Prologue: 一穂(正月着物): こ……このたび、『ひぐらしのなく頃に命』のメインストーリーが完結を迎えました。 一穂(正月着物): それを記念して、メインストーリーを振り返るお疲れさま会の開催を……こ、ここに宣言しますっ!! みんな: おおおおぉぉぉぉおおおおぉっっ!! 菜央(着物): ちなみに今回のお疲れ様会は、メインストーリーの全般に言及してるのよ。 菜央(着物): だからまだ読み終わってない人は、一度全体を見直してからのほうがより楽しめるかもしれないわね。 美雪(冬服): 注意事項終了!それじゃあ、みんなで乾杯しよっか。 美雪(冬服): メイン完走記念の、お疲れ様会だからね。一穂、乾杯の挨拶よろしくねー! 一穂(正月着物): うんっ! 一穂(正月着物): 最初からプレイして下さった方、途中から興味を持って下さった方。最近になって始めて下さった方……。 一穂(正月着物): そして、完結を機にプレイを再開して下さった方。……本当に、本当にありがとうございます。 一穂(正月着物): プレイしてくれた方々や関係者の皆様のおかげで、メインストーリーを完走することができました。 一穂(正月着物): 4年間、お疲れ様でした!せーのっ……かんぱーい! みんな: かんぱーい!!! 一穂(正月着物): は、はぁ……緊張した。 美雪(冬服): おつかれ、一穂。 菜央(着物): 緊張してた割にはちゃんとできてたじゃない。 一穂(正月着物): す、すっごく緊張したけど……やっと完結だから。 美雪(冬服): そっか、完結か……そう思うと、なんだか寂しくなっちゃうね。 菜央(着物): 4年も続いたものね。開始時の美雪の年齢で考えたら、もう高校を卒業して大学生になってる頃よ。 一穂(正月着物): そう考えると、すごく長かった……ね。 菜央(着物): 感慨深い顔をしてる場合じゃないわよ、一穂。せっかくご挨拶の機会をいただいたんだから。 美雪(冬服): そうそう。無事にお疲れ様会を終わらせてこそ、『ひぐらしのなく頃に』と言っても過言ではないからね! 美雪(冬服): 媒体によっては慣れてない人もいるだろうけど、慣れてる人にはないと寂しい……それが、お疲れ様会。 美雪(冬服): だから、目一杯盛り上げないとねっ! 一穂(正月着物): う、うんっ。総合司会として頑張るよ……! 灯: お~い! 美雪(冬服): あ、灯……さん。と? 川田: ちょっと……離してください。私には、南井さんがパーティーのご馳走を食い尽くさないかを監視する役目があるんですよ。 #p公由怜#sきみよしれい#r: …………。 美雪(冬服): おぅ、両腕で川田さんとお兄さんの腕をガッチリ固めて、逃がさないようにホールドしてる。 #p公由怜#sきみよしれい#r: あーちゃん、お疲れ様会って……? 灯: いい質問だ。我が神、お疲れ様会初参加の怜に教えてあげてくれ! 一穂(正月着物): う、うん……『ひぐらし』シリーズの恒例行事だよ。各編の終わりに開催して、本編で起きた事件についてみんなで語り合う場、なんだけど。 #p公由怜#sきみよしれい#r: …………そうか。 一穂(正月着物): …………。 川田: なんですか、この照れと緊張が混じった空気は。見合い? 私要らないですよね? 帰っていいです? 灯: そんな寂しいこと言わないでさー。彼女たちが平成の主人公格なら、私たちは平成の裏主人公なんだから! 美雪(冬服): え、そうだったんですか?! 菜央(着物): 確かに裏主人公と言えば、そんな感じがするわね。 灯: 表の主人公たちの活躍なくしては存在できない、吹けば飛ぶようなアングラたちだけどね。 灯: ほら、怜。彼女が一穂、私の神様だよ。とっても可愛いだろう? #p公由怜#sきみよしれい#r: ……うん。あの、えっと。 美雪(冬服): おぅ……一穂もお兄さんも、すごい緊張してる。 菜央(着物): 緊張もするわよ。ほとんど兄妹として一緒に過ごせてないんだもの。 一穂(正月着物): お、お兄ちゃん……? #p公由怜#sきみよしれい#r: うん。 一穂(正月着物): え、えっと……その。 #p公由怜#sきみよしれい#r: ……一穂。よく、頑張ったな。 一穂(正月着物): ……ぁ……。 一穂(正月着物): うん。友達がいたから、頑張れたよ。 #p公由怜#sきみよしれい#r: ……そっか。 一穂(正月着物): お兄ちゃんも、頑張ったんだね。 #p公由怜#sきみよしれい#r: ……お兄ちゃんだけじゃ、ダメだったけど。 #p公由怜#sきみよしれい#r: その、灯……友達に……憧れの人に、出会えたから……頑張れたんだと、思う。 一穂(正月着物): ……うん。お互い、頑張ったよね。 #p公由怜#sきみよしれい#r: ……うん。 川田: うっわ、なんですかこの空気。あー、むずがゆい。肌がかゆい。離してってば、灯。私、ここにいたくない。 灯: どうして? 素敵な兄妹の再会じゃないか! 川田: デスネーハイハイステキですね、勝手にやってくださいよ。 川田: だから私は退散……離せって、くっそ!無駄に力が強い! 川田: あんた加減って言葉知らないんですか?!あーちゃんじゃなくて赤ちゃんですか!! 灯: バブー!!(遺憾の意) 川田: 乗るな!!! #p公由怜#sきみよしれい#r: 川田……お前こそ、よく妹の友達を殺そうとした分際でのうのうと顔を出せるよな? 川田: あんたのツレに無理矢理顔を突き出させられてるこの状況が見えないんですか?! 美雪(冬服): いや、これはお疲れ様会だからそういう殺し殺されはノーゲームなんだけど……。 川田: あー、灯はあんたのツレじゃなかったですね。フツーの友達ですもんねー? 川田: ある日突然結婚するんだって招待状を突き出されても黙って受け取って、おめでとうって言うしかできない立場ですもんね~?! #p公由怜#sきみよしれい#r: 相変わらず、自分のことを棚上げにして他人を罵倒する特技が冴え渡っているな。……なんで生きているんだ、お前? 川田: はー、相変わらず感情だけじゃなくてイヤミまでネッチョリしてますね~。 灯: ははは。そういうところを見る限り、あおいと怜はよく似てるよねぇ~。 #p公由怜#sきみよしれい#r: えっ……?! 川田: はぁぁあっ? 私とコイツ一緒にしないでもらえます?!共通点なんて、#p雛見沢#sひなみざわ#r出身ぐらいしかないんですけど?! 灯: では、私が立てた『畠山あおいのルーツは公由家』……についてはどうだろう? 可能性はあると思うんだが! #p公由怜#sきみよしれい#r: 嫌だ。 一穂(正月着物): 私も、ちょっと……。 