
「そのエルフに困ることがあるとすれば、木に登って、枝を切り落としたことしか考えられないんだから」
「……そうだな」
いろいろと反論を考えてみたが、リウイにも
エルフ族は森の
「この木の枝を切ったら、困るわけでもあるのか?」
リウイは
「オレは、別にこの木を
勝手な
彼が選んだ
「枯れたりはしないでしょうけどね……」
エルフ娘は、思わせぶりな言い方をした。
「言いたいことがあるなら、はっきり言ってくれ。オレは理由があって、樫の古木の枝を必要としているんだ。できれば、さっさと
「……分かったわよ」
エルフの
「その木は……、いえ、この
「つまり、
エルフ娘の言葉に、リウイは少なからず
「そういうことよ。ここは、わたしたちの部族にとって
そう言うと、エルフ娘は、地面に落ちている木の枝に視線を向けた。
それは、リウイがたった今、切り落とした一本だ。
「切ってしまったのね……」
「あ~あ、知らな~い」
ミレルが
ジーニとメリッサは顔を見合わせ、これみよがしに
「知らなかったとはいえ、悪かったな」
リウイには、そう言うしかなかった。
「いえ、わたしも木を切るまえに声をかければよかったのだけど……」
そして、エルフ娘は、切ってしまったのね、ともう一度だけ
「だから、悪かったって」
広い森のなかを探し回って、ようやく見つけだした
「これは返しておく。と言っても、もう
リウイは地面に落ちている枝を拾いあげ、エルフ娘のほうに投げてよこした。
そして、
「待って!」
あわてたように、エルフ娘はリウイたちを呼び止めた。
「まだ、何か?」
「この周辺は、わたしたちの森。人間は、
「わたしたちの森って、言われてもな……」
エルフ娘の言い方は、かなり強い調子だった。
「木を切り
「だったら……」
エルフ娘はうつむいて、
「だったら、わたしたちの集落にくるといいわ。集落に
「そいつは助かる……」
リウイは
だがそのとき、
「なんだよ?」
リウイは後ろを
「いかにも、って感じがしない?」
リウイにだけ聞こえるように、ミレルは
「いかにもって、何がだよ」
つられてリウイも囁き声で応じる。
「決まっているでしょ。あのエルフ女の申し出よ。十日ほど
「
思わず想像してしまい、リウイは顔をしかめた。さぞかし
「心配ないさ」
リウイは笑って、彼女の言葉を否定した。
「エルフ族は高貴な
「どういう
ミレルは、信じられないというように目をぱちぱちさせた。
「オレだって、いちおう
自信満々で、リウイは言った。
エルフに会うのは初めてだが、多くの書物にそう書かれている。
「限りなくダークにちかいエルフの
「それは人間の世界に出てきたエルフだろ? おおかた集落から
リウイはそう断言した。
ミレルは
「そこまで言うんなら、あんたの好きにしな」
と、
「森のなかを勝手に歩きまわられたくないから、しかたなく言ってるのよ。わたしたちだって、あなたたちにはさっさと出ていってもらいたいから」
リウイとミレルとのひそひそ話を不安そうに聞いていたエルフ
(しかたなくと言っているところが、かえって信用できる)
リウイはそう判断して、
「このまま森を歩きまわるのも危険だし、エルフたちにも
と、ジーニたちに呼びかけた。
「……勇者様の、お言葉でしたら」
不服そうな表情を見せつつも、メリッサが初めて
自信に満ちたリウイの態度を見て、少し見直してくれたのかもしれない。
「ま、命までは取られることはないだろ」
ジーニは
「よしっ、話は決まった」
リウイは会心の
彼女のような美しい妖精を疑うなど、なんて心の寒い女たちだと内心、思いながら。
そして、自らの名前を名乗り、ジーニたちを順に
「わたしは、セレシアよ」
エルフ娘はそう名乗ると、
そして、彼女の集落に着いて、リウイたちを待っていたのが、今の
四人は
そして、その罪がどれくらい重いのか、リウイたちには、知る
2
「信じられない」
まるで本物の姉妹のような
「だから、それはもう分かったって」
どうしてエルフたちは、男と女を違う
今の状況は、リウイにとって
「あたしたち、どうなるのかな?」
ミレルが心細そうな顔をして言った。
「殺されることはない、と思う……」
自分の言葉にさほど自信がなさそうに、ジーニは答える。
「高貴な
メリッサの言葉は、いつものように
「書物には、そう書いてあったんだよ」
今となっては弁解にもならないが、リウイはいちおう言っておいた。
「でしたら、あなたが正しい書物をお書きくださいませ。
「そうするよ」
それから、エルフの高貴さを
「ああ、
そのときにもお
(行くなら、一人で勝手に行ってくれ)
あいにく、リウイはまだ死ぬつもりはない。だいたい枝を一本、切ったぐらいで、いくらなんでも殺したりはしないだろう。
「