「魔法……?」
「いえいえ、ほんのジョークです。我が社のネットワークと、
「
バニラアイスと
「マジカル・オーバーライト!」
万牛ビルの屋上で、魔法少女ピクシィミサが、ステッキを頭の上で振り回していた。
一見、美しく見えるその光は、魔法少女によって、悪の……いや、標準世界の手先と化したのだ。
秋葉原中に放射された光は、パソコンを売っている
ビフの日本標準化計画は
これが魔法の力である!
ビフは美しい光に目を細める。
あの紫色の光が、自分のOSを入れていることを、自分のネットワークをより
さすがだ。さすがは魔法少女だ!
我が社が何カ月も前から準備して
わかる。この町の情報が世界へ
わかるぞ。我がスタンダードの数多く存在する支社が、その情報を手に入れ、さらなる力を手に入れているのが!
でも、秋葉原だけでは
私が求める標準世界を作り出すためには……。
ビフは
「サム、月は出ているか?」
「……は?」
「月は出ているか、と聞いている?」
サムが空を見上げると、雲の谷間から美しい
「は、はい。出ております」
「ならば、月が私に力を与えてくれる。
日本を。
日本にある全てのコンピュータに私のソフトを入れることができるのだ!
その4
「どう、
「まだ……」
「んもう、
「うっせーな、ほっとけよ」
なんて会話が続いているここは、
そこには、砂沙美の家でアルバイトをしている美星と清音も住んでいるが、天地が通っている雷凰学園高等部の
鷲羽先生は、わずか一〇歳でマサチューセッツ工科大学を
そんでもって。
何台ものコンピュータと、何がなんだかわからないようなメカの数々と、
彼女は期末テストの成績が
「なあ、鷲羽よぉ」
「先生」
「ったく。なあ、鷲羽先生、そろそろやめにしねーか?」
「何言ってんの。始めてから一五分も
魎呼は、ちゃぶ台の上で
「やめた、やめた。夏休みになってまで、なんで勉強しなきゃなんねーんだよ」
「そんなにやりたくなけりゃ、やめたっていいわよ。あたしだって好きでやってるわけじゃないし。研究の
お手製のラップトップ・パソコン『POWER HEARTⅡ』で、魔法少女とその能力についてのデータをまとめていた鷲羽先生は、振り向きもせずにそんなことを言う。
「わかったよ。やるよ。やりゃいーんだろ!」
と、魎呼が
ピピピピピ……。
「なんだよ、鷲羽……?」
「ちょっと
「…………これは」
コンピュータ・ウイルス!
ネットワークの中から流れてきてる?
ふふん、おバカちゃんね!
鷲羽先生は、
新種のウイルスみたいね……。
鷲羽先生は、
そうしないと、
……OSを書き
しかも、アメリカで出てる『シンクロニシティ』に書き換えようとしている!?
「ふふん。誰かちゃんがおいたしてるみたいね」
状況を
チラリと見ただけだが、天才鷲羽先生にしてみれば、
時間にして約一〇秒
「さーて、じっくり解析を始めましょうかね」
鷲羽は、メモリーの
……が。
なんとそのウイルスのプログラムコードが、瞬間的に消えてしまった。
そう、このウイルスは、一定時間か、書き換えが終了した時点で、自らを
「へえ、なかなか。やってくれるじゃない」
メインスイッチを入れると、
そんな鷲羽先生の行動に「あたちみっちゅでちゅ」状態なのは魎呼である。
「あのぅ、鷲羽先生? 何してるんですか?」
「いいから、そこにあるテスト
「なんか
「ダメ。ブレーカーが落ちちゃうから。黙ってテストやってなさい」
「わかったよ」
天地は、今、何してんだろ?
