Part 01: 一穂(私服): 一時はどうなることかと思ったけど……変な病気がちゃんと治ってよかったね。 美雪(私服): まったく、鷹野さんも人騒がせだよね。医療関係者ならもうちょっと諸々の管理はちゃんとしてほしいもんだよ。 菜央(私服): ……それにしても、前原さんたちがレナちゃんにあんな恥ずかしい罰ゲームを企んでたなんて……。 菜央(私服): あたしだってレナちゃんにヨーグルト食べさせてもらいたかったーーッ!!! 一穂(私服): え……?! 美雪(私服): 菜央ってば、そんなこと言ってるとキミも一穂とレナに天誅下されるよ? 菜央(私服): 一穂はともかく、レナちゃんになら下されてもいいわ。 一穂(私服): そ、そうなんだ……。 美雪(私服): 菜央も大概ヤバイヤツだよねぇ。まあ、一穂まであんなに豹変するとは思わなかったけどさ。 菜央(私服): まったくね。一穂みたいな子が怒らせると一番怖かったりするって、改めて実感したわ。 一穂(私服): そ、そんなことないよぉ。あれは、前原くんたちがあんまりひどいから……。 美雪(私服): いや~、一穂のコスプレもなかなか似合ってたよ。もっとよおおぉぉっく見ておけばよかったね。 一穂(私服): や、やめてよー!あのことはもう忘れてー! 菜央(私服): 無理よ。あの恥ずかしい姿はそう簡単に忘れられないわね♪ 一穂(私服): 菜央ちゃんが忘れられないのはレナさんのコスプレでしょ~?! 菜央(私服): レナちゃんのあの姿は忘れようとしても忘れられないわ! あぁぁ、でも写真に残しておきたかったあぁぁぁ~! 美雪(私服): あはは、妄想はさすがに写真には写らないもんね。 一穂(私服): あんな格好、写真に残ったら大変だよ……。もういいから私のあの服装のことは忘れて~! 美雪(私服): いやー、でも実際そんなにはよく覚えてないんだよね。 一穂(私服): ……え? そうなの? 菜央(私服): あー、うん、実はあたしも。 一穂(私服): 本当に? 美雪(私服): ほら、あのあとキミたちが大暴れして大騒ぎになったからさ。意外とじっくり見てるような余裕もなかったしね。 菜央(私服): あたしはレナちゃんのあの姿を記憶に焼き付けることに全集中してたもの。 一穂(私服): なんだ……そうなんだ。私にとってはよかったよ、ほっ……。 美雪(私服): でも、結構似合ってたんじゃなかった?もっとよく見たかったよね~。 菜央(私服): そうだ、またあのコスプレしてみたらどう?あれなんだっけ、あのコスプレ……。 一穂(私服): い、いいよ言わなくて!あんな格好、もう二度としないから! 美雪(私服): そんなこと言わないでさ。ほんとに似合ってて可愛かったって。 菜央(私服): そうそう。あんな恥ずかしいコスプレが似合うんだから、一穂には今まで気づかなかった適性があったりするのかも……かも。 一穂(私服): て、適性って……!だいたい、あんな格好が似合ってるって言われても、私は嬉しくないよ~~! 一穂(私服): あ、も、もうこんな時間だ!遅いから私もう寝るね! 菜央(私服): あ、逃げた! 美雪(私服): ちょっとからかいすぎたかな?でもほんとに似合ってたよね? 菜央(私服): ねー、もう1回じっくり見たいもんだわ。 一穂(私服): はぁ……もう……。あんな恥ずかしい格好、もう二度としないんだから。 一穂(私服): ……あれ? 一穂(私服): ああ、今夜は満月だったんだ。きれいな月。 一穂(私服): きれいな……月……。 一穂(私服): きれ……、い……。 一穂: あ……。 圭一: よっしゃぁぁぁぁぁぁぁッ!今度こそ俺の勝ちだ!!! レナ: ああ、一穂ちゃん惜しい~。 