Part 01: 沙都子: はぁ……話の流れで仕方なくとはいえ、大変な役目を任されてしまったものですわね。 羽入: あぅあぅ、本当なのですよー。 一穂: あははは、大丈夫。沙都子ちゃんと羽入ちゃんなら、ちゃんとお役目を果たすことができると思うよ。 レナ: うんうんっ。きっと、とってもかぁいい花嫁さんになるんだろうなぁ……はぅぅ、お持ち帰りぃ~♪ 魅音: だからレナ、お持ち帰りはダメだって。2人は大事な生け贄なんだからさ。 沙都子: あの……魅音さん。確かにその通りですけど、その言い方はちょっと……。 美雪: まぁ生け贄って、さすがにあんまりいい響きじゃないよねぇ。 一穂: だよね……2人はちゃんと帰ってくるんだし。 魅音: あはは、そうだよね~。 沙都子: でも、まさか自分が生け贄になる日が来るとは思ってもみませんでしたわ。 美雪: そりゃそうでしょ。一生のうちに一度でも生け贄になる、なんて経験をする人間が今の世の中にいったい何人いるか……。 レナ: あははは、そうだね。そういうしきたりのない時代に生まれて、本当によかったよ……はぅ。 菜央: でも……2人に合うような白無垢なんてあるの? 詩音: そうですよね……こんなに小さな花嫁もめったにいないでしょうし、そのあたりは大丈夫なんですか、お姉? 魅音: まぁ、そのあたりは……って詩音、あんたいつの間にしれっと参加しているのさ? 詩音: 壁に耳あり障子にメリーって、やつです。よくあるじゃないですか、「私メリー、今一丁目の交差点にいるの」……とかね。 美雪: ……なんか別のもの、混ざってない?都市伝説かホラー話みたいなやつがさ。 一穂: で、でも……昔からある儀式なんでしょ?そのための衣装もちゃんと用意してあるんだよね? 美雪: まあ、狐神ってのが本当にそんな趣味だったら、白無垢は小さいのを使ってただろうしね。 詩音: そういうのが残っていたりするんですか? 梨花: 残っているかもですが……さすがに古すぎるのです。もうずっと使われていないものだと思うので、見つけても儀式に足るものかどうかは微妙なのですよ。 沙都子: では、どうするんですの?まさか普段着で、というわけにはいきませんし……。 魅音: だったら、私に任せてよ。園崎の家に何かしら、使えるものがあるかもしれないからね。 梨花: みー、本当なのですか? 魅音: 倉庫を探せば、古い着物はたくさんあるんだよ。そのままは無理でも、少し直せば使えるってやつなら結構簡単に見つかると思うしさ。 美雪: 魅音の家なら、なんでもありそうだもんね。じゃ、そっちはお任せってことでいいかな? 魅音: うん、ちょっとだけ時間をもらってもいい?見通しが立ったら、すぐに連絡するから。 羽入: あぅあぅ、よろしくお願いしますなのですよ。 沙都子: では、それまで私たちにできることは何かありまして……? 詩音: さしずめ沙都子に必要なのは、花嫁修業ってところでしょうね。くすくす……。 沙都子: は、花嫁修業っ……?なんでまた、そんな面倒なことを……?! 詩音: だって、今のままだと白無垢を着たところで馬子にも衣装にすら覚束ないかもしれませんよ?もう少し中身もお淑やかでないと……ねっ。 沙都子: し、失礼ですわね……!私だって家事の一通りはできるんですのよ? 菜央: まぁ、いつも全部自分でやってるんだものね。 詩音: いや、家事の腕はともかくとして……そんなふうに白無垢姿でガニ股だと、さすがにカッコがつきませんよ~。 沙都子: だ、誰がガニ股なんですのッ?! レナ: あはは、そうだよね~。でも、お着物の時の立ち居振る舞いとかは一応教わっておいた方がいいかもね。 魅音: そうだね……着物だと色々と勝手が違うから、そのくらいはやっておいたほうがいいと思うよ。 沙都子: それは、そうかもしれませんわね。では、羽入さんもいっしょになさいまして? 