川田: ホンットこの兄妹、最悪ですね?! 菜央(着物): くす……なんだか川田さん楽しそうね。 美雪(冬服): 喧嘩するほどってヤツかなぁ。 川田: 絶対違いますからね?! 美雪(冬服): ……と、まぁこんな感じで、登場人物たちが楽しくメインストーリーについて楽しく振り返っていくのがお疲れ様会です!! 灯: ホラホラ、司会たちの邪魔をしてはいけないからしばらくあっちでお話をしようか! ご馳走もあるよ~。 川田: あ、ちょっ……! 腕引っ張るな! 一穂(正月着物): お兄ちゃん、頑張って! #p公由怜#sきみよしれい#r: 負けない。 菜央(着物): なにに勝つつもりなのかしら……? 美雪(冬服): よくわからんが、すごいやる気だ。 灯: またあとで来るからね~! 美雪(冬服): あの問題児の2人、もう一度連れて来るつもりなのかな……? 菜央(着物): あの人本人が、十分すぎるほどに問題児でしょ……? 一穂(正月着物): と、とにかく……。 一穂(正月着物): 『ひぐらしのなく頃に命』お疲れ様会、始まりますっ! Part 01: 一穂(正月着物): それにしても……ひぐらし命の『命』って、どんな意味があったんだろうね。 美雪(冬服): んー、やっぱりストレートに『命』じゃない? 美雪(冬服): 私や菜央や一穂たち……惨劇や悲劇の中にしか生まれてこなかった命。 美雪(冬服): けど、そんな命が参加することで成し遂げられたものがあって……その結果として、幸せな別の「道」を見つけることもできたんだからね。 魅音(冬服): うん、確かに。それとは別に、他の意味もあったんじゃない? 詩音(冬服): ですね。「運命」と「宿命」、「使命」にも……全て「命」って文字が入っていますので。 一穂(正月着物): ……魅音さん! 詩音さん! 菜央(着物): 「命令」って意味もあったのかしらね。ほら、神様の命ってよく言うから。 魅音(冬服): でも、冷静に考えると不思議だよねー。 魅音(冬服): どうして他人に何かをさせることに「命」って文字がついているんだろう……? 美雪(冬服): 命令って言葉には『命がけで果たすべきいいつけ』って意味があるらしいよ。 魅音(冬服): へー。じゃあ、つまり命令だって言われたら命がけでやれって言われているのと同じこと? 美雪(冬服): 元の意味を辿ると、そうみたいだね。わからずに言ってる人もいるだろうけどさ。 詩音(冬服): 与えられた「命」の意味に従う人もあれば、当然抗う人もいるってことですよ。 詩音(冬服): そして誰に従うかは、自分自身で決めることです。 詩音(冬服): 本当の意味で自分に命令を下せる人間は、自分しかいないんですから。 一穂(正月着物): し、詩音さんが言うと、説得力がすごいね……。 魅音(冬服): 自分のやりたいように生きているヤツだからね~。 詩音(冬服): 何を言っているんです。お姉だって、そう生きればいいじゃないですか。 魅音(冬服): そういうわけにはいかないっつーの!だいたい詩音が自由すぎるんだって! 詩音(冬服): お姉が自縛的すぎるんですよ。いつもこうしなきゃああしなきゃって、自分に命令下しているじゃないですか。 詩音(冬服): 母さんだって、鬼婆の反対を押し切って父さんと結婚したんですから……。 詩音(冬服): もっと自分のやりたいようにやってください。でなきゃストレスで早死にしますよ? 魅音(冬服): じゃあ詩音は、私が園崎を捨てたいって言ったら賛成するの?! 詩音(冬服): しますけど。 魅音(冬服): ッ、うえっ……?! 詩音(冬服): なに変な声を上げているんです……?その時は私が、「魅音」として戻ればいいだけです。 詩音(冬服): まぁ、鬼婆が死んだ後の園崎家がどうなるかは私次第になりますけどね~? 魅音(冬服): 園崎家が跡形もなく崩壊するじゃんか?!あー、ダメダメ! 絶対逃げられない!! 魅音(冬服): ……って、ちょっと待って。詩音、あんたってそんなこと言うタイプだった? 魅音(冬服): どうしちゃったのさ、詩音?秋武にメイン4部で脱出の手を借りた時とかに、なんか言われた? 毒電波でも食らった……?! 詩音(冬服): 別に、秋武に何を言われても関係ないですよ。そもそも私が受け入れなければ、それで終わりの話です。 魅音(冬服): そういう意味じゃなくて~!! あーもー! 詩音(冬服): じゃあ、どういう意味なんですか……?私にわかるように説明してください。 菜央(着物): ……姉妹げんかがはじまったわね。 美雪(冬服): こっちは微笑ましく見られるヤツだけどね~。うーん、故郷のような安心感。 一穂(正月着物): そう言えば……命令の「令」って、お兄ちゃんの名前の漢字に近いよね。 菜央(着物): 確かに、そうね。 美雪(冬服): 怜の字の左の部首は「心」の字を立てて偏にしたものだからね。 美雪(冬服): 復讐を手伝えって親からの命令を心で拒絶した結果、私たちの力になってくれたと考えたら……まぁありがたい話ではあるけどさ。 菜央(着物): そうね。川田さんが一穂のお兄さんの部下? にならなかったら彼女もここまで動けなかったでしょうし。 一穂(正月着物): 私たちの見えないところでも、人の命と命が出会って、繋がって、影響しあって……。 一穂(正月着物): 運命って、そういうものなのかもしれないね。 一穂(正月着物): 川田さんのことは、やっぱり好きじゃないけど。 美雪(冬服): もー。お疲れ様会でもまだ言うか、この子は。 一穂(正月着物): だって、美雪ちゃんを本気で殺そうとしたし……絢花さん殺したこと、反省も後悔もしてないし。 菜央(着物): 一穂の頑固さを見てたら、お兄さんの頑固さにも納得ができるわね。 美雪(冬服): 兄妹だもんねぇ。 詩音(冬服): お姉のバカー!! 魅音(冬服): 詩音のバカー!! 美雪(冬服): あっちの姉妹はそっくりだねぇ。 菜央(着物): 双子だものね。 一穂(正月着物): あ、あははは……。 Part 02: 詩音(冬服): にしても、美雪さんって……そういう知識が豊富ですよね。 美雪(冬服): そういうって……なんのこと? 詩音(冬服): 命令の意味とか、怜さんの漢字の部首とか……雑学系ですよ。それも社宅のママさんたちから教えてもらった知識ですか? 魅音(冬服): イベントだと、結構な頻度で出てたよねー。おかげで色々と助けてもらったけどさ。 菜央(着物): 美雪の社宅には、物知りなママさんがいっぱいいるのね。 美雪(冬服): んー……社宅のママさんって、専業主婦の人が多いんだけどさ。 