Part 01: 美雪(私服): ただいまー……って菜央、どうしたのさ。そのミシン、どこから持ってきたの? 菜央(私服): あ、おかえりなさい美雪。この前、2階の奥の部屋を片付けてたら偶然見つけたのよ。 菜央(私服): 前原さんにも、使って構わないかってこの前会った時にちゃんと一言断りを入れておいたから、問題はないでしょ? 美雪(私服): おぅ、いつの間に……相変わらず、そのあたりの行動力と周到さはさすがだねー。 菜央(私服): ちょっと旧式だけど、十分使えるわよ。あんたの大穴が開いたズボンも、ちゃんと修繕しておいたわよ。ほらっ。 美雪(私服): へっ……って、いつの間にこんな穴がっ?しかもぎりぎり下着が見えるかもしれない危険な場所に……?! 菜央(私服): 上着と重なって見えづらいところだからおそらくみんなにはバレてなかったはずよ。……けど、次からは気をつけなさいよね。 美雪(私服): はい、気をつけます……。 一穂(私服): あ、あははは……。でも菜央ちゃんって、前に借りたミシンも上手に扱えてたよね。すごいなぁ……。 菜央(私服): すごくなんてないわ。どのミシンもミシンだもの。針の位置の確認と、操作手順さえ間違えなければどんな場所でも簡単に縫うことができるし……。 菜央(私服): それにミシンで縫った場所は、普通に縫うより丈夫になるから……服の仕立てには必需品なのよ。 美雪(私服): んー、その服を仕立てるって発想自体が私たちには備わってないっていうか……結構特殊なスキルだと思うけどね。 菜央(私服): ほわぁ……今まではレナちゃんたちのミシンを借りてたけど、これでいつでも一切の気兼ねなく仕立てができるわ! 菜央(私服): さーて、第一弾は何を作ろうかしら……?レナちゃん、何を作ったら喜んでくれるんだろ……だろ? 美雪(私服): おーい、菜央~。そんなことより食材を買ってきたんだから、早く夕飯に……って、聞いてないよこの子ってば。 一穂(私服): あははは……でも、あんなふうに没頭できる趣味があるっていいよね。菜央ちゃんが羨ましいな。 美雪(私服): そういえば、一穂の趣味は? 食べること? 一穂(私服): た、食べるのは好きだけど、それは趣味じゃないよ!……子どもの頃からやってるのは剣道だけど、趣味かと言われれば違う気がするし……美雪ちゃんは? 美雪(私服): 子供の頃からならガールスカウト……はもう辞めちゃったしなー。 美雪(私服): あ、友達とアクセ作ってフリマで売るのは定期的にやってたよ! 一穂(私服): えっと……フリマ、って何? 美雪(私服): え、知らない? 「フリーマーケット」って言って家にあるいらないものとか、自分で作ったものを持ち寄って広場で売ったりする、個人露店の集まりだよ。 美雪(私服): みんな素人ばっかりだけど、出店する方も自由に何でも好きな値段をつけていいから……結構掘り出し物とかもあって楽しいんだよね~。 一穂(私服): 楽しそうだな……私も一度、行ってみたいなぁ。 美雪(私服): んー、まぁ首都圏とかだとイベントスペースが色々とあるから土日とかで頻繁にやってるけど、#p雛見沢#sひなみざわ#rだとどうだろう……あ、そうだ! 一穂(私服): っ? なに……どうしたの、美雪ちゃん? 美雪(私服): なければ、作ればいいんだよ!みんなの力を借りてさ! 一穂(私服): みんなの力を、借りる……? 魅音(私服): ……なるほど。フリマかぁ。 魅音(私服): #p興宮#sおきのみや#rではたまにやっているけど、雛見沢ではちょっと機会がない感じだね。古物市は時々神社とかで開くけどさ。 圭一(私服): 古物市……って、どんなイベントなんだ? 梨花(私服): みー。その名の通りに古い道具や骨董品などを境内に持ち寄って、オークションを開くのです。 梨花(私服): 売上の一部はボクたちの懐に入って、胸もお顔もほくほくなのですよ。 羽入(私服): あぅあぅ……梨花、そういう言い方は誤解を招くのでよくないのです。 