音部の!?

紬: 
いえ、合唱部の。

律: 
軽音部に入りませんか!?

紬: 
あの、合唱部に…

律: 
今部員が少なくて! お願いします! 後悔はさせません! あいて!

澪: 
そんな強引な勧誘したら迷惑だろお!! じゃあ、あたしもう行くから。

律: 
みお! あのときの約束は、嘘だったのか!? あたしがドラムで…みおがベースで…ずっと…ずっと…一緒にバンド組もうねって…約束…してたじゃない! 二人でライヴに行った…あの日…

澪: 
これだ…

律: 
これ…だよね…

律: 
あの時の言葉は嘘だったのかー!!

澪: 
その回想が嘘だ。

律: 
ありっ? そうだっけ?

律: 
これだよこれ!! バンドやろうよ!バンド!! うふう!!あはは!!

澪: 
ってりつが強引に…

律: 
みおもやるって言ったじゃん。

澪: 
そうだけど…

律: 
それでプロになったらギャラは7:3(ななさん)ね…って!

澪: 
捏造すんな!

紬: 
何だか楽しそうですね。キーボードくらいしか出来ませんけど、私でよければ入部させて下さい。

律: 
はああああ! ありがとう! これであと一人入部すればあ!!っはー!!

澪: 
あたしももう人数に入ってるのね…

律: 
ええ・・と~

紬: 
琴吹紬です。

律: 
ドラムの田井中律。こっちはベースの秋山澪。うーーあとはーー、ギターだな!

和: 
ゆい?

唯: 
せっかく高校に入ったんだもん。何(なん)かしたいよねー。

和: 
うん。すれば?

唯: 
でも、何したらいいかわっかんないんだよおお!!

和: 
はあ、やれやれ。

店員: 
ご一緒にポテトもいかがですか?

紬: 
はい、お願いいたします。

店員: 
ありがとうございます。

紬: 
うふふふふふ…

律: 
どしたー?

紬: 
わたし、ファーストフードのお店、初めてで…

律: 
そうなの!?

紬: 
ご一緒にポテトもいかがですかって言われるの憧れてたんです! あ、すみません。始めて下さい。

律: 
お~、よし、作戦会議開始! 今月中に部員をあと一人獲得するために!

紬: 
一体、何を…

律: 
それをこれから考えるのさー。今入部したら、何かすんごい特典もらえるとかー。

紬: 
特典?

律: 
そ。何かもらえるとか。

紬: 
車とか別荘とかですか?

澪: 
凄いけど…無理。

律: 
アイス奢るとか、宿題手伝うとか。

澪: 
そんなことで入部するとは…

紬: 
じゃあ、どうしたら…

律: 
ぬるり~ん。

澪: 
自分が飽きてどうする!

律: 
じゃあ、ナンカカンガエテヨー

澪: 
はぁ、も、帰りたい。

紬: 
あのー、とりあえず…

律・紬: 
せーのっ!

律: 
もう…四月もあと…一週間…

紬: 
誰も来てくれませんね…

澪: 
バンドも組めずに廃部か…

律: 
それはゼッタイイヤーーー!!

唯: 
軽音楽か…

唯: 
うんたんたんうんたんうんたんうんたん

先生: 
唯ちゃん上手ねー。

唯: 
よし!

唯: 
とりあえず、軽音楽部ってところに入ってみました!

和: 
へー、で、どんなことするの?

唯: 
さあ?

和: 
ええ?

唯: 
でも、軽い音楽って書くから、きっと簡単なことしかやらないよー。口笛とか。

和: 
なに、そのやる気の無いクラブ…

和: 
ほら、何かバンドとかするみたいだよ。

唯: 
ええ? 私ギターなんて弾けないよ。

和: 
んー、じゃあ何(なん)なら弾けるの?

