Part 01: 菜央(私服): えっ……?市民プールが、しばらくの間営業休止ですって? 一穂(私服): う、うん……#p興宮#sおきのみや#rで買い物をしてる時に、たまたま会った詩音さんがそんなことを言ってたんだけど……。 一穂(私服): やっぱり、菜央ちゃんはまだ知らなかったの? 菜央(私服): 初耳よ、当たり前じゃない!だって今週は、一緒にプールへ行こうってレナちゃんと約束してたんだから! 一穂(私服): そ、そうだよね……ごめんなさい。 菜央(私服): あっ……ごめんね、一穂。驚きすぎたせいで、つい口調がきつくなっちゃった。別にあんたが悪いだなんて、全然思ってないから。 菜央(私服): それにしても、いったい何があったの?先週みんなとプール掃除をした時、夏休み期間中は毎日営業するって職員さんも言ってたのに……。 一穂(私服): うん……。せっかくプールを隅々まで綺麗に掃除したのに、休みになるのはもったいないよね……。 菜央(私服): 掃除をすることになったそもそもの発端は、美雪たちがあそこで暴れ回ったからでしょ?おかげで酷い目に遭ったわ……まったくもう。 菜央(私服): はっ? 突然営業休止になったのは、まさかまたトラブルか何かが……?! 美雪(私服): ただいま~!いやー、魅音と沙都子の2人と一緒に結構盛り上がって、ついつい帰りが遅くなっちゃったよー。 美雪(私服): 今日の夕飯当番は、菜央だったよね?さて、どんな献立なのか今から楽しみ――。 菜央(私服): やっぱり、あんたたちが諸悪の元凶かぁぁああっ?! 美雪(私服): おぅっ?か、帰ってくるなり掴みかかってきて、いったい何があったのさ?! 一穂(私服): ちょっ……待って、菜央ちゃん!まだ、美雪ちゃんたちが原因だって決まったわけじゃ……?! 菜央(私服): ブッコロがすうぅぅうぅっ!! 美雪(私服): だからー、私たちが何かしたわけじゃないよ。プールが営業休止になるって話は、たった今キミに聞かされて初めて知ったんだからさ。 菜央(私服): 本当に?神と仏とレナちゃんに誓って嘘はついてないって、あたしの目を見ながらちゃんと言える……? 美雪(私服): 神と仏はともかく、なんでレナに誓いを立てなきゃいけないのかはよくわかんないけど……本当だよ。 美雪(私服): だって私たちがさっきまで遊んでたのは、興宮のグラウンドなんだもの。市民プールにはあの大掃除以来、1度も行ってないって。 美雪(私服): まして、営業休止になるほどの大暴れとかイタズラとかなんて、身に覚えがないっての。 菜央(私服): ……そこまで言い切るのなら、信じてあげるわ。だけど、だったらどうしてプールが営業休止になったのかしら……? 一穂(私服): うーん、それは……って、あれ?美雪ちゃん菜央ちゃん、電話が鳴ってるよ。 菜央(私服): あたしが出るわ。……もしもし? レナ(私服): 『もしもし……菜央ちゃん?』 菜央(私服): って、レナちゃん……?こんな時間にどうしたの? レナ(私服): 『こんばんは。夕飯時にごめんね。少しだけお話をしても大丈夫かな……かな?』 菜央(私服): え、えぇ……別にいいけど……。 …………。 菜央(私服): ……わかったわ。そういう事情なら、仕方がないわね。 菜央(私服): ううん、レナちゃんのせいじゃないんだから謝らなくてもいいわ。じゃ、また明日……。 美雪(私服): 今の電話って、レナから……だよね。用件は何だったの? 菜央(私服): 市民プールの水道設備が故障して、明日から修繕工事に入るそうなの。……だから今度のお出かけは、中止にしようって。 美雪(私服): ほら見なよ、私たちは無関係だったでしょ?まったく、前科があるからって疑われるのは心外だっての……。 菜央(私服): そうね。……言いがかりをつけて、悪かったわ。ごめんなさい、美雪。 美雪(私服): ……おぅ?あ、いや……謝ってくれるんだったら、私は別にいいけどね……。 