魅音: 紙一重の勝負だったけど、今回は圭ちゃんに軍配が上がったみたいだね。 圭一: やっとこの前の雪辱を果たせたな! 沙都子: 圭一さん、やっと調子が戻って来たんじゃありませんこと? 圭一: いつまでもしょぼくれているわけにもいかないからな! こいつを反撃の狼煙ってやつにしたいところだぜ! 羽入: あぅあぅ、また恥ずかしすぎる罰ゲームをさせられてしまうのですよ……。 美雪: でもこの前みたいなのはやり過ぎだからね。もうちょっと常識的な罰ゲームにしなよ? 美雪: じゃないとまた、レナと一穂に血祭りに上げられるんだから。 レナ: そうだよ、圭一くん。レナたち、容赦しないんだからね。 魅音: そーそー! 罰ゲームはさ、恥ずかしいけどみんなが楽しめるギリギリを攻めるセンスも問われてるんだからさ。 圭一: わかってるって。この前のはちょっと欲望が先走りすぎたって反省している。 圭一: 今度は俺だけじゃなくて、みんなで楽しめる罰ゲームをだな……。 一穂: 罰……ゲーム…… 一穂: ……んぇ?んっ……んんんんっっ?! 美雪: ん? 一穂、どうし──……。 菜央: ……え……? 圭一: なッッ……?! Part 02: レナ: か、一穂ちゃん……そ、その、カッコ……?! 魅音: なっ……ななな、なんなのそれはーー?! 一穂(バニー): んんんー……み、見ひゃひれぇぇぇぇ……。 圭一: か、一穂ちゃ…… 圭一: ブッ……ブハぁッ!! レナ: わあっ?!け、圭一くん、鼻血鼻血!! 美雪: な、何て格好してるのよ、一穂……?! 一穂(バニー): ほれふぁわらひが訊きひゃひひょ~~?!(それは私が訊きたいよ~~?!) 梨花: みー……自分から進んで罰ゲームなのですか?こんな恥ずかしいカッコをするなんて意外なのです。 羽入: もしかして一穂には、実はそういう趣味が……? 魅音: そういう趣味って、露出趣味ってやつかい? 沙都子: そ、そうでしたの?! 一穂(バニー): んんんんんん~~ッ!!(こんなカッコ、自分からするわけないよーーッ!!気づいたらこんなカッコになってて……) 美雪: んー、よくわかんないけど、気づいたらこうなってたってこと? 沙都子: そんな魔法みたいなことあるわけ……。 レナ: あ……このカッコって、圭一くんたちが一穂ちゃんに着させていたコスプレだよね? 菜央: ……そういえばそうね。確かにこの格好は……。 魅音: あっ……ひょっとしてこれが、前に美雪たちが見たっていう一穂のバニーガールのコスチュームなの?! 圭一: ああ、そうだぜ……! あの時俺が公案した、一穂ちゃん用の罰ゲーム衣装だ! 圭一: この露出度の高いバニー衣装を着て、口に咥えたスプーンでヨーグルトを……。 圭一: すると、必然的に顔は鼻先が触れ合うほど近く、そしてあまつさえ胸元のあれが目の前であれに……。 圭一: ぐばぁッ!! 沙都子: ああ、圭一さんがまた大量出血しましたわ! レナ: はぅ……がっかりだよ、圭一くん。 梨花: アホすぎるのですよ、みー。 羽入: で、でも……どういうことなのです?薬で症状は治まったはずでは……。 魅音: まさか、また『ネオ・#p雛見沢#sひなみざわ#r症候群』とやらがぶり返したとか? レナ: ええええええええッ?!そ、そんなの困るよ~~!ねえ、レナは大丈夫?! 菜央: あっ、レナちゃんは……! 菜央: ……しゅん……。残念ながらレナちゃんは大丈夫みたい。 レナ: あ、あははは、よかったぁ。 梨花: みー。一穂だけどうしてまた、こんなことになっているのか不思議なのです。 沙都子: また圭一さんの妄想ですの?! 圭一: ち、違ぁぁぁぁうッ!……と、思うけど……。 魅音: じゃあこれは誰の妄想なのさ? 一穂(バニー): ンンンンンンンン~~ッ?!