Part 01: ……#p田村媛#sたむらひめ#rさまからポケベルに着信があったのはちょうど美雪ちゃんたち2人が買い物に出かけて、留守番の私がお米を研ぎ終えた直後のことだった。 一穂(私服): あれ……これって……? いつものように、電話番号とは明らかに違う数字の羅列が液晶画面に表示されるのを見て、私は送り主が誰かをすぐに悟る。 もっとも、このポケベルに連絡をしてくる人……いや「神様」といえば、ひとりしかいない。 とりあえず私が、リビングの一角に置かれた電話から番号をダイヤルする。ほどなく回線は繋がり、受話器の向こうから「声」が聞こえてきた。 田村媛命: 『……久しい#p哉#sかな#r、カズホ。その後、そちらの様子は相も変わらず#p也#sなり#rや?』 一穂(私服): あ、はい。時々『ツクヤミ』の出没がある以外、特にお知らせすることは……。 田村媛命: 『ふむ……そうか。いや、此度の連絡はそなたらの調査報告を聞くためではない哉。むしろ吾輩から話があっての所以と知り給え』 一穂(私服): そうなんですか?あ、でも今はあいにく美雪ちゃんと菜央ちゃんが買い物で外出してるところなので……。 一穂(私服): 3人で一緒に聞いたほうがいいですよね?だいたい30分ほどで戻ってきますから、もう一度かけ直してもらえると……。 田村媛命: 『他の2人は留守とな? それは僥倖也や……!実はそなたのみを呼び出すつもりであったゆえ、大いに手間が省けた哉』 一穂(私服): 私だけを、呼び出すって……あの、どうしてです? 田村媛命: 『美雪と菜央には、内緒にしてもらいたい相談也や。此れはそなたの胸のみに留め置くべきことであると前提を設けた上で聞き給え』 一穂(私服): は……はぁ……。 曖昧に返事をしながら……そこはかとなく嫌な気配を感じる。 「2人には内緒」とはつまり、きっと彼女たちだと反対をされるか、あるいは難色を示されるような面倒なことに違いない。 裏を返すと、私だったら少々力押しでもすれば従わざるを得ない、とでも思われているのだろう。……実際、その通りなのだけど。 一穂(私服): (私も、美雪ちゃんや菜央ちゃんみたいにはっきり「無理」って断ったりすることができたらなぁ……) とはいえ、本当に困るような内容だったら美雪ちゃんたちが戻ってきてから相談すれば、あるいはご破算にできるかもしれない。 ……なんて意気地のない逃げ手段を頭に思い浮かべながら、私は田村媛さまに質問を重ねていった。 一穂(私服): あの……それで、今日はどういったご用件でしょうか? 田村媛命: 『うむ。ではカズホ、単刀直入に尋ねる哉。そなた、神になってみたくはない也や?』 …………。 一穂(私服): は……? 質問の意図がつかめず、私は間抜けな感じに声を裏返しながら眉間にしわを寄せる。 「神になりたくないか?」……こう訊かれてすぐさま答えを返せる人は、おそらくいないだろう。それくらいに突拍子のない質問だった。 一穂(私服): え、えっと……神様になる、とはどういうことです?何かもっと、今よりすごい力とかを授けてくれたりするんでしょうか……? 田村媛命: 『……そうやって、即物的なものを求める姿勢は慎む也や。あの意地悪なミユキのようになっても吾輩は知らぬ哉』 一穂(私服): ……美雪ちゃんは意地悪でもありませんし、あんなふうになれるんだったら私は大歓迎です。悪口を言うのは止めてください。 田村媛命: 『っ……ず、ずいぶん苛烈な物言い也や。そなたも、あの2人に影響を受けて多少は反論できる性分になった哉……?』 一穂(私服): そ、そういうわけじゃないですが……。 たとえ臆病でも、友達の悪口は聞きたくない。……ただ、とっさにそう言い返してしまった今の発言に、なにより私自身が驚いていた。 