あとがき


 皆様、初めまして。たるきよういちろうと申します。

 この度は、私にとって商業デビュー作となります「オルクセン王国史」をお手にとってくださり、感謝の念に堪えません。心より御礼申し上げます。

 「野蛮なオークの国は、如何にして平和なエルフ国を焼き払うに至ったか」という大変長い副題のついた本作は、一種の異世界近代ファンタジーということになりましょうか。

 くだんの副題は、有名なネットミームが着想もとです。

 ある日突然、「平和なエルフの森(村)をオークが焼く」、「攻め込んできた」。果たして彼らオークは、なぜエルフの森を焼き払うに至ったのか。そしてどうやってそれほどの軍勢を送り込んだのか。細かく想像してみれば、謎ばかりです。

 その謎をひとつ解明してみようじゃないか、というのがそもそもの分不相応な発想もとでした。

 そして、本作のもう一つの大きなテーマに「へいたん」がございます。英語で申せばロジスティクス。

 私たちが日頃利用する通信販売や宅配などには、膨大な工程と関係者様の御苦労が詰まっております。少なくとも、目につきやすい「輸送」はほんの一部に違いないことは確かです。

 私なぞの能力では、そのすべてを描ききることなど決してかないませんが、雰囲気だけでも再現できれば、などと考えた次第です。

 一九世紀をモデルとした近代に舞台を設定したのは、私の完全な趣味になります。「剣と魔法」が定番のファンタジー世界を、「銃と魔法」の近代ファンタジー世界としました。

 かくして筆をとった次第ですが、小説を書くのは、実に約三〇年ぶりのことでした。

 幸運にもこれが一二三書房様のお目にとまり、第二回WEB小説大賞で過分な賞を頂き、こうして書籍化の運びとなったわけですが──

 受賞のご連絡を頂いた際は、歓喜に全身が震えつつも、唖然とするような心持ちでもありました。

 ──こんな癖の強い、おおよそ主流から外れたような作品を? だ、大丈夫ですか?

 ラーメンにたとえてみれば、定番の醤油でもなければアッサリ塩でもない。紛れもない濃厚トンコツ。

 ビートルズでいえば、ジョン・レノンではなくリンゴ・スター。

 あ、あんたオイラが見えるのかい!? そのようなガクブル状態でございました。

 しかも改めて読み返してみると、我ながら悪文、駄文、乱筆のオンパレード。穴があったら入りたい、工兵を呼んでくれ、いやその前に衛生兵だ! などという具合です。

 もしWEB連載版と比べ、読みやすくなった、マシになったじゃねぇか、新鮮に感じられたという読者様がおられましたら、それは関係各位様の御力に依るものです。また、書籍化にあたって軍事関係考証を快く引き受けて下さいました、「先任」氏のお引き回しに相違ございません。

 改めて、この場にて御礼申し上げます。

 そして何よりも貴重なお時間を割き、拙作をお手にとって頂いた貴方様に、最大級の感謝を。

 また貴方様と再会できますよう願いつつ。

樽見京一郎