Part 01: 飛鳥: はぁ、お腹いっぱい~。すっごいおいしかったです! レナ(私服): 本当ですか? よかった~。 斑鳩: ええ、本当に。素朴ですが家庭の温かみを感じられる素晴らしい朝食でした。 雪泉: とてもおいしかったです。毎日こんなにご馳走を振る舞ってもらえるなんて、本当に役得です。 詩音(私服): あはは……といっても張り切って、ちょっと作り過ぎちゃいましたかねー。 梨花(私服): いいのですよ。大勢で食べるごはんは何倍もおいしくて食が進むのです。 飛鳥: ほんとにー! ちょっと食べ過ぎたかもー! 斑鳩: 飛鳥さん、お腹がぽっこり出てますよ。 飛鳥: え……わーー!ちょ、ちょっと修行してきます! 雪泉: 私も、さすがにちょっと食べ過ぎてしまったかもです。 詩音(私服): あ、それなら、ちょっと運動がてらバイトしません? 飛鳥: え? バイトって、アルバイト? 詩音(私服): はい、私のバイト先で今日ちょっとシフトがピンチで。人手が足りなくなりそうなんですよ~。 魅音(私服): エンジェルモート? 詩音(私服): はい……実をいうと、お姉たちに声をかけようかなとか思っていたくらいでして。 レナ(私服): はぅ……レナは別に構わないけど、飛鳥さんたちに頼んでもいいのかな、かな? 沙都子(私服): 私たちならともかく、慣れていない方々にあの衣装は罰ゲームでしてよ……。 飛鳥: ……罰ゲーム? 詩音(私服): あ、いえいえ!健全で優良なホワイト企業ですよ! 菜央(私服): 制服はブラックだけどね。 雪泉: 制服がブラックとは……? 詩音(私服): く、黒を基調にした制服なんですよ~。かわいくて評判なんですよっ。ねえ、一穂さん? 一穂(私服): え? あ、そ、そうだね、うん……ごめんなさい……。 斑鳩: ??? どうして謝るのですか? 一穂(私服): いえ、その……ごめんなさい……。 梨花(私服): 一穂はごめんなさいが口癖なのですよ。エンジェルモートの制服は、確かに可愛くて評判なのです。 レナ(私服): そうそう、遠方からも制服目当てに来店するお客さんがいるくらいなんだよ~。 雪泉: そうなのですか?そんなにかわいい制服なら、とても興味があります。 飛鳥: あははは、雪泉ちゃんはかわいいのが大好きだもんねー。 斑鳩: 2人とも、遊びじゃないんですよ。アルバイトといえども大事な仕事なんですから。 雪泉: あ……す、すみません、私ったら……。 詩音(私服): いえ、こっちも無理は承知なので。そんなに難しく考えないで、気楽な感じで来てくれたらすごく助かります。 飛鳥: うん。だったら私たち、手伝いに行くよ~! 詩音(私服): いいんですか? 飛鳥: 困った時はお互い様だもん。おいしい朝ごはんのお礼もしたいし。ね、みんな? 雪泉: ええ、そういうことならぜひ協力させてもらいたいです。 斑鳩: そうですね、わたくしたちにできることであれば。……で、何をすればいいのでしょう? 詩音(私服): 簡単な接客です。ファミリーレストランなので、注文取ったり運んだりですね。 レナ(私服): レナたちもやったことあるけど、難しくはないよね。 梨花(私服): お客さんたちは踊り子に甘いので大丈夫なのです。 飛鳥: 踊り子って……なに? 踊るの? 斑鳩: 日本舞踊なら少々たしなんでいますが。 詩音(私服): いえいえ、踊らなくて大丈夫ですよ。お触りも禁止なので、安心してください。 雪泉: お触り……? 詩音(私服): とにかく安心安全健全な楽しい職場ってことです。やってもらえると、マジでとっても助かります。 飛鳥: うん、ぜひぜひやらせてもらうよ!お役に立てるかはわからないけど、これも修行だから! 一穂(私服): 修行……なんですか? 雪泉: 飛鳥さんは修行が大好きなんですよね。 詩音(私服): あ、そうなんですね。だったら修行だと思ってもらえれば、バッチリだと思いますよ。 