菜央(私服): 夕食の準備を始めるわ。一穂が買ってきてくれた食材は、ここにあるので全部よね? 一穂(私服): う、うん……えっと、菜央ちゃん? 菜央(私服): なによ? 一穂(私服): その……あんまり気を落とさないでね。 菜央(私服): ……えぇ。台所で手早くつくってくるから、美雪と一緒に待ってて。 一穂(私服): あ……うん、わかった。 美雪(私服): ……あからさまに落ち込んでるなぁ。よっぽどレナとプールに行くのを楽しみにしてたんだね。 一穂(私服): うん。レナさんから誘われた時の菜央ちゃん、とっても嬉しそうで……家に帰ってからも飛び跳ねるくらいに、上機嫌だったから……。 一穂(私服): こんなトラブルで突然中止になって……楽しみにしてた分、がっかりしたんじゃないかな。 美雪(私服): んー……あの子って普段は気取った感じにクールなのに、レナが関わると途端に年相応なリアクションになるよね。仲がいいのはまぁ、いいことだと思うけどさ。 一穂(私服): たぶんあの二人って、私たちのわからないところで気が合ってるんだろうね……だから……。 一穂(私服): なんとかしてあげられないかな?市民プールがダメだったら、代わりにレナさんとどこかで一緒に遊べるような……。 美雪(私服): 協力したいのは山々だけどね。この村からだと他のプール施設はかなり離れてて、電車代もバカにならないし。 美雪(私服): あとは川……は一応泳げるけど、そこに行くのもなんか違う気が……うーん……。 一穂(私服): あれ? また電話だ……もしもし? 一穂(私服): あっ、魅音さん。こんばんは、どうしたの……えっ……? Part 02: 菜央(私服): 海の家で、バイトですって……? 美雪(私服): うん。魅音のところの親戚で、海水浴客向けの小さな食堂を経営してる人がいるらしくってさ。 美雪(私服): そこで働いてたバイトさんが、家庭の事情で数日働けなくなっちゃったからその穴埋めをしてもらえないか、って。 菜央(私服): 今は夏休みだし、あたしは別にいいけど……あんたたちは? 美雪(私服): んー、それが……食堂のオーナーさんがお願いしたい人数は、どうやら2人だけらしくてね。 美雪(私服): 私か一穂、どっちかがついてくのもありだと思ったんだけど……やっぱり料理上手の子が一緒のほうがいいんじゃないか、って。 菜央(私服): だとしたら、同行するのは美雪ね。一穂は頑張り屋だけど、お料理に関してはちょっと苦手みたいだし……。 一穂(私服): あ、えっと……そうじゃなくて……。 美雪(私服): というわけで、さっきレナに電話したんだよ。もし日程の都合がつきそうなら、菜央と一緒にバイトをお願いできないかって。 菜央(私服): えっ……? 美雪(私服): レナの返答は、OKだったよ。……で、菜央はどう? 菜央(私服): 行くっ!! もちろん、絶対に行くわ!! 菜央(私服): あ……えっと、その……美雪と一穂が頼りないって意味じゃないから、気を悪くしないでもらいたいんだけど……。 美雪(私服): あははは、大丈夫だって。ちなみに送り迎えは園崎家の運転手さんがやってくれるそうだから、手荷物を揃えるだけで問題ないってさ。 菜央(私服): わかったわ。それじゃあたし、夕食の片付けを終えたら早速準備に取りかかるわね……っ! 美雪(私服): (おぅ……さっきまでの暗い表情が、嘘みたい。隠そうとしても笑顔がはち切れそうだよ) 一穂(私服): (レナさんに無理を言って、正解だったね。それに2人とも料理上手だから、きっとバイトもしっかりこなしてくれるはずだよ) 美雪(私服): (だねー。少なくとも一穂みたいにケシズミ、生焼け連発ってことにだけは確実にならないと思うよ) 一穂(私服): (み……美雪ちゃんっ!) 菜央(私服): はぁ……やっと終わったわ。こんな小さな海水浴場の海の家でも、お客さんは結構来るものなのね。 