羽入(私服): 要するに、売り上げは神社への寄進として活用されるのですよ~。 詩音(私服): まぁ……実際に管理するのは町会なわけですから、保守云々の建前とかで宴会代に消えている可能性もなきにしもあらずなんですけどね~。 魅音(私服): ちょっと、人聞きの悪いことを言わないでよね。もしそんな罰当たりなことをしでかすやつがいたら、川に流すか沼に沈めてやるっつーの。 沙都子(私服): ……これが冗談に聞こえないところが、園崎家の恐ろしさなんですけどね。 美雪(私服): でも、元々学校とか幼稚園のフリマも寄付金を作るためのイベントだもんねぇ。 レナ(私服): はぅ~、みんなで色んなものを持ち寄ってフリマ、とっても楽しそうだよ~!レナたち全員でやってみるのはどうかな、かな? 魅音(私服): そうだね。興宮のゲストハウスも、これっていうイベントが少なくて絶賛企画募集中って話だし……。 魅音(私服): オーナーのおじさんと交渉して、あの広場を安く使わせてもらえるかどうか頼んでみるよ。 詩音(私服): では、そこで各自いらないモノ……じゃない、使わなくなったものを持ち寄って売るってわけですね。 圭一(私服): へへっ、なんか楽しそうだなー!俺も押入れの奥にしまい込んであるとっておきの逸品、これを機会に披露してやるぜ! 梨花(私服): みー……そんな価値のある品だったら、押入れの奥で眠っていることはないのですよ。 圭一(私服): ぐっ……?! レナ(私服): あははは。でも、圭一くんのお家に眠っている宝物はレナも見てみたいな~♪ はぅはぅ☆ 美雪(私服): おぅ、レナが宝探しモードに入りかけてる。 一穂(私服): ……下手な泥棒よりも、豪快な探し方になりそうだね。 圭一(私服): ……他人事のように言っているが、俺の家の押し入れってのは、今まさに一穂ちゃんたちが住んでいる家のことだからな? 圭一(私服): そっちの家の中が、ゴミ山みたいになっても俺は知らねぇぜ……。 一穂(私服): はっ?! そ、そうだった……! 魅音(私服): レナ、宝探しへの情熱は後日にとっておきなよ。それより、フリマで売るモノを決めないとね。 魅音(私服): よし、決めた! 今度のフリマは部活にしよう!! 一穂(私服): フリマで……部活? Part 02: 魅音(私服): さーて、それじゃいよいよ待ちに待ったフリーマーケットの開催だ!みんな、準備はできたかー?! 一同: おおおおぉぉぉぉおおっっ!! 魅音(私服): 売れた金額は、各自で計算!一番売上を立てた子が優勝で、最下位は罰ゲーム!いつもの部活ルールで行くよ~! 詩音(私服): くっくっくっ……お姉、皆さん。悪いですが私、今回は勝ちを意識してやりますので手加減はしませんよ……! 圭一(私服): ほぉ……大した自信じゃねぇか、詩音。力量見せてもらおうか。 魅音(私服): それじゃ、いくよー……。 魅音(私服): フリマ対決、スタートッッ! レナ(私服): あははは、圭一くーん! 圭一(私服): おっ、レナ! どうした、休憩か?それとも俺たち以外の出展者のブースに偵察がてら、かぁいいもの探しか~? レナ(私服): うん、ちょっと休憩。このリュックの中身以外、全部売り切れちゃったから。 圭一(私服): はぁっ?! まだフリマ終了まで半分以上の時間が残っているんだぞ?それにレナ、かぁいいもの山ほど持って来てただろ?! レナ(私服): えへへ……お客さんにレナが集めたかぁいいものを褒められたり、欲しいって言われたりしたら、つい嬉しくなって……。 レナ(私服): 色々とおまけしていたら、いつの間にか残りがこれだけになっちゃったんだ。 圭一(私服): 早すぎるだろ……。レナ、お前って仕入れの才能があるんじゃないか? レナ(私服): そ、そうかな……?ところで圭一くんは、何を売っているの? 圭一(私服): 親父が使わなくなった、画材道具だ!