あとがき
お楽しみいただけましたでしょうか?
作者がこんなことを言うのも何ですが、水野は実に楽しくこの作品を書いています。原稿を書く速度も他の作品に比べれば格段に早い。半日で、連載一回分を書き上げたこともあります。遅筆で名高い水野としては、異例ともいえる速度です。楽しんで書いていればこそ、筆も早くなろうというもの。そして、なぜ楽しんでいるかといえば、この『魔法戦士リウイ』に登場するキャラクターたちがお気に入りだからです。
水野は小説を書くとき、普通、世界設定からはじめます。そして物語の構想をかためて、キャラクターに役割を振り当ててゆく。つまり、最初に世界、物語ありきなのです。
魔法戦士リウイと三人娘らが活躍する物語はこれまでに、『剣の国の魔法戦士』と『湖岸の国の魔法戦士』の二作品を発表していますが、いずれも物語から最初に考えました。どちらも自信作ですが、王国間の謀略をテーマにしているので物語の展開がとにかく厳しい。キャラクターたちを“遊ばせる・余裕はほとんどありませんでした。せっかく女性キャラクターを何人も用意したのに、これではあまり効果がない。
そこで時代を遡って、冒険者であった頃のリウイと三人娘の活躍を描いてみようと思いいたったわけです。
つまり、この『魔法戦士リウイ』のシリーズは、最初にキャラクターありきなのです。
ヤングアダルト小説ではある意味、主流とも言うべき手法なのですが、水野は今までこの手法を使ったことはありません。使うのを嫌っていたのではなく、ただ単に使う機会がなかっただけです。しかし、今回はキャラクターを活躍させるのが作品の目的。それならば、この手法を存分に使ってみようと思い、ドラゴンマガジン誌上で掲載をはじめたわけです。
初めて使った手法なので、最初の頃は苦労もしましたが、何回か掲載してゆくうちに次第に慣れてきました。連載になった今では、完全に手の内に入れたつもりでいます。それとともに、最初にも言いましたが、書くのが楽しくなってきたわけです。作者自身が楽しいのだから、読者にも伝わるに違いないと思っています。
キャラクターを活躍させるために書きはじめた小説ですが、『魔法戦士リウイ』の背景世界はあくまで「ソードワールド」。ゲームデザイナーの一人として、その設定には従っているつもりです。制約が多いことを、水野はそれほど気にしません。架空世界ならばこそ現実感が必要だというのが僕の持論で、そのスタンスを変えたわけではないのです。架空世界の法則に従っていても、魅力的なキャラクターを描くことは十分に可能。キャラクターの魅力を引き立たせるための物語を用意すればいいだけですから。
読者のみなさんにも、お気に入りのキャラクターを見つけてもらえれば嬉しいかぎりです。キャラクター中心でゆくと宣言している以上、期待倒れに終わらないよう頑張るつもりです。どうか、応援よろしくお願いします。
最後に、これからの予定ですが、『魔法戦士リウイ』のシリーズはドラゴンマガジン誌で連載を行いつつ、「試練編」という書き下ろしも、同時に展開してゆきたいと思っています。最終的には『湖岸の国の魔法戦士』の続編、『砂塵の国の魔法戦士』、それに続くソードワールド最大最後の事件へと突入してゆくわけですが、それは将来の楽しみということで、しばらくのあいだリウイたちには冒険者稼業に励んでもらうつもりでいます。