Part 1: 魅音(冬服): えー……こほん。今回の取り違え誘拐事件、レナを筆頭にみんなには大変ご迷惑をおかけしました! 魅音(冬服): 本当に、申し訳ない! 一穂(冬服): あ……頭を上げて、魅音さんっ。 レナ(冬服): そうだよ。魅ぃちゃんは何も悪くないよ! 美雪(冬服): そうそう。悪いのは服を取り替えたくらいで2人を間違えて誘拐した犯人たちだ! 美雪(冬服): ……と言いながらも、正直私は犯人がどうしてレナと魅音を間違えたのか、まーだ納得できてないんだよね……。 菜央(冬服): 犯人の頭が悪かったってだけでしょ? 沙都子(冬服): そもそも頭がいい人は、お金目当てで誘拐なんてしませんわ~! 梨花(冬服): みー、沙都子の言う通りなのですよ。 羽入(冬服): あぅあぅ……うろ覚えで誘拐するなんて、よっぽど追い詰められていたのでしょうか? 魅音(冬服): みたいだよ。余罪がゴロゴロと出てきたしさ。 魅音(冬服): そいつらは今頃警察とウチの弁護士とその他諸々で搾り取られている頃だろうね……くっくっくっ! 一穂(冬服): (「その他諸々」が何かぼかされてる分、一番怖い気がする……自業自得だけど) 沙都子(冬服): それで、今日はどういった要件で呼ばれましたの? 魅音(冬服): あー、うん。実は招集をかけたのって、菜央の要望なんだよね。 羽入(冬服): あぅ? 菜央はどうしたのですか? 菜央(冬服): あの騒動で汚れた、魅音さんが着るレナちゃんの服を作り直したのよ。 美雪(冬服): ……なんか言葉だけ聞くとややこしい感じだね。 梨花(冬服): ということは菜央、もう完成したのですか? レナ(冬服): はぅ~っ、そうなの!やっぱり菜央ちゃんはすごいよね~♪ 菜央(冬服): っ、か……型紙はもう作ってあったから、少し素材を買い足すだけでなんとかなったわ。 美雪(冬服): あー……ついででいいから素材の他に、使い倒した私と一穂の労働力もちゃんと要素に付け足しておいて~。 一穂(冬服): …………。 沙都子(冬服): あぁっ、美雪さんと一穂さんが遠い目に?! 羽入(冬服): な……何をどうしたらこんな風に「疲れ切った」を通り越して、カサカサに朽ちた感じになるのですか……? 菜央(冬服): あー、そっちは放っておいていいわよ。どうせあと数時間もすれば元に戻るんだし。 菜央(冬服): それに、あの事件から魅音さんの元気がないってレナちゃんに相談されたんだから、あたしたちが頑張るしかないじゃないの。 魅音(冬服): えっ……? レナ(冬服): はぅ……ごめんね。やっぱりまだ魅ぃちゃん、あの事件のことに責任を感じているのかなって。 梨花(冬服): みー。魅ぃの元気がないのは、ボクも気になっていたのです。 魅音(冬服): えっと……そんなに露骨だった? 美雪(冬服): 露骨ではないけど、時々目線が宙を漂ってることはあったかなぁ。 羽入(冬服): あ、それは僕も見たことがあったのですよ。 魅音(冬服): そっか……気づかなかったなぁ。ごめんねみんな、心配をかけて。 一穂(冬服): だから、魅音さんが謝ることはないと思うんだけど……。 レナ(冬服): それでレナ、菜央ちゃんたちと相談したんだ。新しい衣装を作り直したら、魅ぃちゃんも元気を出してくれるかな……って。 レナ(冬服): だから、魅ぃちゃん。もしよかったら、レナの服を着てやってみたかったことを教えてくれないかな? かな? 魅音(冬服): は? やってみたかった……こと? レナ(冬服): うん。最初は予定通り、写真撮影を中心にしようって話をしていたんだけど……。 レナ(冬服): 美雪ちゃんがね、魅ぃちゃんは本当のところその服を着て、やってみたいことがあるんじゃないかな、ってね。 梨花(冬服): みー。美雪は何か、心当たりがあったのですか? 美雪(冬服): 心当たりとは違うかもしれないけど……私、子どもの頃って制服姿の中学生がすっごい大人に見えてさ。 美雪(冬服): 自分もいつかあんな感じに制服を着て友達と街を出歩いたりするんだー、って親に言ってたことを思い出したんだよ。 沙都子(冬服): あー、私もそんなことがありましたわ。