魎呼のいる場所からは見えない、商店街に面したCD─VISIONのシャッターには、『
なぜかというと。
河合家の
「カラオケ……、あたしの、
ソファベッドに横たわり、ちひろママはうわ言のように、ブツブツ
砂沙美は、台所で作った
「しっかりして、ママ」
「カラオケ……カラオケ……」
ちひろママの目は
「ママ、大丈夫かなぁ?」
「とりあえず、
「そうね。別に病気ってわけじゃないし、医者に連れて行ってもどうしようもないと思うし……」
天地と清音が答える。
まあなぁ、ママはカラオケが歌いたいだけだもんなぁ。
と、そこへ。
「あった。ありましたぁ!」
店の奥にある倉庫から、
「あったって、何が?」
「カラオケです。カラオケ!」
ちひろママは、美星の言葉を聞いて
「カラオケ、どこ? 見せて、
「はい、店長。よーやく見つけました。8トラのカラオケです!」
美星が持って来たのは、
ちひろママは、一五秒くらいカセットをじーっと見て、
「こんなのいやぁっ!!」
美星の手から8トラを
そして、
「あーん、せっかく探してきたのにぃ」
「美星、そんなもんかける
「だってぇ……」
清音に岡山弁で
がんばったのに。清音のおこりんぼ。
「天地兄ちゃん、とにかく、ママにカラオケを買ってあげればいいんだよね。そしたら、元気になるよね」
「ああ、そうだけど……」
砂沙美の意見に天地は
「どうしたの?」
「実は……お金がないんだ……」
「店長がパソコン買うのに持ってっちゃったから、レジには二万円くらいしか残ってないのよ。今日のお店の売上げ……あんまり、よくなかったし」
天地の
「ほら、銀行でお金を降ろす……そう、キャッシュカードは?」
「そんな危ないもの、母さんの
砂沙美のナイスアイデアがするりと
「じゃあ、じゃあ。近所からカラオケ借りてこようよ」
「あ、それいい。あたし、商店街事務所に行って……」
今度のアイデアはグーだ。
砂沙美の意見に清音も
「ま、待って」
「どうしたの、ママ?」
呼び止めたちひろママの
「……ふ、普通のカラオケちゃんじゃイヤ。パソコンちゃんでカラオケしたいの」
「そんなこと言われてもお!」
「はうっ!」
その
「はう、はう、はうっ!!」
ママの身体は
「どうしたの、ママ。ママッ!」
「
ちひろの症状を見て、天地が呟いた。
そう、砂沙美が林間学校へ行ってた時も、カラオケが鳴らなくなったから、ちひろママは禁断症状に
と、考えると。
このまま放っておけば……。
「え~っ、また、お家がメチャクチャになっちゃうよぉ!」
全てを理解した砂沙美が、大声を上げた。
そんな。せっかく、片づけたのにぃ!
「はう、はう、はうっ!」
のたうち回っているちひろママが、息も
「天地ちゃん、砂沙美ちゃん、パソコンちゃんを動かして、お願い。お店の売上げ、好きなだけ使ってもいいから。……はうはうっ!」
とっても我がままなお願いを、ママはしてくれた。
しかし。
それがちひろママなのだから、しょうがない。
しょうがないのだ!
その5
岡山に住む、後藤敏郎は、地元の工業高校に通うごく普通の高校生だ。
もとい。今日は、岡山駅のパソコンショップで、新作パソコンゲームソフト『秀吉の野望~戦国スーパースター列伝~』を買って、ごきげんになってるごく普通の高校生だった。
家に帰って、
……が。
「なんだぁ、OSが違ってるぞ!?」
敏郎のパソコンは、WSのロゴが表示され、シンクロニシティが立ち上がってしまった。
父さんか誰かが、インストールしたのか?
とにかく、シンクロニシティでは、
しかも、ハードディスク中の八九%も、このOSは
「ったく!」
使い
だが、どんな方法を取っても、シンクロニシティを
「何が、どーなってるんだよ!?」
こうして、敏郎のパソコンは、世界標準のパソコンに生まれ変わった。
徳島に住む、
もとい。今日は、
会社のパソコンに、
その時。
「…………
データどころか、パソコン本体の電源すらも落ちている。
「あーもう、入力、ほとんど終わってたのにっ!」
イライラした晴美は、パソコンをコツンと叩いた。
すると、再び
「……何、これ? なんか、ヘンなのが立ち上がっちゃった!?」
こうして、晴美の会社のパソコンは、世界標準のパソコンに生まれ変わった。
青森に住む、木村敬二は、親とリンゴ園を経営しているごく普通の農家の
もとい。今日は、アメリカから
ディスプレイに映し出されたシンクロニシティ英語版と、英和辞書を
「え~っと、この単語は……」
なんて、マウスを
なんの
マウスを動かしてもカーソルが動かないし、キーをカチャカチャ叩いても
「
敬二は、CTOL、ALT、DELのキーを同時に押して、OSを再起動させる。
が。再び表示されたWSのOSは……。
「……日本語版に……なってる……?」
こうして、敬二の家のパソコンは、日本人向きの
なんか、彼はラッキーくんだ。
とまあ、そんな
そして。
事件のあった場所では、
魔法少女は
たまにステッキで魔法の物質をほいほいと
「ミサ、後は北海道だけだね!」
「オーライ。とっとと片づけて、お姉様のところにアイル・ビー・バック!」
肩に止まっている
魔法少女ピクシィミサは、人々のパソコンに新しい標準的なOSをプレゼントするサンタ・ウーマンであり、
日本標準化計画は、
『魔法少女プリティサミー 秋葉原闘争編(上)』おわり