Part 01: 魅音(私服): はぁ……やっと帰ってきた……。 会合を終えて屋敷に戻り、自分の部屋に戻った私は大きく息をつきながら畳の上に身体をごろり、と大の字に投げ出す。 今夜は……いや、今夜も大いに疲れた。葛西さんに車で送ってもらっていなかったら、帰宅の途中で行き倒れていたかもしれない。 お腹が減りすぎて、中で虫が騒いでいる。……ただ、何か食べようと台所に向かいたくても再び起き上がるのさえ億劫なほどだった。 魅音(私服): お風呂に入るのも面倒くさいなぁ……。明日は普通に分校で授業だから、せめて汗くらい流しておきたいんだけど。 1日やそこらで身体から悪臭が放たれる、とは思えないが……その辺りに気が回らなくなったら女性としてかなりヤバいし、屈辱の極みだ。 また、万が一……絶対あり得ない話ではあるけど圭ちゃんに「なんか臭うぞ?」なんて言われたら、私はその場で一切の躊躇なく自害するだろう。 魅音(私服): こういう時だけは、圭ちゃんが#p興宮#sおきのみや#rの学校通いでよかったと心底思えるね……ん……? 目を閉じながら、無意識に自分が発した言葉に私は違和感を抱く。 魅音(私服): (……圭ちゃんって、分校通いじゃなかったっけ……?) その疑問に応えて脳裏に蘇ってきたのは#p雛見沢#sひなみざわ#r分校の教室の中で喧噪を繰り広げる、いつもの仲間たちの姿……。 魅音(私服): (レナに沙都子、梨花ちゃん……そして、圭ちゃん) そこには確かに、快活に暴れ回る彼が他の面子と一緒に映し出されている。 でも……どうして?なんで私は、圭ちゃんが興宮の学校に通っていると思ってしまったのだろう……? 詩音(私服): お姉……?どうしたの、大丈夫? と、そこへ頭上から声が聞こえてきたので……私は目を開く。 明るくなった視界の中には、気遣わしげな表情で覗き込んでいる詩音の顔があった。 詩音(私服): まったく……着替えもせずに、はしたない。いくら自室だからって、女だって自意識を忘れちゃ駄目だよ。 魅音(私服): ……そのレディの部屋に断りもなく入っておいて、よくもそんなお小言が口にできたもんだね。 ため息をつき……よっこいせ、とオヤジくさいかけ声をあげながら私は上体を起こして詩音に向き直る。 寝転がったまま応対してもよかったのだけど、レディとして鼎の軽重を問われたことでこれ以上は弱みを見せまいという、せめてもの矜持だった。 魅音(私服): 何の用……? 今夜の寄合の内容は明日話すから、今夜はもう勘弁してよ。マジで疲れたんだよ……。 詩音(私服): わかっているよ。今のグロッキー状態のお姉を見てさらに働けとは、さすがの私も言わないって。 そう言って詩音は襖のそばに置いてあったお盆を手に取り、こちらへと差し出してくる。 そこにはおにぎりと、温かいお茶の入った湯飲み。湯気とともに、香りが伝わってきて……どちらも握りたて淹れたてなのが聞かなくてもわかった。 詩音(私服): その感じだと、台所に行く元気もないんだよね?間に合わせで申し訳ないけど、こんなものでもお腹に入れたら少しはマシでしょ。 魅音(私服): あ……あり、がとう。 気遣ってくれたのに、からかわれていると思って憎まれ口を叩いてしまったことが申し訳なく……私はおずおずと手を伸ばす。 食べやすくするためだろう、小さめのおにぎりをぱくりと口に放り込んで咀嚼。……ご丁寧にも種を取った梅干しの酸味がちょうどいい。 魅音(私服): ……おいしい。 詩音(私服): おや、今度は素直だね。何か文句を言うようだったら、引き上げてやるつもりだったんだけど……くっくっくっ! 魅音(私服): 言うわけないでしょ。私をなんだと思っているんだよ……ったく。 