年上の人が着ている制服って、なんとなく憧れのようなものを感じるものですしね。 梨花(冬服): みー。ボクもお嬢様たちが着るような制服を着て、学園の広い庭でお茶会を楽しんでみたいのですよ。 一穂(冬服): だから、魅音さんも写真以外でレナさんの服を着て、何かやりたいことがあったんじゃないかな……って話になってね。 梨花(冬服): みー。どうなのですか、魅ぃ? 魅音(冬服): え、あ、うーん……それは……。 沙都子(冬服): あるのでしたら、今のうちに白状した方がいいですわよ。 羽入(冬服): あぅあぅ! 僕たちもお手伝いするのです!きっとそのために集められたのですよ~! 魅音(冬服): あ、いや……手伝ってもらうようなことじゃ……。 レナ(冬服): はぅ……手伝ってもらうほどでなくても、何かやりたいことはあるんだねっ。 魅音(冬服): うっ……ま、まぁ……。実は、前からちょっと思ったんだけどさ。 魅音(冬服): レナが過ごしている1日って、私とはどんな風に違っているんだろう……とか……。 レナ(冬服): じゃあ、一緒に過ごしてみよっか! 魅音(冬服): へ……? Part 2: 菜央(冬服): というわけで本日、これより魅音さんの「1日レナちゃん体験」がスタートよ、羨ましい! 美雪(冬服): おぅ、菜央。最後に隠しきれない本音がこぼれてるよー。 一穂(冬服): ま、まぁまぁ……今日の主役は、魅音さんだしね。 魅音(レナコス): よ、よろしくお願いします。 レナ(魅音コス): あはは、そんなに固くなっちゃったらなんだかレナまで緊張しちゃうよ……。こちらこそ、よろしくお願いしますっ。 一穂(冬服): けど、「レナさん体験」って何をするの? レナ(魅音コス): 今日はお休みだから、レナと1日過ごして真似っこをしてもらうのはどうかな、かな? レナ(魅音コス): 本当は、レナの家でやった方がいいと思うんだけど、家はお父さんがいるから……ね。 魅音(レナコス): まぁ、こんな妙なことにレナのお父さんを巻き込むわけにはいかないからねぇ。 魅音(レナコス): ……とか言いながら、一穂たちはしっかり巻き込んじゃってるけどさ。 菜央(冬服): 遠慮しないで。何をするにせよ、場所は必要だもの。 魅音(レナコス): けど、暖房ガンガンつけてくれているのって私のため……だよね? 美雪(冬服): そりゃ、そうでしょ。室内とはいえ、暖房なしで半袖とか、凍え死ぬっての! 一穂(冬服): ……さすが、寒さに弱い美雪ちゃんだね。 レナ(魅音コス): はぅ……説得力がすごいよ。 一穂(冬服): けど、ニュースで今日は昼過ぎからかなり暖かくなるって言ってたよ。外の雪も、午前中には溶けきるだろうって。 魅音(レナコス): だったら午前中は、室内にこもっておいた方がよさそうだね。……で、レナは何をする予定? レナ(魅音コス): とりあえず、お昼ご飯を作ろうかなと思って。家からいつも使っているお醤油にお味噌、色々と持ってきたよっ! 魅音(レナコス): ありがとう。改めてよろしくね、レナ! レナ(魅音コス): あはははは、こちらこそっ。 レナ(魅音コス): はぅ……魅ぃちゃん、そんなに手元を見つめられたら、キュウリが切りづらいよぉ。 魅音(レナコス): あー、ごめんごめん!……レナって漬物のキュウリを結構厚めに切っているんだな~って思ってさ。 レナ(魅音コス): 魅ぃちゃんは、薄めの方が好きかな、かな? 魅音(レナコス): うーん、そういうわけじゃないけど……私が切ると、ちょっと薄いって言われるんだよね。 レナ(魅音コス): もしかして魅ぃちゃんの家のお漬物は、わりと長く浸けているんじゃないかな? かな? レナ(魅音コス): 魅ぃちゃんの味覚だと、分厚いとしょっぱすぎるから薄めに切っちゃうって可能性はあると思うよ。 魅音(レナコス): あっ、そ……そうかも!なるほど、だからか……。 美雪(冬服): おー、やってるやってる。 菜央(冬服): …………。 美雪(冬服): ちょっと菜央さん、どうしたそのお顔は。 菜央(冬服): なんでもないわ。あたしたちと魅音さんじゃレナちゃんと過ごした時間が違うんだもの。だもの……。だもの……。 