Part 01: 魅音(白装束): ……で、葛西さん。詩音の学園での動きは、今のところどうですか? …………。 魅音(白装束): ふむ……現状は変わった様子もなく、とりあえず大人しくしている……と。それなら、まぁ一安心ですね。 魅音(白装束): ただ……くれぐれも、油断はしないでください。あと、たとえあの子から何を言われたとしても絶対に手を貸したりしないように。 魅音(白装束): 葛西さんが、詩音の園崎家での境遇について同情しているということも重々承知の上で……次期頭首として、厳命させてもらいます。 魅音(白装束): 詩音を、#p雛見沢#sひなみざわ#rに戻さないでください。理由は詳しく話すことができませんが、あの子のためにも……どうか、お願いします。 定時連絡の電話を切り……受話器を戻してからも私はしばらくその場に留まって、大きく息をつく。 頭首としての威厳をことさらに出して振る舞うのは、本当に疲れる。道理に合わない厳命を強いていると自覚があるから、なおのことだ。 葛西さんは、園崎家の忠実な幹部として粛々と応じてはくれているが……内心での困惑が会話内での沈黙の多さから伝わってくる。 魅音(白装束): (たぶん、なんで詩音に対してそこまで厳しくするのか、なんて疑念とかも少しは持っているんだろうな……でも……) 詩音の帰還だけは、断固として阻止してみせる。少なくともあの子の意図と目的が、どこにあるのかを本人の口から聞いて確かめるまでは……! あの「世界」で、#p綿流#sわたなが#rしが行われた夜……梨花ちゃんの「代役」として巫女役を担った古手絢花が奉納演舞を終えた、その直後――。 園崎魅音(詩音): 『さて……お集りの皆さん。いよいよここからが、本当の儀式の始まりです』 園崎魅音(詩音): 『この雛見沢の守り神、オヤシロさまの供物となる「ハラワタ」を捧げる≪綿流し≫』 園崎魅音(詩音): 『……長らく続いたダム戦争を終結させて!傲慢に思い上がった国のお偉方から我々の故郷を取り戻す……!』 園崎魅音(詩音): 『ここからが、本当の祭りの始まりだ!!!』 村人たち: 『オァアアァァァァァアアアアァアァアアアア!!!』 それまで、私と入れ替わって「魅音」を演じていた詩音が、突然壇上へと上がり……。 殺意と凶気に満ちた宣言を下した瞬間、村人たちは文字通りに「狂い」……暴れ出したのだ。 いったいどうして、あんな事態が引き起こされたのか。さらに詩音は、何を思って彼らを扇動したのか……? 何もかもがわからないまま、私は命を落として……その後移動した別の「世界」で、意識を取り戻した。そして……。 魅音(白装束): (幸か不幸か……色々と違いはあったけど、この「世界」には梨花ちゃんが「い」た) 前の「世界」との違いは……まず悟史は『#p祟#sたた#rり』に遭って行方不明ではなく、両親と暮らしていた。もちろん沙都子も一緒だ。 それに加えて、梨花ちゃんの両親も健在。……つまり、『オヤシロさまの祟り』と称された4年に渡る連続殺人事件は起きていなかったのだ。 魅音(白装束): (沙都子や梨花ちゃんにとっては、とりあえず幸せな環境だと言えるのかもしれない。ある意味で、前よりもマシな「世界」だろう) 魅音(白装束): (レナの現状を除けば……だけど) 私の親友……竜宮レナ。彼女は両親が離婚し、父親が結婚詐欺によって大金を奪われるという憂き目に遭って……。 さらにその相手と共謀した男を自らの手で殺害した後という、まさに悪夢にも等しい悲惨な状況に陥っていた。 また、最悪なことにレナは私と同様に前の「世界」から飛ばされてきたため……。 自身がどうしてそんな凶行に踏み切ったのか、手を血に染めた自身の姿を目の当たりにしても全く理解できていなかったのだという。 魅音(白装束): 残酷な話だよね……。前の「世界」では幸せな生活を送っていたってのに、真逆の立場に追いやられたんだからさ……。 泣きじゃくり、パニックを起こしながら駆け込んできて、その告白を聞いた時は……私もさすがに呆然となってしまったほどだ。 とはいえ、だからといって親友の窮地を見捨てることなどできるわけがないし……最初っからするつもりもない。 私はすぐさま、警察の捜査の手が伸びる前に園崎家の信用のおける何人かに声をかけ……秘密裏に「証拠」を消した。 