美雪(冬服): どうせ専業主婦になるなら、女に学なんてつけても無意味、勉強なんて無駄だ、って言われた人が結構多くてね。 美雪(冬服): それでも、こうやって学んできたことを私みたいな近所の子に教えられたなら、学んだ意味はあるって言ってくれる人がいたんだよ。 美雪(冬服): そうやって考えると、学んできたことや知識って直接自分を助けてはくれないかもしれないけど……。 美雪(冬服): 自分が教えた知識が誰かの力として役立つなら、学んだという経験が完全に無駄になることはないんだろうな……って信じることができるよ。 一穂(正月着物): うん。きっと、その通りだと思うよ。 美雪(冬服): あっ……そうそう。イベントの話が出たから、イベントシナリオについて振り返ってみようか。 菜央(着物): 歴代イベント数は……100以上?そうして数字化してみるといろいろやったわね。 一穂(正月着物): そうだね。……でもこの100以上のお話は、私が見つけられたカケラだけの数だから。 美雪(冬服): 本当はもっとたくさん、いろんなイベントという名前の可能性のカケラがあったってことなんだろうね。 菜央(着物): イベント名が1983年のドラマ、映画、歌がネタだったのは……一穂の存在が『命』の世界の基軸だったってヒントだったのかしら? 一穂(正月着物): 基軸、かなぁ……? 一穂(正月着物): でも、ある意味私っていう繰り返しの中で生まれた存在が惨劇に対するワクチン的な役割を果たしたと考えるなら、そういう考え方でもいい……の、かな? 魅音(冬服): 何もかも現代と違うファンタジーな話もあれば、メインストーリーの延長線上みたいな日常的な話もあったよね。 詩音(冬服): トータルで考えると……日常の中で似たような出来事が起きたという話が多くなかったですか? 梨花(晴れ着): 似ているものが多い、はある意味ヒントではあったのですよ。みー。 魅音(冬服): あっ、梨花ちゃん。 梨花(晴れ着): 強い意思の力が絡むと、事件や出来事は固定されていくのです。 梨花(晴れ着): 祖父の研究が正しかったと証明してみせる、と鷹野が強い意思で突き進むと、必ず事件が起きるように。 沙都子(晴れ着): えぇ。ですが、どれだけ強い意思を用いても不測の事態は起こり得ますわ。実際、トラップでもそうですもの。 沙都子(晴れ着): 何十何百とテストを重ねて、成功するという実証を積み上げても……肝心の本番で不発で終わる、ということは珍しくありませんのよ。 菜央(着物): つまり、ハッピーエンドを探すための試行錯誤を物語に仕立て上げたものが、イベントだったってこと……? 魅音(冬服): …………。 詩音(冬服): お姉? どうしたんですか急に黙り込んで。 魅音(冬服): 私、メインストーリーだといろんな人に助けられて平成5年まで生き延びたけど……。 魅音(冬服): 私を助けてくれた人って、イベントシナリオとかで私たちが助けた……って言い方は、なんだか恩着せがましいけどさ。 魅音(冬服): そういう、園崎の関係者が多かったんだよね。普通なら見捨てて当然の状況だったのに……おかげですごく助けられたんだけど。 菜央(着物): どういうことかしら……? 詩音(冬服): 人間、打算で生きているところがありますからね。 詩音(冬服): どうせ助けるなら、もしかしたら自分が困った時に助けてくれたかもしれない人を助けたいじゃないですか。 魅音(冬服): だとしたら、私たちを助けてくれた園崎関係者はイベントの時に助けた記憶があるってこと……? 梨花(晴れ着): おぼろげな夢としてではあるかもしれませんが、あったのかもしれないのです。 梨花(晴れ着): 夢は脳が起きている間、記憶した現象を整理する過程で生まれるものなのです。 一穂(正月着物): 知らないものは、夢に見ない。……見られない。 梨花(晴れ着): はいなのです。だとしたら……。 梨花(晴れ着): イベントのカケラは、もしかしたら起こったかも知れない出来事で……。 梨花(晴れ着): 何度も繰り返して得た失敗や成功の結果を別の「世界」で生きる人間の背中を押してくれたのかもしれないと。 梨花(晴れ着): ボクはそう、……思いたいのですよ。 沙都子(晴れ着): 要するに失敗したことがないように見える人は、失敗した場合のシミュレーションを重ねて現実で成功率をあげているということですわね。 梨花(晴れ着): そのシミュレーションの結果を可能性のカケラと呼ぶなら、きっとそうなのではないかと思うのですよ。 美雪(冬服): つまり、イベントは治験ってことかな?……あてっ。 菜央(着物): ……美雪。たとえそれが真実でも、言葉にするのは失礼よ。 菜央(着物): カケラの中のあたしたちは、そこしかない「世界」で生きてたんだから。 美雪(冬服): おぅ、そうだった……ごめん。 詩音(冬服): ただ、そう考えると私たちの「世界」と地続きの「世界」はともかく……あの幻想イベントはいったいなんだったんでしょうね。 魅音(冬服): 一か八かですごい治療薬を使ったら暴発した、とか?怪獣の細胞を入れたら怪獣が爆誕した、みたいな! 美雪(冬服): おぅ、H細胞の暴走……。 魅音(冬服): 美雪のその言い方、なんかやらし~。 一穂(正月着物): そ、そうかな……? 沙都子(晴れ着): まぁ、鬼気迫ってとかではなくそういう事件を楽しんで起こしそうな方ではありますけどね。 菜央(着物): ……それって、ある意味元凶の神様の話? 沙都子(晴れ着): えぇ……『命』とは別の話ですが。そういうことをやりかねない人ではあったので……。 梨花(高校生): ……沙都子、そろそろテレビ消さない? 沙都子(高校生): あら、どうしてですの?向こうのお疲れ様会も場があったまってやっと面白くなってきたところですのに。 沙都子(高校生): 大丈夫ですわ。一方的にあちらを見ているだけですし、向こうはこちらの存在には気づいていませんのよ。 沙都子(高校生): って、ここにテレビを置いてくださった髪のながーい、角の生えた女性がおっしゃっていたではありませんの。 梨花(高校生): あの人の言うことを、素直に受け止めていいのか疑問なのよ。 灯: まぁまぁ、ほどよいところで消せばいいじゃないか。 灯: 向こうと比べると、私たちルチーアの学生お疲れ様会が少しばかり賑やかさに欠けるのも事実だからね! 梨花(高校生): あなた一人で十分賑やかだと思いますが……。 沙都子(高校生): 相変わらず梨花は会長さんのことが苦手ですのねぇ。……あ、このお菓子美味しい。梨花も食べまして? 梨花(高校生): ありがと……ん。 沙都子(高校生): どうしましたの、梨花。 