プロが使ってる一流品が、超お値打ち価格だぜ! レナ(私服): なるほど……圭一くんは薄利多売じゃなくて、高付加価値で勝負を仕掛けたんだね。 圭一(私服): あぁ、見る目がある人にとっては値段以上の価値がある品ばかりだ! レナ(私服): それで売り上げはどうかな? かな? 圭一(私服): ……一言で言うなら。 圭一(私服): こういう品を、バザーなんかに求めにくる人は多くないって事実が判明したぜ……。 レナ(私服): …………。 圭一(私服): くそっ、バザーのコツとかをお袋にもっと聞いておけばよかった……! レナ(私服): はぅ……元気出して、圭一くん。そうだ、ちょっと休憩してみんなのところを見て回ってみるのはどうかな、かな? 圭一(私服): ……そうだな。打開策が思い浮かぶかもしれないし。 魅音(私服): あ、レナ! 圭ちゃんも! レナ(私服): 魅ぃちゃんは、ボードゲームを売っているんだね。 魅音(私服): この前のセールで、買い込みすぎちゃってさ。さすがにちょっと増やしすぎたから、一部を手放すことにしたんだよ。 若い男性: よぉお姉ちゃん、こいつ安くしてくれよ~! 魅音(私服): ダメダメ、それ以上はまからないよ! 若い男性: 中古じゃーん! 魅音(私服): お兄さん。中古なら新品より安くて当然、って考えはいけないねぇ。 魅音(私服): 目立った傷もないこいつを余所で手に入れるのは、かなり骨が折れるよ~? 圭一(私服): ……まぁ魅音は楽しそうだけど、そんなに売れてなさそうだな。 レナ(私服): 魅ぃちゃんにとって思い出があるゲームばかりだもん。あんまり安く売りたくないんじゃないかな? かな? 圭一(私服): ……レナはよかったのか?大事なかぁいいもの、安く売って。無理矢理値下げとかさせられてないよな? レナ(私服): あははは、大丈夫だよ。ありがとう、圭一くん。 レナ(私服): 考え方は人それぞれだけど……レナは新しい持ち主さんに大事にしてもらえるならそれも嬉しいことだなって思うから。 圭一(私服): ……そうか。それにしても、魅音が魅音でよかった。 レナ(私服): どうして? 圭一(私服): これならギリギリ売り上げに勝てる……気がする! レナ(私服): はぅ……そ、それはどうだろうね……? 圭一(私服): 美雪ちゃんと菜央ちゃんは隣同士で出店しているんだよな? レナ(私服): うん、そう言っていたよね……あ、あそこにいるよ! 長髪の女の子: ねぇねぇ、このヒモみたいなのってなーに? 美雪(私服): これはミサンガと言って、腕や足につけて自然に切れると願いが叶うというおまじないアクセサリーだよ! リボンの女の子: そんなの聞いたことなーい。 長髪の女の子: これ、リリアンに似てるよー?リリアンなら自分で編むもーん! 美雪(私服): えっ? いや、リリアンじゃ自然に切れるのは難……ちょっ、まっ……! 菜央(私服): ……行っちゃったわね。 菜央(私服): あと今更だけど、こんな……都会の流行り物とか作って、色々おかしくなったらどうするのよ。 美雪(私服): 流行ったのが私たちの東京ってだけで、ミサンガは昔からあったよ? 菜央(私服): ……そうなの? 美雪(私服): そうそう。昔、社宅のサッカーファンのママさんから教えてもらったんだ。おかげで東京のフリマじゃ大儲けだったよ。 菜央(私服): でしょうね。糸の元手なんてたかが知れてるもの……売れないとゼロ円だけど。 美雪(私服): いや、ゼロではないよ。ゼロではないけど……。 帽子の男の子: なんだ、この竹とんぼは! すげー飛ぶ! 坊主の男の子: なにこれ、木彫りの恐竜?! かっけぇ! 絆創膏の男の子: あっ! このサメ、口の中にビーム砲入ってる!ビビビビーム! ビビビビビーッ!!! 絆創膏の男の子: すげぇー! かっけぇー! これ頂戴! 美雪(私服): ……賑やかしに木で適当に作ったおもちゃの方が売れるってどうよ?もう完売寸前なんだけど。 美雪(私服): あーっ、こうなったら木彫り細工の方をもっと作っておくべきだったーっ! 