唯: 
カ、カスタネット…

唯: 
うんたんうんたんうんたん

和: 
凄く似合うわ…

律: 
ほら、これがさ、

xxx

さわ子: 
こんにちはー。

3: 
あ。こんにちは

さわ子: 
入部希望者がいたわよ。はい。良かったわね。それと、素敵なティーセットだけど飲み終わったらちゃんと片付けてね。

3: 
は~い。

律: 
うっしゃあああ! 廃部がなくなるウウ

澪: 
平沢唯。

律: 
何か名前から凄そうだぞ…

澪: 
やっぱ、ギターだよなあ?

紬: 
楽しみですねえ?

律: 
すっごーーい! 強力なメンバー加入う!

唯: 
けいおんぶ…けいおんぶぅ?? ここを抜けないと軽音部に辿り着けない!

さわ子: 
あらー。

さわ子: 
軽音楽部なら音楽室よ。

唯: 
ここかあ…。入ったばっかで言いにくいけど、やっぱり止めるって言おう。あ、でも、軽音部ってどんな人がいるのかな…

ク●ウザーさん: 
ああ? 止めたいだとぉ? キサマ、タダで止められるとか思ってんのか? 殺害するぞ!?

唯: 
どうしよおおお
はううひいいいいいいい! ののののちがいますちがいますちがちがちが!

律: 
あっ、テンポ悪くて使えないドジっ子!
何やってんの?

唯: 
は! びっくりしたあ。

律: 
も、もしかして、あなたがひらさわゆいさん?

唯: 
は、はい。

律: 
入部希望の!?

唯: 
は、はい?

律: 
あっはああああああ! いろいろ誤解してて御免! ギターがスッゴクうまいんだよね!? 来てくれるの待ってたよー! おほおおうう!

唯: 
なんか、あらぬ尾ひれがついてるよ。

律: 
みんなー!
入部希望者がきたぞおお!

澪: 
本当か!

紬: 
わああ

澪: 
ようこそ!軽音部へ!

紬: 
歓迎いたしますわ!

律: 
よーしむぎ、お茶の準備ダ!

紬: 
はい~!

唯: 
どおしよおおお…

紬: 
どうぞ、召し上がって。

唯: 
おいしい…! おいしい…!
止めるの…止めようかなあ?

律: 
ひらさわさんはどんな音楽やりたいの?

唯: 
うえ?

律: 
どんなバンドが好きか?

唯: 
え?

律: 
好きなギタリストは?

唯: 
えーっと…
やっぱ、言わなきゃ。実はギターなんて引けないって…
じじじじじじ・・・

澪: 
ジミ・ヘンドリックス?

律: 
おおおお!

唯: 
いえええ…じじじ

澪: 
ジミー・ペイジ?

律: 
おおおお!

唯: 
じじじじ

澪: 
ジェフ・ベック?

唯: 
ギタリストってじで始まる人多いの!?

律: 
そっかああ! ジェフ・ベックかああ!

紬: 
どなたあ?

澪: 
ロックギタリストには二種類しかいない。ジェフ・ベックとジェフ・ベック以外だって言われている、常に新しいサウンドを追求する挑戦的なギタリスト!

紬: 
まあ~

律: 
さっすがあ! 渋いね~ひらさわさん!

唯: 
あはあはははは…

律: 
ひらさわさんみたいな人が入ってくれてよかったなー!

紬: 
一週間以内にあと一人集まらなかったら、廃部になるところだったんです…

律: 
ほんっとにありがとう!

唯: 
益々言いづらいよ。でも…ちゃんと言わなきゃ…
あの! あの、申し訳ないんですけど、実は入部するの止めさせてくださいっていいにきたんです!

律: 
ふえ?

唯: 
ギターは引けないし、もっと違う楽器をやるんだと思って…

紬: 
じゃあ、何ならできるの?

唯: 
カスタ・・・ハ・ハーモニカ!

律: 
あ!ハーモニカならあるよー。吹いてみて!

唯: 
ゴメンなさい!吹けません!

澪: 
でも、うちの部に入ろうって思ったって事は、音楽には興味あるってことよね?

紬: 
他に入りたい部とかあるの~?