田村媛命: 『ま……まぁ、それはともかくとして……』 やや動揺したような響きの乱れを感じさせながら、田村媛さまは言葉を繋いでいった。 田村媛命: 『神と言っても、本物になるわけではない哉。あくまで吾輩とそなたの存在を、一時的に入れ替えるのみと言えば理解が近い也や』 一穂(私服): 私と、田村媛さまを入れ替える……そんなことができるんですか? 田村媛命: 『#p然#sしか#rり。直近にて行った≪実験≫にて、吾輩は不可能を可能にした哉』 一穂(私服): ……。また、「実験」ですか……。 今度は自覚できるほどの嫌悪感をにじませながら、私は意欲を1万歩ほど後退させた声で反芻する。 ……嗚呼、田村媛さまの「実験」。これほど信用できず、かつ悪い予感しかしない言葉はこの世に存在するだろうか。いや、ないと思う。 事実私は、つい最近見知らぬ未来の「世界」へひとりだけ飛ばされるという、とんでもない目に遭わされたばかりだ。 となると、当然。……答えはもう、ただひとつしかない。 一穂(私服): ……申し訳ありません、田村媛さま。その相談には乗れません。 一穂(私服): そしてもし、どうしてもと仰るのであれば今の話の内容を全て、美雪ちゃんと菜央ちゃんに報告させてもらいます。 田村媛命: 『なっ……ま、待て! 待つ也やっ!あの2人には内緒にせよと先ほども申した哉?!』 一穂(私服): 私の手に余ります。それにもし上手くいかなくて恐竜時代だのSF時代だのに送り込まれたりしたら、ちゃんと帰ってこれるかわかりませんので。 そして今度こそ、美雪ちゃんと菜央ちゃんはブチ切れて……田村媛さまのことをただではすまさないだろう。 神に対して不遜? 人間に手出しなど不可能?いや……あの2人だったらたとえ神が相手でも、絶対に「何か」をしてみせると思う……ッ! 一穂(私服): ですから、その……ごめんなさい。そろそろあの2人が帰ってくるので、このお話は聞かなかったことに――。 田村媛命: 『えぇい、時の概念とはげに煩わしき也や!かくなる上は是非もなし……此方へ来る哉っ!』 一穂(私服): えっ……? あ、ちょっと……?!きゃぁぁぁあぁっっっ?! Part 02: 一穂(私服): こ……ここは……?! 田村媛命: 吾輩が存在の大半を置く、世界の狭間#p也#sなり#rや。 その声に私が振り返ると、背後には#p田村媛#sたむらひめ#rさまが立っていた。 ……そう言えば、この方のお姿を久しぶりに見た気がする。だからと言って懐かしさとか、嬉しさは感じないけど……。 田村媛命: ん? どうしたカズホ、周囲を見回して。 一穂(私服): あ、いえ……なんだかあちこちに水晶のようなものが浮かんでますけど……あれって何ですか? 田村媛命: わかりやすく申せば、可能性によって分岐した数多存在する「世界」への入口#p哉#sかな#r。 一穂(私服): ……すみません、全然わかりやすくないのでもう少し具体的に教えてもらえますか? 田村媛命: 察しの悪いやつ也や。ナオであれば二言三言で吾輩の意図を理解した哉。 一穂(私服): そ、そんなことを言われても……。 菜央ちゃんみたいに年不相応を通り越したハイレベルな洞察力と理解力を私に求めるなんて、お門違いにもほどがあると思う……。 田村媛命: そなたはすでに一部を体験していると思うが、世界を構築する流れは一本の筋ではない也や。流れには「支流」が存在し、無数に分岐している。 田村媛命: たとえば、ある者が右の道ではなく左の道を進んだ結果……その運命が変わり、世界の様相が遷移するといった具合哉。 田村媛命: それによって運命が変わるのは、本人のみならず。かの者の縁者、そこにたまたま立ち会った者さえ少なからず影響を受ける……それは理解できる也や? 