梨花(高校生): 今、テレビの向こうで言っていたけど……。 梨花(高校生): ここにいる私たちが可能性の一つでしかないなら……私たちのルチーアでの生活や、出会いや経験は……なんだったと言うのかしら。 灯: これもあったかもしれない、可能性の一つ。受け入れられるなら、受け入れていいんじゃないかな? 梨花(高校生): 受け入れるかどうかは、……自分で決めろと? 灯: 少なくとも、梨花くんが受け入れるかについて私のような第三者が決めていいことではないからね。 梨花(高校生): …………。 灯: 一度受け入れてみなければわからないこともある。パッチテストは大事だよ。 灯: いやー、しかし姉さんが元気そうでよかった!本当によかった! 灯: しかし、楽しそうな姉さんを見ていると姉さんの上司の南井さんや同僚のひーさんとやらにはヤキモチを焼いてしまいたくなるね。 梨花(高校生): ? どうして?楽しそうなら、それでいいと思いますが。 沙都子(高校生): あら、でも自分の大切な人が自分の知らないところで趣味嗜好が変わって……別人のようになってしまうのは寂しいことですわよ? 沙都子(高校生): しかも、自分が変わったことに本人が気づいていないのは……変わったという事実すら存在しないのと同じですわね? 沙都子(高校生): だとしたら、変化に気づいた自分の方は?自分は以前と、何も変わってないのでは? 沙都子(高校生): そう、気づいてしまったら。自分だけ取り残されたようで……少し、苦しいですわ。 梨花(高校生): …………。 灯: 赤ちゃんが成長して寂しさを覚える、親心に近いだろうね。成長した子は目の前にいるのに、赤ちゃん時代と同じ生活を送ることは戻ってこない。時間は逆に流れたりしない。 灯: でもそれは、今この瞬間も同じだ。いつか過ぎて、……過去になる。 梨花(高校生): 生徒会長との出会いも? 灯: そうだよ。 沙都子(高校生): それは、とても寂しいですわね。 灯: 寂しいって思ってくれるだけで十分さ。普段は忘れていても、時々思い出してくれれば。 灯: それだけで、私は過去の存在ではなく現在の存在になれるんだからね。 梨花(高校生): ……生徒会長。あなたという存在は、結局なんだったんですか? 灯: どこにでもいる普通の人間だよ? 梨花(高校生): あなたみたいな人が、どこにでもいるわけないと思います。 沙都子(高校生): 断言しましたわね。確かにこれほど行動力がある方は珍しいですが。 灯: 行動力の有無はともかく……私の言うこともやることも、そう珍しいことではないよ? 灯: 向こうの私は少しばかり特殊な存在かもしれないが、公由怜に出会わなければ……私は公由一穂の御子になり得ない。 灯: ここにいる私はどこにでもいる、普通の身勝手な人間だ。 梨花(高校生): メインストーリーで魅音や詩音を逃がしたのも、普通の人間がやったことだと? 灯: そうだよ。園崎先輩たちが受け入れてくれたから、脱走は完遂された。 灯: だからね……私との出会いは価値があるものだと。意味があったのだと思ってくれるなら。 灯: それは、受け取る方が素晴らしい価値あるものに仕立ててくれた結果でしかない。 灯: 私はきっかけかもしれないが、代替えの効くものでしかないし……またそうでなければならないものだ。 灯: 自分の人生は、自分のものだからね。 梨花(高校生): 他人の人生引っかき回しておいて……本当、自分で言うだけあって身勝手な人ですね。 灯: 己の身勝手さをある程度受け入れることは大事だよ?でなければ、他者の勝手を微塵も受け入れられず……最終的には全て切り捨てるしかなくなってしまう。 灯: 世の中には、自分は身勝手だとしても他人が身勝手に振る舞うのは許さない人もたまにはいるけどね! 沙都子(高校生): そういうダブルスタンダードな方の行き着く先は、たいていの場合破滅しかありませんわね。 梨花(高校生): えぇ。自分はそうならないよう、気をつけたいわ。 沙都子(高校生): 破滅も成功も、結局は結末の一つでしかありませんもの。どうとでもなるし、どうとでも変わってしまうものですわ。 灯: 未来は不定形ってことだね。では、私たちのカケラの行く末が良きモノであることを祈って……。 灯: 改めて乾杯しようか! 梨花(高校生): ジュースしかありませんけど。 沙都子(高校生): お酒は大人になったらのお楽しみ、ですわ。その時はまた集まりましょう。 沙都子(高校生): ではでは、カンパーイ! Part 03: 圭一(正月着物): 見ろよレナ!ビュッフェにサメまんじゅうがあったぜ! レナ(正月着物): はぅ~かぁいい~!!食べちゃいたいけどもったいないよ~!!はぅはぅ~!! 圭一(正月着物): この会場は昭和だけど、こういうのは一穂ちゃんたち平成組がセッティングしてくれたんだろうな。 圭一(正月着物): サメ型まんじゅうとか、すげぇな平成。 レナ(正月着物): はぅ~、きっと1993年には1983年とは違うかぁいいものがいっぱいあるんだろうね。 圭一(正月着物): 1993年か……スゲェ未来に聞こえるけど、きっとあっという間にやってくるんだろうな。 圭一(正月着物): でも、なんでもう一つの舞台が1993年だったんだ……? 圭一(正月着物): 確かに10年ってキリがいい数字だし、10年経つことで美雪ちゃんと菜央ちゃんの年齢が俺たちと変わらないくらいになる……って理由なのか? レナ(正月着物): えっと……もちろんそれもあったけど、やっぱり10年の間に年号以外にも世の中が色々と変わってしまったからみたいだよ。 レナ(正月着物): 家電の進化もそうだけど……平成初期はバブル崩壊とか、激動の時代だったそうだからね。 圭一(正月着物): ……そう考えると、ちょっと落ち込むな。未来ってのはもっと明るいもんだと思っていたぜ。 圭一(正月着物): せっかく惨劇を脱出しても、また別の惨劇が待っているってことにも聞こえるからな……。 レナ(正月着物): あははは。……でも、惨劇を乗り越えたなら、10年後の激動の時代も乗り越えることだって可能になるかもしれないよ? レナ(正月着物): 乗り越えた経験は、自信に繋がるから。どう頑張っても、一人じゃ乗り越えられない出来事は起きてしまうかもしれないけどね。 圭一(正月着物): だとしても、みんながいりゃなんとかなるだろ! レナ(正月着物): はぅ……疎遠になっちゃうかもしれないよ? 圭一(正月着物): 電話だって手紙だって、なんでもあるんだ。連絡が取りたくなったら取れる、ってくらいの細い繋がりくらいならなんとかなるだろ。 