レナ(私服): お疲れ様、菜央ちゃん。色々と手伝ってくれて、本当に助かったよ。 菜央(私服): っ……別に、大した作業じゃなかったわ。あたしは基本的に、食材の下ごしらえを集中して続けるだけだったし。 菜央(私服): むしろ料理とお会計、お給仕もやってたレナちゃんの方がすごかったと思うわ。後ろから見てても、すごく頼もしかったもの。 レナ(私服): あははは。時々魅ぃちゃんたちから頼まれてエンジェルモートのお手伝いをしていたから、その経験が役に立っただけだよ。 レナ(私服): でも、レナの隣で菜央ちゃんが手際よく準備をしてくれたから、お料理はすごく楽だった。いっぱい気を遣ってくれて、ありがとうね。 菜央(私服): ……うん。レナちゃんの役に立てて、ほっとしたわ。 レナ(私服): …………。 菜央(私服): ? どうしたのレナちゃん、あたしの顔に、焼きそばのソースでもついてる? レナ(私服): ううん、そうじゃないよ。菜央ちゃんのお料理の仕方とか段取りとかって、なんとなくだけどレナと似ているな……って。 菜央(私服): ……ぇ……。 レナ(私服): お料理をしながらあれが欲しい、次は何をして……って思った次の瞬間に菜央ちゃんが、それに応えてくれる。 レナ(私服): 阿吽の呼吸、っていうのかな?なんだか不思議な……素敵な感じがして……。 レナ(私服): それに菜央ちゃんとのお料理は、教えるのと同じくらいに勉強になることもいっぱいあって……とっても楽しい。 レナ(私服): だからレナ、今回のバイトは引き受けて本当に良かったかな……かなっ。 菜央(私服): ……。あたしも……楽しかったわ。本当に、夢でも見てる気分で……。 菜央(私服): もしこれが夢だったら、もう……目覚めなくてもいいくらいに……っ。 レナ(私服): あははは。今ここで見ているものが夢だなんて、レナはもったいないって思っちゃうよ。 レナ(私服): レナは一人っ子だったから、妹がいるってどんな感じなのかはよくわからないけど……。 レナ(私服): 菜央ちゃんは……沙都子ちゃんや梨花ちゃんたちとは違って、年下の子って思うよりも……その……。 菜央(私服): ――っ……?! レナ(私服): あ……あははは。ごめんね、変なことを言い出しちゃって。 レナ(私服): これからも仲良くしようね、菜央ちゃん。あなたと一緒ならレナ、いっぱい頑張ることができるし楽しい時間を過ごすことができると思うから……。 菜央(私服): うんっ……ありがとう、……ちゃん……。 Part 03: 菜央(水着): ……あっという間に、今日が最終日か。楽しい時間が早く過ぎるように感じるって、本当だったのね。 菜央(水着): ……。一穂と美雪には申し訳ないけど、まだ#p雛見沢#sひなみざわ#rに帰りたくないな……でも……。 菜央(水着): ……また来ることを期待して、今は我慢しよう。それに、今日はずっと浜辺で遊んでもいいって言ってもらえたんだから、目一杯楽しまないとねっ。 レナ:花柄水着: 菜央ちゃーん……! 菜央(水着): あっ、レナちゃんの声……!やっと着替え終わったの、……かし、ら……っ? レナ(花柄水着): ……お待たせー、菜央ちゃん。準備に時間がかかって、ごめんね。 菜央(水着): ……っ……。 レナ(花柄水着): はぅ……この水着ってどうかな、かな……? 菜央(水着): と、とっても綺麗……えぇ、すごく素敵だわ! レナ(花柄水着): そ、そう……?これって本当は、一緒にプールに行った時に着ようと思って買った水着だったんだけどね。 レナ(花柄水着): 無駄にならなくて、よかったぁ……♪ただ、みんなに見せるのは少し派手な感じだから、菜央ちゃんにだけ特別……ねっ? 菜央(水着): レナちゃん……あたしだけのために……? レナ(花柄水着): あははは。こんな言い方をしたら、もしかすると変に思われるかもしれないけど……。 