【幕間一】



「──ほら、これが過去の有志ステージの資料な」

 放課後の職員室。

 文化祭実行委員を束ねる御手洗みたらい先生が、そう言って俺に分厚いプリントの束を渡した。

「で、こっちがそれとは別で、ステージスタッフを希望してきた生徒」

「うす、ありがとうございます」

「……ろくよう、お前のことだから大丈夫だと思うけど」

 そう言って、御手洗みたらい先生は信頼の笑みを浮かべてみせる。

く回して、無理しないよう気を付けるんだぞ。特にお前、実行委員長でもあるんだからな。い形で周囲に頼るように」

「ええ、気を付けるっす。では」

 言って、頭を下げると職員室を出る。

 実行委員の使う特別教室へ向かいながら、もらったばかりの資料を眺める。

「無理するな、かあ」

 ずらっと記された情報に、俺は小さく笑ってしまう。

「おっしゃる通りだけど、こういうのは無理すんのも楽しいんだよなあ……」

 ──へきてんさい、実行委員長。

 実は、この高校に入学してからその座はずっと狙っていた。

 俺にとって、大きなハードルである父親。

 彼がかつてになっていたというその役。

 前々から、おやには勝ちたいと思っていたんだ。

 今回の件がなくたって、どこかで俺はおやを越えたかった。

 三十年近く前、地域で一番のあまぬま高校に入り、その後国内トップの大学に進学。

 そのうえ自分で企業をおこし、それを二十年経営し続けている父親。

 そんな、俺にとって偉大な存在を、いつか自分自身の力で越えていかなければいけない。

 だから……今回の件はむしろ好都合。

 自分の力を、真正面からおやにぶつけるチャンスだ。

 だったら……無理しないなんて、そんな甘っちょろいことは言っていられない。

 俺は俺にハードルを課し、限界まで戦いたいと思う。

 そしてという相手は、そんな戦いにける最高の好敵手だ。

「……お」

 と、そこで俺はふと気付いた。

『スタッフ希望』の生徒名簿。そこに並んだ、二人の名前。

「……あいつら」

 思わず、言いながら笑ってしまう。

 あいつらもいるなら、楽しいことになりそうで。

 一層、これからに期待が募って、

「おし……やるか」

 気合いを入れ直しながら、俺は到着した特別教室、クリーム色の扉を開いた──。