今度はからかわれているのだとすぐにわかったのでむっとした気分になるが、堰を切った食欲には勝てず2つ目、3つ目と手が止まらない。 あぁくそ、深夜の食事は身体に悪いかもしれないがおいしすぎてたまらない。今だけはダイエットだの、胃に優しいだのという言葉は封印してしまおう。 詩音(私服): よっぽどお腹が空いていたようだね。……他にも何か持ってこようか? 魅音(私服): いや……いい。これ以上お腹に入れると、今度は寝られなくなりそうだしさ。 そう答えながら私は、最後に残ったひとつを平らげる。……実はおにぎりとは飲み物だったのか、と錯覚するほどの勢いで全てがお腹の中に消えていった。 魅音(私服): はぁ……なんか、人心地ついたよ。まだちょっと身体が重いけど、明日に備えてひとっ風呂浴びてこようかな。 詩音(私服): そう言うと思って今、湯船を準備しているよ。ちょうどいい湯加減になったところで葛西が知らせてくれるそうだから、少し待っていて。 魅音(私服): ……至れり尽くせりだね。ありがたいけど……なんか、気味が悪いよ。 詩音(私服): えー、心外だなぁ。面倒事を押しつけているお姉の苦労に、少しは報いたいと思っての行動なのに。 魅音(私服): 私たちにもメリットのあることなんだから、別に貸しだなんて思っちゃいないよ。……たとえあんたに、別の#p思惑#sおもわく#rがあるとしてもね。 詩音(私服): だとしても……やっぱり、私にとっては借りなんだよ。鬼婆や年寄りたちへの説得は、魅音の協力がなければ実現さえ難しいんだからさ。 そう言って詩音は笑うのを止め、真剣なまなざしをまっすぐに向けてきた。 ……雛見沢の景気をよくすることで、寒村から廃村へと繋がるような未来をなくしたい。そのために私たちは、色々打開策を講じている。 全て、了承を得ることができたわけではないし……実行してもあまり効果が出なかったものも結構ある。たとえば、興宮のゲストハウスのように。 それでも仲間と、新しく加わった子たちのおかげで相応の成果を上げて、話題を作り……最近では、町会からも一目置かれるくらいにはなってきていた。 魅音(私服): とはいえ、私がもっと手際よくやれていたらマシな感じに進められていたんだろうけどね。あんまり期待に応えられなくて……ごめん。 詩音(私服): ……。これは嘘偽りない本心だから、素直に聞いて。これまで魅音が「魅音」として頑張ってくれて……私は、本当に感謝している。 詩音(私服): なんていうか、うまく言えないけど……あんたが双子でいてくれてよかったと、誇りにさえ感じているよ。 魅音(私服): ……っ……。 あまり聞くことのできない……いや滅多に聞けないであろう詩音の本音に、私は言葉を失ってしまう。 頼られるのは、それほど嫌いじゃない。でも、時々……たとえば今夜のように疲れ果てて、全てを投げ出したくなることがある。 だけど今、彼女からそんなふうに感謝されて……自分でも単純すぎるという苦笑は覚えつつも、大げさでもなく気怠さが吹き飛んだ気分だった。 魅音(私服): 私もさ、……一度しか言わないよ?詩音が双子の「妹」で……本当によかった。 魅音(私服): 私が本気で辛い、苦しいって思った時でもあんたはそれに気づいて……知ってくれている。そして、優しく手を差し伸べてくれる……。 魅音(私服): そんな詩音だからこそ、頑張りたいんだよ。もうあんな後悔は、二度としたくないから……。 詩音(私服): ……今は、そう思ってくれているだけで十分だよ。 詩音(私服): 頑張ろうね、魅音。私もこれからずっと詩音を、頑張ってみせるから。 魅音(私服): ……うん。 私たちはそう言ってこつん、と額をつき合わせる。そしてどちらからともなく向き合い、ふふっ、と笑みを浮かべていた……。 