一穂(私服): はい。その説明なら、なんとか……。 田村媛命: では、聞く哉。左の道と、右の道……実として存在するのはどちらになる也や? 一穂(私服): それは……もちろん、選択した左の道ですよね?だって右の道は、選ばれなかったわけですから。 田村媛命: 否、そうではない哉。選ばれなかったというのはあくまで左の流れに従った「特定の立場」における主観に基づいた結果也や。 田村媛命: つまり、右の道を選んだ者の主観で考えれば右こそが「実」で、左は「虚」となる哉。……これが、平行世界の概念也や。 一穂(私服): えっ……じゃあ実際の私は、その世界の数だけ存在してる……ってことになるんですか? 田村媛命: #p然#sしか#rり。人それぞれに正義と信念がある以上に、人の意思と選択の数だけ世界は存在する。それら全て「虚」ではなく、「実」の事象也や。 一穂(私服): …………。 田村媛命: 前置きが長くなった哉。では、此度そなたを呼んだ所以を語る也や。 一穂(私服): は、はい……。 ようやく本題に入ったので、私は居住まいを正して気持ちを引き締める。 お互いの存在を入れ替えると言っていたけど、どういう理由でそんなことをするんだろうか……? 田村媛命: 吾輩が神ではなく、下賤な角の民の#p末裔#sまつえい#rと存在を入れ替えようとした理由。それは……。 田村媛命: そなたらの言う『オヤシロさま』……角の民の長の増上慢な振る舞いが、最近ことさら目につくようになってきたことが原因也や。 一穂(私服): オヤシロさまが……増上慢……? 穏やかではない言葉が出てきて、私はぎょっ、と目をむいて息をのむ。 元々、どういうわけか田村媛さまは#p雛見沢#sひなみざわ#rの『オヤシロさま』と仲が良くない……を通り越して、かなり嫌っている。 その嫌いっぷりたるや、以前この方のことを「あなたが『オヤシロさま』ですか?」と聞いただけで激怒されたので、相当なレベルだ。 (あれ……? そう言えば、田村媛さまは「最近の『オヤシロさま』の振る舞い」って言ったけど……) 一穂(私服): あ、あの……ひょっとして田村媛さまは、『オヤシロさま』と最近お会いしたことがあったりするんですか? 田村媛命: ふむ……? ひょっとしてそなた、角の民の長の正体が何者なのかをいまだに理解をしてはおらぬ也や? 一穂(私服): 理解……って、どういうことです? 田村媛命: ……。なるほど、合点した哉。ならば吾輩も、これ以上の詮索を行うことは憚りおく也や。 一穂(私服): ??? 田村媛命: ともあれ、話を戻す哉。実は角の民の長には、酔狂な悪癖があって現在は地上にて活動を行っている也や。 一穂(私服): えっ……そ、そうなんですか?! 田村媛命: 然り。もっとも、その姿は人間に擬しているためおそらくそなたらは気づいておらぬと思う哉。 一穂(私服): か、神様が……私たちの「世界」に……? 田村媛命: そこまで慄き構える必要は無き也や。かの地獄の王たる閻魔大王が地蔵菩薩の姿にて地上を闊歩する例もあり、珍しくはなき哉。 田村媛命: だが……それはあくまでも神として地上の民の世相を知り、理を弁えて調査を行うための行動故、許される所業也や。 田村媛命: しかるに……しかるにやつは……! 田村媛命: 食べ歩きだの、遊興だのと己の願望を満たすことのみにその力を費やし……実に由々しき不届きな振る舞い哉っ!! 一穂(私服): ……。は……? 一瞬言っている意味がわからず、私は唖然とその場に立ち尽くしてしまう。 目が点になるとは、まさにこのことだろう。固唾をのむほどに緊張していた反動で、全身から力が抜けていくのを感じていた……。 一穂(私服): あ、あの……それって、本当なんですか? 