魅音(白装束): (……もちろん、わかっている。私の下した決断は間違いなく犯罪であり、人として許されざる非道な行為だ) ……でも、それがどうした?あの子の窮状を救えなくて、何のための親友か。そして、何のための権力だというのか……ッ? 魅音(白装束): 母さんも婆っちゃも、何も言ってこないけどおそらくは気づいているよね……けど……。 もう、誰も見捨てたりはしない。なぜなら、この「世界」では平穏な生活を送っているが……私は悟史のことを見殺しにしたことがある。 その時の後悔と絶望の深さを思えば、これから巡ってくるであろう数々の苦難など大して辛いとも感じなかった……。 詩音(魅音変装): 『あんたなら、悟史くんのことを救えたはずなのに……!!』 そう、「過去」の詩音から詰られた記憶が……いまだに私の脳裏では、深い傷跡のように残り続けている。 もはや、言い訳などしない。あれは私に力、そして覚悟がなかったための大失態で……人生でも最大級の汚点だ。 絶対に、二度と繰り返さない。そのために私は今の地位を築き上げ、胆力を培ってきたのだから……。 魅音(白装束): (だけど……いや、だからこそ今は詩音を雛見沢に戻すわけにはいかないんだ) 大切なレナを守り、妹の菜央ちゃんに悲しい思いをさせないためにも……不確定かつ不安な要素は排除する必要がある。 ……きっと私は、詩音に恨まれるだろう。でも、二兎を追って両方とも喪うのは御免だ。 詩音には全てが片付き、解決してから改めて盛大に罵られて……殴られればいい。その覚悟は、もちろんすでにできていた。 魅音(白装束): まぁ……葛西さんには強く釘を刺したから大丈夫だよね。あの人の協力がなければ、さすがの詩音も学園からの脱出は不可能だし。 そう自分に言い聞かせてから、少し安堵を覚えた私は自室に向かおうと踵を返しかけて……はた、と足を止める。 いや……待て。私が前の「世界」で学園からの脱出を試みた時、葛西さんはどう動いてくれた……? 園崎詩音(魅音): 『お願い……葛西さん!私はどうしても、雛見沢に戻らなきゃいけないんだ!私の大事な、仲間を守るために……!』 葛西: 『……っ……』 園崎詩音(魅音): 『力を貸してくれないんだったら、見て見ぬふりをしてくれるだけでもいい!どんな厳罰でも、私ひとりで受ける!!』 園崎詩音(魅音): 『ここで動かなかったら、一生後悔する……!全部片付けたら必ず戻って、以降は学園内で真面目に過ごす! だからっ……!』 葛西: 『……詩音さん』 魅音(白装束): 詩音がもし、同じ手段に出たとしたら……いや……。 魅音(白装束): あの時、葛西さんは私の話に納得していなくて……それでも「詩音」の頼みだからって考えて、あえて泥をかぶるつもりでいたのだとしたら……? 私はすぐさま電話に飛びつき、受話器を上げる。そしてダイヤルを回すと、番号の相手はすぐに応じてくれた。 魅音(白装束): ……お世話になっております、園崎詩音の姉の魅音です。祖母が体調を崩したので、妹と連絡をとりたいのですがいかがでしょうか。あと――。 魅音(白装束): 1年に、秋武灯という生徒がいるはずです。詩音が何らかの理由で出られない場合は……その子に繋いでください。 Part 02: 魅音(白装束): やっぱり、か……っ! 受話器を叩きつけたくなる衝動をなんとかこらえ、それでも甲高く響いた音に顔をしかめながら……私は言葉を吐き捨てて舌打ちする。 時刻的にはまだ夕食前のはずだが、詩音は体調が優れないとのことで……電話口に出てこなかった。 もちろん、その仲介は学園の事務員なのでよもや口裏合わせはないと普段であれば納得していたかもしれないが……。 代わりに呼び出した秋武灯との会話内容から、私が詩音がすでに学園を抜け出したあとだと確信することになった。 灯: 『園崎詩音先輩のお姉さん、とのことでしたが……いったい私にどのようなご用件でしょうか?』 魅音(白装束): 単刀直入に聞くよ。……あんた、詩音が学園を出ることに手を貸した? 灯: 『……ご挨拶もなく、いきなりですね。なぜそんなことを、私に尋ねられるのですか?』 魅音(白装束): 理由はたぶん、話してもわからないと思う。でも、正直に答えてほしい。あの子だけじゃなく、何千人もの命が関わっている……大問題だから。 