羽入: あぅあぅ、僕はたぶん大丈夫なのです。 梨花: 羽入は和服に慣れているのですよ、にぱー☆ 魅音: あ、そう?だったら、沙都子だけで特訓だね。 レナ: あははは、魅ぃちゃんだったら安心だね。おうちの人は、みんな着物だし。 魅音: まーね。私も子どもの頃から、着物はよく着せられてるし。 沙都子: をっほっほっほっ、それは心強いですわ~!魅音さん、お手柔らかに頼みましてよ。 詩音: まぁお手柔らかになるかどうかは、沙都子の出来次第ですねー。 一穂: あははは……私たちも、お手伝いするから。 沙都子: え、えぇ……皆さん、よろしくお願いしますわ。魅音さんと……。 沙都子: 「詩音さん」が暴走して非人道的な教え方になった時には、身を挺して守ってくださいませ! 一穂: え? そんな手伝い? 美雪: ……しかも何気に、詩音の方を強調してたね。 魅音: あはは、そんな教え方しないって。 レナ: じゃあ、名付けて「沙都子ちゃんのお嫁さん大作戦!」開始かな、かな? 沙都子: お、お嫁さん大作戦……って、なんですのその作戦名は?恥ずかしすぎるので却下でしてよ! 魅音: あっはっはっは!じゃあ、「沙都子地獄の花嫁修業」で決まりだね! 沙都子: それもイヤですわああぁぁぁあぁッ!! Part 02: その夜、魅音さんから早速連絡があったので私たちは稽古場所になっている古手神社の集会所に向かった。 魅音(私服): というわけで、白無垢の方は何とかなったよ。 美雪(私服): おー、さすが園崎家。頼もしいね。 菜央(私服): 沙都子たちに合う、ちょうどいいのがあったの? 魅音(私服): 古いものだけど、白無垢がいくつか残っててね。状態もきれいだし、昔の人は小柄だからサイズもほとんど直さずに済みそうだよ。 一穂(私服): そうなんだ。よかったね……。 魅音(私服): 他の道具だの装飾だのも、なんとか揃いそうだよ。……あとは沙都子の準備だけ、ってやつだね。 沙都子(私服): そ、そうなんですのね……責任重大ですわ……。 美雪(私服): まぁ、そう緊張しないでさ。ずっと行われてなかった古の珍しい儀式なんだし、せっかくだから楽しんでいきなよ。 沙都子(私服): はぁ……美雪さんみたいには行きませんわ。なにしろ私は、繊細ですので。 菜央(私服): まぁ……美雪は図太いというか、心臓に毛が生えてるくらいだしね。 一穂(私服): え、そうだったの?心臓に毛なんて、なんかすごいね。 美雪(私服): いや、信じないでよ。ただの慣用句だよ、慣用句。厚かましいとか、そういう意味のね。 美雪(私服): ……って、自分で言わせないでよ。 一穂(私服): ご、ごめんなさい……そっか、慣用句……。本当に心臓に毛が生えてるわけがないよね……。 菜央(私服): もしかして、一穂の方が緊張してるんじゃないの? 沙都子(私服): あら、そうですの? 一穂(私服): う、うん……ちょっと、そうかも。私、こういうかしこまった儀式って苦手で……。 魅音(私服): 一穂は、共感力も高そうだしね。沙都子の緊張が伝染ったってのもあるんじゃない? 沙都子(私服): をーっほっほっほっ!一穂さんが緊張するなんて、おかしいですわ~。 魅音(私服): おっ……?沙都子、元気が出て来たんじゃないの? 沙都子(私服): ええ、一穂さんのおかげで少しリラックスできましたわ。もしかしたら、私の緊張を吸い取ってくれたのかしら。 一穂(私服): え……ほんとに?私の緊張も、無駄じゃなかったんだね。 魅音(私服): んじゃ、そろそろ立派な花嫁になるための修業を始めようか。 沙都子(私服): お願いしますわ、魅音さん。 一穂(私服): 沙都子ちゃん、頑張って……! 沙都子(私服): こうなったら、花嫁としてのスキルを全てきっちりマスターしてみせましてよ。 