(なんでもいいけどどうしたらいいのこれぇぇ~~ッ?! どうやったら戻るの?!) 美雪: ああ、スプーン咥えたままそんな喋ると……。 ボタボタボタ……。 菜央: ああ、ほら。ヨーグルトが落ちて大変なことに~。 羽入: は、はしたないカッコなのです……。 一穂(バニー): ンンンンンンンンン~~ッ!!(あんまり見ないで~~ッ!!) 一穂(バニー): んぅぅぅぅぅぅぅ……。 レナ: 羞恥に震えてる一穂ちゃん…… レナ: かぁいいよぉぉ~~~~!おもちかえりぃぃぃぃ~~~~♪ 一穂(バニー): んんんんんんんんんん~~?! 圭一: よし、わかったぜ、一穂ちゃん! 一穂(バニー): ふぇへ?(わかったって何が?) 圭一: 一穂ちゃんがそこまでやる気なら、この罰ゲームを最後まで完遂してやろうじゃないか! 一穂(バニー): んんんんッ?! レナ: さ、最後までって……。 沙都子: まさか……一穂さんが口に咥えているスプーン越しに、ヨーグルトを食べようというおつもりですのっ? 圭一: 一穂ちゃんにここまでやる気を見せられたら、男としてはその気持ちに応えるしかないだろ!! 一穂(バニー): ンンンンンンンン~~ッ!!(やる気なんて見せてないから~~ッ!!) 鷹野: あらあら、やっぱりこんなことになってたのねぇ。 美雪: え……鷹野さん?! Part 03: 菜央: 鷹野さんがどうしてここに? 鷹野: もしやと思って、様子を見に来てみたんだけど……。 鷹野: ちょっとだけ遅かったかしらねぇ。 一穂(バニー): ンンンンンンンン~~ッ?!(鷹野さん~~!なんなんですかこれぇ~~?!) 美雪: もしやと思ってって、もしかしてこんなことになってる原因に心当たりとかあるんですか? 梨花: 鷹野、どういうことなのです? 魅音: そうだよ、『ネオ・#p雛見沢#sひなみざわ#r症候群』とやらは鷹野さんの薬で完治したんじゃなかったの? 鷹野: それがね、あの薬には予想外の副作用があったみたいなの。 菜央: 副作用? いったいどんな副作用なんです?まさか危険なことは……。 一穂(バニー): ヒヒェッ?!(危険ッ?!) 鷹野: ううん、危険はないから安心して。 一穂(バニー): ホッ……。(なんだ、よかった……) 美雪: まあ、今の状態が危険と言えば危険かもしれないけれどね。 沙都子: たしかに、一穂さんにとってはそうですわね。 梨花: こうしている間にも一穂が変態だという噂が校内、いえ村中にも広がっているかもなのですよ。 一穂(バニー): ンンンンンーーッ!!!(や、やめてーーッ!!!) 一穂(バニー): (原因がわかってるなら、これ早くなんとかしてくださいいいいぃぃぃぃぃッ!!) 鷹野: 一穂ちゃん、まずは落ち着いて。興奮状態だと余計症状が出やすいのよ。 鷹野: ゆっくり深呼吸してみてちょうだい。 一穂(バニー): ン……ひー、ひー……ふぅーー……。 圭一: おお、戻った! 一穂: はぁ、よかったぁ……もうちょっとで気絶しちゃいそうなほど恥ずかしかったよ。 レナ: でも鷹野さん、いったいどういうことなんですか? 梨花: さっき薬の副作用と言っていましたですが。 鷹野: ええ、そうなのよ。ほら、昨日は満月だったでしょう? 沙都子: そういえば、昨夜は月がまん丸で大きかったのですわ。 一穂: うん、私もきれいな月だなぁって見とれてしばらく見てたくらい。 鷹野: やっぱりね。 レナ: あ、レナも見たよ~。ちょっとだけだけど。 鷹野: あら、レナちゃんも?そう……。 魅音: レナが見てたら何かマズイんですか? 鷹野: ううん、マズイことはないんだけどね……。さっきの現象にはね、実は満月の影響があるみたいなの。 