Part 02: ……葛西さんからお風呂が沸いた、と連絡があったのは、そんなくすぐったい一時をお互いにかみしめてから、数分後のことだった。 詩音(私服): それじゃお姉、湯船が冷めないうちに入ってきて。中で寝ちゃわないよう、気をつけてよ。 魅音(私服): はいはい。……あっ、それはそうと詩音。ちょいと今さらバカらしい質問というか、笑わないで答えてくれる……? 詩音(私服): なぁに、その妙な予防線は。……で、聞きたいことって? 魅音(私服): 圭ちゃんって……分校通いだよね?それとも、#p興宮#sおきのみや#rの学校だったっけ……? 詩音(私服): ……っ……。 私の質問に対して、詩音は言葉を失ったように一瞬大きく目を見開いた顔をする。 が……すぐに笑顔に戻り、肩をすくめながら言葉を続けていった。 詩音(私服): 何を言っているんだよ、お姉。圭ちゃんは興宮の学校に決まっているじゃない。 魅音(私服): えっ……そ、そうだった?けど、私……圭ちゃんが#p雛見沢#sひなみざわ#r分校の教室で大騒ぎしていた記憶が……その……。 詩音(私服): もう、しっかりしてよ。おおかた圭ちゃんがたまに分校へ顔を出して、部活に参加しているのと混同したんじゃない? 魅音(私服): ……そう、なのかな。じゃあ、私の勘違い、だった……? 詩音(私服): やっぱり疲れているんじゃない?今夜はもう、お風呂に入ったら休んだ方がいいよ。 魅音(私服): ……うん、そうする。変なこと聞いちゃって、ごめんね。 詩音(私服): 聞かなかったことにしてあげるよ。弱っているお姉にこんなかたちで貸しを作るのは、私も不本意だから。 詩音(私服): あ……なんだったら、一緒にお風呂に入る? 久しぶりにお互いの成長度合いを比べっこするとか。 魅音(私服): おっ……いいね! だったら、あんたよりもしっかりと発育したところを披露して、敗北感を味わわせてやるよ……くっくっくっ! 詩音(私服): へー、言うじゃない。でも残念ながら、屈辱にまみれるのはお姉の方だよ。なにしろ私は「秘密兵器」を摂取してきたからねー。 魅音(私服): ……秘密兵器? それって、なに? 思ってもみなかったその返しに、私はきょとん、と目を丸くして首をかしげる。 すると詩音は「ん……?」と私の顔を窺い、にやりと勝ち誇ったような笑みを浮かべていった。 詩音(私服): なるほど……菜央さんは約束通り、お姉には例のことを言わないでおいてくれたんだ。だとしたらこの勝負、完全にもらったね……! 魅音(私服): 菜央ちゃんが……?あんた、あの子から何を聞いたっての? 詩音(私服): いや……ね? 菜央さんのお母さんって職業柄、服のモデルさんやメイクさんから美容について聞く機会が多いらしくて。 詩音(私服): で、その人たちが言うには……胸を大きくする効果がある「もの」があって、それを愛飲しているそうなんだよ。 魅音(私服): ま……マジでっ?その「もの」って、何? 教えて詩音っ! 詩音(私服): くっくっくっ……駄目だよ。全てはこの日のため、お姉に成果を見せてやるべく毎食のおかずに加えてきたんだから……! 魅音(私服): んなっ……?! さっきまでのあたたかな親愛ムードを吹き飛ばし、私は親の仇に向けるような目で詩音の胸を凝視する。 嘘だ……でたらめだ、いつものハッタリだ……!そう思って目をゴシゴシとこすり続けるが、服の分をさっ引いてもなんか……彼女の胸が……。 魅音(私服): (いや……マジで大きくなっている……?!) さぁあぁぁっ……と、耳の奥から血の気が引く音が聞こえてくる。まるで頭をぶん殴られたような衝撃だ。 たかが胸、と言われたら確かにそうかもしれないが……いや、されど胸っ! こんな目に見える部位で妹に追い抜かれてしまった日には、あ、姉としての沽券が……ッ! 