田村媛命: むっ……? 神である吾輩が、なぜそなたらに嘘偽りを申さねばならぬ也や!そなた、吾輩を愚弄する哉っ?! 一穂(私服): い……いえ、そういう意味じゃなくて……! 疑うというより、信じたくない気持ちが強いとでも言えばいいのか……私は頭痛を覚えて、思わず天を仰いでしまう。 一穂(私服): (い、イメージがなんか違う……?) 『オヤシロさま』といえば、雛見沢の人たちが畏れ敬う存在で、#p禍神#sまがつかみ#r……いわゆる「#p祟#sたた#rり神」だ。 そんな恐ろしい神様が、食べ歩いて遊んでいる……?おかしい、何かがおかしい。 田村媛命: ゆえに、一穂。そなたにはここで留守を頼む也や。用を済ませて制裁を下し次第、吾輩は早急に戻る哉。 一穂(私服): え……えぇっ?わ、私なんかにこんな大変な役目は務まりませんよっ? 田村媛命: なに、さほど重きに感じる必要はない也や。あくまで依り代としての役割を務めてくれれば、それでよい哉。それと……。 田村媛命: 暫し待て。そなたに仮初ながらも「神」としての力を分け与える也や……っ……! そう言って田村媛さまが手に持った#p大幣#sおおぬさ#rを振るうと、私の身体が光に包まれる。そして――。 一穂(神御衣): っ……これって、田村媛さまと同じ……服……? 田村媛命: 然り。吾輩の神衣を貸し与える哉。これでこの空間にて、そなたが問題なく過ごすことがかなう也や。 田村媛命: そなたは何もせず、ここで居るだけでよい。……では、吾輩はこれでしばらく地上へ向かう哉。後のことは任せた也や……。 一穂(神御衣): あっ、ちょっと……!もう、強引だなぁ。 ここに留まるための説明としては、全然足りなかった感じだけど……呼び戻そうにも、もはや伝える手段がない。 そういうわけで私は、田村媛さまが戻るまで仕方なく待つことにした。 Part 03: 一穂(神御衣): 結局、強引に押し切られる感じに引き受けちゃったけど……大丈夫かな? #p田村媛#sたむらひめ#rさまが、あの#p雛見沢#sひなみざわ#rでどんなことをするつもりでいるのか思いを馳せながら……私は渡された大幣をしゃらり、と振りかざす。 神社などで見かける、紙と木の棒でつくられた「模造品」とは異なり……手に持っているだけでなぜか、不思議な力が伝わってくる気がする。 もちろんそれは、この不可思議な空間の雰囲気が醸し出す錯覚なのかもしれない。……それでも私は、厳かに引き締まる確かな緊張を肌身に感じていた。 一穂(神御衣): 世界の狭間に存在して、数多くの「世界」の様相を観察できる場所……か……。 時や距離の概念から完全に切り離されたという、非常識が支配するまさに「神の領域」。 そこに、人間である私が存在しているという事実に多少の居心地の悪さと、奇妙な高揚感を覚えて……何度となく周囲を見回していた。 一穂(神御衣): ……世界の入口の、「カケラ」か……。 何もせず、ただ居るだけでいいとは言われたけれど……物珍しさも手伝ってつい、あちこちに浮かぶ「カケラ」の中を覗き込む。 ……地球儀を上から眺めるというより、監視カメラからある場面を見ているような背徳感だ。 一穂(神御衣): 田村媛さまは、いつもこんなところにいて私たちのことを見てるのかな……って、あれ? ふいに私は、少し離れた場所に浮かんでいる「カケラ」のひとつに目を留めた。 一穂(神御衣): なんだろう……あの「カケラ」は……? 見覚えがある……それとも逆に初見なのかは今の私の思考があやふやすぎて何とも言えないが、なぜか惹かれるものを覚えて目を凝らしてしまう。 ……この感情は、なんだろうか。 ただ見ているだけで、心が温まる……そして、懐かしさにも似たこの感情は……? 