菜央(私服): どうやらスイッチが入ったみたいね。 レナ(私服): はぅ……だったらレナも一緒にお勉強していいかな、かな?いつか、立派なお嫁さんになれるように! 沙都子(私服): ええ、もちろんいいですわよ。ライバルがいたほうが切磋琢磨して、いい結果が出ると思いますしね。 魅音(私服): そうだね!ついでに一穂もやっとく? 一穂(私服): え? わ、私も……?私はあの、別に……。 菜央(私服): いいじゃない。一穂もいずれ、普通に結婚するつもりがあるんでしょう? 一穂(私服): で、でも……。 菜央(私服): もう……はっきりしないわね。考える前に、やった方が早いわよ。 魅音(私服): よーし、じゃあ一穂ちゃんも参加だね。 一穂(私服): え、えぇぇえっっ?! 魅音(私服): といっても、おじさんが教えられるのは和装での立ち振る舞いで、良き花嫁になるためのノウハウじゃないけどね。 魅音(私服): そんなの私だって知らないからさ。 一穂(私服): あ、あはは……そうだよねぇ。 沙都子(私服): 今回は形だけ、和服の時の作法だけで十分ですのよ。 魅音(私服): おっけー。それだったらバッチリと仕込まれているから、任せておいて。 レナ(私服): はぅ……それじゃ魅ぃちゃん、お願いします。 一穂(私服): よ、よろしくお願いします。 詩音(私服): いよいよですね。3人とも、頑張ってくださいよー。 沙都子(私服): で……何からやりますの? 魅音(私服): 基本の立ち方、歩き方からだね。まずは立ち方から……。 詩音(私服): 立ち方なら、沙都子が得意でしょうね。よく廊下に立たされていることですし。 沙都子(私服): ええ、しょっちゅうバケツを持って立たされていますから、お任せを! 沙都子(私服): ……って、人をダメ生徒みたいに決めつけないでくださいませっ! 詩音(私服): ほらほら、もう始まっていますよー。 魅音(私服): はい、沙都子も集中! 沙都子(私服): わ、わかっておりますわ……。 魅音(私服): じゃあ、3人とも背筋を伸ばして。頭のてっぺんを糸で吊られている感じだよ。 一穂(私服): 糸で……。 レナ(私服): こうかな……かな?操り人形になったみたいな感じだね。 沙都子(私服): こ、こうでしょうか? 魅音(私服): そうそう。背骨がピーンと伸びる感じね。それで内股が開かないように膝を内側に入れて、爪先はまっすぐに。 レナ(私服): こ、こうかな……かな? 一穂(私服): わわっ……結構意識しないと、爪先が開いちゃうよ。 沙都子(私服): 本当ですわね。違和感がありますけど、これで正しいんですの? 魅音(私服): 最初は窮屈かもしれないけど、それくらいが正しい立ち方だよ。 魅音(私服): 特に沙都子は、明日までに身体に馴染ませておくようにね。 沙都子(私服): わ、わかりましたわ。 魅音(私服): じゃあ、次は歩き方だよ。まずは……沙都子からやってみて。 沙都子(私服): はいですわ。 魅音(私服): そこからまっすぐ、私の方に歩いてきて。 沙都子(私服): このまま歩くんですわね?……歩くくらい簡単だと思っておりましたけど、こうなると足が出にくくて……えいっ。 魅音(私服): はい、ダメ! 沙都子(私服): え? まだ一歩しか歩いておりませんわよ? 魅音(私服): だから、問題外だって。そんな大股で歩いたら、裾が乱れちゃうでしょ。 沙都子(私服): あ……つい、いつも通りに……。 魅音(私服): もう1回! 沙都子(私服): 歩幅は小さく、小さく……。 魅音(私服): ほら、爪先が外側を向いてきたよ! 沙都子(私服): ああ……ッ!こっちをしようとすると、あっちがお留守に……。 一穂(私服): お、思ったより難しそうだね~。私もちょっとやってみようっと。 一穂(私服): ……はわわっ! 