美雪(冬服): おぅ、一生懸命自分に言い聞かせて嫉妬を押さえ込んでる……ねぇ、一穂。 一穂(冬服): ふわぁ……いい匂い……おいしそぅ。 美雪(冬服): おぅ、こっちはこっちで人の話を聞いてねぇや。 レナ(魅音コス): お昼ご飯、完成でーす! 一穂&美雪&菜央: いっただっきまーす! レナ(魅音コス): はいどうぞ、めしあがれ~。 一穂(冬服): はぁ……おいしいよぉ。 菜央(冬服): えぇ、おいしいわ。 美雪(冬服): うーん、おいしいねぇ。 魅音(レナコス): うーん……。 レナ(魅音コス): はぅ、魅ぃちゃん。もしかして口に合わなかった? 魅音(レナコス): い、いやいや、そんなことないよ!いつも通り、すっごくおいしい! 魅音(レナコス): ……ただ、レナのレシピで作ると自分の時とは完成した味が違うなぁってさ。食材を調理する順番も、全然違ったしね。 魅音(レナコス): レナと一緒に料理するのって、別にこれが初めてじゃないけど……。 魅音(レナコス): やり方をマネするって決めてやってみると、料理1つでも全然違ったものになるってことがよくわかるねー。 魅音(レナコス): やっぱり、下処理が丁寧だからかな?私、結構適当にやっちゃうからさ。 レナ(魅音コス): でも、魅ぃちゃんはすごく手際がいいと思うよ。 魅音(レナコス): ウチは人がたくさん集まることがあるから、手早く大量に作る必要があるんだよ。 美雪(冬服): 生活様式で、料理のやり方も変わるってことだね。 魅音(レナコス): 今度からはもうちょっと丁寧に処理しようかな?……うん、参考になるなぁ。 菜央(冬服): 色々と発見があったみたいだけど……どう、レナちゃんの真似はうまくできそう? 魅音(レナコス): なかなか険しいねぇ。……そういえば、一穂は?さっきからずっと喋っていないけど……。 一穂(冬服): ……もぐもぐ。 菜央(冬服): 幸せそうな顔でずーっと黙って食べてるわ。 レナ(魅音コス): はぅ……おいしそうに食べる一穂ちゃん、かぁいいねぇ。 魅音(レナコス): ホント、なんか子犬みたい。こりゃ餌付けしたくなるわ。 美雪(冬服): おぅ、意見が一致した。 菜央(冬服): あ、あたしもおいしそうに食べれるわよ! 美雪(冬服): おいおい。そこは張り合うモンじゃないでしょうが。 レナ(魅音コス): あははっ。 一穂(冬服): もぐもぐ……。 魅音(レナコス): さーて、ご飯食べたらこれからどうする? レナ(魅音コス): そうだね……お茶碗を洗ったら、午後から宝探しに行こうかなって思ってたんだけど。 レナ(魅音コス): ……うん、今日はやめておくね。 美雪(冬服): えっ、なんで? 魅音(レナコス): あ……もしかして、前にゴミ捨て場の雪は溶けにくいって注意したことを覚えていたの? レナ(魅音コス): うん。濡れると足元が滑りやすいから、この格好だと危ないかなって思ってね。 レナ(魅音コス): だから魅ぃちゃんには、レナのワガママに付き合ってもらっちゃうことになるんだけど……それでも構わないかな、かな? 魅音(レナコス): もちろん、いいよ。元々私のワガママにつきあってもらってるんだしさ。 魅音(レナコス): いや、待てよ……。この謙虚さが、レナっぽさでもある? 魅音(レナコス): なるほど……そうか、なるほど。 レナ(魅音コス): な、なんだか魅ぃちゃんにじーっと見られると照れちゃうね……はぅ。 美雪(冬服): んー、照れながら見つめ合ってるところ悪いんだけど、これからどうするのか聞かせてもらってもいい? レナ(魅音コス): えーっとね……。 レナ(魅音コス): あっ、そうだ。この後、竹を刈りに行く用事があったことを思い出したよ。 魅音(レナコス): えっ、……竹を、刈りに……? 美雪(冬服): えっ、竹を刈るって……桃太郎? 菜央(冬服): 桃太郎は川。竹はかぐや姫でしょ。 一穂(冬服): もぐ……? 魅音(レナコス): よ、いっ……しょぉっと! 一穂(冬服): すごい、あっと言う間に竹が切り倒されていく! 美雪(冬服): ナイス二刀流! 菜央(冬服): なによそのかけ声。剣豪じゃないんだから。 魅音(レナコス): あはは、でも気分は剣豪みたいだね!