菜央(私服): あとの祭りね。 レナ(私服): 菜央ちゃーん! 美雪ちゃーん! 菜央(私服): ほわっ……レナちゃん! 美雪(私服): おぅ、レナと前原くん。揃って休憩? 圭一(私服): あぁ、そんな感じだ……って菜央ちゃん、何を売っているんだ?! 菜央(私服): 手作りの、着せ替え人形用パジャマよ。可愛いでしょう? レナ(私服): はぅ~! お持ち帰りぃ~♪これぜーんぶくださ~い! 圭一(私服): 待てレナ! 他の子が買えなくなるだろ?!ほら、他の欲しそうな子が遠くからチラチラとこっちを見ているぞ……?! レナ(私服): はっ?! じゃ、じゃあ1つくださーい! 菜央(私服): ほ、ほわぁ……ありがとう!レナちゃんにならタダであげるわ! レナ(私服): ううん。今は部活中だし、なにより菜央ちゃんの手作りだもん。ちゃんとお金を払わせてもらいたいな。 美雪(私服): ……菜央、お金はちゃんともらいなよ。タダであげようとしたら、逆にレナが困るよ? 菜央(私服): わ、わかったわ……レナちゃん、どれも同じ金額だから好きなのを選んでくれる? レナ(私服): はぅ~♪ どれもかぁいいよ~!ど、れ、に、し、よ、う、か、な~♪ 圭一(私服): へー、よくできてるな……けど、この服生地ってなんだ? タオルか? 菜央(私服): えぇ。要らない新品のタオルをもらったから、それで作ったのよ。 菜央(私服): 珍しいけど、可愛いでしょう?まぁ、生地の端処理がちょっと大変だったけど……。 圭一(私服): 確かにタオルはフリマの常連品だけど、こうして見ると目新しいな……。けど、どうしてパジャマにしたんだ? 菜央(私服): 似た大きさの有名な着せ替え人形って、2種類あるのよ。国産と外国産がね。 菜央(私服): ただ、サイズが微妙に違うから大きい方に合わせて作るとなると結構ぶかぶかになって変になっちゃうし……。 菜央(私服): その点、ショートパンツのパジャマセットなら、ぴったりでも多少ぶかぶかでもかわいいでしょう? レナ(私服): うんうん、確かにそうだね!レナ、このウサギの耳がついたやつにしよーっと!はぅ~、お持ち帰りぃ~♪ 圭一(私服): いい買い物できてよかったな、レナ。 レナ(私服): うん! 圭一(私服): 沙都子ちゃんと梨花ちゃんは合同で出店しているんだよな……って、あれ? 沙都子(私服): むー……。 レナ(私服): はぅ……どうしたの、沙都子ちゃん。 圭一(私服): 何を売っているんだ……って、なんだこれ、本か?『トラップマスター直伝! トラップのコツ虎の穴』……? 梨花(私服): 沙都子がトラップのコツを紙にまとめたものをコピーして、ホッチキスで留めて作った本なのです。 沙都子(私服): 売れるような不要品があまり見つからなかったので、こういう本を作ろうという話になりましたの。でも……その……。 レナ(私服): ……あんまり、売れていないのかな? かな? 沙都子(私服): 絶対みんな知りたがるものと……売れると思ったのですけど……。 レナ(私服): 梨花ちゃん、1冊くださいな。 圭一(私服): あ、俺も1冊。 梨花(私服): みー♪ まいどあり、なのですよ~。 沙都子(私服): レナさん……圭一さん……。 圭一(私服): くくく……この本さえあれば沙都子の思考は丸裸!つまり俺がトラップを掻い潜ることも可能! 沙都子(私服): んなっ……って、をーっほっほっほ!そんな簡単にいくわけがありませんわ! 沙都子(私服): この本を舐めるように呼んだとして私の思考を丸裸にすることなんて不可能でしてよ~! 梨花(私服): みー……でも、ヒントにはなるかもしれないのです。 圭一(私服): ……だ、そうだが。 沙都子(私服): …………。 沙都子(私服): 販売拒否! 販売拒否ですわーっ! 圭一(私服): わははは! もう遅い! この本は俺のものだー! レナ(私服): あはははは! レナも、もう返さないよ~。 