菜央: 満月の影響が? 鷹野: ええ。不思議な事だとはおもうのだけれど成分を研究してわかったのよ。 一穂: 月の力が……でも、どうして? 鷹野: あの薬が体内に残留してる間に満月の光を一定時間以上浴びると、血液内に残った薬の成分に化学反応が起きて……。 鷹野: 『ネオ・雛見沢症候群』の症状が一時的にぶり返してしまうみたいなの。 沙都子: 月を見るとそんなことが起こるんですの? 羽入: あぅあぅ、狼男みたいなのです……。 美雪: でも、『ネオ・雛見沢症候群』って薬で治ったんですよね? 菜央: 実はまだ完全には治ってなかったってこと? 鷹野: いいえ、体内のウイルス自体は死滅してるはずよ。 鷹野: ただ、どうやら一度発症したときの症状を身体の細胞が記憶しちゃってるみたいでそれは薬ではどうしようもないのよ。 魅音: フラッシュバックみたいなことかな? 鷹野: ええ、そんな感じね。 圭一: でも鷹野さん、よくそんなレアな副作用に気づきましたね? 鷹野: 研究室に残ってた阻害薬が昨日月光と反応していたのを、たまたま発見したのよ。それがなかったら気づかなかったと思うわ。 一穂: じゃあ、これからも私たちは月を見られないってことですか?もし月を見たら……。 レナ: え?! レナも恥ずかしいことになっちゃうの?! 鷹野: うふふ、それは大丈夫よ。阻害薬もあと数日もすれば代謝ですべて体の外に排出されるはずだから……。 鷹野: そうすればもう問題ないわ。 一穂: そうなんですか?ほっ、よかった……。 レナ: 本当だよ。お月さまが見られなくなっちゃったら悲しいもんねぇ。 鷹野: ただ、ひとつだけ気になることがあるんだけど……。 美雪: まだなんか問題が? 鷹野: いえ、問題というわけじゃないんだけど……。 鷹野: レナちゃんも月を見たのに症状が出てないことが気になってね。 沙都子: そうですわね。レナさんは何も異常はないんですのよね? レナ: うん、たぶん……レナは見た時間が短かったからとか? 鷹野: そうかもしれないけど、別の可能性もあるわ。 一穂: なんですか? 鷹野: 満月の光と反応した薬は一度発症した『ネオ・雛見沢症候群』の症状を再現するって言ったけど……。 鷹野: 潜在的に持ち合わせている妄想を刺激して、そういう隠れた願望を現実化してしまったのかもしれないわね。 一穂: ……えッ……?! 菜央: それじゃまるで、一穂が元々あんな恥ずかしいカッコしたいって願望があったってことみたいじゃない? 美雪: ええええええっ?!そ、そうなの一穂? 一穂: そ、そんなわけ……! 圭一: そうだったのか、一穂ちゃん!それならそうと早く言ってくれればよかったのに! 圭一: 恥ずかしいコスプレならいくらだって用意してやるぜッッッ!! 一穂: い、いらないいらないいらないっ!恥ずかしいコスプレしたい願望なんてないってば!! 鷹野: 潜在意識というのは、顕在意識ではわからないものなのよね。 梨花: それは大いにあり得るのです。 一穂: 絶対違う! 全然違いますッッッ!!!私、そんな願望ないってばーーッ!!! 魅音: そういえばコスプレ姿の一穂、どことなく生き生きしていた気がしなくもないね。 一穂: 魅音さんも変なこと言わないでよ~~!!!絶対違いますってばーーッ!!! 梨花: ムキになって否定するところがますます怪しいのですよ。にぱー☆ 沙都子: そうですわね。人は図星を突かれるとムキになるものですわ。 一穂: だって違うものは違うんだもん~~!! 鷹野: あの、あんまり興奮するとまた……。 一穂: え……?! 一穂: ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーッ!!