とぉ……りゃぁっ!! レナ(魅音コス): はぅ~、魅ぃちゃんかっこいい~! 魅音(レナコス): ありがと~!やっぱりレナと言えばこれだよね! 魅音(レナコス): どおぉ、りゃあああっ!! 美雪(冬服): おー、すごいすごい。まぁ確かにすごいけど……。 美雪(冬服): これって、どういう意味? 魅音(レナコス): いやー、前に町内会で草むしりした時に、レナが二刀流でえらい勢いで竹を刈っていってさぁ。 菜央(冬服): なにそれ、初耳だけど。 魅音(レナコス): あ、そっか。3人が村に来る前の話っていうか、レナが転校してそこまで経ってない頃だっけ。 魅音(レナコス): あれを見て思ったんだよね……この子はただ者じゃない、ってさ! レナ(魅音コス): はぅ……そ、そうだったの……? 魅音(レナコス): そうだよ~。だから私の中だと、レナで草刈りと言えば「鉈二刀流」なんだよね! 菜央(冬服): えっと……それはわかったけど、なんでレナちゃんが竹を切り倒す必要があったのかしら? 一穂(冬服): と、いうか勝手にこんなことをしちゃって大丈夫なのかな……? レナ(魅音コス): あははは、平気だよ。ここはね、レナの家の近くに住んでいるお婆さんの土地なんだ。 レナ(魅音コス): 前はお婆さんが手入れしてたんだけど、腰を悪くしてから外に出られないんだって。 レナ(魅音コス): でも、竹が元気すぎて道にはみ出して困っているみたいだったから……。 菜央(冬服): それでレナちゃんが、お手伝いをしてあげているのね……? 美雪(冬服): あー、竹って成長早い上にちょっと放置してたらたけのこがポコポコ生えてくるからねぇ。 レナ(魅音コス): 「雨後のタケノコ」とか、よく言うよね?だから春になる前の今にやる必要があったの。 魅音(レナコス): うーん、こうして近所のお年寄りにも頼りにされてるのがレナってことか。 魅音(レナコス): というより、頼みやすさ……親しみ、かな? レナ(魅音コス): あははは。そう言って魅ぃちゃんも、色んな人に頼りにされているよね? 魅音(レナコス): いやー。私が村で何かを頼まれる時って、園崎家の魅音ちゃんに相談って感じだからねぇ。 美雪(冬服): あのさ、話し込んでるところ悪いけど……魅音もレナも、寒くないの? レナ(魅音コス): え? ううん、あんまり。 魅音(レナコス): むしろ動き回って、ちょっと暑いくらいだね。 魅音(レナコス): レナのこの服、寒くないのかなって思ったことがあるんだけど、そこまでじゃないみたいだねー。 魅音(レナコス): いや、見かけ以上に動きやすい!……ちょっと足が出過ぎな気がするけどさ。 レナ(魅音コス): はぅ……気に入ってくれて嬉しいよ。それもこれも、菜央ちゃんのおかげだね。 菜央(冬服): あ、あたしは特別なことは……。 美雪(冬服): おぅ、2人ともいろんな意味ですごいや。私なんてもう寒くなってきたんだけど……ぶるぶる。 菜央(冬服): あんたは逆に、寒さに弱すぎよ。 一穂(冬服): でも日が落ちて少し風が冷たくなってきたね。竹もかなり切ったし、そろそろ大丈夫じゃないかな? レナ(魅音コス): うん、もうこのくらいで大丈夫だよ。お片付けしたら持ってきた上着を来て、一穂ちゃんたちのお家に帰ろう。 魅音(レナコス): ……うん。 Part 3: レナ(魅音コス): はい、あったかいお茶だよ~。 美雪(冬服): おぉ、おいしい……あったまる……。 一穂(冬服): それで、魅音さんどうだった? 菜央(冬服): レナちゃんと同じように、過ごしてみたご感想は? 魅音(レナコス): うーん、そうだね……。1つ、わかったことがある。 レナ(魅音コス): はぅ……なにかな? かな? 魅音(レナコス): レナと同じ服を着ても、レナと同じようには振る舞えないってこと。 魅音(レナコス): ……まぁ当たり前のことだけどさ。 魅音(レナコス): なんだろうね。今日が来るまでレナってこんな感じだよね、みたいなイメージを自分の中で作ってきたんだよね。 魅音(レナコス): でも、実際のレナを見てると、あれ? なんか思ってたのと違う?……って思うことが多くてさ。 