沙都子(私服): ふ、ふわぁぁぁぁああぁぁんんっ!! 梨花(私服): みー。沙都子のこういう顔は久しぶりに見たのです♪かわいそかわいそなのですよ、にぱ~☆ 圭一(私服): ところで、一穂ちゃんと羽入ちゃんはどこに行ったんだ? レナ(私服): 2人は、詩ぃちゃんとチームを組むんだって。 圭一(私服): 詩音と? なんか、妙な組み合わせだな。なにを……お、いたいた……ん? 一穂(私服): はぁ……豚汁おいしい……ずずっ……もぐもぐ……ずずっ……。 羽入(私服): あぅあぅ、お野菜が甘いのですよ~。 男性客: あの子たち、美味しそうに食べてるなぁ。 女性客: 見てたらお腹減ってきちゃった……すみませーん、一杯くださーい! 詩音(私服): はーい、毎度あり~! レナ(私服): 詩ぃちゃん、何を売っているの? 詩音(私服): 売り物にならない野菜をもらって豚汁にしました。美雪さんたちだって手作り品を売っていますし、もちろんこれもアリですよね? 圭一(私服): いや、アリではあるけど……素人が食べ物を売るのは許可がいるんじゃないか? 詩音(私服): ちゃんと役所の許可は取っていますよ~。ま、名目上の責任者は葛西ですけど。 葛西: ……責任者です。 レナ(私服): はぅ……葛西さんのおひげが心なしか下がっちゃっているような……湯気のせいかな、かな? 圭一(私服): いや、違うだろ。……相変わらず大変だな、葛西さん。 葛西: 恐縮です……。 一穂(私服): もぐもぐ……ずずっ……。 レナ(私服): 一穂ちゃんと羽入ちゃんは、何をしているの? 一穂(私服): 野菜を切るのを手伝って……あとは、ここで黙ってお味噌汁を食べててって詩音さんに言われてたんだけど……。 羽入(私服): あぅあぅ、終わった後のデザートも待っているので、腹八分に留めるためにちょっとずつ食べているのですよ! 詩音(私服): お二人には客寄せパンダになってもらいました。この子たちが美味しそうに食べているおかげで、さっきからお客さんが絶えないんですよ~。 中年の女性客: すみませーん! 豚汁2杯くださーい! 詩音(私服): はーい! レナ(私服): 確かに、一穂ちゃんを見てたらレナも食べたくなってきちゃったかも……。 詩音(私服): 毎度ありがとうございま~す。 圭一(私服): さすが詩音、商売慣れしてやがる……! Part 03: 魅音(私服): フリーマーケットお疲れ! 結果発表~! 美雪(私服): はーい! 最下位は私でーすっ! 美雪(私服): そうさ敗者の身体なんぞ、好きにすればいいさ!需要を読み間違えたのが私の敗因だーっ! 梨花(私服): ……美雪、地面に寝っ転がったら汚れるのですよ。 沙都子(私服): なんというか……哀れですわね。 美雪(私服): くっ……! 終了直前に梨花ちゃんが沙都子サイン&握手会という名目の熾烈なオークションを開始しなければ、最下位は免れたかもしれないのに……! 魅音(私服): 負け惜しみは見苦しいよ~。じゃ、罰ゲームといこうか! 美雪(私服): ぎにゃーっ! レナ(私服): そう言えば沙都子ちゃんのサイン本、すごい値段がついたんだって? 沙都子(私服): 皆さん、梨花の口車に乗せられて……あんな額をつけられたら、逆に心苦しいですわ。 レナ(私服): はぅ……みんなそれだけ価値があるって思ったから、お金を出したんだよ。気にすることはないと思うな。 沙都子(私服): ……ありがとうですわ、レナさん。 詩音(私服): にしても、2位が菜央さんは順当ですけど、優勝がレナさんとはちょっと意外ですね。私がぶっちぎりだと思っていたんですが。 圭一(私服): 詩音はかなり稼いでいたみたいだけど、3等分したらさすがに1人分の額は少なくなるからな。 詩音(私服): 飲食業の薄利多売が裏目に出ましたか……まぁ、結構稼がせてもらったので、これはこれでよしとしますか。 羽入(私服): あぅあぅ、売り上げでたっくさんシュークリームを買うのですよ~! 