魅音(私服): し……詩音っ!あんたさっき、私と双子でよかったって言ったよね?なら、そこだけ先行するのはナシでしょ?! 詩音(私服): 確かに言ったよ。……だけどこれは姉妹ではなく、同じ女としてのプライドの問題なんだから。 詩音(私服): というわけで魅音、お風呂に行こっ。この数ヶ月で開いた差を見せてあげるから……くっくっくっ! 魅音(私服): い……嫌だぁああぁぁぁっ!こんな形で、現実を直視なんかしたくないぃぃ!!私は、まだぬるま湯につかっていたいんだぁぁ!! 背後からがっちりと羽交い締めにされて、私は風呂場へと引きずられていく。 そして……そしてっ! 詩音(私服): はー、いいお湯だったね。……ん、どうしたのお姉?まるでこの世が終わったような顔をして。 魅音(私服): …………。 魅音(私服): この、大嘘つき女……!差が開いたって言うからどれほどだって思って計ってみたら、ほんの数ミリじゃんか! 魅音(私服): あんなのは、ただの誤差っ!変なこと言ってびっくりさせないでよ! 詩音(私服): くすくす……何を言っているの?たとえ数ミリでも、たった数ヶ月でこの差だよ。つまりこれが1年、2年と続いたら……? 魅音(私服): んなっ……? そう告げられたことで次の瞬間、嫌すぎる未来予想図が浮かんできて目の前が真っ暗になる。 あぁ……見える、見えてしまう!身体のラインがくっきりと浮き彫りになった舶来のセクシーな衣装をまとった詩音と……! その隣で、すとーん、と上からつま先辺りを何の阻みもなくまっすぐに見下ろせてしまう体型のみすぼらしい私の姿が……?! ……いや、冷静になって振り返ってみればさすがにそこまでの差が開くことはないとすぐにわかったはずなんだけど……。 あいにくその時の私は、相当疲れていた。なので正常な判断などできるはずもなく、詩音の言葉を鵜呑みにしてっ……?! 魅音(私服): っ……お、お願いします、詩音様っ!菜央ちゃんから聞いた秘密兵器がなんなのか、私にも教えてくださいぃっ! 詩音(私服): えー、どうしようかなぁ……?もっとはっきりと、逆転が難しいくらいに差が開いた後でなら、教えてあげてもいいけど~♪ 魅音(私服): それじゃ意味がないでしょ?!……もういい、こうなったら菜央ちゃんに直接聞く! 明日の分校でっ! 詩音(私服): さて、教えてくれるかなぁ……?なにしろお姉には秘密にしてもらうために、あの子には結構な口止め料を払っておいたからね~。 魅音(私服): こっ……この外道!やっぱりさっきの台詞は取り消しだ、撤回だ!あんたと双子だなんて、虫唾が走るよッ! 詩音(私服): ちょっ……? そこまで言うんだったらさっきつくってあげたおにぎり、今すぐ返してよ!胃の中に手を突っ込んで、元通りの形でッ! 魅音(私服): おー、返してやろうじゃない!マーライオンみたいに、あんたの顔面にぶちまけてやるあぁぁぁっ!! 魅音・詩音: 「「大っ嫌いだ、あんたなんかっっ!!!」」 Part 03: …………。 レナ(部族): えっと、つまり魅ぃちゃんと詩ぃちゃんの話をまとめると……。 レナ(部族): 2人がお互いの部族を巻き込んで、敵対するようになったそもそもの原因は胸のことで揉めたから……かな、かな? 魅音(部族): あぁ、その通りだよ!結局詩音のやつ、全っ然教えてくれなくてさ! 魅音(部族): 最終的にある子から、薬でも何でもなく大豆製品のことだったって聞き出してからもしばらく冷戦状態が続いたくらいだよ! 一穂(アリス): …………。 詩音(部族): はぁ……本当にこの魅音って子は、執念深いというか心が狭いというか……。 詩音(部族): たったそれだけで「義姉妹」の誓いを容赦なくぶった切ってしまうんですから、公私混同も甚だしい限りですね。 