魅音(レナコス): 自分なりにレナっぽく頑張ってみたけど、なんか上手くいかなかった理由がわかったよ。 魅音(レナコス): そもそも私の中のレナのイメージが、実物のレナとズレていたんだよね。それじゃ、マネができないはずだよ。 レナ(魅音コス): はぅ……そうかな? 美雪(冬服): どうですか、菜央さんの目からそのあたりは。 菜央(冬服): なによその、アナウンサー風のコメントは。 菜央(冬服): けど、そうね……確かに魅音さんがレナちゃんのマネをしてるのはわかるけど、竹の切り方一つとっても違ったわね。 魅音(レナコス): やっぱりそっか。かなり頑張ったつもりだったんだけどなぁ。 レナ(魅音コス): はぅ……やっぱり、気づいていなかったんだね。 魅音(レナコス): えっ……な、何が? レナ(魅音コス): レナのゴボウの、下処理の仕方。あれって、少し前に魅ぃちゃんと一緒にお料理した時の方法をマネしてるんだよ。 魅音(レナコス): えっ、そうだったの? レナ(魅音コス): レナもね、今日ちょっとびっくりしたんだ。魅ぃちゃんのマネをしていたつもりが、いつの間にか違うやり方になっていたんだなって。 レナ(魅音コス): ……なんだか不思議だね。 レナ(魅音コス): マネしたつもりが、いつの間にか少し違って。でもそれが、いつの間にか自分のものになって……。 レナ(魅音コス): マネしていたつもりのことが、自分を通じて全然違うものになっていることがある。 レナ(魅音コス): だけどね、いつか違う風になるとしてもレナ、これからも魅ぃちゃんのいいところはた~っくさんマネしたいなって思っているよ。 レナ(魅音コス): だって、せっかく素敵なお手本が側にいてくれるんだもん! 魅音(レナコス): レナ……。 美雪(冬服): ……なんかさ、肉じゃがってビーフシチューの失敗作から生まれたって話を思い出したよ。 一穂(冬服): えっ……あんなにおいしいのに、失敗作?!どういうこと、美雪ちゃん? レナ(魅音コス): あははは。その話、レナも知っているよ。 レナ(魅音コス): 確か、イギリスで食べた人の話だけでビーフシチューを再現しようとしたら、肉じゃがができたって説があるんだよね。 魅音(レナコス): むしろ話だけで再現させようって方が、よっぽど無茶だと思うけどねぇ。 魅音(レナコス): でもさ、確かにビーフシチューっていわれてから肉じゃがが出てきたら、「これじゃない」ってなるよね。 レナ(魅音コス): でも、肉じゃがってすっごくおいしいよね? 魅音(レナコス): え? それはまぁ……うん。 レナ(魅音コス): これはこれでいいな、って思えたなら、すごく価値のあることだよ。 魅音(レナコス): そうだね……私、レナにいろんなことを教えてもらっているよね。 レナ(魅音コス): あはは。魅ぃちゃんは気づいてないだけでレナもいろんなことを教えてもらっているよ。 レナ(魅音コス): そうだ……レナ、前からずーっと魅ぃちゃんに教えてもらいたいことがあったんだ! 魅音(レナコス): えっ、なんかあったっけ? レナ(魅音コス): 魅ぃちゃんの肉じゃがの作り方!前にお弁当に入っていた時に食べたら、すっごくおいしかったから。 魅音(レナコス): じゃあ、夕飯は一緒に肉じゃがを作ろうっか。 一穂(冬服): わぁい、やったぁ! 美雪(冬服): おぅ、一穂が一番喜んでらぁ。 菜央(冬服): 今回の騒動で一番得したのは、一穂ね。 魅音(レナコス): まぁ、おいしいって感覚に、本物とか偽物とかは関係ないからねー。 菜央(冬服): せっかくだから梨花たちも呼んで、うちでみんなでご飯食べましょう。 美雪(冬服): そうだね。今頃、心配をしてるかもしれないしさ。 魅音(レナコス): 確かに、今日の報告もしたいからね……よーし、おいしいの作るよー!まずは買い物かな! 菜央(冬服): ……の、前にそろそろ着替えましょう。その格好で外に出たら、風邪を引いちゃうわ。 魅音(レナコス): あっ、と……そうだった。脱いだ服、二階のどこに置いたかなぁ……? 美雪(冬服): ……うーん、なんだか締まらないねー。 レナ(魅音コス): あははっ! でもなんだか魅ぃちゃんらしくてレナはだーい好き♪ だよっ!