レナ(花柄水着): 菜央ちゃんだったら、どんな格好をしてもきっと笑わずに正直な感想を言ってくれる……そう思うと、素直になれちゃうんだ。 菜央(水着): ……っ……! レナ(花柄水着): えっ? ど、どうしたの菜央ちゃん?急に顔色が悪くなったみたいだけど、どこか怪我でもしたの? それとも体調が……? 菜央(水着): っ……ううん、そうじゃないわ。ただ、すごく嬉しくて……幸せで……。 菜央(水着): 今回のバイト、引き受けて本当によかった……一緒に来てくれてありがとう、レナちゃん。 レナ(花柄水着): あははは、こちらこそっ。またこんな機会があったら、一緒に頑張ろうね♪ 菜央(水着): えぇ。次も、あたしがレナちゃんと一緒にいてもいいかしら……? レナ(花柄水着): もちろん。菜央ちゃんさえよければ、レナはいつでも大歓迎だよ~♪ 菜央(水着): ……っ、うん……! レナ(花柄水着): あっ……見てみて、菜央ちゃん!綺麗な貝殻がたくさん落ちていて、とってもかぁいいよ~♪ 菜央(水着): えぇ、そうね……!他にもカニと、ヒトデも……って、ほわぁあぁぁぁっ?! レナ(花柄水着): ど、どうしたの菜央ちゃんっ?悲鳴を上げて何があったのかな、かなっ? 菜央(水着): ご、ごめんなさい……!あたし、ヒトデとかウミウシとか海の軟体生物が苦手で……! レナ(花柄水着): はぅ……そうだったんだ。じゃあレナが拾って、遠くに放り投げてあげるねっ。 レナ(花柄水着): ……はい、菜央ちゃん。もういなくなったから、目を背けなくても大丈夫だよ。 菜央(水着): あ……ありがとう、レナちゃん。ごめんなさい、変な声を上げちゃって……。 レナ(花柄水着): あははは、気にしないで。もし苦手なものが他にもあったら、遠慮なく言ってね。貝とかは平気? 菜央(水着): えぇ……少し前にお母さんと、潮干狩りに行ったことがあって……。 レナ(花柄水着): ……そっか。じゃあ、一緒に集めよう。綺麗な貝殻、たくさん持って帰ろうね。 菜央(水着): えぇ……! レナ(花柄水着): ……あっ、菜央ちゃん。貝が割れてとがっているのもあるから、拾う時は気をつけて。 菜央(水着): うん、レナちゃんも。えっと……集めた貝殻は、ここに……。 …………。 レナ(花柄水着): ……さすがに、言葉にするのは菜央ちゃんに対して失礼だよね……。 レナ(花柄水着): まるで本当の妹みたい、……なんて……。 菜央(私服): ただいまー。今、帰ったわよ。 美雪(私服): おぅ、お帰りー。海の家でのバイトはどうだった? 菜央(私服): 結構忙しくて大変だったけど、やりがいもあって楽しかったわ。 菜央(私服): それにレナちゃん、すっごく大活躍で……後ろで見てても惚れ惚れしちゃったほどよ。 美雪(私服): そっかー、よかったね。夏休みのいい思い出になったんじゃない? 菜央(私服): ……えぇ。この先ずっと、絶対に忘れないくらいにね。 一穂(私服): …………。 菜央(私服): あ……そうそう、これは2人へのお土産よ。とがったり割れたりしてるのもあるから、指を切ったりしないようにね。 一穂(私服): わぁ、綺麗な貝殻だね……!浜辺で拾ってきたの? 菜央(私服): えぇ、レナちゃんと一緒に。生きてる貝も持って帰りたかったんだけど、さすがに荷物になっちゃうから。 美雪(私服): いやいや、十分嬉しいよ。……ねぇ、2人とも。せっかくだからこの貝殻を使って、夏休みの自由研究にするってのはどう? 菜央(私服): それはいいわね。何の貝なのかを調べて、標本にしましょう。 一穂(私服): …………。 菜央(私服): ? どうしたのよ、一穂。あたし、何か変なことを言ったかしら? 一穂(私服): ううん。……菜央ちゃんってやっぱり、優しくて素敵な女の子なんだなぁって改めて感じただけだよ。 菜央(私服): っ……からかわないでよ、もう。おだてたって、何も出ないわよ。