一穂(神御衣): ……。もう少しだけ、近づいてみてもいいかな……? そう言って私は、おずおずと足を一歩、二歩と踏み出して……ある程度はっきりと見えるところにたどり着いてから、目の前の「カケラ」を見上げる。 平面のひとつに映っているのは、古めかしい建物……これは神社だろうか。そして、 一穂(神御衣): ……っ……? かすかだけど感じる子どもたちの声は韻を踏み、旋律を伴った歌となってこちらへと流れ込んでくる。 一穂(神御衣): (この歌……聞き覚えがある。確か、童謡の……) ただ、曲名までは思い出せなかった私は自分の記憶の棚からそれを引っ張り出そうと覚えていた歌詞を口ずさんでいった。 とおりゃんせ とおりゃせんせここはどこの細道じゃ 天神さまの細道じゃ ちっと通して くだしゃんせ御用のない者 通しゃせぬ この子の七つのお祝いにお札を納めにまいります―― 一穂(神御衣): ――っ……?! すると突然、私の視界が光に包まれて……何も見えなくなる。 …………。 しばらくして視界に彩りが戻り、私の目の中に飛び込んできたのは――! 一穂(神御衣): ……。神、社……? それも、建物がかなり古く……雛見沢の古手神社と比べても小規模な広さだ。 そして、境内の中央には――。 一穂(神御衣): ……。なんだろ、この大きな輪っかは……? 藁で丁寧に編み上げられた、大人が屈まなくても普通に通り抜けが可能なほど巨大な輪っかが……祀られるように置かれていた。 行きはよいよい 帰りはこわいこわいものなど通りゃんせ 通りゃんせ…… その輪っかを、無意識にくぐり抜けようと意識を馳せた次の瞬間……。 一穂(神御衣): ――――。 私の意識は、そこでぷつんと……切れた。 田村媛命: カズホ……起きる#p哉#sかな#r、カズホ。 一穂(神御衣): っ……あ、あれ……? 気がつくとそこは、田村媛さまを送り出して留守番を任されたはずの異空間。 そして呼ばれて目を向けた先には、心配そうに覗き込む女神さまの姿があった。 一穂(神御衣): す……すみません、田村媛さまっ!私うっかり、この場から離れてしまって……! 田村媛命: ……? 言葉の意味が解らぬ#p也#sなり#rや。そなたは吾輩が戻ってきた時から、そこでじっと動かず立っていた哉。 一穂(神御衣): えっ……?! 田村媛命: ともあれ、吾輩の用は済んだ也や。そなたに感謝を。おかげで貴重な体験……というより、学びの機会を得た哉。 一穂(神御衣): 学びの機会……? よく見ると、田村媛さまの顔は疲労を感じているようにやつれている。……いったい、何があったのだろう? 田村媛命: よい。構わず、捨て置き給え。吾輩の身は案ずるに足りぬ……ご苦労であった。 一穂(神御衣): あ、……はい。 田村媛命: では、元の世界に帰すとする也や。念のためそなたの記憶は改ざんしておく故、ここでのことは忘れて戻り給え――。 一穂(神御衣): ……っ……? その言葉とともに、私の頭の中には真っ白でまばゆい光が広がって、埋め尽くして……。 一穂(私服): …………。 一穂(私服): え、えっと……あれ……?私って今まで、何をしてたの……? 美雪(私服): ただいまー、一穂。遅くなってごめんね。 菜央(私服): 買い物帰りに、レナちゃんと会ってね。おかずのおすそ分けをもらってきたのよ。 一穂(私服): ……。美雪ちゃんと……菜央ちゃん……? 美雪(私服): ? どうしたのさ、一穂。ひょっとして待ちくたびれて、居眠りでもしてたとか? 一穂(私服): う、ううん……そういうことじゃないんだけど……。 菜央(私服): とにかく、早く夕飯の準備に取りかかりましょう。レナちゃんの作ってくれた唐揚げが冷めちゃうわ。 一穂(私服): ……。うん。