圭一(正月着物): 子どもの時は毎日顔を合わせていても、友達って胸を張って言っていいのかで迷う時があるけど……。 圭一(正月着物): 大人は時々しか連絡が取れない人でも、友達って堂々と名乗っているヤツは大勢いるんだ。 圭一(正月着物): それは大人まで関係が続いた、特権ってやつだろうからな! レナ(正月着物): あはは、俺たちは疎遠になんてならねぇ!……とは言わないんだね。 圭一(正月着物): あぁ。未来のことは、誰にもわからねぇからな。 圭一(正月着物): その……レナのお母さんのことも。 レナ(正月着物): はぅ……再会したこと、意外だった? 圭一(正月着物): あぁ、えっと……そうだな。意外と言うか、ちょっと菜央ちゃんはずるいとは思ったな。 レナ(正月着物): はぅ……? 圭一(正月着物): ラストでレナとお母さんが、再会しただろ……?ちょっとだまし討ちみたいだなって思っちまった。 圭一(正月着物): いや、菜央ちゃんの気持ちはわかるぜ?でも、もっと他にやり方があったんじゃねぇかって。 レナ(正月着物): ……ううん。レナは、あれしかなかったと思うよ。 圭一(正月着物): そ、そうか? レナ(正月着物): だって、レナは面と向かってお母さんに会って欲しいって言われたら……きっと素直には頷けない。 レナ(正月着物): だって許すって決めてからしか、頷けないもの。だからひょっとすると、ずっと頷けなくて……死ぬまで会えなかったかも。 圭一(正月着物): ……。つまり、菜央ちゃんもそれに気づいていたってことか。 レナ(正月着物): ……きっとそうだと思う。菜央は、頭がいいから。 レナ(正月着物): だから私は、菜央の行動に怒っていないよ。むしろ、あの子のおかげで一歩踏み出せたと思う。 圭一(正月着物): ……あの後、どうなったんだ?レナはお母さんを許したのか? レナ(正月着物): ……。圭一くんは、どう思った? 圭一(正月着物): そうだな……これは俺の身勝手な考えだけどよ。 圭一(正月着物): レナはいつか、お母さんの罪を許せない自分が許せなくなって……。 圭一(正月着物): ……いつか、その感情に雁字がらめになってレナ自身が苦しんじまうんじゃないかって。 圭一(正月着物): それは、ちょっと思っていた。 レナ(正月着物): レナのために、お母さんを許すべきだって? 圭一(正月着物): べきとか、そんなことはとても言えねぇよ。 圭一(正月着物): ……でも、レナは俺の罪を許してくれるくらいすげぇ優しいヤツだからよ。 圭一(正月着物): レナが自分の感情で憎いって言うなら、俺はいくらでも恨めって言うぜ? 圭一(正月着物): 俺だって、一緒に恨む。レナを苦しめるヤツなんて許せねぇ。 圭一(正月着物): ……でも。 圭一(正月着物): お父さんがお母さんを許せないから、レナもお母さんを許さないって人生は……。レナを幸せから遠ざける結果になるんじゃないかって。 圭一(正月着物): それは、ちょっとだけ思った。 レナ(正月着物): ……うん、私もそう思う。 レナ(正月着物): 私は、お母さんの全てを許すことはできないかもしれない。お父さんとは無関係に、怒っていることもあるから。 レナ(正月着物): もちろん、お父さんにはお母さんも苦しんだんだから、許してやれなんて絶対に言いたくない。 レナ(正月着物): ……でも、私がお母さんのことを許せなくても他の誰かがお母さんを大切に想っているという事実を受け入れることは……できるかもしれない。 レナ(正月着物): たとえ、それを表立って言葉にはできなくても。菜央が喜んでくれるなら……。 レナ(正月着物): 自分の中で整理をつけた上で、あの子に対して笑顔で頷いてあげることは……たぶん、できると思うよ。 圭一(正月着物): そうか……いや、それで十分だと、俺も思う。 圭一(正月着物): 自分を傷つけた人間の罪を許すってのは、すげぇことだ。でも、それができないからって責められる筋合いはねぇ。 圭一(正月着物): ましてや、自分を傷つけた人間のことを無関係の他人が許せって強要するのはただの暴力だ。 圭一(正月着物): だからこそ、自分から許すって行動はすげぇ価値があるんだと思う。 レナ(正月着物): 圭一くん……? 圭一(正月着物): 梨花ちゃんも、きっとそうだったんだろうな。 圭一(正月着物): 死んじまって罪を許すこともできない被害者の意思を無視して、踏みつけるみたいに罪をなかったみたいに許すんじゃなくて……。 圭一(正月着物): 自分の意思で、俺に許しをくれたんだ。被害者が俺を恨んで憎む自由ごと、守ってくれた。 レナ(正月着物): その記憶があるから、今の圭一くんがいるんだね。 圭一(正月着物): 辛い記憶ではあるけどな。でも、みんな同じだ。 圭一(正月着物): 誰かを傷つける可能性も、助けられる可能性も同時に抱えて生きている。 圭一(正月着物): 命って、そういうことだろ。 圭一(正月着物): それに……そういう他人を傷つける可能性に気づいて生きていけるってのは、気づかないで生きるより得られるもんが多いんじゃねぇか? レナ(正月着物): 圭一くん……。 千雨(冬服): まぁ、……私は無関係第三者だが美雪を傷つけたヤツは許さないがな。 圭一(正月着物): うおっ?! 千雨ちゃん?! 千雨(冬服): サメまんじゅうおかわりあるぞ……しかもうまい。もふもふ。 レナ(正月着物): はぅ~、ありがとう!サメさん、とってもかぁいいよ~っ!! 圭一(正月着物): 千雨ちゃん、サメ大好きだけどサメ食うんだな。 千雨(冬服): 何を言う。サメを愛してるから、食うんだ。特に食用価値は大事だ。 千雨(冬服): この国の人間の胃を掴めれば、予算と心は掴めたも同然。人類サメ研究計画にまた一歩近づく。 圭一(正月着物): すげぇ目標を掲げているんだな……。 レナ(正月着物): はぅ……千雨ちゃんはやっぱりガールスカウトの子たちを許せないかな? かな? 千雨(冬服): 許せないな。あいつらの八つ当たりのせいで、どれだけ美雪が苦しめられたか。 千雨(冬服): ……でも。 千雨(冬服): 美雪の代わりに復讐したのは、よくなかったかなって。……そのせいでオヤジが死んだも同然だし。 絢花(私服): では、後悔……しているんですか? 千雨(冬服): 絢花ちゃん。 千雨(冬服): ……後悔はしてる。 圭一(正月着物): 絢花ちゃんはどう思う? 千雨ちゃんの行動について。 絢花(私服): そうですね……誰かの代わりに怒る、悲しむ。 絢花(私服): そうしたいくらい大切な人ができるというのは、とても大切で幸福なことだと思います。 絢花(私服): ……ですが。 