沙都子(私服): そうですわね、……「苦行」とも表現できそうな気がしますけど。 羽入(私服): あぅあぅ、精神力は鍛えられると思うのです。 飛鳥: そんなに大変なんだ……?だったら、気合を入れて臨まないとね! 詩音(私服): 本当ですか? 助かりますー。 美雪(私服): なんか面白そうなことになってきたね。みんなで見に行ってみようか。 レナ(私服): うんうん、みんなで応援に行こう~。 菜央(私服): レナちゃんが行くなら、あたしも! 飛鳥: よーし、お手伝い頑張るぞー!! Part 02: 飛鳥(エンジェルモート): ど、どうかな……? レナ(私服): うわ~、すっごくかぁいいよぉ~! 美雪(私服): うんうん、めちゃくちゃ似合ってる! 斑鳩(エンジェルモート): そ、そうですか?なんだか落ち着かないのですが……。 雪泉(エンジェルモート): ちょっと、布が少ない感じがしますね。 詩音(エンジェルモート): 大丈夫、すぐ慣れますよ。本当に似合っていますし。 梨花(私服): 新人アルバイトを引き留めようと必死なのですよ、にぱー☆ 詩音(エンジェルモート): そ、そういうわけじゃないですよ。実際、似合っているじゃないですか。絶対に人気が出ますって。 圭一(私服): あぁ、それならこの俺様が保証するぜ!飛鳥さんたちがこの店の人気ナンバーワンになる日も遠くないってな! レナ(私服): 圭一くんはもう夢中みたいだよ~。 魅音(私服): でもさ、人気ナンバーワンが3人ってのはおかしくない?圭ちゃんは誰がナンバーワンだと思うのさ? 圭一(私服): え、そ、それはぁ、えぇっと……。 美雪(私服): おぅ、迷ってる迷ってる。 菜央(私服): ていうか前原さん、さっきからずっとどこ見ているの? 圭一(私服): え、どこって……? 圭一(私服): ジーー……。 飛鳥(エンジェルモート): あの……どこを見てるの? 斑鳩(エンジェルモート): そ、その視線はまさか……。 雪泉(エンジェルモート): 邪悪な波動を感じます……! 圭一(私服): ……あ、しまった、つい本能に正直になってしまった! 圭一(私服): でも、3人とも甲乙つけがたいくらい素晴らしくて、1番は選べないですよ! 沙都子(私服): 圭一さん……ごまかして言ってみても、邪な本性がバレバレですわ。 菜央(私服): そうそう、どこを見て言ってるんだか。 圭一(私服): と、とにかく!一番は3人の働きぶりを見て決めさせてもらうぜ! 美雪(私服): なんで前原くんが一番を決める流れになってんのさ? 一穂(私服): だ、だよねぇ……。 詩音(エンジェルモート): まぁ圭ちゃんはともかく、そろそろお仕事開始といきましょう。お店も混んでくる時間ですしね。 雪泉(エンジェルモート): い、いよいよですか。ちょっと緊張します……。 レナ(私服): 飛鳥さんたちなら大丈夫ですよ。レナたちも手伝うことが時々ありますが、お客さんはみんな優しいですし。 詩音(エンジェルモート): そうそう、多少間違ったりミスしたりしても気にしないでいいですから。 圭一(私服): かわいければオッケーですよ! 詩音(エンジェルモート): そういうことです。 雪泉(エンジェルモート): かわいいは正義ですね、わかります! 斑鳩(エンジェルモート): かわいければオッケーというなら、もうこの衣装を着た時点で勝っているのも同然ということですか。 詩音(エンジェルモート): その通り! なので気楽に接客してください。 飛鳥(エンジェルモート): でも、せっかくやるんだからお客さんに喜んでもらいたいよね! 飛鳥(エンジェルモート): それにきっと、これも自分のための修行になるはず! 斑鳩(エンジェルモート): こんなことまで修行にしてしまうのは飛鳥さんらしいですね。 斑鳩(エンジェルモート): でも、確かにわたくしたちにとってはどんなことも修行につながるはずです。 