一穂(私服): 私、ちょっと野菜切るのを手伝った後はお味噌汁を食べてただけなのに……こんなに売り上げ、もらっていいのかな……? レナ(私服): そんなに思い詰めなくても、一穂ちゃんは一穂ちゃんのお役目を果たしたからいいんじゃないかな? かな? 一穂(私服): う、うん……それにしても、菜央ちゃんの売り上げが2位なんてすごいね。もう何に使うか決めたの? 菜央(私服): そうね……新しいことにチャレンジするためのお金にするわ。 菜央(私服): レナちゃん、協力してくれる? レナ(私服): ……? よくわからないけど、レナに出来ることならいいよ。 菜央(私服): ありがとう! それじゃあね……。 レナ(うさみみパジャマ): はぅ~……かぁいいかぁいい!お人形さんとお揃いのパジャマだ~っ! 美雪(私服): おー、似合う似合う!……と言いたいけど、胸元って本当に閉まらないの? レナ(うさみみパジャマ): うん、ファスナーが胸のあたりからあがらなくて……はぅ。 菜央(私服): サイズは間違えてなかったんだけど、タオル生地の伸縮性のなさを甘く見てたわ……そこは要修正ね。 一穂(私服): でも、すごいよ菜央ちゃん。人形とお揃いのパジャマを作れるなんて……。 菜央(私服): 実を言うと、人形より実物大の方が作りやすいのよ。人形用パジャマが意外に評判がよかったから、人間サイズで作ってもいけるんじゃないかと思ったの。 菜央(私服): 幸い資金も手に入ったから、納得できるまで極めるつもりよ。 美雪(私服): おぅ……これはまた、フリマで売れそうだね~。 レナ(うさみみパジャマ): 菜央ちゃん、菜央ちゃん。 菜央(私服): あ、ごめんなさいレナちゃん。すぐに作り直すから、もう一度……。 レナ(うさみみパジャマ): あのね、レナのこの前のフリマの売り上げを全部菜央ちゃんにあげるから……。 レナ(うさみみパジャマ): みんなにも、お揃いのパジャマを作ってくれないかな? かな? 一穂(私服): みんなに……って、部活のみんな? レナ(うさみみパジャマ): うん! 菜央ちゃんのパジャマを着て、パジャマパーティーがしたいんだ~っ! 美雪(私服): あぁ、マンガでよく見るパジャマパーティー……って、前原くんも? 菜央(私服): 当然じゃない。仲間はずれなんて可哀想でしょ? 美雪(私服): おぅ……逆にこのふわふわパジャマを着せる方が可哀想だと思うけどな。 美雪(私服): ……いや、私がこの前着せられた罰ゲーム用衣装と比べればマシか。うん。 一穂(私服): 罰ゲーム衣装と、一緒にするのはどうだろう……? レナ(うさみみパジャマ): はぅ~! 圭一くんはクマさんの耳が似合うと思うんだけど、どうかな……かな? 菜央(私服): わかったわ、前原さんはクマ耳ね。 美雪(私服): おぅ、菜央が燃えてるよ。 レナ(うさみみパジャマ): あはははっ……。 一穂(私服): レナさん、嬉しそうだね。前原さんのクマ耳パジャマ、楽しみ? レナ(うさみみパジャマ): それも早く見てみたいけど……はぅ。 レナ(うさみみパジャマ): 今までの#p雛見沢#sひなみざわ#rも楽しかったけど、菜央ちゃんたちが来てから今までとは違う楽しいことがたくさんあって……。 レナ(うさみみパジャマ): レナ、今、毎日すっごく楽しいなぁって思って。 ……昼間、そんな話をしたせいだろうか。 その夜、ちょっと不思議な夢を見た。 夢の中で、かぁいいお部屋の中にかぁいいぬいぐるみがたくさん集まった、広いベットの上にいて……。 部活のみんなで、菜央ちゃんの作ったパジャマを着てごろごろだらだらと楽しく過ごす……。 かぁいいものと、かぁいい服の大好きな人たちに囲まれた時間を過ごす……そんな夢。 夢の中にいるのに、夢だとわかるくらい……夢のような楽しい時間。 ……でも、現実でも近いうちに、叶うよね? レナ(うさみみパジャマ): はぅ~、かぁいいものたーくさん!みーんな、おっもちかえりぃ~!