魅音(私服): ほら、フラフラしない! 一穂(私服): ごめんなさぁぁぁい! 美雪(私服): いやー、窮屈そうだね。……私には無理かも。 菜央(私服): そう? コツさえつかめば意外に簡単なのよ。 レナ(私服): はぅ……菜央ちゃんはすごいね。レナも将来のために、その秘訣を教えてもらおうかな……かな。 沙都子(私服): 爪先は真っ直ぐ、歩幅は小さく……。 魅音(私服): あーほらほら、それじゃだめだめ! 沙都子(私服): え? ちゃんと爪先をまっすぐにして小さな歩幅で歩いておりましたわよ? 魅音(私服): 足意識しているからって、顔を下に向けない! 沙都子(私服): あ……。 魅音(私服): 背筋を伸ばして、顎を引いて。目線はまっすぐ遠くに……。 沙都子(私服): わ、わかりましたわ。 魅音(私服): はい、じゃあもう1回! 美雪(私服): ひー、なかなかスパルタだね。 菜央(私服): 一穂もしっかりとしごかれて、女子力上げなさいよ~。 一穂(私服): う、うん……。 レナ(私服): あははは、レナも頑張るよー。 菜央(私服): レナちゃんは大丈夫! だってかわいいもん! 魅音(私服): ちょっとそこ! うるさいよ! 菜央(私服): ひぇッ?! 一穂(私服): ご、ごめんなさ~~~い! 魅音(私服): じゃあ次は、3人で! 沙都子・一穂・レナ: はいッ!! Part 03: 魅音(私服): はい、顎上げて。まっすぐ前を見て。 沙都子(私服): …………。 詩音(私服): あら、特訓の甲斐あって結構サマになっているじゃないですか。 菜央(私服): もうかれこれ、3時間以上やってるものね。 詩音(私服): いや、すごい上達ぶりですよ。なんかこう、人妻の色気すら醸し出しているような気がしますよ。 菜央(私服): ほんとね。沙都子、やるじゃない。 沙都子(私服): をーっほっほっほっ!私が本気になれば、このくらい当然ですわ~。 魅音(私服): そうだね。草履で歩いても、パカパカ音がしなくなったし……沙都子はもうバッチリじゃないかな。 魅音(私服): で、こっちは……。 一穂(私服): わ、わあッ?!またパカパカって音がしちゃった……! レナ(私服): 一穂ちゃん、お馬さんみたいだよ~。 レナ(私服): って……ひゃあッ?! レナ(私服): はぅぅ、また足が絡まっちゃった~! 美雪(私服): ……何をやってるんだか。一穂はともかく、レナも苦手っぽいのはちょっと意外だったね……。 魅音(私服): まぁ、この2人は参加するわけじゃないからね。花嫁修業は気長にやってもらうとして……。 魅音(私服): 沙都子の方は、仕上げだね。あとは三三九度を教えておかないと……どう、まだいける? 沙都子(私服): えぇ。望むところですわ。 魅音(私服): って言っても、今までの流れが身に付いていればただ手順を覚えるだけだから、なんてことはないよ。 レナ(私服): はぅ~、沙都子ちゃんの三三九度……どんな感じなのかな……かな? レナ(私服): ……ひゃあッ?! 一穂(私服): ちょ……レナさんっ? 菜央(私服): ったく……また馬が走っちゃってるじゃない。 沙都子(私服): お二人とも、しっかりなさいまし。そんなことじゃいつまでたっても立派な花嫁にはなれませんのよ? レナ(私服): あははは……沙都子ちゃんみたいにはいかないね。もう立派な花嫁さんだよ。 一穂(私服): う、うん……とてもかなわないよ。 沙都子(私服): 年齢的には、2人に先にいってもらわないとなりませんのよ。しっかりしてくださいまし。 レナ(私服): はぅ……ごめんね。 魅音(私服): ま、2人は将来の本番までになんとかしてね。沙都子はこっちで三三九度だよ。 沙都子(私服): えぇ、了解ですわ。 魅音(私服): ……うん、こんなところだね。 沙都子(私服): ふぅ……。 