絢花(私服): そのために自分の意思を曲げたり極端な復讐に走ったりしてしまったら……幸せな未来には繋がらないのかもしれませんね。 圭一(正月着物): 結局、本物の鷹野さんが願っていた……お爺ちゃんの研究を認めさせるってのもそれだからな。 レナ(正月着物): 一穂ちゃんのご両親の目的も、誰かの復讐だったからね。 千雨(冬服): 復讐するなら自分の意思で、自分のできる範囲でやれってことだろうな。 千雨(冬服): 他人の復讐の肩代わりって、やめ時がわからなくなっちまうからな。 絢花(私服): ……雅さんも、そうだったのかもしれません。 絢花(私服): あの人は、神様の操り人形で……今となっては、あの人が口にしていた身元もなにもかも本当のことか、よくわからなくなってしまって。 圭一(正月着物): 絢花ちゃんがそう言うくらいだから、本人もよくわからなくなっていたんだろうな……。 千雨(冬服): 相手が神様だからな。他人の記憶とかも植え付けられてたかもしれない。 絢花(私服): えぇ……でも、私にとっては大切な人でした。人違いだとしても、孤独な私に寄り添ってくれました。 絢花(私服): 私が、一穂さんや菜央さんたちと出会ってレナさんや前原さんたち……世界へ繋げてくれたように。 絢花(私服): 場所も時代も、手の届かないところかもしれませんが……幸せな場所で誰かと繋がっていることを祈りたいです。 絢花(私服): 繋がりがなくても生きていける人はいますが、あの人は……それが必要な人でしたから。 千雨(冬服): ま、どうにかするだろ。強いってのは体力があるってことで、それだけでアドバンテージだからな。 美雪(冬服): ……千雨、それは強者の理屈だよ? 圭一(正月着物): おっ……美雪ちゃん、それに菜央ちゃんも。 菜央(着物): お姉ちゃんたち、こんな隅っこでなにしてるの? レナ(正月着物): ふふっ、あのね……。 レナ(正月着物): 未来は定まってないし、不安でいっぱいだけど。 レナ(正月着物): 自分の感情を大切にして、自分の生きる道は誰かの代わりに何かを成すことじゃなくて……自分の意思で決めようって話をしていたんだよ。 沙都子(晴れ着): な、なんだか哲学的ですわね? 圭一(正月着物): この程度で尻込みしてたらお先まっ暗だぞ、沙都子! 沙都子(晴れ着): 哲学とは縁遠い圭一さんに言われたくありませんわっ! Part 04: 圭一(正月着物): けど、『命』の後の俺たちはどうなるんだろうな……レナが将来美人になるのは確定だけどさ。 レナ(正月着物): はぅっ?! 詩音(冬服): あら、お姉の10年後もなかなかでしたよ?ちょっと疲れ気味なところはありましたけど。 詩音(冬服): ただ平成のあの服は、あまりお姉っぽくなかったですね。シンプルではありましたけど、セクシー系と言いますか。 魅音(冬服): それは……でも、詩音は着そうじゃん。 詩音(冬服): ……それで私の代わりに私の選びそうな服を着てリボンを首に巻いてたんですか?生き残ったんだから、好きな格好をすればいいのに。 魅音(冬服): う、うるさーい!メインストーリー後は詩音も生きているし、私は私の好きな服を着るからいいんだよっ! 美雪(冬服): でも、本当にメインストーリーの後はどうなるんだろうね。 一穂(正月着物): 大丈夫。美雪ちゃんと菜央ちゃんは、私が見守ってるから。 一穂(正月着物): 正直、見守らなくても大丈夫だと思うけど……。 千雨(冬服): ……そこ、怯むなよ。見守りたいから、2人にくっついて戻ったんだろ? 一穂(正月着物): そ、そうだけど……何ができるかって考えたら全然何もできそうにないなって、思っちゃって。 美雪(冬服): そんなことないよ。一穂が四六時中見守っててくれるなら、下手な生き方はできないしね~。 菜央(着物): 誰も見てないからってセンスのないパジャマとか着られないわね。いつも一穂が側で見てるんだもの。 一穂(正月着物): し、四六時中見てるわけじゃないよ?! 羽入(晴れ着): あぅあぅ、そうなのです!いくら神様でも、そんな無粋なことはしないのです! 梨花(晴れ着): でも羽入、あんた前に寝ている沙都子のお腹を「あぅあぅ、おへそが可愛いのですよ~」ってぷにぷにしていなかった? 沙都子(晴れ着): 羽入さん……? 羽入(晴れ着): ちょ、ちょっとだけなのです!ちょーっとツンツンしただけなのですよ!! 魅音(冬服): 白状した。 詩音(冬服): 素直に認めましたね。 悟史: 沙都子、お腹出して寝たらダメだよ?風邪引いちゃうから。 沙都子(晴れ着): 出したくて出したんじゃありませんわー!! 圭一(正月着物): にしても、美雪ちゃんが昭和のおかしなところとして自分たちの存在をあげたけどよ……。 圭一(正月着物): 羽入ちゃんが普通に分校にいたのも、おかしなことと言えばおかしなことだったんだな。いや、俺は部活メンバーが増えて楽しかったけど。 美雪(冬服): だとしたら、梨花お姉ちゃんはそのおかしさに早々に気づいてたってこと? 梨花(晴れ着): ……違和感があったのは、確かなのです。 梨花(晴れ着): だけど、何かがおかしいと思っても原因がわからないから対処のしようがありませんでしたのです。それに……。 羽入(晴れ着): それに? 梨花(晴れ着): 対処したことで、羽入が消えてしまう可能性がある。そう思ったら……このままの方がいいのかもしれない。 梨花(晴れ着): そんな後ろ向きな思考のせいで、対処が後手に回ったのもまた事実なのですよ。 詩音(冬服): えぇ……私も、梨花ちゃまと同じですね。自分では整理をつけていたつもりでも、欠けていた「要素」がどうしても我慢できなかった……。 梨花(晴れ着): みー……つまり、悟史の存在がメイン一部では消されていたから、詩ぃは二部で魅ぃと入れ替わってあんな凶行を起こそうとしたのですか……? 詩音(冬服): ……惑わされた結果だと笑ってください。まぁ、その二部でも悟史くんが一度もむぅ、って言ってくれなかったのは悲しかったですけどね。 悟史: あれは、新しいお父さんに忠告されて……変に思われるかもって。 詩音(冬服): 可愛いからいいじゃないですか! 悟史: い、いや、でも……むぅ。 圭一(正月着物): 忠告を素直に受け入れたってくらいは、新しいお父さんとの関係が変わってたってことだよな? 沙都子(晴れ着): 変化が多すぎますわね……確かにそんな状況で下手に否定していたら何が起きたかわかりませんもの。 菜央(着物): 最善ではなかったかもしれないけど、最悪の一手ではなかったのかもしれない……ってことかしら。 