灯: 『ふむ……それは大変ですね。ですが私はあなたのことを存じ上げませんし、あなたも私のことをご存じではないはず』 灯: 『にもかかわらず、そのような大事を突きつけられても私としては困るというか……素直にお答えしようがないのですが』 魅音(白装束): ……っ……。 相変わらず、嫌味とも捉えられるくらいに持って回った言い方だ……だけど……。 すぐに通話を切ってもおかしくないのに、あえてこういう返しをするのは多少なり興味を示している時の……いわば、彼女の癖だ。 だから私は気を取り直し、さらに言葉を繋いでいった。 魅音(白装束): あんたは入学早々、園崎詩音に接触を試みたよね?何に興味を持ったのか、どんな目的があったのかはとりあえず今は聞かないとしても……。 魅音(白装束): そこであんたは、詩音から何かを聞いたはずだ。どうしても#p雛見沢#sひなみざわ#rに戻らなきゃいけない、そのためには学園を出る必要がある……。 魅音(白装束): だから手を貸してくれ、と頼まれた。……そうでしょう、秋武灯さん? 灯: 『……立ち聞きでもしていたような物言いですね。ですが、どうして私が詩音先輩と接点があると?あの人からどこかで伝え聞いたりしたのですか?』 魅音(白装束): 詩音の性格、あんたも知っているよね?私は、あの子から聞いたわけじゃない。 魅音(白装束): ただ……知っているんだよ。あんたは情報を引き出す話術が巧みな上、隠蔽工作が得意だってことをね。 灯: 『……失礼ながら、お聞きします。私はあなたと、どこかでお会いしましたか?』 灯: 『もし、会ってもいないのに勝手な想像でこちらの人となりを決めつけるような発言は、あまり愉快には感じられないのですが』 魅音(白装束): くっくっくっ、想像や決めつけなんかじゃないよ。私は間違いなく、あんたと会ったことがあるんだ。信じる信じないはさておいてもね。 魅音(白装束): そしておそらく、詩音も言っていたはずだ。自分にはここと違う「世界」の記憶がある……とかなんとか、ってさ。 灯: 『…………』 軽く息をのむような音が聞こえてから……しばらくの間、沈黙が流れる。 ここで通話を切られるのはまずい、と固唾を飲んで待っていると……受話器の向こうから苦笑交じりの声が再び聞こえてきた。 灯: 『……確かに、それに近いことを言っていました。つまりあなたは、異なる「世界」の記憶を引き継いで私に連絡を取ってきた……そういうことですか?』 魅音(白装束): やっぱり詩音は、あんたにそのことを話したようだね。だとしたら、それを受けて質問するよ。詩音はルチーアにいる? それとも、いない? 灯: 『……私の近くに事務員さんがいますので、その質問にはお答えできかねます』 灯: 『あと、現状私はどちらに協力すべきなのかで混乱しているので……何か決め手をもらえるとありがたいです』 魅音(白装束): 決め手……って、どういうもの? 灯: 『教えてください。詩音先輩は雛見沢で、いったい何をしようと考えているのですか?』 灯: 『あの方はとうとう教えてくれなかったので、それをお姉さんの立場からお聞きしたいです』 …………。 魅音(白装束): これは私の勝手な想像だけどね。あの子はきっと、……を……。 魅音(白装束): はぁ……もっと早く、あの子に連絡して抱き込んでおけばよかったよ。そうすれば詩音を、封じ込めておけたのに。 魅音(白装束): あと、葛西さんはたとえ園崎家が何を言おうと詩音の味方ってことか……。 過去の「記憶」も、活用できなければ意味がない。すぐ思い出せなかった自分の迂闊さと至らなさに、ほぞをかむ思いで大きくため息をつく。 いずれにしても、こうなったら詩音の捜索だ。なんとしても村に入る前に見つけ出さなくては……。 魅音(白装束): まず……母さんに連絡して、組の若い衆から何人かを村の入口に配置してもらおう。あとは、喜一郎のおじいちゃんにも声をかけて……。 詩音: ――お姉……。 魅音(白装束): っ? 詩音、まさかッ……?! 声に反応して振り返った途端、全身に衝撃が走り抜け――。 私の意識は、そこで……途絶えた。 Part 03: 魅音(白装束): …………。 ……時間の感覚が薄れてきた。昼も夜も、もうわからない。 この屋敷の地下室に閉じ込められていても、一応詩音は定期的に食事を差し入れしてくる。 