笑って、
長い前髪に隠されていたその
「さ。それじゃ、人類らしく話しあいの時間です。僕もね──ただの酔狂でこんなことをしているわけじゃない。十人殺した
そうだ。手長鬼も表情を引きしめる。裸でいるのを恥ずかしがっている場合ではない。この男がなんの目的で自分に接触してきたのか。それを把握しないことには居心地悪くて落ちつかない。
そうだ。
手長鬼は
「この世には──憂鬱なことが多すぎる」
何度目かも知れない、口癖なのだろうか意味深なことを言った。
「しかし──懐かしいというか、傷がほじくられるというか、
嘆木はこちらを見る。裸を見られるのが嫌で、濁ったお湯に首までつかった手長鬼の両肩。そこは、
その代わりに得たものが──
自分はその腕があったから、まだ人並みに生活することができたけど、その
見ると、嘆木は
「一ヶ月前。隣町で巨大な怪物が暴れたことを知っていますか?」
巨大な怪物。
それはきっと、
…………。
失敗して。
「僕の恋人は、その怪物に踏み
「………?」
一瞬、意味がわからなくて
「……………え?」
「逃げ遅れたんです」
嘆木は遠い、
「
ぽつりと、嘆木は小さくつぶやいた。
「悔しいですよね?」
沈痛な顔をしていると、嘆木は
「だから──僕は、僕と同じように誰かが何かを失わないよう、理不尽な
怖い、怖い顔で、憂鬱刑事はこちらを見つめた。
「単刀直入。あなたたちは──何なんです?」
──そんなの、自分だって知りたい。
手長鬼は目を伏せて、低い声でつぶやいた。
「深入りすると、死ぬよ? クルキヨ──」
「クク、わかっています。けれど──もう止まらないんですねぇ。恋人のこともありますし、先日、僕の部下が君に殺されました。彼も大切なひとを化け物に殺されたと言っていた──彼のぶんまで、僕は化け物たちと戦わなくちゃなりません」
「部下?」
なんのことだ。
「それって──警察のひと?」
「えぇ。直接の部下ではありませんが、階級的にはそうなります。知人でね──夜、
消滅。
なんだそれは。そんな能力、手長鬼にはない。それに警察の人間なんかとは戦った記憶がない。だとすれば──考えられるのは、手長鬼以外の化け物に殺されてしまったとか。
思い当たる顔があった。
「クルキヨ」
手長鬼は小さく、警告するような声で言う。
「それは
名前はなんといったか。覚えていないが──天使のような悪魔のような、あの恐ろしさは記憶している。
「……あれは、違う。人間じゃないけど──化け物とも違う。もっと外れていて、もっと違うところにいる。
心配したわけではない。
ただ──思ったままを口にした。
「だから、クルキヨ。あれに近づいちゃ駄目。あれは、普通の生き物じゃない。もっと外にいるもの。もっと上にいるもの。化け物だろうが、人間だろうが、あれが望めばすぐ殺される。ただ悪いものを機械的に処理するみたいに──殺菌消毒するみたいに、殺されちゃうんだ……」