田村媛命: ……神同士の影響は、その比ではない#p也#sなり#rや。 采: まったく、今回は巻き添えで酷い目に合わされたのです。 羽入(晴れ着): #p田村媛#sたむらひめ#r! 采!参加してくれて嬉しいのですよ~! 采: 一応、我の『御子』も参加しているので。 田村媛命: 吾輩の『御子』は、多数参加している也。一穂、美雪、菜央、怜……間接的には灯もか。 圭一(正月着物): え、そうなのか……? レナ(正月着物): 一穂ちゃんの『御子』ってことは、確かにそうだね。灯ちゃんから見たら、お婆ちゃんってことなのかな? 一穂(正月着物): そうだ、田村媛さまたちこそ、これからどうするんですか? 田村媛命: どうもこうも……吾輩は自分の土地を守護するだけ#p哉#sかな#r。 采: 我はまた眠りにつくのですよ……青い花壇を支配する隙が生まれる、その時まで。 菜央(着物): ゆ、油断できない神様ね……。 美雪(冬服): 今回は目的がかみ合っただけで、善良な神様ってわけじゃないからね。……この神様は。 美雪(冬服): で、肝心の『御子』である灯と怜と川田さんはどこに……。 川田: あんた本当に節穴ですか?!ちゃんと目ぇ見えてます?! #p公由怜#sきみよしれい#r: お前のその細い目と比べたら一目瞭然だろう? 川田: っ、はぁ~?!十分に視界は確保されてますが、あんた言っちゃいけないことを言いましたね?! 川田: 綺麗にアイシャドウ塗れてやったぁって喜びながら目を開けた瞬間、全てがまぶたの下に格納!グラデーションも全部死ッ!! 川田: そんな糸目の苦労は、見た目だけつぶらな節穴お目々のあなたにはわからないでしょうけどね~?! #p公由怜#sきみよしれい#r: 言ったな家庭内殺人鬼! 川田: なんですか親放置野郎!あんたがとっとと親ふたりをどうにかしてたら、ここまでの惨劇にはならなかったんですが~?! 灯: 落ち着くんだ、あおい! そして怜!あおいは年下なんだから、もう少し手加減をね?! #p公由怜#sきみよしれい#r: 二十歳超えたら年齢なんて誤差だ誤差!だいたい、なんであーちゃんはあおい寄り?! 灯: そ、それは……ほら、あおい可愛いから!だからその可愛さに免じて手加減を……。 #p公由怜#sきみよしれい#r: 仲良くなったのは僕の方が先だろう?! 灯: んぇー……。 美雪(冬服): おぅ、すごい爆弾発言が飛び交ってる。もう灯さん収拾つけられなくなってない? 圭一(正月着物): 平成って、すごいんだな。 麗: あおちゃん、怜くんも。少し落ち着いて……。 毬野: いやぁ、にぎやかですね~! たーのしーっ! 喜舟: 殴り合いするならリング用意するか? 戸佐: おぉ、キャットファイト。 河上: キャットファイトって、女同士での戦いをそう言うんじゃ……いや、確かにそれっぽいが。 比護: お茶を用意しました。飲んで落ち着いてください。 赤坂: 二人とも、少し落ち着いて。……主義主張はわかるけれど。 千雨の母: ……これは疲れるまで喧嘩させたほうが、お互い発散にもなっていいのかもしれません。 雪絵: そうね、酔っ払ったパパたちがつかみ合いの喧嘩して社宅のトイレ壊した時に比べればまだ可愛い方だもの。 千雨の父: ぐぅっ?! 入江: 大人だからこそ譲れないものもありますからね。私もメイド服ナンバーワンを決めろと言われたら相手と戦う所存です。 大石: んっふっふっふっ!いやー、平成もなかなか楽しそうですなぁ!! 鷹野: 誰か、お酒を貰えないかしら。ちょっと酔いたい気分なの。 富竹: はい、どうぞ。アルコール度数低めのカクテルだって。 鷹野: ……ありがとう。 富竹: 前にお疲れ様会で出てた平成の鷹野さんは偽物だったんだね……すっかり騙されたよ。 鷹野: くすくす……あの時、昭和で面識のあった人たちとは誰も直接会っていなかったものね。 鷹野: ジロウさんなら、直接見ればすぐにわかったんじゃないかしら。私の入れ替わりを完遂させるために、消されたくらいだもの。 富竹: 鷹野さん……。 鷹野: 私が殺した名も無き……いえ、名も知らない#p雛見沢#sひなみざわ#r住人にまさか計画だけじゃなくて、名前どころか戸籍も乗っ取られるなんてね。 富竹: 復讐がよくないっていうのは、そういう意味があるのかもしれないね。 富竹: 強い意思も……人生も。誰かに奪われ、より酷い惨劇を引き起こす材料にされる。 鷹野: ……それでも同じ状況になったら、私は何度でも復讐を遂げようと繰り返してしまうのでしょうね。 富竹: だったら、その度に僕が止めるよ。 鷹野: あら、止められるかしら? 富竹: うん。今度こそ、期待してくれていいよ。 灯: あおいと怜が仲良しだと、あーちゃん嬉しいなっ!ゆぷぃゆぷぃ! 川田: その変な鳴き声やめてくれませんか、腹立つ!! #p公由怜#sきみよしれい#r: これはこれで可愛いだろうが余計なこと言うな!! 美雪(冬服): おぅ、カオス。 一穂(正月着物): 頑張れ、お兄ちゃん! 菜央(着物): 今どっちかに肩入れするのやめなさい。収拾つかなくなるから……ん? 巴: あー、疲れたー。なんであの子たちあんなに喧嘩するのかしら。 #p藤堂夏美#sとうどうなつみ#r: すみません……誰か、南井さんにお茶をあげてもらえませんか? 魅音(冬服): はい、南井さん。お茶どうぞ。 巴: ありがとー、生き返ったわ。 沙都子(晴れ着): 警察関連施設と聞いていましたから、もっとお堅いのかと思いましたが……意外に楽しそうな職場ですのね。広報センター。 巴: 楽しいわよ。自己主張強くてメチャクチャだけど。 #p藤堂夏美#sとうどうなつみ#r: でも、惨劇が起きなければ……南井さんが館長になることもなくて。 #p藤堂夏美#sとうどうなつみ#r: あの広報センターの面々が集まることもないんですよね? 巴: それは……そうね。でも、大丈夫よ。 巴: 惨劇が起きても、起きなくても。悲劇が起きても、起きなくても。 巴: 真面目に腐らず頑張っていれば、いつか何かしら楽しい出会いがあって……。 巴: 一番に望んだものじゃないかもしれないけど。それはそれで得られるものがあるわ……私みたいにね。 #p藤堂夏美#sとうどうなつみ#r: 南井さんって惨劇が起きなかったら、お子さんが生まれている未来もあるみたいですよ。 巴: そうなの?私は未婚のままここまできちゃったけど、そういう未来もあるのね。 巴: あぁ、でも子どものことは子を産んだ別の私が大事にしてくれるでしょうし。 巴: 私は私が選んだ道で、出会った子を大事にするだけよ。夏美さんたちみたいな子をね。 #p藤堂夏美#sとうどうなつみ#r: …………。 巴: 私が言うまでもないけれど……旦那さんと仲良くね、夏美さん。 #p藤堂夏美#sとうどうなつみ#r: ……はい。 圭一(正月着物): なんだろうな……広報センターって、大人の部活って感じがするな。 圭一(正月着物): あぁいう場所があるかもって思ったら、大人になるのがちょっと楽しみになるな。 一穂(正月着物): 税金を使った部活……? 菜央(着物): 贅沢で話が収まらないわね。 羽入(晴れ着): あぅあぅ、失敗してもその後頑張って真面目に生きているなら、そういう贅沢は特権なのです! 魅音(冬服): 園崎家には無関係な特権だけどねぇ。 詩音(冬服): まぁ、うちの家はそうなるでしょう。 魅音(冬服): これから10年で、どれだけ園崎家を一般系に切り替えられるかが勝負だね……。 巴: 暴対法成立まで頑張ってよー! 魅音(冬服): はーい。 美雪(冬服): 警察に励まされる園崎家……不思議な光景だ。 梨花(晴れ着): みー。それがお疲れ様会の特権なのですよ。 Epilogue: 圭一(正月着物): ほらほらみんな、集合ー!! 圭一(正月着物): 最後はここで挨拶と記念撮影だ。ほら、みんな並んで並んで! 一穂(正月着物): 私、美雪ちゃんと菜央ちゃんの隣がいいな。 美雪(冬服): お、おう。いいけど……どうしたの? 菜央(着物): 今まで言わなくても普通に横に立ってたのに……わざわざ自分から言い出すなんて初めてじゃない? 一穂(正月着物): ……絶対に、隣がよかったから。 一穂(正月着物): これから私は、みんなと隣じゃなくて後ろに立つことになるから……。 一穂(正月着物): これが、隣にいられる最後かもしれないもん。 千雨(冬服): あ? 神様なら後ろにいなきゃって決まりがあるのか? 一穂(正月着物): え、えっと、決まりではないかもしれないけど……。 美雪(冬服): 決まりがあるわけじゃないなら、いつでも隣においでよ。 一穂(正月着物): い……いいのかな? #p公由怜#sきみよしれい#r: いいと、思う。 一穂(正月着物): お兄ちゃん……? #p公由怜#sきみよしれい#r: 本人たちがいいって言ってるんだから。 一穂(正月着物): う、うん……。 #p公由怜#sきみよしれい#r: 一穂。 一穂(正月着物): ……な、なに? #p公由怜#sきみよしれい#r: 一穂の人生は、どう足掻いても袋小路だった。惨劇の中でしか生まれない命で……他の人生や、もしもが介在する可能性もなかった。 #p公由怜#sきみよしれい#r: それでも……生まれてきて、よかったか? 一穂(正月着物): ……………………………………………………………………。 一穂(正月着物): うん。 一穂(正月着物): 私、後悔してないよ。生まれてきたことも、見習いだけど……神様になったことも。 一穂(正月着物): ずっと、美雪ちゃんと菜央ちゃんの側にいられて……一緒にいたいって思える人に、出会えたこと。 一穂(正月着物): 幸せだったって、胸を張って言えるから。 絢花(私服): 一穂さん……。 一穂(正月着物): 大丈夫だよ、絢花さん。 一穂(正月着物): 絢花さんの病気は、私たちが出会った「世界」より治療の発見が少しだけ遅くなって……元気になるのに、時間がかかるかもしれない。 一穂(正月着物): でも、絶対に治るから。……神様の保証付きだよ。 一穂(正月着物): そして事故は起きないし、ご両親も側にいて……絢花さんが幸せになる「世界」は存在する。 一穂(正月着物): それに、平成には私の御子みたいな楽しい人もいるから……ね? 灯: そうそう。私がいるよー! 絢花(私服): そちらは遠慮します。 川田: やーい、断られてやんの。 灯: しょぼん。 #p公由怜#sきみよしれい#r: あ、あーちゃん元気出して……。 灯: 大丈夫! 私は可能性世界の旅人!諦めるという文字は辞書に存在しない! 灯: 平和な……公由一穂が生まれ、私が怜やあおいと出会うカケラを絶対見つけるんだ! #p公由怜#sきみよしれい#r: ……うん。 川田: 私は遠慮します。 灯: ふふふ、嫌がっても見つけてみせるよ! 川田: ホラーじゃないですかやめてください。 圭一(正月着物): わっはっはっは!平成も楽しそうだな! 魅音(冬服): その言い方だと昭和が楽しくないみたいだねー? 沙都子(晴れ着): あらあら、昭和を楽しくするのは私たちですわよ? 悟史: そうだね。自分たちの意思で、楽しくしていかないと。 詩音(冬服): その通りです! 私たちの時代なんですから! 梨花(晴れ着): みー。そして楽しい昭和は平成に……そしてさらに未来へと繋がっていくのですよ。 羽入(晴れ着): 10年後も、また20年後も胸を張って生きて行くためには今が大切なのです。あうっ。 レナ(正月着物): そうだね。終わるべき時に、終わらせてそしてまた、新しく進んでいけるんだと思う。 美雪(冬服): 楽しいパーティーはこれでおしまい、かぁ。寂しいけど、寂しいと思えるうちが華ってやつか。 菜央(着物): えぇ。だってあたしたちには、未来があるんだもの。 菜央(着物): 惨劇が起こらない保証なんて皆無の、険しいだけの未来かもしれないけど……。 菜央(着物): 大事な友達が、見ててくれるんだから 菜央(着物): ……センスのないことは、できないわ! 美雪(冬服): だね! ということで、これが終わったらまた精一杯頑張ろう! 美雪(冬服): ってわけで、一穂!名残惜しいけど、最後の挨拶ヨロシク!! 一穂(正月着物): う、うん……! えっと、こほん。 一穂(正月着物): 改めて、『ひぐらしのなく頃に命』は、みなさまのおかげでメインストーリー完結を迎える事が出来ました。 一穂(正月着物): 本当に、本当に……ありがとうございます! 一穂(正月着物): あなたが私たちの存在を知ってくれなければ。私たちの運命を、最後まで見届けてくれなければ。 一穂(正月着物): 私たちのカケラは、存在できませんでした。 菜央(着物): これをみてくれてる、あなた……自分たちのおかげで惨劇を打ち破ったって、胸を張ってもらえると嬉しいわ。 美雪(冬服): 運営スタッフ一同を代表して、お礼を言うね!本当にありがとう!! 一穂(正月着物): それじゃ、せーのっ! みんな: 『ひぐらしのなく頃に命』、応援ありがとうございました! みんな: 『ひぐらしのなく頃に命』、応援ありがとうございました! みんな: 『ひぐらしのなく頃に命』、応援ありがとうございました! みんな: 『ひぐらしのなく頃に命』、応援ありがとうございました!