詩音(私服): やるじゃないですか、沙都子。これで明日の本番もバッチリですね。 沙都子(私服): なんとかなりそうで、ホッとしましたわ。羽入さんの準備は、いかがかしら……? 一穂(私服): 羽入ちゃんは、梨花ちゃんと一緒なんだよね。 詩音(私服): ですね。梨花ちゃまがいるから大丈夫でしょう。 魅音(私服): もう遅いから、今夜はみんな泊まっていきなよ。沙都子は明日も着付けで朝早いだろうしね。 沙都子(私服): ですわね……そうさせていただきますわ。 レナ(私服): レナ、もうクタクタだよぉ~。はぅぅっ……。 魅音(私服): こらこら、ここで寝るんじゃないよ。すぐに布団を用意するからさ。 沙都子(私服): をっほっほっほっ!お泊まり会みたいで楽しいですわねぇ。 菜央(私服): とかいって、緊張で眠れないんじゃないの? 沙都子(私服): 大丈夫ですわ。こう見えて私、どこでも寝られますのよ。 美雪(私服): んじゃ、早いところ準備して今夜は早く寝よう。 一穂(私服): うん。なんか合宿みたいで楽しいかも。 一穂(私服): …………。 一穂(私服): (枕が違って、眠れないや……) 一穂(私服): (あれ? 沙都子ちゃんだ……?眠れないのかな……?) 沙都子(私服): …………。 一穂(私服): (どうしたんだろう?かしこまって正座……してるみたいだけど……明日の練習の復習、かな?) 沙都子(私服): 儀式とはいえ……明日私、花嫁衣装を着るんですのよ。 沙都子(私服): まさか、こんなに早く着る機会があるとは思いませんでしたわ。 一穂(私服): (何か喋ってる……。沙都子ちゃん1人……だよね?) 沙都子(私服): 私、明日お嫁に行きますわ。今まで一緒に暮した時間、受けた愛情を忘れずにもっともっと幸せになります。 沙都子(私服): 今まで育ててくれて、本当にありがとうございました……。 一穂(私服): (あ、結婚前日の挨拶……そこまでするなんて沙都子ちゃん、なりきって……る、のかな……?) 沙都子(私服): ……。なんて、ね。でもいつか、未来にあるだろう本当の本番の時には、ちゃんと言わせてくださいなのですわ。 一穂(私服): (でも、なんか……) 沙都子(私服): さぁ、明日も早いですし……もう寝なくてはですわ。 一穂(私服): (あ、こっちに来る!寝たふり、寝たふり……) 一穂(私服): すぅ……すぅ……。 沙都子(私服): 皆さん、おやすみなさいですわ。……明日はよろしくお願いします。 沙都子(私服): …………。 一穂(私服): (……ふぅ、びっくりした。今の、なんだったんだろう……?) 一穂(私服): (……とにかく、明日は上手く行くといいな……) そして、翌日。相変わらずの大雨の中、集まった大勢の村人たちに見守られながら、晴れ乞いの儀式が行われた。 沙都子(私服): …………。 レナ(私服): はぅぅ~~っ……。沙都子ちゃん、きれいだねぇ。 一穂(私服): ほんとだね。本当の花嫁さんみたい。 美雪(私服): いやー、上手く化けたもんだよね。沙都子がキツネかタヌキじゃないかって感じだよ。 魅音(私服): まぁキツネの嫁になるって儀式なんだから、キツネで合っているのかもしれないけどね。 レナ(私服): 沙都子ちゃんがおもちかえりぃ~♪されないように、しっかりみんなで守らないとだね、はぅっ。 一穂(私服): うん、そうだね。 菜央(私服): ……もうすぐ儀式が、終わるわね。これで雨が止むのかしら? 美雪(私服): どうだろうねぇ。ここでパーッと晴れ上がったりすると、儀式の効果絶大なんだろうけど。 魅音(私服): そうなることを祈りつつ、最後までしっかり見守ろう。 レナ(私服): そうだね。それにしても……やっぱりお嫁さん、憧れちゃうよぉ~。 一穂(私服): うん……ほんと、すごくきれいだね。