唯: 
う、ううん。特には…

律: 
せっかくのカモをここで手放すわけにはいかないぜ!

澪: 
廃部を免れるために!

紬: 
何とか引き止めないと!

唯: 
本当にゴメンなさい!じゃ!

律: 
あああ、ちょっと待って!

紬: 
もう一杯お茶いかがあ?

唯: 
んでもお。

紬: 
クッキーとマドレーヌもあるの!

唯: 
うん!

澪: 
餌付けだ…

唯: 
おいしい~。す、すみません。こんなにご馳走になるつもりじゃ…

律: 
いいのいいの!

紬: 
毎日こうやって一緒にお菓子を食べましょう!

澪: 
何か趣旨が違って来て…

律: 
ひらさわさん、他にはどんなものが好き?

唯: 
おいしいものなら何でも…

律: 
食べ物かよ…
家(うち)では休みの日とか何して過ごしてんの?

唯: 
ごろごろ…かな?

紬: 
好きなものとかある?

唯: 
かわいいものが好き…かな?

澪: 
苦手なものは…

唯: 
暑いのも寒いのも苦手なんだー。冬は火燵に篭りっきりだしい、夏は床の上を転がってばっかりいるのー。

澪: 
手ごわい!

律: 
一体どうすれば…

紬: 
わかりません…

唯: 
あのーじゃあ…

律: 
イカナイデ!オネガイ! ごろごろしてるだけでいいから!!

紬: 
もっとおいしいお菓子持って来ますから!

唯: 
ゴメンなさい、軽い気持ちで入部するなんて書いたから…期待させるだけさせて…何て謝ったらいいかああああふーんうううふーん

紬: 
私達こそゴメンなさい。

澪: 
無理に引き止めて悪かったな。

律: 
じゃあ、せめてあたしたちの演奏だけでも聴いていって!

唯: 
ううえっ!? 演奏してくれるのお!?

律: 
うっ!? 食いついてきた

律: 
どうだった?

唯: 
なんていうか…すごく言葉にしにくいんだけど…

律: 
うん!

唯: 
あんまりうまくないですね!

律: 
バッサリダー!

唯: 
でも、何だかすっごく楽しそうでしたあ! 私、この部に入部します!

律: 
バンザーイ!!

律: 
ふふーんふふーん、ちょっとしつれーい。じゃあ、軽音部活動開始記念に!

澪: 
ああ、私のカメラ…

律: 
いっくよおおおおん!

唯: 
あっ、でも私全然楽器できないし、あっ、マネージャーとかどうかなあ?

律: 
いやあ、運動部じゃあないんだし。

紬: 
そうだ、この機会にギターを始めてみたらどうかしら?

唯: 
でっでも、すごく難しそうな…

律: 
大丈夫だよおお! 私達も、分かるところは教えてあげるし!

唯: 
あぉ… そうだね! さっきの演奏聴いてたら、私にもできるかもって思えてきた!

律: 
ソレハヨカッタ。


和: 
ええ!? 結局入部したんだ?

唯: 
うーん! どうしてもって言われてえ。

和: 
本気(まじ)でえ!? ああ、マネージャーとしてとかね!

唯: 
う、人に言われると何かくやしい・・・。ちゃんとメンバーとして入ったんだから! ギター、一から教えてくれるってえ!

和: 
へえ…。あっ、ということは新しくギター買ったりするんだあ?

唯: 
ほぅ~ん、貸してくれないのかなぁ?

和: 
くれないんじゃない?

唯: 
五千円くらいで買えるよねー?

和: 
こんな子 掴(つか) まされて大丈夫かしら…軽音部!

【予告】

唯: 
こんにちはー
この3人が軽音部の仲間です。

紬: 
めったに出会えない、とっても楽しくて愉快な人たちの仲間になりたかったの。

澪: 
ゆ、ゆい・・・?

律: 
うっしゃーっ! やるぞー! おー!

唯: 
あ。あ、みんなー! へへへ・・・あいてっ!

唯: 
高校生になったわたしは初めて・・・部活を始めました!