雪泉(エンジェルモート): はい。私たちも飛鳥さんに負けないよう頑張ります。 飛鳥(エンジェルモート): うん、私も負けないよっ! 飛鳥(エンジェルモート): いらっしゃいませ~! 斑鳩(エンジェルモート): お客様、2名様ですか?でしたらこちらのお席にどうぞ。 雪泉(エンジェルモート): 申し訳ありません、ランチはもう終わってしまいまして。はい、こちらのメニューでしたら大丈夫です。 美雪(私服): みんなさすが、忍者だけあって動きがキビキビしてるね。 魅音(私服): ほんとほんと、すごい即戦力だよね。 飛鳥(エンジェルモート): あ、いらっしゃいま……。 飛鳥(エンジェルモート): ひゃあっ!? 男性客: ぎゃああああああーー?!ビーフシチューが頭からぁぁぁ熱っちっちっち! 飛鳥(エンジェルモート): あぁぁあああぁぁぁぁぁあぁっ!も、申し訳ございません~~!! 沙都子(私服): ビーフシチューを頭からぶっかけるとは、#p雛見沢#sひなみざわ#rの鬼もビックリな鬼ですわね……。 羽入(私服): あぅあぅ、熱そうなのです……。 飛鳥(エンジェルモート): お、お客様!こちらで顔をお拭きになってください! 詩音(エンジェルモート): あっ、飛鳥さん、それ雑巾! 飛鳥(エンジェルモート): え? ああぁぁあぁぁああぁぁぁぁぁぁっ!! 菜央(私服): 飛鳥さんは意外とドジっ子キャラなのね。 飛鳥(エンジェルモート): ももも、申し訳ございません~~!! 男性客: うぅ……怒れない……ドジっ子萌ぇぇぇ~~♪ 圭一(私服): エンジェルモートの変態客でよかったな。 梨花(私服): みー、そうでもないみたいなのですよ。 一穂(私服): え……? 飛鳥(エンジェルモート): す、すみません……すぐに新しいものを……。 飛鳥(エンジェルモート): あっ……! 雪泉(エンジェルモート): あ、飛鳥さんっ!? 斑鳩(エンジェルモート): 飛鳥さん、大丈夫ですか? 飛鳥(エンジェルモート): い、イタタタ……ご、ごめんなさい、私、なんだか……手が、震えちゃって……。 雪泉(エンジェルモート): え? 震えって……。 男性客: お姉さん、大丈夫? 飛鳥(エンジェルモート): きゃっ!? 男性客: な、何を驚いているの?ぼくはただ、心配して……。 飛鳥(エンジェルモート): す、すみません……大丈夫です……。 斑鳩(エンジェルモート): 飛鳥さん……? 飛鳥(エンジェルモート): ………。 Part 03: 一穂(私服): ……え、イップス? 一穂(私服): えっと……ごめんなさい、イップスってなに……? 美雪(私服): いわゆる、スランプみたいなものだよ。不調が続いて、悪循環に入ってるって言えばわかるかな? 一穂(私服): な、なるほど……ということは、飛鳥さんの調子が最悪だったってこと? 沙都子(私服): まぁ初めてですし、上手くいかないのは当然だと思いますけど……。 雪泉: いいえ、飛鳥さんならもっとできたはずです。 飛鳥: 雪泉ちゃん……。 斑鳩: わたくしもそう思います。今日は彼女の、実力の半分も発揮できていませんでした。 美雪(私服): みんな、意外と厳しいんだね……。 菜央(私服): 単発バイトにストイックすぎよね。忍者の世界は厳しいのかしら。 一穂(私服): うぅ……私だったら絶対、やっていけないよ……。 詩音(私服): 今日は忙しかったので、しょうがないですよ。というか、あんな修羅場に駆り出しちゃってむしろ申し訳ないくらいです。 飛鳥: ううん、忙しい時に役に立てないなんて手伝い失格だよ。みんなの足を引っ張っちゃって……。 レナ(私服): そんなことないですよ。飛鳥さんもちゃんと役に立って……。 梨花(私服): レナ、こういうことはちゃんと言ってあげた方がいいのですよ。口先だけの情けは余計に人を傷つけるのです。 