そのタイミングで辛うじて、私は時間の経過だけ知覚することができていた。 魅音(白装束): っ……はぁ……。 格子に手をかけて揺らしてみても、びくともしない。頑丈な造りをしているものだと腹立たしくなる。 :「とりあえず、体力を温存しておこうと可能な限り眠るようにしていたが……音が聞こえたら、すぐに目は覚める。 :「なぜならこの地下室で、自分以外が立てた音。それはイコール詩音が立てた音だからだ。 :「だから……。 まさか、けたたましく鳴り響く電子音で目を覚ますことになるなんて、私は全く予想していなかった。 @chara魅音:白装束odoroki(中,0)30 -se2布を広げる音(バサッ)-shakechara魅音:白装束ジャンプ -motion魅音:白装束odoroki魅音:白装束「っ、なに……何なの?! @hide魅音:白装束20 :「詩音の来訪がふっつりと途絶えて、昼と夜の感覚が失われ始めた頃……大音量で放たれた人工音に、私は跳ね起きた。 :「そして、何事かと格子にしがみついて音が鳴り響く方角に目を向ける。 :「薄暗い空間では、どこが音源かも定かではない。……ただ、この音は聞き覚えがある。台所に置いていたキッチンタイマーの音だ。 @chara魅音:白装束odoroki(中,0)30 -motion魅音:白装束odoroki魅音:白装束「なんでキッチンタイマーが、こんなところに……? @hide魅音:白装束20 :「とはいえ、騒音の元凶がどこにあるのかわからず……いや、わかったとしても閉じ込められた現状では止めることもできず、耳障りな響きに顔をしかめる。 :「あのタイマーは安物だけあって、ストップを押すか電池が切れるまで音が止むことはない。 @chara魅音:白装束fuan_close(中,0)30 -motion魅音:白装束fuan_close魅音:白装束「(……新手の嫌がらせ?そういえば、音を使った拷問があるとか何かで見たことがあったっけ……) @hide魅音:白装束20 :「とにかく、密閉された地下で延々と反響するアラーム音は心を削られるような錯覚に陥る。 :「仕方なく、物理的に耳を塞いでしまおうかと敷いてあった布団に手を伸ばそうとして――。 -se2氷の入ったグラスの音(カランッ) @wait30 @chara魅音:白装束fuan(中,0)30 魅音:白装束「えっ……? @hide魅音:白装束20 :「鳴り続けるアラームの中、何かが落ちるような別の音を近くに感じた私は視線を落として目を懲らす。 :「……地面の上には、南京錠が転がっていた。 @chara魅音:白装束odoroki(中,0)30 -motion魅音:白装束odoroki魅音:白装束「っ、これって……? @hide魅音:白装束20 :「さっきまでは、こんなものはなかった。つまり、どこからか落ちてきたのだ。 @chara魅音:白装束normal_close(中,0)30 -motion魅音:白装束normal_close魅音:白装束「(まさか、扉の部分から?でも牢の鍵って、もっと大きいやつだったはず……) @hide魅音:白装束20 :「ではなぜ、こんなところに南京錠が落ちているのか。 :「おそるおそる私は、出入口の扉を押す。……すると、軋んだ音を立てながら固く閉ざされていた扉がゆっくりと動き始めた。 @chara魅音:白装束normal(中,0)30 -motion魅音:白装束normal魅音:白装束「――……。 @hide魅音:白装束20 :「鳴り響くアラームにつられて、胸の内で響く心臓の音が……大きくなる。 :「ひとまず、罠かもしれないと枕を掴んで前へ突き出し……そして警戒心を全開にしながら、扉の隙間から外へと一歩踏み出した。 @chara魅音:白装束odoroki(中,0)30 -motion魅音:白装束odoroki魅音:白装束「(……出られた?) @hide魅音:白装束20 :「あまりにもあっさりと外へ出たことに困惑する中、鼻先をかすめる焦げ臭さ。 :「辿った臭いの元は……アラームの音源に近い場所……いや、同じところにあった。 @chara魅音:白装束fuan(中,0)30 -motion魅音:白装束fuan魅音:白装束「……これは……? @hide魅音:白装束20 :「落ちていたのは、キッチンタイマーとワイヤー……いや、これはワイヤーではなく……溶接用のハンダか。 @chara魅音:白装束normal_close(中,0)30 -motion魅音:白装束normal_close魅音:白装束「(……錠をはめきらずにハンダで固定して、キッチンタイマーで電気が流れるとハンダが電気で溶けて……鍵が空く仕掛け?) @hide魅音:白装束20 :「キッチンタイマーの音を止め、私は落ちているものから起きた状況を推測する。 :「ぱっと見ただけでは、仕掛けの詳細は理解できない。……だが、南京錠に変えられた理由は見えた。通常の錠だと、ハンダで固定するには重すぎたのだ。 @chara魅音:白装束fuan(中,0)30 -motion魅音:白装束fuan魅音:白装束「これを仕込んだのは、詩音……?あいつ、いったい何を考えて……?! @hide魅音:白装束20 妙に手の込んだタイマー式のドア解錠セットから顔をあげ、私は冷たい地面を蹴り上げて進む。 @serifclose@fadeout黒60 ◆背景園崎家本邸地下2 @fadein60 :「自分の家の地下だ。明かりがなくともなんとなくどこをどう通ればいいかは、ある程度手探りでもわかった。 魅音(白装束): っ、……うぅ……。 牢の中にいる間、身動きもままならず鬱屈とした時間を過ごしてきたせいで……足の動きが、どうにもぎこちない。 それでも……とにかく、進まなければ。こんなところでずっと留まっていても、何も得るものなどはない。 そう自分に言い聞かせながら、硬くなった全身を励まして……私は壁を支えに少しずつ、前に足を踏み出し続けた。 魅音(白装束): ……あった、梯子! 梯子に飛びつき、駆けあがるようにして登った私は外へと繋がる扉を開け放ち……。 魅音(白装束): ……うぁっ……?! 眼球を刺すような鋭い光に、くらりと頭が揺らぐ。 太陽の位置から考えて早朝のようだが、数日の間暗闇に捕らわれていた目にはあまりにも眩しすぎた。 ズキズキと痛む頭を抑え、痙攣するまぶたをなんとか持ち上げて――。 魅音(白装束): は……? ――庭のあちこちに、血だらけの死体が無数に転がっていることに気づいた。 その倒れた顔にはどれもが見覚えがある。出入りしている組の人間。お手伝いさん。そして……。 魅音:白装束「か、母さん……? 母さん?! :「血に塗れた母親の身体を揺さぶるも、濁って光を失った目は……もはや取り返しがつかないことを意味していた。 魅音:白装束「な、なんでみんな、死んで……ねぇ、何があったの?!ねぇ?! なんでこんなことになっているのさ?! :「混乱のままに叫んだ声に応えるように、雨戸が開きっぱなしになった屋敷の方からかすかに物音が聞こえた気がして……勢いよく振り返る。 魅音:白装束「……誰か、誰かいるの?! 返事を待つよりも早く、土にまみれた足で縁側から屋敷の中へ飛び込んだ。 @chara魅音:白装束fuan(中,0)30 -motion魅音:白装束fuan魅音:白装束「誰か、誰か……!! @hide魅音:白装束20 :「ただの物音かもしれない。誰も生きていないかもしれない。 :「恐怖と絶望に震えながらも、わずかな希望を捨てられず……私は泣きたい思いで屋敷を駆けずり回る。 そして……。 魅音(白装束): なっ……し、詩音ッッ……?! そして私は、そこでっ……! 美雪:私服: ……ぉん、魅音……! 美雪(私服): ちょっと、魅音ってば! 魅音(25歳): っ……どうしたの、美雪? 美雪(私服): それはこっちの台詞だよ。突然黙りこくって、何度呼んでも返事しないから……。 魅音(25歳): あー……ごめん。ちょっと考え事をね。 千雨: 大丈夫か?かなり疲れてるようにも見えるが……。 魅音(25歳): くっくっくっ……心配は無用だよ。まだまだ若いものには負けん、なーんてね。 そう言っておどけながら、私は顔を上げる。 ……あれから10年。まだ、何かが判明したわけでもないし目立った進展もない……でも……。 魅音(25歳): ……必ず、見つけてやるよ。あんたがたったひとりで戦おうとしていた、謎の正体ってやつを突き止めて……ね。 その誓いとともに、踵を返す。……背中に温かな何かが触れたような気がしたが、私はあえて振り返らないことにした――。