【幕間二】



「──おし、順調だな……」

 深夜の自宅。自室の勉強机にて。

 俺はスカウト中の出演者候補者からの返答をとりまとめ、一つうなずいた。

「これで最低ラインは確保できた。あとは、有志の希望者を選抜して……」

「──はる、まだ起きてるの?」

 廊下から、母親の声が聞こえた。

「最近連日じゃない。気持ちはわかるけど、やり方は考えてね」

「ああ、わかってるよ」

 机に向かったまま、俺はそう答える。

 確かに、文化祭実行委員長になって以来。俺はこうして、自宅でも遅くまで仕事をするようになった。

 スタッフの配置から出演候補者のピックアップ、宣伝の考案まで。

 何せあのと戦うんだ、どれだけ準備したってしすぎにはならないはず。

 それに……、

「んー……もう一時か」

 時計が既に零時を回っているのを確認し、俺はふっと笑ってしまう。

 こういう努力は、嫌いじゃねえんだ。

 幼い頃からそうだった。

 自分にむちを打って、能力を伸ばしていく。

 周囲を抜き去って全速力で走って、圧倒的な結果を出す。

 そのことが──快感でたまらない。

 そんな風に思ったのは……小学生の頃。あるクラスメイトと、五十メートル走で競い合ったのがきっかけだった。

 あの経験が、今の俺を作ってくれた。

 これからも、俺を導いてくれると信じている。

 だから、

「……おし、もうひと頑張り!」

 俺はパソコンを操作し、出演者リストを閉じると。

 既に用意されあとは掲示するだけの、「有志出演者募集」のポスターに目を通し始める。

 ……ふと見ると、窓の外は真っ暗な住宅街で。

 けれど、そのところどころにはあかりもともっていて──。

 ──今頃あいつは、俺が倒すべき天才、nitoは。

 俺と同じように努力しているんだろうか、それとも余裕で眠っているんだろうか、なんてそんなことを思う。