レナ(私服): あ、あはは……今日はあの……ドンマイです! 沙都子(私服): ……そう言うしかないですわね。 菜央(私服): まぁ……今日はどう見ても飛鳥さんが足を引っ張っちゃってたのは、事実だし。 羽入(私服): それで責任を感じて、よけいに動けなくなってまた失敗……僕にも覚えがあるのですよ、あぅあぅ。 飛鳥: はぁ……私って、なんでいつもこうなんだろ……。 一穂(私服): いつも、なんですか? 斑鳩: やる気はあるのに空回り……いえ、やる気がありすぎるからこそ、なのかもしれませんね。 沙都子(私服): やる気がありすぎて空回り……私にも理解できますわ。 レナ(私服): うん、あるある。みんな同じですよ~。 魅音(私服): そうそう、やる気が無いよりずっといいですし。 飛鳥: みんな……ありがとう……でも、みんなに迷惑かけちゃって……お客様たちにも……。 詩音(私服): 迷惑だなんて全然。熱々のシチューぶっかけられるのなんて、うちのお客さんたちにはごほうび同然です。 飛鳥: うーん、それもなんだかちょっと……。 飛鳥: 私、やっぱりダメだなぁ……。 雪泉: ……飛鳥さん。 飛鳥: う、うん? 雪泉: 私は知ってますよ。飛鳥さんがこれくらいで諦めてしまうような人でないことは。 飛鳥: 雪泉ちゃん……。 斑鳩: ええ、そうですね。わたくしたちがもうダメだと思ってしまうような時ほど、あなたはそれを跳ね返す力を発揮してきた……。 斑鳩: 今度もきっと、このままでは終わらないはずです。 飛鳥: 斑鳩さん……。 美雪(私服): んー、これってそんな大げさな話……? 梨花(私服): みー、忍者の世界は厳しいのです。 飛鳥: うん、2人の言う通り……そうだよね、このままじゃ終われない!私、明日もがんばる! 詩音(私服): え、明日も? 飛鳥: うん! 明日こそは必ず皆さんのお役に立ってみせるから! 魅音(私服): 明日もやるって言ってくれているけど……どうする、詩音? 詩音(私服): ま、まぁ……手伝ってもらえるんでしたら嫌とは言えませんけど。 雪泉: そうと決まれば特訓ですね。 斑鳩: ええ、わたくしも付き合いますよ。 飛鳥: 2人とも、ありがとう!見てて、みんな!私、必ずこの壁を乗り越えてみせるから! 飛鳥: よし! これから特訓する! 一穂(私服): え、これからですか? もう夜ですよ? 飛鳥: 一秒だって無駄にしてられないもん!すぐやらなくちゃ! 飛鳥: よーし、頑張るぞ!明日は絶対完璧な接客をしてみせるんだから! 斑鳩(エンジェルモート): 飛鳥さん、お客様ですよ。 雪泉(エンジェルモート): 頑張ってくださいね、飛鳥さん! 飛鳥(エンジェルモート): うん、行ってくる! 飛鳥(エンジェルモート): いらっしゃいませ!エンジェルモートへようこそ! 飛鳥(エンジェルモート): 3名様ですね!あちらのお席でよろしいでしょうか?ご案内します! 美雪(私服): おー、今日は絶好調じゃないの。 一穂(私服): うん、完璧……もう完全にスランプを克服したみたい。 菜央(私服): まだわからないわよ。こういうのは、もう大丈夫と思った頃に……。 飛鳥(エンジェルモート): あっ……! 雪泉(エンジェルモート): 飛鳥さん、危な……! 飛鳥(エンジェルモート): なんのっ! やあっ! 魅音(私服): おおっ! 宙で3回転して着地したよ! 菜央(私服): 無駄に派手……。 一穂(私服): でも、やっぱりすごいね。 斑鳩(エンジェルモート): 飛鳥さん、昨日の特訓の成果が出てますよ。 菜央(私服): 特訓って……いったいどんな特訓をしたのかしら? 雪泉(エンジェルモート): でも、さすが飛鳥さんです。もう完全復活したみたいですね。 斑鳩(エンジェルモート): ええ、これならもう大丈夫です。 飛鳥(エンジェルモート): いらっしゃいませ~!エンジェルモートへようこそ♪