魅音(部族): あんたが言うか、あんたがっ?! 菜央(マッドハッター): ……なんて言うか、いがみ合ってた原因があまりにもくだらなさ過ぎて、正直呆れちゃったわ。 菜央(マッドハッター): 別に成長期にはよくあることなんだから、気にしなくてもいいじゃない。たかが胸の話でそんな仲違いをするなんて、馬鹿げてるでしょ? 美雪(白うさぎ): そんなことはないッッ!! 一穂(アリス): わぁっ?! 菜央(マッドハッター): み……美雪っ? 美雪(白うさぎ): わかる……わかるよ、私には!菜央は気にもならないお子ちゃまだから、まだ意識できないかもしれないけど……。 美雪(白うさぎ): 年頃の女性にとって胸の大きさってのは、アイデンティティーにも関わる重要事項なんだよ! 菜央(マッドハッター): そ、そこまでのことなの……? 美雪(白うさぎ): そうだよ! だから詩音、キミは謝れ!貴重な情報を独り占めして申し訳ない、って誠意と心を込めて謝罪すべきだ! 詩音(部族): えっと……あの、美雪さん?なんていうか……私情が入りまくっていませんか? 美雪(白うさぎ): 入ってて悪いか!!! 詩音(部族): い、いえ……失礼しました。私が間違っていまし……た? 沙都子(部族): ……魔王討伐が関係しているというのに、ずいぶんとのんきなお話をしていますのね。 梨花(部族): …………。 沙都子(部族): あら……えっと、水の部族の……梨花さん?どうしてそんなに怖い顔をしているんですの? 梨花(部族): ……沙都子にはわからないことなのです。放っておいてほしいのですよ、みー。 沙都子(部族): わ、私……何か怒らせるようなことを申し上げましてっ? …………。 ……それが、魔王軍の急襲を退けた後の話。美夏さんを送り返してから集結した私たちは、そんな馬鹿話で盛り上がっていた――。 レナ(部族): はぅ……それにしても、ここは少し暑いね。あの火を消すことはできないのかな……かな? 魅音(部族): ん? あぁ、できないこともないよ。ただ一度火がつくと、鎮めようにもなかなか収まってくれなくてねー。 魅音(部族): まぁ夜が明けたらさすがに消えると思うから、それまでは辛抱してよ。あっはっはっはっ! 詩音(部族): まったく……いい加減な管理ですね。エネルギーを浪費する、火の部族の適当な性格がうかがい知れるというものです。 魅音(部族): あぁん……?文句があるんだったら、出るところに出ようかぁ?こっちはいつでも準備OKだよ! 沙都子(部族): だからお二人とも、仲良くしてくださいまし……!いがみ合う関係なんて、犬も食いませんのよっ? 梨花(部族): みー……。 …………。 詩音(部族): ……やっと、火は消えたみたいだね。はぁ、ずっと暑かった分朝の風が気持ちいい……。 魅音(部族): ん? あ、おっはよう詩音♪昨夜はよく眠れた? 詩音(部族): まぁ、それなりには。……それにしても、前の「世界」でくだらない喧嘩をした原因がここに持ち込まれていたなんて……。 詩音(部族): でも、確かあの話って梨花ちゃまはもちろん誰にも言ったことがなかったはずなんだけど……どういうことなんだろう? 魅音(部族): ? 何をブツブツ言っているのさ。昨夜のことはもう、手打ちにしようってちゃんと話し合ったでしょ? 詩音(部族): はいはい、そうだったね。まぁ……たいしたことでもなさそうだし、今は深く突っ込まないでおきましょう。 魅音(部族): んじゃ、準備を整えたらみんなで魔王討伐だ!あんたも手を抜くんじゃないよ、詩音! 詩音(部族): 言われなくても、そのつもりだよ。たとえここがおかしな「世界」だったとしても、全力で挑んで……何かを掴む。 詩音(部族): 私はそう、心に誓ったんだから……。